”すべてが面倒臭いー”
そんな思考に陥り、不登校になっていた少女ー。
しかし、ある日、不登校だった彼女にとある男が憑依し、
彼女は突如豹変、優等生になったー。
そしてー…
※「優等生に変貌した娘」の後日談デス!
先に本編のほうをお読み下さい~!☆
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不登校だった高校生・市原 涼香(いちはら りょうか)ー。
そんな彼女に、謎の組織”闇.net”の
肉体斡旋サービスを利用し、
憑依した男は、涼香の人生を堪能していたー。
不登校だった涼香は、嘘のように明るくなり、
学校にも通い始めー、
”優等生”へと変貌したのだったー。
父・孝雄(たかお)も、母・結衣(ゆい)も
そんな娘のー
”良い方向”への変貌を喜ぶー。
しかし、妹の紗枝(さえ)だけは違ったー。
表向きは”お姉ちゃんが元気になってよかった”という
態度を取りながらも、姉に嫉妬、歪んだ感情を抱きー、
ついには、涼香の命を奪おうとする凶行に及んだー。
涼香に憑依していた男はー
”やっと手に入れた幸せな人生”を捨ててー
”一度憑依したら抜け出すことはできない”という禁忌を破り、
妹の紗枝から、涼香を守ったー。
紗枝の持つ刃物を突き飛ばし、
涼香を守ることに成功した男はー
自分が消えてしまうにも関わらず、
何か、満足感のようなものを抱き、
消えていくのだったー。
…がー、
自分が消えると思っていた彼は、
消えなかったー。
目を覚ました彼はー
今度は妹の紗枝の方に”憑依”している状態に
なってしまっていたのだー
しかも、今度は涼香の時のように、自分の意思で
紗枝から抜け出すこともできなかったー。
こうして今度は、妹の紗枝として、
男の新たな人生が始まったー
「ーーーーー…うわぁ…」
紗枝は表情を歪めるー。
紗枝に憑依した状態で目を覚ました男は、
紗枝の部屋の机の引き出しの中にあったノートを見て
表情を歪めていたー
”あいつ、死ねばいいのに”
”ずっと引きこもってろよ!”
”優等生ぶって、マジでうざい”
”消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ”
そんな言葉が、赤い文字でノートにびっしりと書かれていたー。
最初ー
涼香に憑依したあとは、妹の紗枝のことを
お姉ちゃん思いで優しい可愛い妹ー…だと、彼はそう思っていたー。
だが、涼香として一緒に暮らすうちに、
妹の紗枝は”どす黒い何か”を心の中に抱えているー…
そんな子であることに男は気づいたー
「ーー…これ、相当キレてるよな」
ノートの赤い文字は、紗枝がここに憎しみの文字を
書き連ねている場面を直接見なくても分かるぐらいに
”力を込めて文字を書いている”ことが伝わってきたー
相当、紗枝は姉の涼香に対して、
何か思うところがあったのだろうー。
「ーーーー…こんな可愛い子でも、
中身は真っ黒…なんてこともあるんだなー」
紗枝は、鏡を見つめながら
”に、しても…僕になんか憑依されてこういう風に勝手に
身体を動かされてることを知ったらー
この子、キレるだろうなぁ…”
と、思いながらー、
ふと「あ!」と、声を上げるー
自分はあのまま消えると思っていたー。
しかし、実際には消えず、
こうして”紗枝”に憑依した状態で自分は
まだ、この世に残っているー
「ーーー…り、涼香のほうはー?」
紗枝はそう呟きながら、自分の部屋を出て、
涼香の方に向かうー。
あのあと、どうなったのだろうー?
