<憑依>欲望のお祭り②~堪能する少女たち~(完)

憑依した身体で、お祭りを堪能する三人ー。

他人の身体で勝手に楽しむ夏のお祭りの行方は…!?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「麻奈美!」
男が、焼きそばを買って満足そうに微笑んでいる
女子大生・萌咲に声を掛けたー

”まなみ?
 あぁ~そういえば、そう言ってたかもな”

心の中でそう呟きながら
憑依している健は
「あの~どちらさまですか~?」と、
言葉を口にするー

「え…え?麻奈美だよな?
 急に消えちゃうから心配したんだぞ?」

男は、健に憑依されている女子大生の彼氏だったー。

健は、彼氏がトイレに行ったタイミングで、
この女子大生に憑依して乗っ取り、
輝明・次郎の二人が乗っ取った少女と
お祭りを楽しんでいたー。

「ーひ、人違いじゃないですか~?」
萌咲を名乗る健がそう言いながら笑うー。

”萌咲”と名乗っているのは、
単純に、麻奈美に憑依した健が、その名前を
把握していなかったからだー。

女子高生に憑依した輝明も、
間違ってメイド服の男の娘に憑依してしまった次郎も
”身体の名前”が分からないため、
それぞれ適当な名前を名乗っているー。

「え…い、いやー浴衣も同じだし」
彼氏がそう呟くと、
萌咲は「ーあ、あなたなんて知りません!」と、
少し苛立った様子で叫ぶー。

「あ~あ~…」
女子高生・友梨佳に憑依している輝明が
メイド服の男の娘・尚美に憑依している次郎と一緒に
チョコバナナを食べながら呟くー。

「ーー」
やたらとチョコバナナをイヤらしくペロペロ食べている
尚美のほうを見て、友梨佳は
「なんか、お前の食べ方、エロくね?」と、呟くー。

男の娘・尚美に憑依している次郎はニヤニヤしながら
「だってなんか、ホラ、フェラしてるみたいでエロイしー」と笑うと、
「でもその身体、ついてるんだろ?」と、
メイド服の上から、股間のあたりを触る友梨佳ー

「や、やめろ~!いいんだよ~!俺も女の子って設定なの!」
と、間違えて男の娘に憑依してしまった次郎が叫ぶー。

勝手に決めた偽名も”尚美”だし、見た目は完全に美少女にしか見えないし、
それでついてるんならお得じゃないか!と、次郎は必死に主張したー。

「ーっていうか、急に男のアソコ触る女子高生なんてヤバすぎだろ」
男の娘・尚美がそう叫ぶと、
友梨佳は「えへへへ~わたしエッチな女の子なんだもん~」と、
”そう言わせている”ことに興奮しながら、
視線を彼氏と言い争っている萌咲の方に戻したー

「ーいつもいつもいつもそうやってわたしを束縛して!
 わたしは一人でお祭りを楽しみたいの!
 だから放っておいてよ!」

萌咲が叫ぶー。

彼氏が「な、なんだよ急にー!」と困惑するー。

友梨佳と尚美が喋っている間に、
萌咲に憑依している健は”人違い”扱いで彼氏を
やり過ごすのを諦めたのか、口論を続けているー。

「ーあんたなんか大っ嫌い!」
萌咲がそう叫ぶと、喧嘩している男女にどよめく周囲を他所に、
彼氏が混乱しながら、「わ、わかったよー…帰ればいいんだろ!?」と、
そのまま立ち去ってしまうー

萌咲は「ふ~」とため息をつくと、
友梨佳と尚美の方に近付いてきて
「彼氏、勝手に振っちゃったぜ」と、悪びれる様子もなく笑うー。

「ーお前、なかなか最低な奴だな」
ニヤニヤしながら友梨佳が言うと、
「まぁいいじゃねぇか」と、萌咲は、そのまま
「ほらほら、女の子三人でもっとお祭りを楽しもうよ!」と
笑いながら、友梨佳と尚美の二人の背中を押したー。

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「きゃ~~~~~~~~~!」

「きゃ~~~~~~~~~~~~~~~!」

悲鳴を上げながらスーパーボールすくいを楽しんでいる萌咲ー

「ーわざとらしく悲鳴をあげるな」
友梨佳はあきれ顔で腕を組みながらその様子を
背後から見つめているー

「ーきゃ~~~~~~~~~~~~~~!」
スーパーボールすくいをやっているわけでもないのに
男の娘・尚美が、萌咲の真似をして悲鳴を上げるー

「お前は奇声をあげるな!」
友梨佳が尚美の頭をぺしっと叩くと、
「あ~!女の子を叩いた~!」と、尚美が叫ぶー。

その言葉に、友梨佳はすぐに、
尚美のアソコを手でつかみながら
「男の娘だろ!」と、揶揄うー。

「ーちょっと~!触らないで~!変態!」

「ーわたしは変態ですぅ!」

楽しそうに会話を交わしながら、
萌咲のスーパーボールすくいが終わると、
続けて友梨佳が「次はわたしの番~!」と、
わざとらしく可愛らしい仕草をして、
スーパーボールすくいに挑戦し始めたー。

