<入れ替わり>狙われたお嬢様①~執事の提案~

お金持ちの父親を持つお嬢様ー。

そんな彼女は”ある組織”から命を狙われていたー。

そして、彼女の命を守るために執事が提案した方法は、
とんでもない方法だったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ー突然ですが、お嬢様ー
 お嬢様は、今、命を狙われております」

「ーートーマス…今、何て?」
優雅に紅茶を飲んでいたお嬢様・蘭(らん)が
表情を歪めるー。

「ーーーはい、お嬢様は命を狙われております」

執事のトーマスがそう繰り返して頭を下げたー。

トーマスは日本人なのだが、
何故か、蘭が物心ついたころから、トーマスと呼ばれているー。

正直、本名も知らない。

「ーーー命を…?
 それは、どういうー?」

蘭がティーカップを置いて呟くと、
トーマスは頷くー

「ーーとある組織が、お嬢様の命を狙っているのですー」

そう、説明を付け加えながらー

「ーえ…え??
 い、意味が分からないわ…?
 ど、どういうことなの?トーマス!」

今まで、そんなことは一度もなかったー
しかし、トーマスは冗談を言うような執事ではないー。

物静かで、いつも真面目なトーマスが、
冗談で「お嬢様は命を狙われております」なんて
言うような人間ではないのだー。

「今は説明している時間はございませんー。
 ですが、ご安心くださいー。 
 お嬢様のことは、このトーマスが必ず、命に代えても
 お守りいたしますー」

そう言われた蘭は
「あ、ありがとうー…」と、言いながらも
「って、学校はどうすればいいのかしら…?」と、
不安そうな表情を浮かべるー。

蘭は、お金持ちや有名人などの娘が多く通う
名門の女子高に通っているー。

そこには多くの”お嬢様”がいて、
普通の高校とは違う、ある意味で”異様な世界”が
広がっているー。

「ーー学校には先ほどご主人様が連絡を入れておきましたー
 まずは、命を守ることを最優先に、とのことです」

トーマスがそう言うと、
蘭は混乱した様子で、ティーカップの紅茶を再び飲み始めるー

正直、紅茶を飲んでいる時間もないのだが、
何かを口につけずにはいられないぐらい、蘭は動揺していたー。

「間もなく、この屋敷に”奴ら”が来ますー」
トーマスが緊張した面持ちで言うー。

父親は現在、自身が経営している会社の方にいて、
母親は病で既に世を去っており、
蘭は、使用人の女性の一人を母親代わりとして
慕っているー。

この屋敷に残っている
”城ヶ崎(じょうがさき)家”の人間は、蘭だけだったー。

「ーーーど…どうしたらいいの?トーマス…」
蘭が不安そうに呟くー。

いかにもお嬢様、という感じの動きにくそうな服に
身を包んでいる蘭は、”ここから逃げる”にしても
時間がかかりそうだー。

おしゃれな髪にー
おしゃれな服ー

それらは”避難”する際には妨げにしかならないー

「ーーご安心くださいお嬢様ー
 このトーマスが、命に代えても、お嬢様を
 お守りいたしますぞ」

白髪のトーマスがそう呟くー

「ーー…ト…トーマスがわたしをー…?」

トーマスのことは信頼しているし、
確かにトーマスは小さい頃から蘭のことを
助けてくれていたー。

しかしー
”命を狙ってくるような組織”から守ることができるほどー、
トーマスは”強い”のだろうかー?

”優しそうな白髪の執事”
そんなトーマスが、突然、アニメや漫画の主人公みたいに
悪党たちをなぎ倒したりするのだろうかー。

「ーーー…敵の狙いは、お嬢様です」
トーマスが、そう断言するー

蘭には狙われるような心当たりは全くないし、
今までこんなことはなかったー

不安になった蘭が、トーマスに
”わたしは誰に狙われているの?”
”お父様、何かトラブルに巻き込まれているの?”と、
そう呟いたー。

トーマスは、屋敷の窓のカーテンを少しだけ開けて
外を確認すると、
まだ時間があると判断したのか、言葉を続けたー。

「ーーお嬢様の命を狙っているのは
 国際的に暗躍する犯罪組織”ガルフ”ー

 ご主人様の会社に目をつけたガルフから
 先日、ある交渉を持ちかけられたのですがー
 ご主人様がそれを拒んだことでー…
 ガルフの怒りを買ったようでございます」

その言葉に、蘭は「そ…そんなこと…!」と、表情を歪めたー

どうして、父の会社が
国際犯罪組織ガルフなどという物騒な集団に目をつけられたのかー。

それは分からないー。

しかし、トーマスは言うー

「お金を持つ、ということは
 そういうものでございますー」

とー。

富を得た人間には
お金が寄って来ると同時に、国際犯罪組織ガルフのような害虫も
寄り付くのだと、トーマスはそう説明したー。

バン!!