男が、涼香の身体から飛び出して、
紗枝の刃物を飛ばしてー
そのあとー
男は意識を失い、
紗枝の身体で目を覚ましたー。
いったい、あのあと涼香はどうなっているのかー
そう思いながら、紗枝が涼香の部屋をノックするも、
返事がないー。
「ーーー………」
紗枝はすぅっと、深呼吸してからー
「ーお姉ちゃん」と、部屋の中に呼びかけるー。
”ーーさっきまで自分の身体だった相手を
今度はお姉ちゃん呼びかー…
ホント、頭がバグりそうになる”
彼はそんなことを思いながら、
紗枝の身体で、涼香からの返事を待つー。
「ーーー……」
だが、中からは返事がないー。
「ーお姉ちゃん!」
そう叫ぶと、部屋の中から少しだけ物音がしたー。
紗枝は「入るからね!」と、言うと、
そのまま部屋の扉を開いたー。
するとー
そこにはーー
”元通り”
生気を失った表情の涼香の姿があったー。
”ついさっき”まで、男に憑依された涼香は
”毎日が充実した優等生”だったー。
がー
そんな面影はもうなくなり、
まだ、髪は整っているものの、
元通り、ボサボサ頭の涼香に戻るのは
時間の問題ー
そんな、オーラを感じさせたー
「ーーーわたしの部屋で寝てたからーーーーー」
涼香は、暗い声でそれだけ呟くー。
「ーーー…あ、う…うん、ありがとうー」
紗枝は、そんな風に返事をするー
恐らくはー、
男が紗枝に憑依してしまったことで、
紗枝は気を失って、涼香の部屋に倒れたままになりー、
男が抜けたことで、意識を取り戻した涼香が
紗枝を部屋まで運んでくれた、と、そういうことなのだろうー。
近くにハサミも落ちていたはずだが、
それには特に涼香は気づかなかったのだろうか。
「ーーーー………」
涼香はつまらなそうに座ったままスマホを見つめているー。
「ーーーー」
涼香のほうを見つめる紗枝ー
”ーー僕に憑依されていた間…結構な時間、記憶、飛んでるはずなのにー”
そんなことを思いながら、紗枝に憑依している男は、
困惑の表情を浮かべるー。
「ーーーーーー…なに?」
涼香は眠そうな目つきで紗枝のほうを見つめるー。
”完全に元通りー”
これは、これで問題だー。
涼香と紗枝の父・孝雄も、母・結衣も
”涼香が優等生になった”ことを喜んでいたし、
学校でも友達が増え、卓という彼氏も出来てしまっているー。
涼香が”また”不登校に戻ってしまえばーーー
「ーーー………紗枝は、わたしのせいで、病んだの」
涼香がふいに言葉を口にしたー。
「ーーーえ?」
紗枝は困惑の表情を浮かべるー。
「ーーな、なに、急にー?」
紗枝に憑依している男は、ドキッとしながら
涼香のほうを見つめるー。
まるで、涼香が”紗枝”に話している口調ではないような
口調で話し始めたからだー。
「ーーー…前は、普通の優しい子だったー。
でもーーーーー
わたしが、”こう”なってから、
だんだん、おかしくなっていったー。
理由は分からないけどー
寂しかったのかもしれないし、
私が冷たい態度を取ったから、
何か、紗枝の心を傷つけちゃったのかもしれないー」
涼香は、そう呟くー
妹の紗枝は、元々は本当にお姉ちゃんが大好きな
妹だったのだと言うー。
でも、姉の涼香が引きこもるようになってー
両親が、涼香のことばかり心配するようになってー、
紗枝は自分が父・母・姉からー
疎外されたような孤独感を感じていたのかもしれない、とー。
「ーーーー……」
涼香は、それだけ言うとあとは沈黙したー。
「ーーー…お…お姉ちゃん……
さ、最近、急に明るくなったけどーそれってー」
紗枝は、”紗枝のフリ”をして、姉の涼香に確認したー
”僕に憑依されていた間の記憶があるのかー?”
そんな風に、思いながらー
「ーーーーーー…自分でやったんでしょ」
涼香はそれだけ言うと、
紗枝のほうを見つめたー。
”ぼ、僕が憑依してたことも、
僕が、妹の方に憑依してることも、気づいているー!?”
