放課後のひと時をハンバーガーショップで
楽しんでいた4人の少女たちー。
男の憑依により、異変を感じた4人はー…?
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ポニーテールの千里が
”なんか変だよ”と言い始めたことで、
慌てて店から出ようと、退店の準備を始めている
千里・凛々子・佳奈絵・文香の4人ー。
だが、その様子を離れた座席から見ていた男・悟志は
静かに笑みを浮かべたー
”群れで逃げようってかー
そうはいかねぇ”
悟志は再び腕組みをして、寝落ちしたかのような
ポーズをとると、そのまま幽体離脱してー
まだ憑依してなかったポニーテールの千里に憑依したー
「うっ」
千里がビクッと身体を震わせるー
「千里…?」
ショートヘアーの凛々子が不安そうに千里のほうを見つめるー。
「ーーな~んて…そんな都市伝説あるわけないじゃん!」
千里が突然ニヤニヤしながらそう言いだすー
「ーーえ…」
眼鏡をかけた文香が戸惑うと、
「ーだ~か~ら~!仲違いの神様がいるかもしれないってやつ!
あれ、全部わたしの作り話だから!」と、
千里は笑みを浮かべながら言うー。
スイートバーガー駅前南口店で
友達やカップルが喧嘩して仲違いしてしまうという都市伝説ー。
それは、都市伝説でもなんでもなく、
”これまでの悟志”による憑依が原因で、
ネット上にも事実、そういう話は広がっているのだが、
憑依された千里は”全部わたしの作り話”と豪語したー
「みんな必死こいて帰ろうとしちゃって、マジで笑えるんだけど!」
千里が馬鹿にした様子で言うとー
千里はピクッと震えて、「あれ…?」と、今、”一瞬意識が飛んだ”ことに
首を傾げるー
だがー
パチン!!!
突然、眼鏡をかけた文香が千里を思いっきりビンタしたー
「ー作り話でわたしたちを揶揄うとか最低!」
文香がそう言い放つとー、
突然の出来事に佳奈絵と凛々子が「ちょ、ちょっと!」と、
文香を止めに入ろうとするー。
千里に憑依していた悟志が、千里の身体でみんなを挑発し、
千里から抜け出して文香に憑依ー、
文香の身体で千里に怒ってみせたのだー。
「ーーいった… い、いきなり何するの!」
憑依されていた間の記憶がない千里が声を上げるー。
自分たちの座席の側で立ったまま、喧嘩を始めてしまう
千里と憑依されている文香ー
文香が挑発的に「ーー大体都市伝説とか、そういうもの
ばっかり好きとか、キモイ!」と、言い放つー
千里は顔を赤くして「そんな言い方ないじゃない!」と、
すぐに怒りを露わにするー。
”へへへへ…群れの争いは醜くて、いいねぇ”
悟志はそんなことを思いながら、
文香の身体から抜け出して、今度はショートヘアーの凛々子に
憑依すると
「ーちょっと!みんな落ち着いて!1回座って話をしよ」と、
再びテーブルに着席することを促したー
着席した4人ー
文香と千里が口論を続ける中ー
凛々子はニヤニヤとそれを見つめるー。
そしてー
しばらくすると凛々子から、ツインテールの佳奈絵に身体を乗り換えして、
佳奈絵の身体で思いっきり机を叩いたー
ビクッとする千里と文香と、意識を取り戻したばかりの凛々子ー。
「あ~~~~も~~~~!ウザすぎ!」
普段の佳奈絵とはまるで別人のような態度で
佳奈絵は叫ぶー
「ーーか、佳奈絵ー?」
千里は、普段怒ることがない佳奈絵がキレたと思い、
ビクッとするー。
「せっかくハンバーガー食べに来たのに、
言い争いばっか!
滅茶苦茶ムカつくんだけど!」
佳奈絵の身体でそう叫ぶと、
文香は「あんたがブスなんて言うから!」と、
さっきの話をほじくり返すー。
「ーー…あ~~もうさ、なんて言うか、
わたしたち、だめじゃない?
仲良しだと思ってたけど、なんかみんなウザいし」
佳奈絵の言葉に、千里や文香、凛々子は困惑しながらも
自分以外の誰かを指さしながら
”喧嘩が始まったのはわたしのせいじゃない”と言い放つー。
「ーーあ~~醜い醜い!醜悪だねぇ」
佳奈絵はニヤニヤしながら、三人のほうを見つめるー。
そのタイミングで佳奈絵に憑依していた悟志は、
再び千里に憑依すると、
「てかさ、あんたたち、彼氏とかもいないわけじゃん?
