<入れ替わり>過去と未来 ~塗り替えた未来編~(後編)

未来からやってきた自分と入れ替わり…

2022年のあの日から始まった歴史の変化ー。

最後に待ち受ける運命はー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

2037年ー。

冬馬になってしまった千穂は、
何とか自分の身体を取り戻して、
息子の純太を取り戻そうと奔走していたー。

あの時ー
自分が2022年に女子高生だったころ、
2037年からやってきた”未来の自分”は、
2022年で冬馬と千穂を別れさせて
”純太が生まれなくなる”結果になってでも、
未来を変えようとしていたー。

当時、高校生だった千穂は、そのことに納得がいかず、
”純太を助けるために”、今度は自分が過去に戻り、
未来を変えたー。

2022年の時点で、冬馬は未来を知りー、
”当初の未来”のように、
冬馬が千穂に暴力を振るうことは、無くなったー。

けどー
冬馬が”千穂に不満を抱く”点は変わらなかったー。

そして、2022年の時点で未来を知っていた冬馬は、
ずっとずっと、千穂の身体を奪おうと画策していて、
ついに、今ー、
千穂の身体を奪ったのだー。

”前よりもさらに最悪”と、言えるかもしれないこの状況ー。

「ーー冬馬!電話に出てよ!」
冬馬(千穂)が、千穂(冬馬)に電話を掛けるー。

だがー
冬馬(千穂)は知らないー。

既にー
千穂の身体を奪った冬馬は、
”2037年”にはいないことにーーー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2022年ー

高校生の千穂は、今日もいつものような1日を終えて
学校から帰宅しようとしていたー。

だがー

「ーーーいたいたー」

下校中ー
千穂の前に、見知らぬ女性がやってきたー。

妙に不自然な感じでおしゃれをしている30代ぐらいの女性ー
その容姿は、まるで若者ー
大学生ぐらいがしそうな感じのおしゃれにも見えたー。

「ーーははは、いい年して、って思ってるのか?」
その女性は笑みを浮かべながら
”不自然な口調”で呟いたー

「ーーあ…あの…何か御用ですか?」
千穂が言うと、
未来からやってきた千穂になった冬馬ー
千穂(冬馬)が笑みを浮かべながら頷くー

「ー実はわたし、冬馬くんの親戚でー」
そう説明し始める千穂(冬馬)ー

”身体は未来の千穂”だが、
名乗らなければ、2022年の千穂は、
まさか目の前にいるのが2037年の千穂とは気づかないー。

そしてー
”中身が未来の冬馬”であっても、
当然、この時点の千穂は、そんなことには気づかないしー
”中身が冬馬”であるが故にーーーー

「ーーわぁ…そうだったんですね!はじめまして!」
千穂は、”冬馬の個人情報”をペラペラと喋る
千穂(冬馬)を前に、”冬馬の親戚のお姉さん”だと
信じ込んでしまったー

「ーーちょっと、このあと時間ある?」
未来の千穂(冬馬)がそう呟くと、
千穂は「あ、はい!大丈夫です!」と、笑顔で答えたー。

「ーーふふ…冬馬くんと久しぶりに会う前に、
 最近の冬馬くんのこと、色々知りたいと思ってー」

2037年の千穂の身体を奪った冬馬がそう言うと、
千穂は「そうだったんですね~…それにしても、おしゃれですね!」と、
笑いながら”未来の自分の身体”と一緒に歩き始めるー

”ククククー
 まさか、今、隣にいる身体が”未来の自分”で、
 中身が”未来の俺”だとは思ってないだろうなー…”

2037年の千穂(冬馬)は、笑みを浮かべるー

”俺が2022年にいたころは、2037年から千穂がやって来ていたー
 でも、今はー俺が2037年から千穂の身体でここにやって来ているー
 歴史が、前とは変わっているーってことかー”