紗枝は表情を歪めながら
「あ~~~~~…」と、しばらく”次、どんな言葉を口にしようか”と
考えながら落ち着かない様子で周囲を見渡すと、
「ーと、と、とにかく、き、君も元気を出して!ほら!」と、
”バレてるなら”と、紗枝のフリをやめて叫ぶー
「ーーいい」
涼香が呟くー。
「ーせ、せっかく両親も喜んでるんだし、
友達もできたし、彼氏もできー…」
「ーーいい」
涼香は、それだけ言うと、目に涙を浮かべながら
紗枝のほうを見つめたー。
「ーーーー!」
紗枝は困惑の表情を浮かべるー
「ーき、君は、どうして、そんなー」
紗枝の言葉に、涼香は静かに口を開いたー。
「ーーーーわたしに、そんな資格は、ないからー」
涼香は、それだけ呟いたー。
「ーど、どういうー?」
紗枝は困惑するー。
そういえば、涼香が不登校になった理由は
未だに分かっていないー。
高校に入ったころから、”全てが面倒臭くなった”という理由で
不登校になった、ということまでは分かっているが
”具体的に”何が涼香をそうさせたのかは、わからないー
定番の”いじめ”が理由かと思ったものの、
涼香がいじめられていた事実はなく、
涼香の身体で過ごしていた感じ、
高校の同級生が涼香をいじめているような様子もなかったー。
両親も、妹の紗枝も、涼香がいじめられているようなことは
言っていなかったし、
100パーセントとは言えないが、恐らくいじめは、ない。
涼香のスマホ内にもそのような内容は見られなかったー。
一瞬、妹の紗枝が原因かとも思ったー。
でも、それも違ったー。
今の涼香の話では
”紗枝はわたしが不登校になってから変わってしまった”
とのことだったー。
と、いうことは妹の紗枝が涼香を不登校に追いやったのではなく、
不登校になった涼香が、紗枝を精神的に追い詰めて、変えてしまったー…と、
”順序が逆”であることが分かるー
では、涼香が不登校になったのは、どうしてー
「ーーーー憑依ー」
涼香が小声で呟くー。
「ーーーー……わたし…中学を卒業したあとにー
喧嘩した友達に…憑依してー……」
涼香はそれだけ言うと、目に涙を浮かべたー
「ーーーー!!!!」
紗枝は困惑の表情を歪めるー
「憑依ーー…きみは、まさか、僕と同じー?」
紗枝に憑依した男が、紗枝のフリをすることも一切せずに、
そう声を上げると、
涼香は静かに頷いたー。
中学卒業後ー
涼香は別の高校に進む同級生と、
春休みが終わる前に、大喧嘩をしたー。
内容は、子供同士の些細な喧嘩、と言ってもいいー。
だがー
そんな中、涼香は”仕返し”を考えてしまったー
そしてー
その時、偶然、今は紗枝に憑依している男と同じー
”闇.net”と出会い、”仕返しのための憑依薬”を提供されたー
最初は嘘だと思ったー
最初はちょっとした仕返しのつもりだったー
でもー
感情に任せてー
まさか、本当にそんなことになるとは思わなくてー
喧嘩した友達の身体を乗っ取ったまま、
涼香は”軽い気持ち”で、建物の屋上から飛び降りてしまったー
まさかー
本当にー
憑依できているなんて思わなかったー
憑依なんて、あり得ないー。
だから、憑依薬を飲んで、友達に憑依できてしまっても、
”これは夢”だと、そう思っていたー
けど、違ったー
それは、現実だったー。
涼香の友達は”自殺”ー。
涼香の仕業でも、
”誰にも気づかれることはない”し
”誰にも責められることはない”
”何の罪にもならない”
でもー
涼香は自分のしてしまったことに、強い罪の意識を感じてー
ついにー
高校入学後すぐに、不登校になってしまったー
両親にも、妹にも”不登校になった理由”を言うことが
できないまま、ふさぎ込み続ける毎日ー
自分にー
普通の人生を送る視覚なんて、ないからー
「ーーーーー」
その言葉を聞いた紗枝は、
表情を歪めるー
