<女体化>無人島サバイバル①~目覚め~

どうしてこうなったー?

彼は、朝、起きたら突然”女”になっていたー

いや、それだけじゃないー
家で寝ていたはずなのに、なぜか”無人島”にいたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」

虫の鳴き声ー
鳥のさえずりー
動物の遠吠えのような声ー
海が波打つ音ー

色々な音が、耳に入ってきて
彼は、目を覚ましたー。

「ーーーん」

虫の鳴き声と鳥のさえずりはともかく、
他の音は、彼が寝ている場所では
本来聞こえるはずのない音ー

「ーーーー…なんだ…?」

彼は、困惑しながら身体を起こすとー

そこはーーー
”知らない島”だったー

「ーーはっ…!?」
飛び起きるようにして周囲を見渡すー。

自分が立っている場所は砂浜ー
背後には一面の海ー
正面には木々が生い茂るジャングルのような場所ー

「ーーーーー」
目をぱちぱちとさせながら彼は、
自分が今、どこにいるのかも理解できずに、
言葉を失ったー

「なんだ…この映画に出てきそうな島はー」

映画で、人が漂着しそうなー
そんな感じの、絵に描いたような島に、
彼はいたー

しかもー

「ーーってか…声…変じゃね…?」
そんな風に思いながら
自分の身体に視線を落とすとー

「ーーー!?!?!?!!?」
彼は、思わず表情を歪めたー。

そこには、あるはずのない胸の膨らみがー

そしてー

股間のあたりにはあるはずのものが
なかったー

「ーーえぇっ!?誰!?」
思わず叫んでしまうー。

「なんだこれ…え?俺…???
 え???女になってる???」

全く意味が分からないー。
自分の目線の先には
”どう見ても自分の身体じゃない身体”があるー

”そもそも俺は男だ!”
そんな風に思いながらも、
胸を始めとする、身体のあちこちの個所が
彼の身体は、女であることを示しているー。

「ーーー…………」
放心状態のまま、彼は考えるー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

彼はごく普通の男子大学生
藤谷 魁人(ふじや かいと)ー

昨日の朝も普通に起きて、
普通に大学へと向かい、
大学でもいつも通りの生活を送り、
そして、普通に帰宅したー。

帰宅後にはバイト先に赴き、
バイトもいつも通り、特に問題なくこなし、
帰宅したあとにはスマホをいじったり、
友達と通話したり、
ゲームをやったり、
いつも通りの生活を送っていたー。

特に変なものも食べていないし、
特別、変わったこともしていないー。

いつもと同じぐらいの時間に
ベッドに潜り、いつもと同じように寝たー

そのはずだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

目を開く魁人ー。

「ーーーなんで?」
表情を歪めるー

昨日のことをサクッと思い出してみたものの、
特に”いつもと違うこと”は何もしていないー。

いつも通りの1日だったはずだー。

それなのに、
どうして”知らない島にいて、女になっているのかー”

全く意味が理解できないー

目が覚めたら知らない場所にいたー
これだけで大事件なのに、
しかも、自分は女になっているー。

「ーーっていうか…何で服、着てないんだ!?!?!?」
魁人は思わず叫ぶー。

女体化した自分はー
全裸で砂浜に立っていたー

「やばすぎるだろ!?痴女じゃん!」
魁人は可愛い声でそう叫ぶと
”っていうかこの子、誰だよー。顔も分からないしー”

こんな島みたいな場所では鏡もないー。
自分の顔が、分からないー。

もしかしたら知り合いの顔だったりするのだろうかー。

実家にいる妹の顔だったり、
大学の同級生の顔だったりしたら、尚更怖い。
もはや、ホラーと言ってもいいだろうー。

いや、しかしー
どうしてこんなことになっているのだろうかー。

「ーーは、早く服を着ないとやばくね?」
ここがどこだか知らないー。
だが、こんな全裸の状態で立っていたら、
男だろうと、女だろうとアウトだー。

「ーーー」
冷や汗をかきながら周囲を見渡す魁人ー。

だが、次の瞬間ー
魁人は突然笑みを浮かべてポンと手を叩いたー

パニックで頭がおかしくなったわけではないー

魁人はー
あることに気付いたのだー

「これは、夢だー」
真顔で呟く魁人ー。

家で普通に寝たはずなのに
朝、起きたらいきなり女になっていたー
なんて、あり得ないー。

家で普通に寝たはずなのに、
朝、起きたらいきなり知らない島にいたなんて
あり得ないー

そう、これは夢なのだー。

魁人は「どうせ夢ならー」と、
その場で胸を揉み始めるー

「ーうぉぉぉ すげぇ、夢なのに
 ホントに感触がある!」

胸を揉む感触が手に伝わってきて、
魁人は嬉しそうにニヤニヤしてしまうー

自分が今、どんな顔なのかは分からないが、
実際の胸も揉むとこんな感じなのだろうかー。

”いや、夢だから、俺の妄想の感触かー”

