<女体化>無人島サバイバル③~脱出~(完)

目が覚めたら女になっていて、
目が覚めたら無人島にいたー。

そんな、過酷すぎる状況から
抜け出す方法はー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「そういうことなら、早く俺を元に戻してください
 居場所も、性別もー」

無人島の放棄された集落の建物で
女になってしまった魁人は、
突然現れた、自らを神様と名乗るゆるキャラのような
生き物にそう言い放ったー

どうやらこの神様が何かミスをしたことによって
魁人はこんな状況になっているようだ。

「それは、無理じゃ」
笑いながら言い放つ神様ー。

「ー実はわしもどうすれば良いのか、
 よく分からなくてなー

 お主を間違えてこの島に飛ばしてしまって
 慌てて元に戻そうとして、色々いじってたら
 お主の性別まで変わってしまったんじゃ。

 だからその、元に戻す方法は分からないんじゃ」

神様の言葉に、
魁人は「お、おい!責任とって何とかしろ!」と叫ぶー

「ーその声でそんなこと言われるとー
 かわいいのぅ」

ニヤニヤするゆるキャラー

「少しは反省しろっ!」
ゆるキャラの頭をぽかっと叩く魁人ー

「ー神様を叩くとは、いい度胸じゃなー」
神様はそう言うと、
魁人は「ま、まぁ冗談はともかくー
ここに来てくれたってことは、何か方法はあるってことだろ?」と、
困惑した表情を浮かべるー

「ー……」
神様は真剣な表情で魁人のほうを見つめると、
ため息をついてから、
声を出したー。

「いい、おっぱいじゃな」
とー。

魁人は無意識のうちに、神様を思いっきり平手打ちしていたー

「ーいたたたたたたたた…」

神様を名乗るゆるキャラはそう呟くと、
「ーで、どうするんだよ!この状況!」と、魁人はさらにツッコミを入れた

「ーわしがここに来た理由は一つじゃー。
 お主の言う通り、わしは重大なミスを犯したー

 お主を間違えて無人島にワープさせてしまった上に、
 元に戻そうとしてお主を女にしてしまったー」

それだけ言うと、ゆるキャラの姿で真顔になりながら、
「本当に、申し訳ありませんでした」と、
土下座をしながら深々と頭を下げたー

心からの謝罪に見えるー

なんだか、神様に土下座させている、というこの状況が
急に申し訳ないような気がしてしまった魁人は
「ま…まぁほら…人間にもミスはあるしー」と、
そう呟きながら苦笑いするー

「ーーーー」
神様は「申し訳ない」と、もう一度繰り返すと、
そのまま、すーっと消え始めたー

「え?」
魁人が困惑するー

「ーさらばじゃ人間ー
 健闘を祈るー」

そのまま満足そうに消えていく神様ー

「はっ!?お、おい!謝罪しに来ただけ!?
 俺をどうにかしてくれよ!」

魁人がそう叫ぶも、
満足そうに笑みを浮かべている神様は
その言葉が聞こえていないかのように
そのまま消えて、
元の自分がいる場所に戻って行った様子だったー

「ーふ…ふざけんなよ!くそっ!」
魁人は思わずそう叫ぶとー

突然ー
神様が再び姿を現したー

「うわっ!?急に出てくんな!」
魁人がびっくりしながら叫ぶと、
「ーひとつ、言い忘れていたー」と、神様が呟くー

「お主ー、少し前から身体の調子が悪いと、感じているようだったがー
 それは、その、あれじゃー
 女子特有の…ほら…そのー」

神様の言葉に、魁人は「何で恥ずかしそうにしてるんだよ!」と
言いながらも、何が言いたいのかは理解したー

「ーーーあ~…生理ってやつかー…
 具体的にどうすればいいんだったっけ?」

魁人が聞くー。
生理は知っていても、当然魁人は経験したことがないし、
それを乗り越えるにはどうすればいいのか、
あるいは放っておいてもいいのか、
そのあたりが魁人には分からないー。