外で大きな音が響き渡ったー。

「ーーー」
トーマスが再び窓の外を覗くと、
トーマスは呟いたー

「カナハラですー」
とー。

「ーか、金原!?誰?」
蘭は困惑の表情を浮かべるー。

「ー国際犯罪組織ガルフの日本支部の責任者でございます」
トーマスがそう説明すると、
蘭は「な、何で知ってるの!?」と叫んだが、
それには反応してくれなかったー

そしてー
トーマスは言い放ったー

「ーーあの者たちの狙いは、ただ一つー。
 お嬢様自身でございますー。」

とー。

震える蘭ー。

「ーですが、ご安心くださいー。
 ”お嬢様”が囮になれば、他の人間は
 狙われることはございません」

トーマスの言葉に、思わず蘭は声を荒げたー

「ートーマス!?
 トーマスはわたしに囮になれる言うの!?」

表情を歪める蘭ー。

トーマスは「いいえ」と、首を横に振りながら
少しだけ微笑むと、
さらに言葉を続けたー。

「この私(わたくし)が、お嬢様になるのです」
とー。

「ーーーー????」
蘭は返事をするのも忘れるぐらいに、混乱したー

トーマスは何を言っているのか?
思わず、トーマスの額に手をつけて、
自分の額を触りー、
熱がないかどうかを確認してしまうー

急に命を狙われていると言い出したり、
急に国際犯罪組織なんたらとか言い出したり、
急にお嬢様になると言い出したりー

「ートーマス…女装でもするつもりかしら?
 似合わないから、やめておきなさい」

蘭がそう言い放つと、
「私に女装が似合わないことなど、存じておりますー。
 ジジイの女装など、誰も見たくはないでしょう」

と、トーマスは穏やかな笑みを浮かべながら呟いたー

「ーじ、じゃあー?」
蘭が困惑するー。

そんな蘭を見て、トーマスは言い放ったー。

「ー大変ご無礼を承知で申し上げますがー
 お嬢様の身体をしばらくお貸しいただけますでしょうか?」

トーマスが頭を下げるー

「は?」
蘭はさらに混乱するー。

何を言っているのか、まるで分らないー

だが、トーマスにはこうするしかなかったー。

先程ー
国際犯罪組織ガルフとトラブルになったことを
蘭の父ー…
つまり、トーマスから見ればご主人様からそう連絡があったー。

すぐに蘭を安全な場所に避難させるように、とのことで、
その準備をしていたのだがー
国際犯罪組織ガルフの動きが、”想定以上に早かった”

