<入れ替わり>わたしの身体で変なことしないで①~遭遇~

夜遅くに帰宅中だった女子大生の前に
”危険人物”が姿を現したー。

露出狂の男と遭遇してしまった彼女は、
なんとかその男から逃げようとするもー…!?

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「ーー今日は遅くなっちゃったね~」

大学内のサークル活動で、帰宅が遅くなってしまった
女子大生二人が、夜道を歩いているー。

月明かりに照らされる中、
そのうちの一人、鈴野 佳里(すずの かり)が、
「ーー幸恵は実家だったよね?怒られたりしない?」と、
心配そうに呟くー。

そんな佳里の言葉に、
一緒に歩いていた友人・堀崎 幸恵(ほりさき ゆきえ)は
微笑みながら「大丈夫大丈夫ー。ちゃんと連絡入れてあるし」と、笑うー。

夜になると、この辺りは人通りが少なくなり、
寝静まるー。

近所の迷惑にならないように、と
小声で話をしながら夜道を歩く二人ー。

やがて、幸恵といつも別れる道にたどり着いた二人は、
「じゃあ、また明日ー」と、いつものように
その場所で別々の方向に向かって歩き出すー。

家まであと少しー。
佳里が”帰ったらまずは、明日の準備をしてー…、お風呂をー”
と、自分が帰宅してからすることを
頭の中で整理していくー

だが、その時だったー。
佳里は、”自分の歩いている道の少し先”に
立っているその人物を見て、
思わず目を疑ったー。

「ーーーー???」
一瞬、何が起きているのか、理解することすらできなかったー。

人間は、あまりに衝撃的な光景を目の当たりにしてしまうと、
しばらく理解すらできなってしまうことがあるー。

今の状況は、まさにソレだったー

やがてー
佳里は”こっちに歩いてくる男”を見て、”何が起きているのか”を
理解したー。

”ろーーーろ…露出狂!?”

佳里の少し先に立っていたのはー
何一つ衣類を身に着けていない、
中年のおっさんだったー

「ーーげ…原始人ー…!?じゃないよね…」
慌てて後ずさる佳里ー。

原始人がこの時代にいるはずがないー
と、なれば露出狂だー

しかも、露出しているのは
イケメンでもなんでもなく、ただの中年のおっさんー。
とても、絵にもならないー

”いやいやいや、イケメンでもダメだけど!”
と、佳里はそう心の中で叫びながら逃げようとしたー。

だが、当然、露出狂の男からも、佳里の姿は視界に入っていて、
彼も”佳里に見られた”ということは理解しているー。

「ーーえへへへへ!待ちなよ!」
男が走って佳里を追いかけて来るー

「ーーま、ま、待ちません!」
佳里はそんな風に言い返して、必死に逃げようとするもー
最悪なことにー
今日はおしゃれをしていて、履きなれない靴を履いていたことからー
そんなに早く走ることはできずー
ついに、露出狂の男に腕を掴まれてしまいー

そのまま、男と一緒に転倒してしまったー。

すぐに起き上がる二人ー

だがー

「ーーーえっ!?」
「ーーーなっ!?!?」

二人は、ほとんど同時に驚きの声をあげたー

それもそのはずー
目の前に”自分”の姿があったからだー。

二人はーー
転倒した際に、”入れ替わって”しまっていたー

視線を落とす二人ー。

「ーーえへ…すげぇ」
佳里になった露出狂の男は、嬉しそうに視線を落とすだけで、
眼下に広がる胸の谷間を見て、
ニヤニヤッと笑みを浮かべるー

一方ー、
中年のおっさんのボディが眼下に広がって、
露出狂の男になってしまった佳里は悲鳴をあげそうになったー

だがー
すぐに、”自分の手で自分の口を塞いだ”

佳里は、頭の回転が早いー。

”今、この状況で騒げば、自分が露出狂のおっさんとして逮捕される”
ことを、瞬時に頭の中で理解したのだー

そしてー
周囲をキョロキョロすると、
「ちょ!ちょっと来て!」と、慌てて近くの自分のアパートの部屋に、
佳里になった露出狂のおっさんを引きずり込んで、
そのまま部屋の中へと駆け込んだー。

