<憑依>妻は元アイドル~欲望編~第3章

憑依されてしまった元アイドルの妻ー。

そこから始まった長きに渡る
”苦しみ”は、終焉を迎えようとしていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーのぞみだよ~♡」

希海の娘・奈々子が家の中で
”母・希海が現役時代に着ていた衣装”を
身にまといながら、
母親の歌をノリノリで歌っているー

「ーえへへへへ…♡」
奈々子が、自分の意思でこんなことをしているのではないー。
奈々子の母親・希海に憑依していた男・憲彦に
憑依されて、こんなことをさせられているー

「ーーお願い…奈々子の人生まで、壊さないで…」
希海が泣きながら言うー。

「ー壊してないもん!
 わたし、お母さんみたいなアイドルになりたいの!」

奈々子がニヤッと笑いながら言うー。

「ー奈々子は…奈々子はそんなこと…望んでないー…」
希海が悲しそうに言うー。

「ーーへへへへ…お母さんさぁ、
 娘の夢も応援できねぇの?」

奈々子が、希海を脅すような口調で呟くー

「ーわたしが、お母さんみたいに、アイドルになりたいって
 言ってんの」

奈々子の表情から笑顔が消えて、
怒りの形相で母親の希海を睨みつけているー。

「ーーあなたが…言わせてるだけでしょ…!」
希海が、奈々子を睨み返すー。

希海の時間はー
憑依されたあの時から止まっているー。

けれどー
それでも、母親として
”自分の時間が10年以上も奪われてしまったこと”よりも、
どうにか、娘の奈々子を助け出そうと必死だったー。

奈々子が憑依されてから、まだそれほど時間は経っていないー

”わたしのように、何年も時間を奪われるようなことが
 あってはいけないー”

希海が、自分のショックも二の次で、なおも
立ち向かうことができるのは、
只々、”娘を助けたい”というその一心からだったー

「ーーのぞみちゃんはさぁ、僕から見れば
 もうババアなんだよー
 可愛いわたしに口答えできると思ってんの?」

元々の奈々子の人格など全く無視して、
好き放題する憲彦ー。

このまま憲彦に憑依され続ければ、
奈々子は、高校も中退することになるだろうし、
その先の人生はー
この男の意のままにされてしまうー

恐らくはー
遠い未来、希海と同じように解放されるー。

けど、その時、奈々子はどう感じるだろうかー。
その時、奈々子はーー

「ーー奈々子を返して!」
希海が奈々子の腕を掴むー

「ー離せよババアー。
 僕がその気になれば、のぞみちゃんと同じように、
 奈々子ちゃんもAV女優にすることだってできるしー、
 裏垢女子とか言って、男とヤリまくってやったっていいんだぞ?」

奈々子がニヤリと笑うー。

「そんなこと…しないでー…」
泣き崩れる希海ー。

「ーえへへへ…だったら大人しく僕のー
 ううん、可愛い娘の言う通りにしてなよ!お母さん!」

奈々子はそう言い放つと、再び希海の曲をかけて、
嬉しそうに歌い始めたー。

見た目は天使のようなのにー
中身はどす黒い悪魔ー

そんな存在になってしまった奈々子は、
不気味な笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー奈々子ー」
泰治は、困惑の表情を浮かべながら、
ビジネスホテルでの寝泊りを続けていたー

奈々子にどんなに連絡を取ってもー、
奈々子は返事も返してくれないー

家からも完全に締め出されて、
どうすることもできない状態が続いているー。

「ーーーーー」
泰治は、ホテルの一室で、
色々なことを調べていたー。

思えば希海もそうだったー。
急に人が変わったように豹変し、
結局そのまま離婚に至り、
長い間、その接点は途切れていたー

そして、今度は奈々子が豹変したー

まるでー
昔、豹変した”希海”と同じ人物と話しているような
そんな違和感さえ覚えるー。

妻・希海の豹変ー

人は、変わるー。
だから、あの時、困惑しながらも、
”希海はこういう人だったんだ”と最終的には
諦めざるを得なかったー

だが、妻に続いて、今度は娘だー。

泰治も今度ばかりは”おかしい”と思い始めていたー

その時だったー

「ーー?」

”元妻”である希海からの電話がかかってきたのだー。

「ーーー…」
ゴクリ、と唾を飲み込む泰治ー。

妻・希海が豹変してから既に10年以上ー
未だに、”使わない”希海の連絡先を削除せずに
そのまま取っておいたことに、
自分でも”未練がましいな俺は”などと思いながらも
意を決して、その電話に出たー

”もしもしー…?
 切らないで聞いて!
 わたしのこと、どう思っててもいいから、
 お願い、これだけは聞いて”

希海が、すぐに電話を切られると思ったのか、
必死にそう叫ぶー

「ー何の用だー?どうしたんだ?」
泰治は色々こみ上げてくる感情を何とか抑えながら
冷静さを失わないように、淡々とそう呟くー。

するとー
希海の口から恐ろしい言葉が聞こえて来たー

”い、今の奈々子は、正気じゃないの!
 信じてもらえないかもしれないけど、
 わたし、ずっとずっとー憑ーー”

そこまで言葉が聞こえて
大きな物音がすると同時にー

”ご、ごめんなさいー ごめんなさい!”と
希海が悲鳴のような声を上げるー

”中古のババアが!ふざけんじゃねぇぞ!おい!”

