<憑依>妻は元アイドル~欲望編~第1章

元アイドルの妻が憑依されてしまったー…!

そんな”地獄”から時は流れー…
新たな事件が起きようとしていたー

※「妻は元アイドル」の続編デス!
 先に本編のほうをお読み下さい~!

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幸せな家庭だった柚本(ゆもと)家ー。

夫の泰治(やすはる)は
元アイドルの経歴を持つ妻・希海(のぞみ)、
そして、二人の間にできた娘・奈々子(ななこ)と共に
幸せな生活を送っていたー。

しかしある日ー
妻の希海が”のぞみ”としてー
アイドルとして活動していた時代の
熱狂的なファン・上林 憲彦(うえばやし のりひこ)が
突然、家に押しかけて来て
希海は”憑依”されてしまったー。

憲彦に乗っ取られてしまった希海は豹変し、
突然、アイドルとして復帰することを宣言、
さらには夫の泰治と娘の奈々子を捨てるような
発言を繰り返すー。

理由が分からぬまま、泰治は離婚を付きつけられー、
希海はアイドル復帰を果たしたー。

だが”憑依された希海”は、昔のように振る舞うことはできず、
復帰直後に性格の悪さを露呈、
すぐにアイドルとして活動できなくなってしまい、
その後はAV女優として活動し始めー、
夫であった泰治や、娘の奈々子とは
完全に”絶縁”状態になってしまっていたー。

そしてー
娘の奈々子が高校生になったある日ー、
TVのニュースを通じて、泰治は
希海が逮捕され、連行されていくニュースを目撃したー

”妻が憑依された”
そんなことに気付かないまま、
”そこまで落ちぶれてしまった元妻”に心底失望しー、
「君は本当に最低だよー」と、そう、呟いたー

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「お父さんただいま~!」
奈々子が微笑むー

高校生になった奈々子は
母親である希海によく似ていて、
とても可愛らしいー

そんな奈々子は、高校生になっても
父・泰治のことを心から信頼していて、
今も、とても仲が良いー。

「ーーーー」
母・希海が逮捕された時ー、
奈々子がどんな反応をするか、泰治は
心配でたまらなかったー

けれど、奈々子は穏やかな表情で、

「ーわたしを生んでくれたのはお母さんだし、
 そのことは感謝してるけど、
 わたしはほとんどお母さんのこと覚えていないし、
 わたしを育ててくれたのはお父さんだからー

 だから、大丈夫。何も気にしないでー。」

母・希海の逮捕ー
そんなニュースの映像を奈々子は見つめながら
「ーわたしは、あの人のこと、ほとんど知らないしー
 わたしにとっては、産んでくれた以外は、ほとんど
 他人みたいなものだからー」
と、小さく呟き