幸いー…
誰にも目撃されることなく、
自分の家の中に駆け込むことができたー。

露出狂男に自分の家を知られてしまったのは最悪だったが、
それでも”自分が露出狂として捕まる”よりは、
まだマシだー。

最悪の事態が起きた際には”最悪の中でもマシな選択肢”を
選んでいく必要があるー。

「ーな、な、なんなんですか!これ!」
裸のまま露出狂男になった佳里が叫ぶと、
佳里(露出狂男)は、ニヤニヤしたまま自分の胸を揉んでいるー

「ーちょっと!それわたしの!揉まないで!」
露出狂男(佳里)が叫ぶと、
「ーえ…?えへ…いやぁ…ははー…」と、ニヤニヤしながら
佳里(露出狂男)が笑うー

「ーわ、わたしの身体で気持ち悪い笑い方しないで!?」

露出狂男(佳里)が言うと、

「ーーお、俺の身体で、女言葉も十分キモイけどなぁー
 それに、裸だし」

と、佳里(露出狂男)は言い放ったー

「ーも…も~~!」
露出狂男(佳里)は、
そう呟くと、慌てて、結構前に購入した、
サイズが大きすぎて着ることができずに
そのままになっていたジャージを慌てて身に着けて、
佳里(露出狂男)のほうを見つめたー。

露出狂男の身体だと、ジャージはピチピチで
かなりきつい見た目だったが、
かと言って肉棒を晒し続けているのも気持ち悪いし、
こうするしかないー。

「ーーへへ…パンツは履かないのか?」
佳里(露出狂男)がニヤニヤしながら言うと、
露出狂男(佳里)は「わたしの家に男物の下着なんかないから!」と、
うんざりした様子で叫んだー

「ー君の、履けばいいじゃん」
佳里(露出狂男)の言葉に、
佳里の下着を履く露出狂男の姿を頭の中で浮かべてしまい、
露出狂男(佳里)は吐き気すら覚えたー。

「ーーで…何なのこれ?わたしの身体、早く返してー」
露出狂男(佳里)がそう呟くー

中年のおっさんが、女言葉で喋っているようにしか、
露出狂男になった佳里自身にも聞こえず、
自分で喋るたびに違和感を感じて悪寒がするー。

「ーいやいやいや、待ってくれよー
 巻き込んで悪かったとは思ってるけどー、
 別にこれは、俺が仕組んだことじゃない」

スカートのまま、足を広げて座っている佳里(露出狂男)が
そう言うと、
「ー入れ替わったのは、俺が何か仕組んだんじゃなくて
 偶然なんだよー」と、
戸惑った様子で呟いたー

「ぐ、偶然ー…?じ、じゃあ、戻る方法も分からないの!?」
露出狂男(佳里)がそう言うと、
佳里(露出狂男)は頷いたー。

「ーーっていうか君、俺みたいな変態を目の前にして
 ずいぶん冷静だね?」

佳里(露出狂男)がニヤニヤしながら言うー。

「ーそ、それはー…
 だって、あのままじゃ、わたしが露出狂扱いされちゃうから
 こうするしかなかったしー

 それにー
 今はわたしがこの身体だからー
 襲われる心配もあんまりないだろうしー」

と、露出狂男(佳里)が言うと、
佳里(露出狂男)は「へへ…まぁ、そっか」と、笑みを浮かべたー

「ーっていうか!!!!」
露出狂(男)が叫ぶー。

「ーーな、な、何してたの?!あ、あなた変態…!?」
露出狂男(佳里)が、困惑しながらそう聞くと、
「ーーそう。変態だよ」と、
佳里(露出狂男)が頷いたー。

「ーーいやぁ…俺、露出が好きでさー
 よくベランダで露出してたんだけど、
 だんだんこうー…なんか、外を歩きたくなっちゃったんだよねー
 あの辺、深夜になると誰もいないしー
 えへへ…ついー」

”変態だ…”
露出狂男(佳里)は、このおっさんは正真正銘の変態であると
改めて認識するー

「ーーな、なんでわたしを追いかけてきたのー?」
露出狂男(佳里)がそう呟くと、
佳里(露出狂男)は笑いながら答えるー

「ーいや、怖がってたし、悲鳴上げられちゃ困るから、
 ”何もしないから、悲鳴をあげないで”って伝えようと思ってー」

佳里(露出狂男)の言葉に、
露出狂男(佳里)は思わず呆れてしまうー

「追いかけられたら!余計怖いし!!余計悲鳴あげるでしょ!!!」

その言葉に、
佳里(露出狂男)は「えへへ」と、笑みを浮かべたー。

露出狂男と入れ替わってしまったのは最悪だー。
しかし、幸いなことに、ただの変態で
”攻撃的な面”はあまりないように見えるー

もちろん、変態であることには変わりないけれどー。

再び胸を揉もうとする佳里(露出狂男)ー

「こら!わたしの身体で変なことしないで!」
露出狂男(佳里)がそう言うと、
佳里(露出狂男)は苦笑いしながら、
「ーこんなエロイ身体を手に入れたら、変なことしたくなっちゃうだろ?」
と、ニヤニヤと笑うー。