そしてー
今回ー、
冬馬は2022年のー
女子高生だった頃の千穂の身体を入れ替わり薬で奪うつもりだー。

そうなれば、また、未来は変わるー…

「ーー残念だったなー」
千穂(冬馬)は静かにそう呟いたー

”2037年の千穂”は、
今頃、自分の身体を取り戻すために、2037年で
必死に動き回っていることだろうー。

まさかー
”自分の身体を奪った冬馬”が、2037年には既におらず、
2022年にタイムスリップしたとは知らずにー

「ーーあ…あのー…」
人の気配が少ない方角に移動していることに不安を抱いた
2022年の千穂が言うと、千穂(冬馬)は笑みを浮かべながら
振り返ったー

「ーお前の身体、貰うよー。
 千穂ー」

とー。

「ーーえっ!?!?」
2022年の千穂が驚くと同時に、2037年の千穂(冬馬)は、
そのままキスをしたー。

うめき声を上げる2022年の千穂ー

”クククー
 ついに、ついに、千穂は俺のものだー!”

心の中でそう叫びながらー
2037年の千穂(冬馬)は、そのまま気絶しー
2022年の千穂の身体と、入れ替わったー

「ーーふ…ふひ…高校時代の千穂だー」
2022年のー
女子高生だった頃の千穂の身体を手に入れた冬馬は
嬉しそうに笑みを浮かべるー

「ーくくく…やっと、やっとだ!やっと俺が千穂になったんだー!」

千穂(冬馬)が笑うー。

2022年ー
未来からやってきた千穂と出会い、冬馬は”入れ替わり”の存在を知ったー

そして、そのまま大人になり、千穂と結婚ー
やっぱり、千穂に不満を抱き、耐えて耐えて耐えて
自分が高校時代に出会った”未来の千穂”が言っていた入れ替わり薬を
2037年に入手したー。

そしてー
2037年の”30代の千穂の身体”を奪い、タイムスリップー、

2022年にやってきて”高校時代の千穂”の身体を手に入れたー

2022年から15年普通に生活し、2037年ー、
そしてタイムスリップして2022年ー。

冬馬は、遠回りして、千穂の身体を奪い取りー
千穂を我が物にしたのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2037年ー

「ーーー純太!」

冬馬に身体を奪われた冬馬(千穂)は、
必死に純太のことを探し回りー、
ようやく千穂(冬馬)が潜伏しているアパートの一室を
突き止めていたー。

「ーーお、お父さんー?」
純太が不安そうに呟くー。

「ーー!?」
一瞬、冬馬(千穂)は首を傾げかけたが、
すぐに理解するー。

”そっか…今、冬馬の身体なんだもんね”

冬馬と入れ替わってから
千穂あるいは、冬馬を知る人間と会ったのは
これが初めてー

だから”冬馬として呼ばれる”ことに違和感を感じたー

「ーーーち、ち、…千穂はー?」

”自分の行方を聞く”

そんなことに強い違和感を感じながら、
冬馬(千穂)は純太のほうを見つめたー

ーーーはずだったー

だがー
そこには、誰もいなかったー

「ーーあ…あれ…?」

すぐに純太の名前を呼ぼうとする冬馬(千穂)ー

けれどー
”純太”はそこには”最初から”存在していなかったー

純太なんて、生まれて、なかったー。

「ーーーわ…わたし…何をしてたんだっけー」
冬馬(千穂)が呟くー。

純太の記憶が、一瞬にして抜け落ちてしまったー。

この時代ー
2037年で千穂の身体を奪った冬馬が、
たった今、2022年で”歴史”を変えてしまったー

2022年時点の千穂の身体を冬馬が奪ったことによりー
”冬馬と千穂が結婚する未来”は消滅ー
純太が一瞬にして、この世界に”存在しなかったこと”に
なってしまったー

「ーーと…とにかく、冬馬から身体を取り戻さないとー」
冬馬(千穂)はそう呟くと、”純太が消えた家族写真”の入った
ペンダントを大切に握りしめて
「冬馬ー」と、静かに呟いたー。