信じられないことにー
その乱暴な言葉はー”奈々子の声”だったー

そしてー
電話が叩きつけられるような音が聞こえて
そのまま何も聞こえなくなったー

「ー希海!?おい!希海!?」
泰治は、そう叫ぶと、すぐにビジネスホテルを飛び出したー。

”何が起きているんだー?”

10年以上も続いた、家族の”地獄”ー
その真相に、泰治は確実に近づきつつあったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

泰治は、ビジネスホテルから必死に家へと帰宅したー

家の鍵を使って、家の中に駆け込む泰治ー。

”い、今の奈々子は、正気じゃないの!
 信じてもらえないかもしれないけど、
 わたし、ずっとずっとー憑ーー”

希海は、いったい何を伝えようとしたのかー。

もちろん、希海を許すつもりはないー。
希海は、4歳だった奈々子を捨てて姿を消し、
挙句の果てに、警察沙汰の問題まで起こして逮捕されたー。

”今更”すり寄ってきたとしても、
泰治は、そう簡単に希海を許すつもりはなかったー

だがー

「奈々子ー…?
 希海ー…?」

家の奥の方に恐る恐る向かっていくー。

そしてー

「ーーーーー!」

リビングでは、娘の奈々子がニヤニヤしながら
母親の希海に何度も何度もキスをしていたー

「ーはぁぁ…♡ のぞみちゃんの娘として
 のぞみちゃんにキスできるなんてー
 夢のようだよー」

泰治は咄嗟に身を隠すー。

奈々子の今まで見たこともないような表情ー
奈々子の今まで聞いたこともないような声ー。

あれは、本当に”奈々子なのか?”と思ってしまうような地獄ー。

「ーーーや…やめてー…」
希海が目に涙を浮かべながらそう呟くー

「僕に逆らった罰だよぉ…のぞみちゃんー
 ファンは大事にしなくちゃ…えへへへへへっ!」

奈々子はそう言うと、希海を乱暴に押し倒したー。

”ど…どういうことだー…?”
泰治は身を隠しながら困惑するー。
奈々子の言っている言葉の意味が理解できないー

「ーーな、奈々子から出て行って!
 お願いだから、奈々子の身体でそんなことしないで!!」

希海が泣きながら言うー

「ーえへへへへ…”お前と同じように”ー
 奈々子ちゃんも遊び尽くしたら捨ててやるぞ!えへへへ!」

奈々子が笑いながら、希海に対して叫ぶー。

「ーーーー!!!!!!!!!!!」
泰治は、表情を歪めたー。

全ての謎が、解けたー。

希海が豹変した理由ー
奈々子が豹変した理由ー
希海が今になって急に”また変わった”気がする理由ー

全ての、謎がー

「ーーやめろ!!!!!!!」

希海も、奈々子も、”被害者”

自分は今までずっとそれに気づくことができなかったー

「ーーーお前は、誰だ!!!」
泰治が、振り返った奈々子に対して言い放つと、
奈々子はニヤニヤと笑みを浮かべたー

「ーなぁんだぁ…おとうさんかぁ…」
奈々子の下品な笑みー。

「ーーふ…ふざけるな…!お前が…お前がー」
泰治がそこまで言うとー
奈々子はついに本性を現したー

「ぐへへへへへ…へへへへへへへ…
 うひ…うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃぁ♡!!」

女子高生とは思えないような下品さを丸出しにした
笑い声をあげると、奈々子は言葉を口にしたー

「僕はぁ…!のぞみちゃんのファンなんだ!
 のぞみちゃんは、お前なんかのものじゃない!
 僕たちファンのものなんだ!
 だから、僕は、僕は、のぞみちゃんに憑依して
 のぞみちゃんを取り戻したんだ!!」