「産んでくれてありがとうー…
 以外には、何もないかなー」と、少しだけ寂しそうに微笑んだー

希海の逮捕から半年ー。
泰治は今でも時々思い出すー

希海が急におかしくなった時のことをー。
まだ、奈々子が小さかった時のことだー。
もう、遠い過去のことでもあるー。

今でも、その理由はよく分からないー。

分かるはずもないー
”憑依”などということが起きていたなどとはー。

だがー
それでもー

希海の”裏切り”に遭いながらも、
泰治は必死に、娘の奈々子を育て上げ、
こうして今、元気な高校生にまで成長したー。

母親がいなくなってしまった分、
”自分が親二人分の愛情を注いできた”つもりだー。

もちろん、悪い意味での愛情ではないー。
束縛をしたこともないー。

その甲斐もあってかー、
奈々子は、とてもいい子に育っているー。

”ーーーーー”
自分の部屋にしまってある希海の写真を見つめながらー
”ーお前にも、奈々子の成長、見届けてほしかったよー”と、
悲しそうに呟く泰治ー。

もう、希海が戻ってくることはないー。
そう理解しながらもー、
泰治は今も、”優しかったころの希海”が忘れられず
一人、苦しんでいたー。

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そんなある日ー

「ーーうん!また明日~!」
泰治の娘・奈々子は今日も学校を終えて
いつも通り、家に帰宅しようとしていたー

しかしー
その時だったー。

「ーー奈々子」
背後から呼び止められて、奈々子が振り返るー

「ーーーはい?」
振り返った奈々子は、相手の顔を見たものの、
知り合いではなく、首をかしげるー。

”知らない人にいきなり名前で呼ばれる”ことほど
気味の悪いことはないー。

「ーー…あ…あの…すみませんー
 どちらさまですか?」

奈々子は困惑しながらそう呟くー。

相手は女性ー。
もしも、相手が知り合いで、奈々子自身が忘れているだけだとすれば
失礼だし、と、奈々子は礼儀正しく相手に名前を尋ねたー。

すると、相手は笑みを浮かべたー

「ーーーあなたの、おかあさんよー」
とー。

「ーーえ…」
奈々子はー
”母親”との再会に、笑顔を浮かべることなく、
寧ろ、より一層険しい表情を浮かべたー。

「ーーお…お母さん…?」
奈々子の言葉に、希海は笑みを浮かべながら頷いたー。

奈々子が”4歳”のとき、希海は憑依されて、豹変したー。
そのため、奈々子には母親の記憶がわずかしかなく、
ほとんど思い出もないー。

だからこそ、”今更”急に現れた母親に
困惑の色を隠すことができなかったー

「ーーー…ごめんねー。わたし、
 あなたを捨てたんじゃないのー」

希海はそう言いながら、奈々子に近付いてくるー

「ーーー…ど…どういうことですかー?」
不安そうに呟く奈々子ー。

母親が”急に豹変して家を出て行った”ことは
父の泰治からそれとなく聞かされているー。

泰治は、奈々子を傷つけないようにと
極力話題を出さないようにしていたが
奈々子が無理やり聞き出したのだー。

「ーーーこんなに可愛く育ってー
 わたしのアイドル時代、そっくり」

希海はそう言うと、満足そうにうなずくー。

逮捕されていた希海は、先日、ようやく釈放されて
こうして今、ここに立っているーーー

”憑依”されたままー

そうー
上林紀彦は、まだ希海に憑依していたー。

「ーーーーー」
奈々子は不安そうに、そんな希海のほうを見つめているー。

奈々子は、母親である希海が憑依された事実を知らないし、
父・泰治の前で母・希海のことを悪く言うことはなかったが、
少なくとも”良い印象”を抱いていないー。

”4歳の時、自分を捨てた母親ー”

それだけじゃなく、その後AV女優として活動していたことも
イヤでも耳に入ってきたし、
逮捕された件も知っているー

「ーのぞみちゃんはね…僕の憧れだったんだー」
目の前の母・希海がそう呟いたー

「ーーえ…?」
奈々子が表情を歪めるー

自分のことをまるで他人のように”希海ちゃん”と呼ぶ母ー。
自分のことを「僕」という母ー
自分に”ちゃん”をつける母ー

母のあらゆる言動に、奈々子は違和感を覚えるー

「でも、のぞみちゃんも、賞味期限が過ぎちゃったみたいなんだー
 僕の好きなのぞみちゃんは、もうこの世界にいないー。
 必死に、AV女優として頑張ってきたけどー
 それも限界で、僕、ストレスがたまって、つい、逮捕されるようなものに
 手を出しちゃったんだ」

