<憑依>AV★ポゼッション①~本当の憑依~

”同居している恋人が憑依される”
そんなAVの撮影現場ー。

しかし、憑依される恋人役が本当に憑依されてしまってー…?

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「よろしくお願いします~」

とある映像作品の撮影現場ー。

今日、ここでは”憑依モノ”のAVが撮影されようとしていたー。

”悪夢の同居生活”
という名前の憑依モノで、
同棲を始めた大学生カップルの彼女が憑依されてしまい、
幸せな同居生活が一変、”憑依された彼女に脅迫されて”
怯えるようにしながら生活することになってしまうー…
という、憑依モノだー。

「ーー憑依系は、結構出演してるんだったっけ?」
監督の坂口(さかぐち)がそう呟くと、
「ーえ~っと、そうですねー、この前も撮影しましたよ」
と、笑いながらAV女優の萌咲(もえ)が答えたー。

「ーははは…萌咲ちゃんはギャップがすごいからなぁ」
彼氏役のAV男優・城原 毅(しろはら たけし)が笑うと、
萌咲は「え~?そんなですかぁ~?」と、笑うー。

萌咲は普段は天然な感じの性格で、
ドジな感じな子であるものの、
撮影が始まると、高い演技力で周囲を圧倒するー。

憑依モノを撮影するときには、”本当に別人のように”見えるし、
入れ替わりモノを撮影するときには”本当に入れ替わっているように”見えるー。

そのぐらい、高い演技力を持っているのだー。

「ーーー」
”憑依する変人男”役の石野(いしの)は、椅子に座り、
本番の時を待っているー。

実際ー、”憑依してしまったあと”は、
設定上は彼が萌咲の演じる女性の中にいるものの、
それを演じるのは萌咲だー。

だから、石野自身の出番があまりないー

「じゃあそろそろ、憑依シーンの撮影をー」

”萌咲が演じる女子大生が大学帰りに石野が演じる変態男に
 ターゲットにされて、憑依されてしまうシーン”

それを、撮影する準備を始めるー。

予算がそれほどないために、
基本的にはスタジオ内のセットを使いー、
外での撮影は、限られたシーンのみで行うー。

”アパートの廊下”のシーンも、
AV撮影の際によく使われているセットを使うー。

「ーー~~~…今日も疲れたなぁ~」

早速、シーンの撮影が始まり、
萌咲は、彼氏と同居している(設定)の、アパートの
部屋の前にやって来るー。

「ーーーークククー」
石野が演じる変態男が、萌咲演じる女子大生に、
ターゲットを定めて、笑みを浮かべるー

”憑依”と書かれた安っぽい感じの容器を手に取り、
笑みを浮かべる石野ー

「これを使えば、どんな女でも、俺のものだー」

石野演じる変態男・”春日部”は、単なる変態男ではなく、
毅演じる男子大学生のバイト先で彼を逆恨みしー、
その結果、毅演じる男子大学生の彼女に憑依してー、
彼を苦しめていくー、と、そういう設定だー。