射的ー
ヨーヨーすくい
お化け屋敷
わたあめ
かき氷ー

色々なものを順番に回っていく三人ー。

「ー半分こしよっ!」
メロンシロップがかかったかき氷を、
身体を密着させながら座って
”半分ずつ”食べる
萌咲と友梨佳ー

二人とも”女の子同士で密着している”ことに
ドキドキしながら、
顔を真っ赤にしてかき氷を食べるー

「ちぇっ!俺だけ仲間はずれかよ」
メイド服を触りながら
拗ねた様子で呟く尚美ー。

「ーだって、”女の子”はわたしたちだけだし!」
萌咲がからかう様にして言うと、
「くっそ~~~!」と、言いながら尚美が突然その場に
バタッと倒れるー

「あっ!おい!」
萌咲が思わず”ここで身体から抜け出すな!”と、叫ぶー。

男の娘に憑依していた次郎が、拗ねて
周囲から普通に見える場所で尚美の身体から抜け出してしまいー、
周囲が騒然とするー。

憑依されたあとー
抜け出すと、その身体はしばらく意識を失うー。

萌咲に憑依している健が一昨日、テストするために
母親に憑依した際も、そうだったー。

憑依されていた人間は、数分程度、気を失ってしまうのだー。

「大丈夫ですか?」
「大丈夫か?!」

周囲の人が集まる中、萌咲が友梨佳の手を引くー

「ー行こう」
とー。

「えっ!?あの身体、放置でいいの?」
友梨佳が言うと、萌咲が
「いやいや、友達が急に倒れて、なんて言っても、
 意識を取り戻したあのメイドは、俺たちのこと知らないんだぜ?
 騒ぎになるに決まってる」と、小声で呟くー

「た、た、確かに!」
友梨佳は、萌咲の言葉に納得すると、
そのまま萌咲と立ち去っていくー。

「ーーう…」
次郎に憑依されて”尚美”を名乗らされていた
メイド服の男の娘がようやく意識を取り戻すー。

「ーーあ…あれ…えっ!?」
困惑した表情で周囲を見渡すメイド服姿の男の娘ー。

「ーー大丈夫かい?」
どよめく中、声をメイド服姿の男の娘は、
何が起きたのか全く分からないまま
表情を曇らせたー。

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「ーーーーにしても、次郎のやつ、遅いなー」
萌咲がそう呟きながら、輪投げの列に並ぶー。

「ーお前、ホント色々やって楽しそうだな」
友梨佳があきれ顔で言うと、
萌咲は「でも、この子のお金、もうすぐつきるからなぁ」
と、笑うー。

「ー彼氏も振って、有り金全部使うとか、本当に悪魔だな」
友梨佳は笑いながらそう言うと、
「ーそういうお前は妙に大人しいじゃないかー輝明」と、笑うー。

萌咲に憑依した健とは違い、
乗っ取った身体に気遣っているのか、
所持金も気にしているし、
周囲の目戦も気にしている様子の友梨佳ー。

「ーはは、俺は”身体”に優しいんだよー」
友梨佳はそう言うと、萌咲は「へっ、どうせ一晩限りなんだから
好き放題すればいいのに」と、輪投げの順番が
回ってきたのを見て笑うー。

「ーー友梨佳!」
背後から声がして、輪投げを見つめていた友梨佳が振り返るとー、
そこにはー

中性的な雰囲気の美少年がいたー

「ーえ?もしかして次郎?」
友梨佳がそう言うと、
「な、何で男に憑依してんの?」と、表情を歪めたー

「ーえ?あ、いやー
 さっき、”可愛い女の子”に憑依したと思ったら男だったからー
 今度は裏をかいてイケメンに憑依すれば、実は女かなって思ってー」

と、笑いながら答えたー。

「ーーーで…どうだったんだよ?」
友梨佳が笑いながら、美少年の股間を触ると、
「ホント変態女だな!」と、美少年の身体で次郎が叫んだー

「ー平気で男のアソコを触る女子高生とかゾクゾクするだろ?」
友梨佳がクスクス笑いながら言うー。

「ーーやめろよ勃っちまっただろ」
次郎が美少年の身体でそう言いながら、
「ーまぁ、結局今度は見た目通り男だったんだけど」と、困惑した様子で
呟いたー

「そりゃそうだろー。何でそんなところで裏をかくんだよー
 今度は普通に女の子に憑依すりゃよかっただろー?