希海はそれだけ言うと、
言葉を続けたー。

「ーー前科もついちゃったし、もう、この女も終わりだね えへへ」

「ーー……え…?? え… な…何を言ってるの…?」
奈々子は露骨に怯えたような表情に変わり、
母・希海のほうを、まるで怪物を見るような目で見つめたー

「ぐへへへへへへへへ
 でもよかったよー、
 のぞみちゃんから生まれた君がー
 のぞみちゃんそっくりに育ってー

 えへー」

希海はそれだけ言うと、へらへら笑いながら
ゆらゆらと奈々子の方に近付いてきたー。

「ーーひっ!?」
”正気とは思えない”
そう思った奈々子は慌てて逃げ出そうとするー。

しかし、希海が走りながら腕を伸ばしー
奈々子の手を掴んでしまうー。

路地裏のようなその場所で、希海はニヤリと
笑みを浮かべたー。

「ーーや…やめて下さい!離して!」
奈々子が悲鳴を上げるー。

だが、その声を聞いて誰かが駆け付ける前にー
「ーふふふふ…君の身体は、僕のものだー」
と、希海はニヤリと笑いながら、
奈々子にキスをしたー

母親にキスをされて、驚きのあまりもがく奈々子ー

やがてー
希海がニヤニヤしたままその場に倒れ込んで、
奈々子もふらふらとよろめくー

「ーーー…」
よろめいていた奈々子が
すぐに笑みを浮かべるー。

そしてー…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「なんだって!?」

父・泰治は、
病院からの連絡で、元妻である希海が
病院に運びこまれたことを知るー。

奈々子に事情を確認すると、
電話で奈々子は”お母さんがわたしに会いに来て、
目の前で倒れたの。今、病院にいるからー”とだけ、
泰治に事情を説明したー。

希海とはもう何のかかわりもない、他人だー。

しかし、娘の奈々子が巻き込まれているとなれば
話は変わってくるー。

何があったのかは分からないが、
とにかく病院に向かわなくてはならないー。

そう思いながら、泰治が病院にたどり着くとー
病室には、ベッドに横になっている希海の姿と、
娘・奈々子の姿があったー

「ーーーー」
奈々子は希海のほうを向いたまま、ベッドの横で椅子に座っているー

希海は、泰治の姿を見ると同時に困惑した表情を浮かべたー

「希海ー…今更…今更奈々子の前に姿を現して、何のつもりだ!」
泰治は困惑の表情を浮かべながら希海のほうを見て、
そう叫ぶー。

だが、希海は何か言いたそうな表情を浮かべて、
すぐに奈々子のほうを見ると、そのまま黙り込んでしまったー

「君が4歳の時に、奈々子を捨てたんだぞ!
 奈々子がどれだけ辛い思いをしてるのかー」

泰治がそこまで言葉を口にしたその時だったー

「お父さんー」
奈々子が口を開くー。

「お母さんが、どれだけ苦しんだか、分かる?」
奈々子の声は、いつもより少し低く思えたー。

「ーーーえ…?」
泰治が困惑するー。

「ーお父さんが、お母さんの夢を理解してあげなかったからー。
 お父さんが、アイドルに復帰したいお母さんの夢を理解しなかったからー
 お母さんはわたしを捨てるしかなかったの」

奈々子の言葉に、泰治は「な…何を言ってるんだ?奈々子ー」
と、混乱しながら奈々子のほうを見つめるー

「お母さんがこうなったのは、全部お父さんのせいー」
奈々子はそう言いながら、父・泰治を睨みつけるようにして言い放つー

「ど…どういうー」
泰治は困惑しながら奈々子の言葉の続きを待つー

「ー全部全部ー…お父さんのー…あんたのせいだからー
 あんたが”のぞみちゃん”を奪ったからー」

奈々子の”母親をちゃん付けで呼ぶ”おかしな言動に
混乱している泰治は気付けないまま、
奈々子のほうを見つめるー。

「ーーあんたが、お母さんの夢を理解しなかったから、
 こんな風にお母さんが苦しんでるんでしょ!」

奈々子が、テーブルを叩きながら、奈々子とは
思えないような怒りを露わにするー

「ーな…奈々子に何か言ったのかー?」
泰治はすぐに”元妻”である希海のほうを見つめるー

だが、希海は首を横に振るだけで、
何も言ってはくれなかったー

「ーお…お前が、奈々子に何か変なこと言ったのか!?」
泰治は混乱しながら、さらに希海を問い詰めたー

しかし、奈々子は突然、泰治に近付いてくると
泰治を思いっきりビンタしたー

「な…奈々子…どうしてー?」
戸惑う泰治ー

「いいから出て行って!お母さんを傷つけるあんたなんか、
 お父さんじゃない!」

奈々子の言葉に、泰治は「い、一旦落ち着いてー」と、
なんとか奈々子を落ち着かせようとするも、
奈々子に無理やり病室から追い出されてしまいー
締め出されてしまったー。

「ーな…奈々子ー」
娘の急な豹変に戸惑う泰治ー

泰治が戸惑っていると、
泰治の背後から「ー知り合いの方ですか?」と、
病院の先生らしき人に声を掛けられたー

「あ、え…えぇ…一応、元夫ですがー」
そう呟くと、病院の先生が、「ちょっと気になることがー」と
言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「クククククー」

病室では奈々子が不気味な笑みを浮かべながら
母・希海のほうを見つめていたー

「のぞみちゃんー…
 今度は、のぞみちゃんの娘が僕のものになったよー えへへ」

奈々子はニヤニヤしながら、希海に顔を近づけると、
ガクガク震える希海に対して冷たく言い放ったー

「娘を滅茶苦茶にされたくなかったらー
 僕に話を合わせるんだよー のぞみちゃんー」

とー。

<第2章>へ続く

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コメント

「妻は元アイドル」の続編デス~!
本編と同様に恐ろしい状態が続いていますネ~!

土曜日の作品(※土曜日のみ都合上、予約投稿)なので、
少し間が開いてしまいますが、
続きもぜひ楽しんでください~!☆

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憑依<妻は元アイドル>

コメント

  1. 匿名 より:

    ああ、やっぱり希美ちゃんは美貌の劣化で捨てられて、よく似た娘に乗り換えの展開になっちゃいましちゃいましたね。

    震えてる希美ちゃんの様子からすると、憑依中の出来事を把握してるっぽいかな? これからの展開が楽しみです。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      乗り換えになってしまいました~!☆!
      これからどうなっていくかも、ぜひ楽しみにしていて下さいネ~!