館のメイドとして、
国際犯罪組織ガルフの諜報員・ウェンディ裕子(ゆうこ)なる人物が
既に紛れ込んでいて、
情報が外部に漏れていたのだー。

そのため、蘭を避難させることも、
この屋敷の守りを固めることもできないまま、
ガルフのメンバーがやってきてしまったー。

そんな状況でー
”蘭を守りつつ”
”ガルフを撃退”するためには、これしか方法はなかったー。

ガルフの撃退に集中すれば、蘭が狙われて誘拐されたり命を落とす可能性があるー

だがー

蘭を守ることに徹すれば、十分にガルフに反撃することはできないー。

しかしー
”自分自身が蘭になってしまえばー
 自分の身は自分で守りつつー、ガルフの撃退に集中することが”できるー。

「ーーお嬢様と私の身体を入れ替えるのでございますー。
 そうすれば、狙われるのはこの私だけになります」

トーマスは、蘭と自分の身体を入れ替えて
”自分が狙われる状況”にしつつ、
ガルフを撃退すると言い放ったー

”蘭の身体が狙われる”ことには変わりはないが、
この方が、蘭を無事に守り切ることができる可能性は高まるー。

「ーーーい…入れ替える…?
 そ、そんなこと、できるのー?」

蘭が不安そうに呟くのを見て、
トーマスは「はい」と、静かに頷いたー。

「ーーーーーー」
「ーーーーーー」

入れ替わりー

そんなこと、現実にできるなんて夢にも思っていなかったし、
自分の身体を他人に預けることには抵抗があるー。

しかしー
蘭は、小さい頃から自分たちに仕えて来たトーマスのことを
強く信頼していたー。

「ーーーーーーわかったわーー…」
蘭はそう呟くと、
「トーマスを信じる」と、静かに言葉を口にしたー

「ーーご安心くださいー。
 必ず、お嬢様のことは、お守りいたしますー」

それだげ言うと、トーマスは、不気味な色の棒のようなものを
取り出し、トーマスが握っている側の反対側を、
蘭に握るように促したー。

「これで、私とお嬢様が入れ替わることができますー」

そう、言葉を口にしながらー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー狙いはこの家の娘たちだけだ!
 手短に済ませるぞ!」

国際犯罪組織ガルフの日本支部責任者・カナハラが
部下たちにそう指示をするー。

先に諜報員として潜入させていた
ウェンディ裕子が、メイド服姿のまま合流するー

「ーーははは、似合ってるじゃないか」
カナハラが揶揄うようにして言うと、
ウェンディ裕子は無表情のまま「殺すよ?」と、
言葉を呟くー

「クククー」
怖気づく様子も全くなく、カナハラが笑うと、
「ーー”お嬢様”のいる場所は分かっているのか?」
と、ウェンディ裕子に向かって言い放つー。

「ーーもちろん」

そう呟くと、蘭の私物に密かに取り付けたというGPSを通じて、
蘭が今いる部屋の位置を、小型の端末に表示させた。

「ーグッドー お前は実に優秀な女だ」

カナハラは笑みを浮かべながら
部下を引き連れて、蘭がいるという部屋に突入したー。

だがー
部屋に入ると同時にー
突然、部下の一人が悲鳴を上げて吹き飛ばされたー。

「ー!?」
カナハラが驚くと同時に、
一人、また一人と部下が倒されていくー

「ーーーなんだ!?」
そう叫ぶと同時に、天井から降ってきた”お嬢様”に
突然攻撃を受けて、カナハラも吹き飛ばされたー

「ーーー…テ…テメェ…」
カナハラがすぐに起き上がりながら驚くー

「ー(お嬢様は私がお守りしますー)」
蘭の身体になったトーマスはー
カナハラのほうを見つめるー。

「ーーー戦うお嬢様ってか?ククー面白い」
カナハラはそう言うと、笑みを浮かべながら
蘭(トーマス)に襲い掛かってくるー。

いかにもお嬢様、という感じの動きにくい服装の蘭ー。

だが、その身のこなしは”普通のお嬢様”とは思えないほどの動きー

「ーーはっ!」
蘭(トーマス)が、カナハラに拳を叩きつけるー

「ぐほっ!」
思わぬ反撃に、本棚に叩きつけられたカナハラは驚くー。

「ーー(この小娘ー…なんなんだ?)」
相手がお嬢様だと思い、油断していたカナハラが
表情を歪めると、
蘭(トーマス)は、目前に迫っていたー

髪を振り乱しながら、
威勢の良い掛け声と共に、何度も何度もカナハラに
攻撃を叩きつける蘭(トーマス)ー

「ーーぐはっ!」
あっけなく吹き飛ばされたカナハラは
表情を歪めるー

「ーーな…なんだお前は…!」
そんなカナハラの言葉に、
蘭(トーマス)は、カナハラを睨みつけながら叫んだー

「ー悪党は全員、ぶっ飛ばしますわ!」
とー。

”入れ替わり”を悟られれば、それはそれで
国際犯罪組織ガルフが面倒な動きをする可能性があるー

あくまで蘭としてー
国際犯罪組織ガルフの連中を撃退するー。

”ーーす、すごいー”
物陰に隠れていたトーマス(蘭)は、
蘭になったトーマスの戦いぶりをみながらそう呟いたー

”ーーわ、わたしって、あんなに強くなれるんだー”
トーマス(蘭)は、自分の身体の底力に関心しながら、
息を潜めてその様子を食い入るようにして見つめたー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

命を狙われたお嬢様を守るための入れ替わりー…!
続きはまた明日デス~!

今日もお読み下さりありがとうございました~!☆

入れ替わり<狙われたお嬢様>
憑依空間NEO

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