「ーーーふざけないで!」
露出狂男(佳里)が必死に叫ぶー

「ーへへへ…わかったわかった」
佳里(露出狂男)はそれでも、スカートを触ったりしながら
ニヤニヤと笑っているー。

「は~~~露出してぇ」

「絶対だめ!」

露出狂男(佳里)は叫ぶー。

自分の身体が”露出狂”にされたら最悪だー。
女の露出狂なんて、そんなことされたら
逮捕されるのは男女問わず当たり前として、
確実に、男以上にネット上の玩具にされてしまうのも
間違いないー

「ー絶対!!ダメですからね!!!」
露出狂男(佳里)がそう叫ぶと、
佳里(露出狂男)は「さすがにしねぇよそんなこと」と呟いてから
「ー自分の身体に戻ってから露出してぇってことだよ」と、
笑みを浮かべたー

「ーー…それはそれで…ダメな気がするけどー」
露出狂男(佳里)はそう呟くと、
佳里(露出狂男)は、
「あぁ、そうそう、俺は山中 祥吾(やまなか しょうご)って言うんだー。
 まぁ、こんな風に入れ替わっちゃったのも縁だし、よろしくな へへ」
と、笑みを浮かべるー。

「ーし、知り合いたくなかったんだけど…」
露出狂男=祥吾の身体になっている佳里は嫌そうにそう呟くー。

「ーーー……へへ…まぁそう言うなってー
 しっかし…女子大生の身体で俺の名前を名乗ると興奮するなぁ…

 このなんか、何とも言えないゾクゾク感…
 男じゃなかなか味わえないしー」

佳里(祥吾)がニヤニヤが止まらない、という様子でそう呟くと、
祥吾(佳里)は「い、いい加減にして下さい!」と、
顔を赤らめながら叫ぶー。

「ーーーへへへ…まぁ、そう怒るなってー
 で、どうする?」
佳里(祥吾)が言うと、
「ど…どうするって?」と、困惑の表情を浮かべる祥吾(佳里)ー

「いや、だって、このままじゃ困るだろ?
 まぁ、俺は別にどうしてもって言うなら
 このままの身体でもいいんだけど、
 女子大生の君が、俺みたいなおっさんの身体に
 なりたくないと思うし。」

佳里(祥吾)の言葉に、
祥吾(佳里)は「あ、当たり前でしょ!」と叫ぶと、
佳里(祥吾)は「へへ…」と笑いながらも
「まぁ、俺も早く露出したいから、自分の身体に戻りたいし…」
と呟きながら
「ーーー…君が許可をくれれば、すぐにでも露出したいけど」
と、笑みを浮かべるー

「ー変態!何でそんな見せたいの!?」

露出狂の考えていることがまるで理解できないー。
そう思いながら、省吾(佳里)が叫ぶと、
佳里(祥吾)は興奮した様子で”露出”の楽しさを語り始めるー

聞いてもまるで理解できなかったし、
”興奮した様子で露出のことを熱く語るわたし”の姿なんて
見たくなかったー

”聞かなきゃよかった”と、
思いつつー
祥吾(佳里)は大きくため息をついて、
”これからどうするのか”を、二人で話し合い始めたー…

②へ続く

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コメント

露出狂と入れ替わってしまうという
最悪な(?)組み合わせの入れ替わりですネ~!

今のところ、比較的穏やかな感じにも見えますケド、
果たしてどうなるのでしょうか…?★

続きはまた明日デス~!

コメント

  1. 匿名 より:

    なんか凄くストレートなタイトル名の話ですよね。
    入れ替わりとか、あるいは憑依物で女の子側がよく口にするお決まりの台詞です。

    露出狂の男は変態ではあっても、女の子の人生をそのまま乗っ取ろうというような悪どい感じは今のところはなさそうですが、続きがどうなるか楽しみです。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      今のところ、とってもシンプルなお話ですネ~!
      これがどうなっていくのか、ぜひ楽しみにしていてください~!

  2. みのむー より:

    やー、これはいいですねー。
    続きが楽しみですわー。