わたしには健吾がいるからー」と、自慢を始めるー。
唐突に彼氏自慢に入る千里ー
だが、三人とも既に怒っていて、疑問にも思わないー
”この女はさっき、健吾って彼氏を自慢してたからなー
ま、他のやつにも彼氏いるかもしれねぇけど”
そう思いながら、
憑依された千里は”あんたたちには彼氏すらいないくせに!”と、
挑発的な言葉を口にするー。
男はすぐに千里から、眼鏡の文香に移動して、
笑みを浮かべるー
「あんたさ~、健吾健吾言うけど、健吾、あんたのこと
本気じゃないよ」
文香がニヤニヤしながら言うと、千里は
”何でいきなり健吾の話になってるの!?”と思いながらも
文香の言葉の続きを待つー
「健吾の本命はわたしー
あんたは、浮気相手ー」
文香が笑みを浮かべながら千里を指さすー
凛々子が「えっ!?なに?どういうこと?」
と、首を傾げていると、
憑依されている文香は
”健吾は実はわたしと付き合っててエッチしたこともある”と、
笑みを浮かべたー。
「ーーう…ウソ…?!ふざけないで!」
千里が怒りを露わにするー
文香の身体でニヤッとすると、
文香から抜け出してショートヘアーの凛々子に憑依するー
「ーえ~マジ!?浮気~やば~!
気づかない千里もバカだし、浮気する文香も性格悪いよねぇ~」
凛々子の言葉に、正気を取り戻したばかりの文香は
「えっ!?浮気?何それー」と、呟くー
だが、千里は”彼氏の健吾に文香がちょっかいを出した”と
思い込んでしまいー、
カッとなって文香をビンタしてしまったー
文香の眼鏡がテーブルの上に落ちて、
文香は顔を赤くしながら「い、いきなり何すんのよ!」と
声を荒げるー
千里は「あんたこそ!」と、既に都市伝説のことも
忘れてしまったのか、千里と文香の取っ組み合いが
始まってしまうー
「や…やめなってば!」
ツインテールの佳奈絵が声を上げるも、
憑依されている凛々子が「あははっ!やれやれ!群れを壊せ!」と、
嬉しそうに、文香と千里を茶化しているー。
凛々子から抜ける男ー
続けて佳奈絵に憑依して、佳奈絵も「あははっ!やれやれ!」と
嬉しそうに叫び始めるー
それを見た凛々子が「ちょっと…!佳奈絵も止めなよ!」と、
困惑の表情を浮かべるー。
もちろん、正気の佳奈絵だったら、友達二人の喧嘩を
止めようと必死になっただろうー。
しかし、今の佳奈絵ー
憑依されてしまっている佳奈絵にとっては
今のこの状況が”最高の瞬間”と言えたー。
「ーーえ~やだよぉ~!だって他の子が喧嘩してるの
見るのって最高に楽しいでしょ?」
ニヤニヤしながら言う佳奈絵ー
あまりにも”悪趣味”なその言葉に、凛々子は完全に引いてしまうー。
「ーーあんた最低!」
凛々子の言葉に、佳奈絵はゾクゾクしながら
「あぁいいよ…もっと群れを壊さなきゃ」と、嬉しそうに微笑むー。
やがて、佳奈絵は、ニヤニヤしながら
店内で何度もビンタしあってる文香と千里を見つめながら
「男ごときでそんなムキになっちゃって、二人ともバカみたい~!」と、
茶化すような口調で言うー
「ー佳奈絵は黙ってて!」
千里と文香がほぼ同時に叫ぶー。
佳奈絵は、わざとらしく「は?」と呟くとー
「二人ともビッチのくせに」と、
攻撃的な言葉を口にしたー。
怒り狂った千里が、佳奈絵の腕を掴んで
「ちょっと!何よ今の言い方!」と叫ぶー。
ショートヘアーの凛々子は「やめなってば!」と
必死に三人を止めようとするものの、
千里と文香は怒りで我を見失っているし、
佳奈絵は憑依されていて、話が通じないー。
”さて…仕上げだ”
佳奈絵はニヤッと笑みを浮かべると、ショートヘアーの凛々子に
憑依して、「いい加減やめなって!」と飲んでいたコーラの残りを
千里と文香に向かって笑いながら、ぶちまけたー。
コーラを浴びせられて千里と文香は、怒りの声を上げるー
文香が凛々子をビンタするー
憑依されている凛々子が笑いながら文香に反撃するー
佳奈絵はもはや何が何だか分からず、再び泣き出してしまうー。
千里は「あんただけいい子ぶらないでよ!」と、
そんな佳奈絵に文句を口にするー
悟志は、そんな言葉の直後に、佳奈絵に憑依して、
「いつまでも大人しくしてればいい気になりやがって!」と
怒鳴り声をあげて、千里にビンタを食らわせるー
佳奈絵から抜け出して、千里に憑依すると
「ーーはぁ?何なのアンタ!」と、佳奈絵のツインテールを
怒りを込めて引っ張るー。
千里から抜けてショートヘアーの凛々子に憑依して
「あははは!やれやれ!もっとやれ!」と嬉しそうに叫ぶー。
凛々子から、眼鏡をかけた文香に憑依して、
「ーーそうやって煽るなんて最低っ!」と言いながら、
凛々子をビンタするー
4人は次々に身体を乗り換えれて、
4人とも”相手から攻撃された”と思い込み、
互いを罵倒し、互いに怒りをぶつけるー
「ーはははっ…あはははははははははっ!