 さっきのメイド服の子みたいに
 そうそう男の娘がたくさんいるとは思えないし」

友梨佳がそう呟いていると
「あ~~~~~~あとちょっとだったのにぃ~」と、
萌咲が叫びながら、輪投げを終えて戻ってきたー

「ーすっかり女子じゃん!」
友梨佳がそう言うと、
萌咲は「え~?ほんと~?女子に見える~?」と、
嬉しそうに呟いたー。

美少年に憑依した次郎は、”もう面倒臭いからこのままでいいや”と
言い出し、そのまま三人でお祭りを回るー。

散々、遊び尽くした三人はー
満足そうに笑みを浮かべながら、
最初に集合した大木の周りに集まったー

「みんなお祭りに夢中で、ここなら気付かれないだろうしー
 ここで抜けるか」

萌咲に憑依している健が言うと、
友梨佳に憑依している輝明と、
美少年に憑依している次郎が頷いたー。

「ーーーなぁなぁ、また憑依できるかなぁ」
次郎が言うと、
萌咲に憑依している健は「もう憑依薬、残りほとんどないしー
また手に入るか分からないし」と、苦笑いしながらそう返事をしたー。

「ーよし、せーのっ…」
萌咲、友梨佳、美少年の身体から同時に抜け出すことにして、
身体から抜け出す健たちー。

「ーーっと 帰りは一瞬なんだよなー」

自分の家で意識を取り戻した健ー。
それぞれに分け与えた憑依薬で、残りの二人も自分の家で
憑依薬を飲んだため、
ここには健しかいないー。

健はすぐにスマホを手に、次郎、そして輝明に連絡を取ったー

だがー

”輝明から返信なくね?”
次郎が心配そうにメッセージを送って来るー。

確かに、女子高生の身体に憑依していた輝明から
返信がないー。

「ーまぁ、あいつのことだから、 
 憑依の興奮が忘れられずに一人でヤッてるんだろー」

そんな風に呟く健ー。

だがー
輝明が意識を取り戻さず、そのまま自宅の部屋で
死亡が確認されたと聞かされたのは、
数日後のことだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2学期が始まるー。

健は表情を歪めるー。
教室に、輝明の姿はないー。

”怪しげな憑依薬”の副作用だろうかー。
健と次郎は元に戻れたのに、
輝明は元に戻れなかったー

”俺のせいでー…くそっ”

憑依薬を入手して、他の二人にそれを渡した健は、
欲望のお祭りを堪能したのと引き換えに、大事な友人を
失ったのだったー

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーまたね~」

友達に手を振りながら、そのまま別の方向に向かって
歩き出す女子高生ー。

家に向かって歩く少女は静かに笑みを浮かべたー。

「ー友梨佳ちゃんじゃなくて、菜々美(ななみ)ちゃんだったかー」

お祭りのときに憑依した女子高生ー。
あの時は、名前が分からないため適当に偽名を名乗っていたがー、
”あのあと”友梨佳を名乗らせていたこの身体の本名が
菜々美であることを知ったー。

「ーーへへ…まさかあの二人ー
 ”三人で一斉に抜け出そう”ってなったときー
 俺だけ抜け出さなかったなんて思ってないだろうなぁ~」

友梨佳ー…ではなく、菜々美の身体を完全に支配した輝明は、
あの日ー、健と次郎が憑依した身体から抜け出したのを見届けてー
自分は”憑依したまま”女子高生の身体をそのまま奪ったのだー

「ーーこ~んな可愛い身体、手放すわけないだろ?」

”輝明”としての人生を捨てて
奪った少女の身体で生きていくことを、あのお祭りの日に決意した
輝明は、菜々美の身体でクスッと笑みを浮かべたー

おわり

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コメント

お祭りのお話でした~!☆

輝明に憑依された子は、
運が悪かったですネ~…!

お読み下さりありがとうございました~!!

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憑依<欲望のお祭り>

コメント

  1. 葉月/リーフ より:

    男性が男の娘に憑依・変身してしまうのも好きだけど、美少年に憑依・変身するのもいいなぁ
    もっと見てみたい
    可愛い

    • 無名 より:

      リーフ様~!コメントありがとうございます~!☆

      時々書いてみるのもいいかもしれませんネ~!☆
      また機会があれば~!

    • 匿名 より:

      一時楽しむだけの憑依ならともかく、そのまま乗っ取られるのは悲惨ですね。
      麻奈美ちゃんは本当に不運です。

      それにしても、ある意味仕方ないことかもしれませんが、大抵の憑依とか入れ替わりの話で犠牲になるのは女の子(それも美少女)ばかりですよね。たまには男の方が女の子に乗っ取られたり、憑依されて人生奪われるような、多くの話とは加害者と被害者の性別が逆転したような話も見てみたい気がします。

      • 無名 より:

        コメントありがとうございます~!☆

        まだ少し先ですが、ちょうど、男の子が憑依されるお話がこの先にあるので、
        楽しみにしていて下さい~!☆
        妻は元アイドルの後日談が終わった後の土曜日に出て来る予定デス~!