神様なら知っているだろうー
そう思いながら神様に確認をー

「ってーーいねぇ!あのクソ!」
魁人は思わず叫んでしまうー

「ーま…まぁ…そのままでも死にはしないだろ」
そんな風に思いながらも、自分の身体の
今まで経験したことのない変化に戸惑うー

「ーーー」
あの神様とやらもあてにならないー。
どうやら魁人を助けてくれるつもりは
ないようだし、
魁人のことをむしろ面白がっているようにすら思えるー

「くそっー」
髪を触りながら困惑した表情を浮かべる魁人ー。

神様の言葉が本当であれば、
少なくともここは、夢でもバーチャル空間でもあの世でもなく、
現実世界のどこかに存在している無人島、ということに
なるのだろう。

しかし、日本からは遠く離れている様子だし、
どうやったら帰れるのか分からないー。
しかもー
仮にこの島を脱出して、日本に帰ったとしても、
”この姿”では元の生活に戻ることは難しいだろうし、
戻れた頃には、自分が世間でどんな扱いをされているか分からない。

恐らくは失踪扱いでー
大学も、バイトも、何もかも失っているー
そんな状況になるのだろうかー。

「はぁ~…あのクソ神様…許せねぇ…」
魁人は悔しそうに呟くと、
”絶対、この島を脱出して、あのゆるキャラ神様に責任を取らせてやる!”と、
大声で叫んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

魁人は、かつては人が住んでいたこの無人島の
集落の一角を本拠地に生活を始めたー

幸い、この辺りに獰猛な獣が姿を現すことは
なかったが、
いつ姿を現してもいいように、武器を作るー。

「ーまるで原始人だなー」

苦笑いする魁人ー。

森の中で狩りをして、木の実やキノコ、
そして、動物や昆虫まで、
生きるために色々なものを食べた。

正直、気持ち悪かったし、
これは食べても大丈夫なのか?と思ったこともあったし、
吐いてしまったこともあるー

けれど、
自然の中で生きていくにつれて、
”どれが食べられるのか”をだんだんと肌身で
感じられるようになってきたー。

お風呂なんて便利なものもないー。
近くの綺麗な川を利用して
自分の身体を洗うものの、
やはり”現代の水準の清潔感”とは
ほど遠いー。

「は~…髪も傷んできたな…」
魁人は水面に映る自分の姿を見つめるー

髪も、肌も傷んできたー。
”美貌”は現代だからこそ維持できるものなのかもしれないー。
そんな風に思いながら、
自分の汚れた肌や髪を見つめるー。

「ーーー…」
それでも魁人は諦めず、昼間は砂浜で安全を確保しながら
”船”のようなものを、かき集めた木で作っていたー。

この島がどのあたりに存在するのかもわからないし、
どこに向かえば良いのかもわからなかったがー、
それでも、魁人は必死に努力したー。

とにかく、こんなところで死ぬわけにはいかないし、
一生、こんなところで生きていくつもりもないー

船が完成したら、命懸けの出航だー。
ここで待っていれば、確かにある程度の安全は
確保できるかもしれないー。

だが、その道を選べば魁人は
文明人ではなく、原始人としての人生を送ることになってしまうー。

”ーーーーーーあやつ…”

そんな様子を、久しぶりに魁人を見に来た神様が呟くー。
この前とは違い、無機質な、人によっては怖いと感じるような姿で、
宙を浮かびながら、魁人を見つめているー。

この前の”ゆるキャラ”みたいな姿は
あくまでも魁人を怖がらせないようにするための仮の姿でしかないー。

神様は、魁人が必死に生きるための行動をしているのを見て
少しだけ申し訳なさそうにため息をついたー。

そんな日々が続きー
魁人は、ついに”船”を完成させたー。

あとは、この島周辺を移動しつつ、
どのぐらい耐久性があるか、などをテストしー、
テストが終わったら出航ー
この島からはおさらばするつもりだー。

”船”と言っても、木などで作った簡素なものではあるが、
それでも、これがあればある程度の海を渡ることはできるはずー

いや、渡らなくてはならないー

その時だったー

「ーーーー!」
振り返った魁人は、思わず表情を歪めたー

そこにはー
巨大な狼のような、獰猛な獣が魁人を睨みようにして、威嚇していたー。

「ーー!!!」
魁人はすぐに走ったー。

”くそっ!?なんで!?今までこの時間に砂浜に獣がいることはなかったのに!”
そう思いながら魁人は船の方に向かって走るー

こうなったら見切り発車だー
今すぐ出航して、この島から出るしかないー。

獣がさらにもう一体、森の方角から姿を現し、
魁人めがけて突進してくるー。

魁人は気づいていなかったが、
この獣たちは”魁人が船を作るために集めた木に
引き寄せられていたー

魁人が”自分たちの木を取り上げた外敵”だと
認識されてしまったのだー

「はぁっ…はぁっ… くそっ!いつもの俺より体力がない…!」
青ざめながら走る魁人。

無人島生活で十分な栄養が取れず、体力が落ちたのかー
連日のサバイバル生活で、身体が疲れ果てているのかー
それとも、女体化したことで、元の自分とはそもそも体力が違うのかー。