”群れ”は愚かだなぁ!」
佳奈絵の身体で嬉しそうにそう宣言すると、
凛々子の顔に食べかけのハンバーガーを無理やり
押し付けて「ほらほら!このクソ女!」と叫ぶー
佳奈絵から凛々子に移動して、そのハンバーガーを
佳奈絵の頭に押し付けるー
”さてーもういいだろ”
悟志はそんな風に呟くと、
凛々子の身体から抜け出しー
少し離れた座席の自分の身体へと戻ったー
千里・凛々子・佳奈絵・文香の4人はー
悟志に憑依されていない状態でもー
もう、喧嘩は止まらないー
4人は周囲の客が騒然とする中、
激しい喧嘩を繰り返し、
怒りを露わにしているー
最初に”このお店の都市伝説”として、
”仲違いの神様がいる”などと言っていた千里も、
怒りで我を失っているのか、
その喧嘩はもう止まらないー
「ーいいねぇー」
意識を取り戻した悟志は、飲みかけの飲み物を
口に運びながら
”自分の座席”から少し離れた場所にいる4人を見つめるー
やがて、騒ぎを聞きつけたスイートバーガーの従業員が
駆け付けると、
千里たちの喧嘩を注意し、それを止めたー。
だがー
さっきまでの笑顔はそこにはなく、4人とも「ふん!」と言う感じで、
仲直りする気配は全くないー
「ーあたし、帰る」
「ーわたしも!ほんと不愉快」
凛々子と千里が怒りの形相を浮かべながら
先に1階へと降りていくー。
ツインテールの佳奈絵も「みんな…最低!」と
泣きながらそのまま立ち去っていくー
一人残された眼鏡をかけた少女・文香は
怒りが収まらないという様子でイライラしながら
一人、机をバン!と叩いたー。
”はっはっはっはっは”
愉快すぎるー。
悟志は心の中でそう思ったー
”群れ”の崩壊と結束は紙一重ー。
些細な出来事でその結束は強まりー、
又、些細な出来事でその群れは崩壊するー。
悟志は飲み物を全て飲み終えると、
トレーを手に、座席から立ち上がるー
一人、座席でうなだれている文香を見て
”いやぁ…今日は楽しいものを見せてもらった。感謝する”と、
心の中で呟きながら、
文香に声を掛けることなく、
そのまま1階に降り、トレーの返却口にトレーを置くと、
悟志は何食わぬ顔でスイートバーガーの店の外に出たー
「ーーふぁ…ぁ」
伸びをしながらあくびをした悟志は
「いい暇つぶしだったぜ」
と、呟き、そのまま家に向かって歩き始めたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
仲良しを見つけては、
”暇つぶし”に憑依で喧嘩を誘発させる
迷惑な憑依人の物語でした~!
これが続くと、悪い噂が広まって
スイートバーガー駅前南口店のお客さんが減りそうなので
より迷惑度アップですネ~…笑
コメント
こういう、憑依で友情にしろ、恋愛にしろ、人間関係をメチャクチャにするような話っていいですよね。
しかし、しょうもない暇つぶし目的で盛大に仲違いさせられてしまった女の子達にとってはたまんないですよね(笑)。
それにしてもこの元仲良し4人組、お互いにかなりの怒りや憎しみを覚えてしまっているので、後々、いじめとか、恐ろしい事件などに発展しそうで心配です。
コメントありがとうございます~!☆
4人の少女たちのその後…!
憑依からは外れてしまいますケド、
ちょっと書いてみたい気もします~!笑
これ仲違いさせる対象が「身内ではない他人」の友達だからまだいい(?)ですが、もし姉妹とか親子とか夫婦とかを同じように仲違いさせたらとんでもない事になりますよね?
例え仲違いしても家族とかじゃ友達みたいにそう簡単には縁は切れませんし、嫌でも同じ家で一緒に生活しなきゃいけなくなりますからね。まあ切ったら切ったで大変ですけど。もし仲良し夫婦が不仲になったら離婚とかになって子供にとっても最悪ですしね。
この話の憑依人なら家族とか兄弟とかも対象にして仲違いさせていても不思議はないので本当に酷い憑依人ですね。
ありがとうございます~!
この憑依人は
恐らく既に、そういう関係の人たちの
仲も裂いたことがありそうですネ…!