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2022年ー

2037年からやってきた2037年の千穂の身体の冬馬は、
2022年の千穂と身体を入れ替えて、
”女子高生の千穂”になっていたー

「ーーはははは…はははははははは!
 ついに、ついに俺が千穂だ!
 千穂は俺のものだ!」

女子高生の千穂の身体を奪った2037年の冬馬が
勝ち誇った表情で叫ぶー。

目の前には、”2037年の千穂”の身体になってしまった
”2022年の千穂”が狼狽えた状態で戸惑っているー。

当然ー
この千穂は”この身体が未来の自分の身体”とは知らないし、
その中身が”未来の冬馬”だとも知らないー

「ーーははははっ!お前の身体は貰ったぜ!」
女子高生の千穂の身体を手に入れた2037年の冬馬は
勝ち誇った表情で笑みを浮かべるー。

長かったー。
自分が本当に2022年にいたとき、未来を聞かされた冬馬は、
”俺は、未来のクソみたいな俺にならないようにしよう”と、
どんなに千穂に腹が立っても、暴力を振るわず、
我慢してきたー。

だがー、やはり、冬馬は次第に千穂に対して不満を募らせて
ついには、”身体を奪う決意”をしたー。

しかし、2037年で千穂の身体を奪っても、千穂は既に30代ー。
冬馬から見れば、全盛期の輝きは、そこには既に、ないー。

だからー冬馬は、2037年の千穂の身体で2022年に来て
”自分が一番好きだったころの千穂の身体”の手に入れたのだー。

「ーーあ…あなたは…誰なの…!?」
2037年の千穂の身体になった2022年の千穂が叫ぶー。

「ーーお前がそれを知る必要はないぜー」
2022年の可愛らしい千穂の姿で、そう宣言した2037年の冬馬ー。

だが、その時だったー

「ーお前!何してやがる!」
事態を目撃していたこの時代のー
男子高校生だった頃の冬馬が、
千穂の身体を奪った”2037年の冬馬”に飛び掛かってくるー

「ー全部見てたぞ!千穂の身体を返せ!」
2022年の冬馬が叫ぶー

”ーケッ、お前だって大人になれば、千穂に不満を抱くようになるんだぞ?
 過去の俺ー”

千穂(2037年の冬馬)は笑みを浮かべながら
その場から離れようとするも、
冬馬は負けじと、2022年の千穂の身体を持ち逃げしようとする
2037年の冬馬に襲い掛かってくるー

「くっそ…ジャマをするな!」
千穂の身体で反撃する2037年の冬馬ー。

しかし、”女子高生の千穂の身体”では、
”男子高校生の冬馬”に力では及ばなかったー。

取り押さえられそうになって必死にもがく
千穂(2037年の冬馬)ー

「くそっ!離せ!くそっ! 俺は、俺が千穂になるんだ!」
千穂(2037年の冬馬)が叫ぶと、
2022年の冬馬は”ふざけるな”と、大声で千穂(2037年の冬馬)を
突き飛ばしたー

「ーーーあっ!!!!」
驚きの声を上げる2022年の冬馬ー。

「ーーー!!!!!」
2037年の千穂の身体になってしまったこの時代の千穂も驚くー。

「ーーーぁ… … …」
女子高生の千穂の身体を手に入れた2037年の冬馬はー
突き飛ばされた際に、路地の脇に置かれていた鉄パイプに
強く頭を打ち付けてー
頭から血を流しー

そのままー

「ーーーくそ……」
ゆっくりと目を閉じ、2022年の千穂の身体は”死亡”してしまったー
”2037年から来た未来の冬馬”を中身としたままー。

「ーーいやあああああああ!」
”自分の身体”の死を見せつけられた2037年の千穂になってしまったこの時代の千穂ー

2022年の冬馬も、必死に千穂を慰めようとするー。

しかしー
冬馬は、入れ替わりなど信じてもらえず、”彼女を殺害した”として、逮捕されー
2037年の千穂になってしまった2022年の千穂は、失意のうちに自殺してしまったー。