それは、分からないー
だが、息が上がり、身体が悲鳴を上げているー

「くそっ…髪もーじゃーーー…」

髪を邪魔に思いながら、そう呟いたその時だったー

「ぐあっ!!!!!!!」
背後から強い衝撃を感じて、身体が思いっきり突き飛ばされるのを感じたー。

獣に、背後から突進されたー

「がぁっ…ぁ」
海辺の方に飛ばされた魁人は、
必死に這いずりながら船の方に向かうー

「ふざけんな……」
こんな得体の知れない島で死んでたまるか…

そう、思いながら魁人は船の方に向かうー。

しかし、背後から魁人に追いついた獰猛な二頭の獣がー
魁人に牙を突き立てようとしていたー。

「ーーーーーーーーーーー」
獣に命を奪われてしまった魁人を見て、
宙に浮かびながらその光景を見ていた神様を自称する存在は
静かにため息をついたー

「ーーーーーー」

そしてーーー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーー!!!!!!!!」

魁人が悲鳴を上げながら飛び起きるとー

そこはー
元のー
自分の家だったー

「ーえ…」
魁人は周囲を見回すー。

間違いなく、自分の家だー。
今度は、無人島ではないー。

「ゆ…夢ー…?」

いや、夢のはずはない。
あんなリアルで生々しい夢があるはずがないー。

そう思いながら、魁人が背後を振り返るとー
そこには、マスコットキャラクターみたいな小さな変な生き物がいたー

「ーうわああああああああああ!」
悲鳴を上げる魁人ー

「わしじゃ。お主を驚かせないためにこの姿をしておる」
神様がそう言うと、魁人は「お…驚かすなー!」と、叫びながら、
神様のほうを見る。

神様は「無人島生活は夢ではないぞー」と、説明した上で、
「お主が必死にあの島でサバイバル生活をしているのを見て
 わしは、自分のミスを恥じたのじゃ」と、付け加えたー。

神様は、神様の世界の色々なところを駆け巡り、
色々な仲間にお願いして、
なんとか魁人を助けようとしてー
その結果、魁人は今、ここにいるー。

「ーー巻き込んですまなかったなー。
 本来、人間の世界に干渉はできないんじゃが、
 なんとなく、人間の世界を見つめていたら
 間違えてお主をいじって、あんなことになってしまったー」

神様の言葉に、
「どう間違えるんだよ…」と、魁人は呟くと、
神様は「ところで一つだけ、どうしても元に戻せなかったことがあるー」と、呟くー。

獣に襲われて死んだ魁人を生き返らせて
元の居場所に戻すことには成功したー。

だがー

「ーえ、どこがー?」
魁人が言うと、神様は申し訳なさそうに呟きー
指をさしたー

「ーーーー…!」
魁人は表情を歪めるー。

顔も、声も、男に戻ってはいたもののー

胸が膨らんだままー

しかも、アソコが、ないー。

「ーうぉぉい!?中途半端に戻すなよ!」
魁人が叫ぶー

身体は男だが、胸はあるままで、男であることを示す肉棒がないままー。

「ーー仕方なかったんじゃ。許せ」
神様はそれだけ言うと、
「ーゆ、許せじゃねぇ!」と、魁人は神様に向かって叫んだー

「ー大丈夫じゃ。あの無人島であそこまで頑張ったお主なら、
 なんとかなるー。

 では、達者でなー」

神様はそれだけ早口で言うと、逃げるようにして消えてしまったー

「おい待て!くそっ!
 下はどうにかなるとしても…
 これどうするんだよ!」

胸を触りながら魁人が叫ぶー
しかも、それなりに大きいので、隠すのは無理があるー

「ーおい!神!! おい! くそっ!逃げやがって!おい!」

魁人はあきれ果てた様子でそう叫びながらー
また新たな試練が始まりそうなことに、深々とため息をついたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

無人島X女体化モノでした~!
バッドエンドにはならずに済みましたが、
何だかこの後も色々大変そうですネ~!

いっそのこと、彼が女装して生活すれば
何とかなるかもデス…笑

お読み下さりありがとうございました~!

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