そんなことを思うー。

魁人は人の胸など触ったことがなかったし、
これが夢であれば、
魁人の中での”想像の感触”ということになるのだろうー。
実際の感触とは、まるで違うかもしれないー。

そのようなことを思いながら
だんだんと胸を揉むことにも飽きてくると、
”それにしても、この夢、妙にリアルだよなー”
と、呟き、そのままちょうど、腰掛られそうな岩場のような
場所を見つけて、そこに座り、腕を組むー。

全裸の女が腕を組んでいるなどというおかしな光景ー。

魁人は”ま、寝るかー”と、思いながら
目を閉じるー

寝れば夢も醒めるだろうー。

そういや、今日は大学で
”歩く睡眠薬”の異名を持つ教授の講義に
参加しなければならないことを思い出し、
”こんな夢を見るぐらいなら、もっと熟睡しておかないとな”と
心の中で苦笑いしたー。

あの教授の授業は本当に眠くなるー。
こんな状態で授業の時間を迎えたら
途中で睡魔に負けてしまうかもしれないー

”それにしてもー
 こんな夢を見るなんて、
 俺もどんな願望を抱いているんだかー”

謎の島に、女になった自分が、裸で目を覚ますー
とんでもない夢だー。

夢を見る理由は定かではないが、
本人の願望のようなものを示している、みたいな話も聞くー。

”どんな願望だよこれ”
魁人は自分で自分にあきれ顔を浮かべると、
だんだんと眠くなってきて、
その場でウトウトとし始めたー。

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー!」
魁人は目を覚ましたー

一瞬”やべっ”と思うー。

思った以上に熟睡してしまっていた魁人は、
一瞬、自分が寝坊したのではないか、と
そう思ったからだー。

だがー
そんな心配をする必要はなかったー

何故なら魁人はー
まだ、島にいたからだー。

「ーって、おぃぃぃぃ!?まだここかよ!?」
魁人は思わず叫ぶー
その声は女のままだったし、
服も着てない状態のままだったー

”おいおいおいおいおいおい夢じゃないのか?”
魁人がそんな風に思っているとー、
突然、森の方から雄たけびのような声が聞こえて来たー

「ーー!?!?!?!?!?」
周囲はさっきよりも暗くなってきているー。

「な、なんだなんだなんだ!?」
魁人は自分の置かれている状況が
全く理解できないまま、困惑の表情を浮かべるー

そういえば、トイレも行きたいー。
しかし、こんな身体でどうやってトイレなんてー

っていうか、ここ、トイレあるのかー?と、
様々な疑問が頭の中に浮かんでは消える中ー、
森からー
獰猛な四つ足の獣が姿を現しー
魁人の方に迫ってきたー

「うわああああああ!なんだよこれ!
 怖い夢すぎる!」

魁人はそう叫びながら、裸のまま砂浜を疾走するー。

だがー、獰猛な獣は、魁人のほうをめがけて
猛ダッシュで接近してくるー。
完全に魁人を狙っているのが、
魁人にもイヤと言うほど、よく理解できたー

「待て!待てって!」
魁人が叫びながら必死にダッシュするものの、
今度は長い髪が当たったり、胸が揺れたり、
そもそも裸で猛ダッシュしているのに
ものすごい違和感を感じたりして、
なかなかいつものように全力で走ることができないー

いや、そもそもこの身体ではー
普段の魁人とは”体力面”も、他の色々な部分も
”違う”のかもしれないー。

そんな風に思いながら全力疾走しているとー…

「っっ…!」
木々の中に逃げ込んだ際に、棘のある草を触ってしまいー
手に傷が出来てしまったー

「ーーー…いてっ…」
綺麗な手から血が流れだすー。

「ー……」
獰猛な獣は、木々の生い茂る地帯に逃げ込んだ魁人を
追いかけて来ることはなかったー。

だがー

少し出血してしまった手を眺めながら、
魁人は表情を歪めるー。

手から、血が出ているー?
しかも、妙に生々しい痛みがあるー。

「ーーー」
「ーーーーーー」

「マジかー」
魁人は、呆然としながら呟くー

この痛みは、
間違いなく”夢”などではないー
現実だー。

「ーって…おい…」
魁人はそう思いながら自分の身体を見つめるー。

これが現実だって言うならー
何でこんな島にいるー?
何で、女になっているー?