奈々子が鬼のような形相で叫ぶー

「ふざけるなー…ふざけるなー」
2度、泰治はそう呟いたー

1回は、希海に憑依し、
さらに今、娘の奈々子の方に憑依したこの男に対してー

もう1回は、
”それに気づくことができないまま”
10年以上も希海を放置してしまった自分に対してー

「ーー希海……俺…」
泰治は、座り込んでいる希海に対して言い放つー

「ーー俺ーーーー気づかなかったーーー…
 希海が…希海が変わっちゃったのかと思ってー…
 希海のこと”こんな女だったのか”なんて思ってー

 気づかなかったー」

悔しそうに言い放つ泰治は、
奈々子がニヤニヤしながらその様子を見つめている中ー
希海に向かって土下座をしたー

「ーーーー希海ーー許してくれー…
 こんなことになってるなんてー
 思わなかったーーー」

「ーーーー…泰治ー」
希海は目に涙を浮かべながら泰治のほうを見つめるー。

「ーーーー」
泰治が気づかなかったのも、無理はないしー
むしろ、謝るのは自分の方だと、希海は言葉を口にするー

「ーごめんね……
 わたしのせいで、巻き込んでー
 一緒にいられなくてー」

希海がそう呟くと、泰治は「ーーー今からでもーまたー」と
言葉を口にしかけたー

その時だったー

背後から奈々子が、土下座している泰治の頭を思いっきり
踏みつぶしたー

「ーーおと~~~~~~さん~~~~~!!
 うざいよおおおおおおおおおおお?????」

奇声に似た叫び声を上げながら
泰治の頭を踏みにじる奈々子ー

「ーのぞみちゃんと、のぞみちゃんから生まれた
 次世代ののぞみちゃんは、僕のものだ!
 お前のものじゃないいぃ!」

奈々子が、泰治を殺す勢いで頭を踏みにじっているのを見て、
希海がそれを止めようとするー

「邪魔をするなよ!」
奈々子が希海を突き飛ばすー。

「ーーアイドルは、ファンを裏切っちゃいけないんだー!
 僕は、僕はファンだ!
 のぞみちゃんが、僕を裏切ることは許されないんだ!」

奈々子がそう叫ぶー。

希海は泣きながら”もうやめて!”を繰り返しているー。

しかし、奈々子が止まる様子はないー。

「ーーーぐ……」
やがてー
泰治がぐったりした様子になったのを見て
奈々子は笑うー

「あぁ~~~~あ、
 のぞみちゃんが僕のことジャマするから、
 お父さん、死んじゃったかもぉ~~~???」

奈々子がはしゃぎながら言うー

「ねぇ、どうするの?ねぇ、ねぇっ!」
笑いながら奈々子が言うー。

”この男は狂っているー”
希海は改めてそう思ったー

だがー

「ーー!?!?!?」
突然、奈々子の足が掴まれて、奈々子がその場に転倒するー

希海が驚いていると、
泰治が立ち上がって、
奈々子を取り押さえたー。

「ーー奈々子を、返せー!」

ただ単に”安っぽい死んだふり”をしていただけの泰治は
奈々子が油断した隙をついて、
奈々子を床に押し倒して、
上から奈々子を取り押さえたー。

別に、乱暴しようとしているわけではないー

全ては、奈々子を助けるためー

「ーーうぐぐぐぐぐ…」
歯ぎしりをする奈々子ー

そんな奈々子を見て、
泰治は「奈々子の身体ー…返してもらうぞ…!」
と、怒りの形相で叫んだー。

<最終章へ続く>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

次回が最終回デス~!

ハッピーエンドになるのか、
バッドエンドになるのか、
色々想像しながら待っててくださいネ~!

今日もお読み下さりありがとうございました~!

(※訂正)
先週掲載した「第2章」のコメントに「次回は最終回」とありましたが
執筆しているうちに書ききれないと判断して第4章が最終回に変更になりました。
次週も続き(最終回)があります!
(※土曜日の作品のみ、当日書く時間がないので、時間に余裕があるときに
 少しずつ書き進めて予約投稿していて、③を書き終えたあとに、②のコメントを
 修正するのを忘れていました…!)

※第2章のところのコメントも修正済みデス!

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コメント

  1. 匿名 より:

    ??

    前回の話で確か、次回が最終回ってなってませんでしたっけ?

    ところで、結末がどうなるか分かりませんが、憑依薬をどうこうするのって、難しいので、ハッピーエンドは難しそうかな?

    欲を言えば、ハッピーエンドの展開も、バットエンドの展開も両方見たいですね。
    2種類の結末を別に分けて、書いてみるのはどうでしょう?

    • 無名 より:

      ご指摘ありがとうございます!

      土曜日の分だけ、当日書く時間がなく、
      時間のある時に書いて、予約投稿でどんどん書き進めているのですが、
      「②」完成後に「③」を書いた際に「これじゃ書ききれない…」と「④」まで
      作ることに変更したのですが、既に完成済みの②のあとがき部分を
      修正するのを忘れていました…!

      来週分も既に完成済みですが、2ルート分の展開も書いてみるのは
      面白そうでしたネ…!

      次週で最終回なのは今度こそ間違いないので、
      楽しみにしていてください~!

      惑わせてしまい、申し訳ありませんでした!
      ご指摘ありがとうございます!☆

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