”だからこの子は、家族にも不登校になった理由を言わなかったのかー”
”あの時、僕に憑依されるときも妙に落ち着いてたのは、憑依を知ってたからー”
全てを打ち明けた涼香は
「ーだからー…わたしも憑依されて、滅茶苦茶にされればいいって思ったー」と、
疲れ果てた表情で、紗枝のほうを見つめるー
「でも、そしたらなぜかー
あなたは……紗枝の身体にー」
そんな涼香のほうを見ながら、
紗枝に憑依している男は、静かに決意をしたー。
何故だろうかー
”憑依に人生を狂わされたこの子を助けてあげたい”と、
そう思ったー。
この前までは身体を乗っ取って好き放題しようと思ったけれど、
今は、この子を助けたいと思っているー
紗枝に憑依している男は、自分でも”不思議な感情だ”と思いながらー
同じ”憑依に誘惑されてしまった者同士”として、
涼香のことを助けたい、とそう思ったー
紗枝に憑依している男は、
人生で初めて”守りたいもの”を見つけて、
涼香のほうを見つめたー
”僕は、君のことを助けたいー
君の身体を、勝手に借りちゃったお詫びだー。”
紗枝の身体で涼香を立ち直らせてー
そしてー
最後に紗枝の身体を返す方法をなんとか見つけてー
男は、そんな未来を思い描きながら
涼香に協力を申し出るのだったー
今度は、自分の力で充実した高校生活を手にしてほしい、
そう、願いながらー。
おわり
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コメント
最初から、不登校になった理由の”設定”として
こういう理由を用意していたのですが、
本編中では触れる機会がなかったので
後日談で描いてみました!
今日もお読み下さりありがとうございました~!
コメント
続きが凄く気になってた話なので、続編はかなり嬉しいです!
凉香は憑依中の記憶があったのか、全部把握してるっぽい?
引きこもりになった理由はそういう事だったんですね。
ところで、紗枝が病んだのが凉香が思ってるみたいにすべてが凉香のせいとは言い切れない気がします。
表面上はいい子に見えても、元々歪んだ性質を持っていた可能性もありますからね。まあ病んだ理由がどうあれ、妬みで姉を殺そうとするのは許されないですよ。
コメントありがとうございます~!☆
妹の紗枝ちゃんの方は
もしも元に戻れることがあれば、しっかり償わないといけないですネ~!
涼香は、憑依経験者だからか、憑依されている間のことを
ある程度把握できていたようデス~!
涼香を立ち直らせるのはかなり難しそうな気がしますね。
元々、自分を責めるタイプっぽいし、自分のせいで妹が病んだ挙句の果てに、妹が憑依される事になってしまったことで、ますます自分を責めそうですし。
それに妹に憑依した別人と分かっている憑依人に心を開くのも難しいでしょうね。ただ、誰にも言えずにいた、自分と同じ憑依という罪を犯した者同士というのはあるいは心を開くきっかけにはなるかもしれませんけど。実際、誰にも言えなかった引きこもりになった理由を話していますし。
憑依人は最終的には紗枝に身体を返そうとしていますが、個人的にはそのまま紗枝の身体のままで涼香と姉妹として絆を深めて生きていく展開になったらいいなと思います。
それにもし、紗枝に身体を返したら、涼香を殺そうとしそうですし。
もし憑依中に意識があって、涼香の事情とか真意を聞いていたなら、改心する可能性もあるかもですけど。
まだ最終的な結末にはたどり着いていないので、さらなる続きの続編を期待しています。
コメントありがとうございます~!☆
どのような方向に転がっていくのか、
色々な可能性が考えられますよネ~!
”~新たな日常編~”となっているので、
また~〇〇〇編~みたいな感じで展開していく可能性はあります~!