全く理解できない状況に、
困惑の表情を浮かべながら、
魁人は木々の中を移動するー

”と、とにかく早く誰かに助けを求めないと”
魁人はそう思ったー。

しかしー

「……この格好で……やばくね?」
身体を見下ろす魁人ー。

あまりにも訳の分からない状況すぎて
まともに考える暇もなかったが、
よく考えたら、”裸”の状態では
仮に誰かを見つけたとしても、
”変態”扱いされてしまうー

「お…俺は好きでこんな格好してるんじゃないぞー」

そんな風に呟きながらも、
自分に身体を見つめていると、
妙にドキドキしてしまうー。

とは言えー、
いつまでもずっとそうしているわけにもいかないー。

この謎の島には、さっきのような獰猛な獣もいることが
分かったー
このままずっと狼狽えているわけにもいかないー

辺りが完全に暗くなる前に、
木々の生い茂る地帯を脱出した魁人はー
小さな集落のような場所を見つけたー

「ーなんだよこれ…まるで歴史の授業でやった
 弥生時代とか縄文時代とか、そんな感じじゃん…」

魁人は表情を歪めるー。

もしかしてー
自分は大昔にタイムスリップしてしまったのではないかー、と
そんな不安を覚えるー。

「ーーー”この格好、流石にまずいよなー”」と、
思いつつも、獣に襲われて、とか、
適当な理由を付ければなんとか助けてもらえるかもしれないし、
ずっと裸でこの恐ろしい島を徘徊しているわけには
いかなかったー

「ーす、すみませ~ん!」
声を上げながら、集落のような場所に近付いていくー。

それぞれの”家”らしき場所は扉などは存在せず、
誰でも入れる形になっているー。

だがしかしー…
その集落らしき場所には、
誰もいなかったー。

いや、それどころかー
既に”ここ最近、人間が暮らしている痕跡”はなかったー

「ーーー…!」
魁人は、原始人が身に着けていたような簡素な服を
見つけると、それを手にするー

「だ…誰もいないなら…いいよなー…?」
魁人は”ちょっとだけ借ります”と呟くと、
ようやく全裸女を卒業して、
集落の中の”竪穴住居”と呼ばれるタイプの家で
ひと息をつくー

昨日は、普通に寝たはずー

なのに、人の姿が全く見えない謎の島に自分はいて、
しかも、どうやら自分は女になっているようだー。

いったい、何が起きているのかさっぱりわからないー。

夢だと思いたいが、
この”妙に生々しい感覚”は残念ながら今、起きていることが
夢ではないことを示しているー。

「ーーーー…ふぅ…意味わかんね…」
魁人は深々とため息をつくー

今日は大学もあるし、バイトもあるー
このままこの訳の分からない状況が続けば、
下手をすれば大学もバイトも無断欠席・欠勤になってしまうー。

早く、何とかしなくてはならないー。

「ーーー…」

人がいなかったとは言え、
ようやく一息つける場所にたどり着いた魁人は、
途端に”自分が女になっている”という事実に
ドキドキし始めて、自分の身体を見つめるー

「ーっていうか俺…何で女になってるんだよー」
身体の底からドキドキを感じながら、
魁人は静かにそう呟き、ゴクリ、と唾を飲み込みー、
改めて自分の胸に手を触れ、ニヤニヤと笑みを浮かべ始めたー。

朝、目を覚ましたら女になっていて、
しかも謎の無人島にいたー。

そんな彼の、過酷なサバイバル生活、今、始まったばかりだったー

②へ続く

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コメント

謎の無人島での女体化サバイバル生活…!
とっても厳しい状況ですネ~…!

続きはまた明日デス~!
本日もありがとうございました~!

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