「ーーー早速飲むぜ!」
”憑依薬”と書かれた容器の中にはオレンジジュースが
入っているー。

当然、現実に憑依薬は存在しないため、
”演技用”にそういうものを用意しただけだー。

それを飲み干す春日部役の石野ー
石野は”倒れ込む”演技をして、
そして、「OK!」という監督の声が響き渡ったー

すぐに石野は起き上がって
「今ので大丈夫でしたか?」と呟くー。

「ーーあぁ、いいよいいよ。」

正直、石野の中ではあまり出来栄えのよくない演技だったが、
監督からはOKが出たー

「ーまぁ~俺のようなおっさんのシーンなんて
 あんま誰も興味ないでしょうしね」

石野が笑いながら言うと、

「ははは!まぁ、そうかもなぁ」
と、坂口監督は笑ったー。

続けてー
”彼氏と同居するアパートで、先に帰宅していた彼女の・麻奈美(まなみ)が
憑依されてしまう、というシーンを撮影するー。

麻奈美役の萌咲が家のセットで位置につくと、
監督が合図し、”憑依されるシーン”の撮影が始まったー。

「ーーうん…うん!わかったー
 うん…じゃあ」

スマホを手に、彼氏の拓郎(たくろう)と、電話をしている麻奈美ー…
というシーンを撮影しているー。

実際にはスマホは誰ともつながっていないが、
そこは役者として、本当に話をしているかのように、
自然な会話をするー。

そして、憑依されるシーンがやってくるー

「うっ!」と声をあげて、スマホを落とし、
支配されてしまうー

そんな場面だー。

「ーーー」
坂口監督やスタッフたちの一部は、撮影しながらも、
そんな萌咲の演技をある意味で楽しみにしながら
そのシーンを待つー

「ーーえ、ホントに~?」
誕生日が近い(設定)の彼女・麻奈美に
彼氏の拓郎が誕生日の話題を振った設定の会話を繰り広げるー

この会話が終わった後に
麻奈美は憑依されるー

そんな設定だったのだがー

「ーでも、ホントにいいの…?
 それだと拓郎が… うっ…!」

ビクンと震えて、麻奈美役の萌咲がスマホを落とすー

”えっー!?”

スタッフも、監督もー、
変態男役の石野も、彼氏・拓郎役の毅も少し困惑した表情を浮かべたー。

”憑依されるタイミング”は、
この部分ではなく、
この会話が終わって、次の話題に移った場面でー…のはずだったー。

本来の”憑依される場面”は、まだ30秒ちょっとさきのはずだったー

「ーーいい、そのまま撮影を続けろ」
小声で合図をする坂口監督ー

台本と違ってしまったが
確かに”憑依される前の麻奈美の通話シーン”なんて
長々と入れても仕方ないと思ったし、
恐らくはそう考えた萌咲の”アドリブ”なのだろうと、
坂口監督は判断したー

「ーーククク…ふふふふふ…すげぇ…マジで憑依できてるー…!」
萌咲がニヤニヤしながら”まるで別人”のような演技を見せるー。

「ーーへへへへ…可愛いじゃん…」
髪の匂いを嗅いだり、胸を揉んだり、足を広げたりして、
ニヤニヤと笑うー。

”少し身体を楽しんだ後にスマホを拾って
 彼氏に大丈夫だと伝える”

そんな場面なのだがー、
萌咲は一向にスマホを拾おうとせず、
ニヤニヤしながら胸を揉んでいるー。

「ーーちょっ…ちょっと!萌咲ちゃん!」
坂口監督がそう叫ぶと、
撮影を中断して、萌咲の方に駆け寄るー。

「あん?」
萌咲が不満そうに坂口監督のほうを見つめるー

坂口監督はそんな萌咲に少しドキドキしながらも
「ーいや、あの…多少のアドリブは全然、大歓迎なんけどさー」と
言葉を言い放った上で、
「い、一応大体の流れはね」と、坂口監督が
”大まかな流れは脚本通りにしてほしい”と、告げたー

坂口監督自身の作品では、萌咲を起用するのは初めてだったー。

と、いうのも萌咲はその高い演技力で、業界内で人気が高く、
坂口監督自身も、以前から萌咲に出演のオファーを出しては
いたものの、なかなかそれが実現しない状態が
続いていたのだー。

”天然な子だけど、演技力は凄くて、まるで別人が乗り移っているみたい”
だと、仲間の監督からは聞かされているー。

「ーー台本?あぁ、分かったよ」
萌咲はそう言うと、笑みを浮かべながら
「ちょっと台本いい?」と、変態男役の石野に言い放つと、
萌咲は、足を組んだまま台本を見つめ始めたー。

「ー萌咲ちゃん、やばいっすね」
スタッフの一人が小声で監督に言い放つー

「ーーあぁ…あれはホンモノだー。
 カメラが止まっててもなりきるなんて…
 マジでプロだなー」
と、坂口監督は返事をするー。

「ーーーーー」
しかしー
この場で”以前も萌咲と共演したことのある”
彼氏役の毅が表情を歪めていたー。

萌咲のことを知らない人間たちは
”あれも演技力を高める一環”だと思っている様子だったがー
以前、同じ作品に出演した際には
あんな振る舞いはしていなかったように思うー。

「ーーー」
そのため、毅だけはこの場で強い違和感を感じていたー

「ーへへ…よ~しいいよ じゃあ、再開だ」
萌咲が言うと、坂口監督も頷いて撮影を再開させるー

スマホを落としてー
拾って、彼氏に「大丈夫大丈夫ー」と言い放つ
”憑依された麻奈美”を演じる萌咲ー。

一旦カメラが止まっても、萌咲は胸を触ったり、
指を舐めたりしているー。

「ーーん?何見てんだよ?次のシーンは?」
萌咲の言葉に、坂口監督は少し驚いた様子で
「あ…ああ…」と、次のシーンの準備を始めるー

「へへへっ…マジでたまんねぇぜ」
萌咲の様子を見つめながら
彼氏役の毅と、変態男役の石野はゴクリと唾を飲み込むー。

”カメラが止まっている最中も憑依された自分になりきっているー”