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

2037年ー。

さっきまで、冬馬の身体になってしまった千穂がいたはずの場所にはー
冬馬(千穂)はもういなかったー。
息子の、純太の姿も、そこにはなかったー。

床にはー
”誰も写っていない家族写真”のペンダントが
転がっているー

そしてー
程なくして、そのペンダントも、光の雫となって
その場から消え去ってしまったのだったー

おわり

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コメント

過去をいじりすぎて、どんどん最悪の展開に
なっていき、最後には…と、いうお話でした~!☆

本編を書いている時から、こういう構想だったので、
予定通りの後日談ですネ~!
(ここまで書くかどうかは最初は未定でしたケド…)

過去と未来が絡むと、どうしても矛盾が出て来てしまいますが
そこは深く考えないでくださいネ…笑

お読み下さりありがとうございました~!

コメント

  1. 匿名 より:

    とりあえずクズ男の冬馬が報いを受ける結末で安心しました。もし冬馬の思い通りになるような、冬馬が笑うような結末ならモヤモヤして今夜、眠れなくなりそうでしたからね(笑)。

    それにしても、千穂ではなく、よりにもよって過去の自分自身に邪魔されて破滅したのは皮肉な話ですよね。

    過去の冬馬も逮捕されて、千穂の体も心も失って破滅してますから、本当に誰も救われない結末です。

    こんな最悪な結末になるなら千穂は最初の未来の千穂の言うことを大人しく聞いておくべきでしたね。もう後悔しても後の祭りですけども。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!

      最初に変えた未来であれば、
      少なくとも千穂まで破滅してしまうことは
      なかったですネ~…!

      色々変えようとして、どんどん破滅へと向かって行ってしました…!

      ちゃんと眠れる結末で良かったデス!笑

  2. 匿名 より:

    過去を変えることで未来が改変されたりして、色々と矛盾が発生するというのをタイムパラドクスとか言うんでしたっけ?

    過去の千穂が身体を奪われた時点で二人が結婚して、その後、冬馬の我慢の限界で身体を奪うような未来そのモノがなかったことになるはずなのに、未来の冬馬がそのまま存在してるだけでも確かに色々矛盾点がありますよね。

    最後には未来自体は全部なかったことになっているのに、未来の冬馬によって千穂が身体を入れ替えられて、元の身体が死んで、自殺するという結果だけはそのまま残ってるのも矛盾ですからね。

    まあ、タイムパラドクス的な話はそんなもんだとは思いますから矛盾があったっていいとは思いますけど。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!

      過去と未来が絡むお話ではよくあることですネ~!

      全部真剣に考えすぎてしまうと、逆に説明が長くなって
      お話として破綻してしまうので、
      「過去と未来」でも、コメントにあるような部分は
      分かっていながら、細かくは考えないことにして
      書きました~★笑

      逆に、あえて本格的に書くような作品も
      いつか書いてみるのもいいかもしれませんネ…!!

  3. 匿名 より:

    読んでて、思ったことがあるのですが、かならずしも、過去を変えたとしても、未来に変化を起こさなくてもいいかと思います。

    これは言わずと知れた名作ドラゴンボールで出てくるタイムマシンの設定なんですが、ドラゴンボールの世界では過去で何をしようと、未来は全く変わらないのです。

    元の未来世界はそのままで、ただ、別の新しい未来が枝分かれして分岐して増えていくという、感じになっています。

    次に類似作品を書く時にはそんな設定を参考にしてみてはどうでしょうか?

    • 無名 より:

      ありがとうございます~!☆

      未来に影響を与えるか、与えないかは、
      その時のお話によって、都合よく(笑)色々変えています~!

      今回は影響が出ることが、お話の大事な部分の一つだったので、
      影響が出る感じにしましたが、
      次回、こういったお話を書くときには、またどうなるか、分からないですネ…!

      ドラゴンボール…!
      読んだことはありませんが、ちょっと調べてみます~☆!