「萌咲ちゃんは、プロだなー」
初めて萌咲と共演する石野は、萌咲のプロ意識を感じて、
思わずそう呟いてゴクリと唾を飲み込んだ。

「ーーじゃあ、次のシーンは…」
坂口監督は戸惑いながらも、毅が演じる彼氏・拓郎が帰宅して、
萌咲の異変に気付くー、
というシーンの撮影に取り掛かり始めるー。

「ーーはぁぁぁ♡」
そうしている間にも萌咲は顔を赤らめながら
自分の胸を触って、嬉しそうに微笑んでいるー。

「ーーー」
彼氏役の毅は心配そうにその様子を見つめながらも、
次のシーンの撮影が始まり、毅も”拓郎”という役になりきるー。

「ーただいま」
”拓郎”が帰宅するー。

萌咲が演じる”麻奈美”が、笑みを浮かべながら
鏡の前で胸を触っているー。

「ま、麻奈美ー?」
帰宅した”拓郎”が、同居している彼女の行動に
違和感を抱くー

「ーー…ん?あぁ”この女”の彼氏かー」
”麻奈美”が脚本に書かれていた通りの言葉を呟くー。

「ーーーこ、この女ー?」
”拓郎”も予定通りの演技を進めるー。

「ーーへへへへへ…
 あ、そうだ、”拓郎”さぁ、俺、いやー、わたしと別れてくんない?」

”麻奈美”のいきなりの別れの提案に
驚く”拓郎”

驚いているのは、AV内の演出であり、
これは脚本通りに進んでいるー

「ーーえ…な、なんだよいきなりー?」
”拓郎”が困惑の表情を浮かべると、
”麻奈美”は笑みを浮かべながら

「だって彼氏とか、邪魔じゃんー
 この身体でいっぱいヤルのにさー」

と、呟くー

いつもの”麻奈美”よりも低い声で、
浮かべている笑みには悪意が漂っているー。

そんな”麻奈美”を見つめながら
困惑することしかできない”拓郎”はー、
唖然としながら
「お…俺…何かしたかー…?」
と、やっとの思いで声を振り絞るー。

坂口監督と、
共演者の石野がその様子を見つめるー

石野の出番は”麻奈美”に憑依してしまったあとは
ほとんどないー。
そのため、一度控室に戻っても良いのだが、
いつも石野は”せっかくだから”とAV女優の演技を
そのまま見ていることが多いー。

”憑依された女”を演じるのは、
石野ではなく、女優の方だー。

「ーー(まぁ、本当は実際に憑依して演じたいけどなー)」
石野は内心でそんなことを思いながらも、
そのまま撮影の様子を見つめるー。

だがー

「ーー(クククー…さぁ、お遊びはここまでだー)」
”麻奈美”を演じる萌咲に憑依した男は、笑みを浮かべたー

萌咲は”本当に”憑依されてしまっていたー。
憑依モノのAVを撮影中に、
”本当に”憑依されてしまったのだー

さっきサっと脚本を見て
ここまで”付き合って”やったが、もうこれ以上はセリフを
覚えていないし、お遊びに付き合う義理はないー

ニヤッと笑みを浮かべる萌咲ー

「この女の身体、たっぷり楽しませてもらうぜー。
 AV女優さんってことは、エロイことしたいんだろ?」

勝手にそう決めつけた男は、萌咲の身体を
欲望で塗りつぶそうと、不気味な笑みを浮かべたー

②へ続く

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コメント

AVの撮影中に憑依されちゃうお話デス~!
(前に入れ替わりのもありましたネ~ ※あれとは別シリーズデス~)

業界関係者じゃないので、
撮影現場の描写は、フィクションということで、
現実と違っても許してくださいネ…!

続きはまた明日デス~!

コメント

  1. 匿名 より:

    前にも芝居のはずが本当に憑依されたという、似たような話がありましたね、
    あの話は監督が黒幕(実際に憑依したのは別人)でしたが、この話の結末がどうなるか、楽しみです。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!

      AVじゃない一般向けの劇の最中に憑依されるお話ですネ~!
      今回の結末もぜひ楽しみにしていてください~!