<入れ替わり>あれ~?おじさんどうしたの?②~煽り~

公園で絵を描いていた少女の身体と
自分の身体を入れ替えてしまった順太郎ー。

少女の身体を手に入れた順太郎は、
執拗に”元自分”を煽り始める…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

警察が駆け付けて、
順太郎になってしまった天音は
警察から話を聞かれているー

「ーー…わたし…戸田 天音なんです…」
泣きながら何度もそう繰り返す順太郎(天音)ー。

だが、42歳のおじさんが泣きながらそんなことを言ってもー
”なんだって!?それは大変だー”
などという風にはならないー。

「ー知りません。その人とは一度も会ったこと、ありません」
天音になった順太郎は、ハッキリとそう言い放つー。

”さっき、絵を描いている最中に急に声を掛けて来た知らないおじさんです”
とー。

中学生の天音が、あまりにもハッキリとした口調で言うので、
警察官は少し戸惑った様子だったが、
だからと言って”入れ替わっている”などと疑うことをするはずもなく、
順太郎(天音)に向かって質問を繰り返すー。

「ーーー」
何度も何度も”わたしは天音”だと繰り返す
順太郎(天音)ー

順太郎になってしまった天音は、
”自分が急におじさんになってしまったのに、
 なぜか自分が目の前にいるー”
と、いう感じにしか思っていないようだー。

確かに、入れ替わってから天音(順太郎)は
一度も”入れ替わり”とは言葉を口にしていないし、
無理もないかもしれない。

そう思いながら、天音(順太郎)が笑みを浮かべているとー、
警察官が”もう夜になっちゃったし、帰っていいよ”と、
天音(順太郎)に対して言い放つー

「ーーえ?あ、はいっ」
天音(順太郎)は”あ、そういえばこの子、中学生だもんな”と
思いながら、警察官に頭を下げて、
家に向かって歩き始めるー。

「ーーって、この子の家なんて知らないぞ?」
少し歩き始めて、天音(順太郎)は、思わずそう呟くも、
「あ!中学生なら、生徒手帳があるかもな!」と、
天音が持っていたバッグを漁り始めるー。

すると、その中には、中学の生徒手帳が入っていたー

「ーーほうほう…そんな遠くないなー へへ」
天音(順太郎)は満足そうに微笑むと、
「しかしまさか俺が、JCになれちゃうとなぁ~」と、
そのまま街中を歩き始めるー。

「ん~~~…背が小さくなると、街が大きくなったように見えるなー」

”背が伸びること”はあってもー
”老化で多少縮むこと”はあってもー
背がここまで大きく縮むことを、人間は経験しないー。

42歳のおっさんから、女子中学生にー。
そんな”急激な縮小”を経験する人間は
普通は、いないー。

だからこそー
まるで”街が大きくなった”かのような
そんな錯覚を感じることができるー。

「ーーーは~~~…髪があるっていいなぁ~」
ツインテールであることもそうだったが
何よりもこんなにたくさん髪があることに、
天音(順太郎)は感動していたー。

42歳にして、髪が薄くなっていた順太郎からすればー、
こんなに髪があるのは、
まさに贅沢であると言えたー。

「ーーーあ~~~特盛って感じだな」
意味不明な例えをしながら天音(順太郎)は
家に帰宅するとー
深呼吸をしてから

「ただいま~!」と、声をあげたー。

「おかえりなさい~」
母親が返事をするー。

”は~…誰かがいるってのも新鮮だな”
そんな風に思いながら、
母親と目が合った天音(順太郎)は目をパチパチさせるー。

”お母さん”
”ママ”

どっちだー?

多分、この年頃の子なら、どっちかだと思うー
だがー
どう呼べばいいー?

そういえば、あまり深く考えていなかったが
急に見ず知らずの少女の身体を奪っても
”その子になりすます”のはなかなか難しいー

少しずつ変化させていくならともかくー
急激に別人のようになれば、最悪の場合、
疑われる可能性もあるー。

”お母さん”
”ママ”
”お母さん”
”ママ”
”お母さん”
”ママ”

どっちだー
どっちだー!?!?
どっちだーーー!!!!

頭の中で叫びながらー

天音(順太郎)が叫んだ言葉はー

「母上ーーーーーーーーーーー」

だったー。

「ーーーーえ?」
天音の母親が首を傾げるー。

「ーーーーあ」
天音(順太郎)が”しまった”などと思っていると、
天音の母親は
「授業で習ったの~?」と笑いながら
「ーいつも通りママでいいよ~」と、台所の方に向かいながら呟くー

「ママー…」
天音(順太郎)はそう呟きながら
”そうか、ママか”と、笑みを浮かべるー

うっかり、母上と叫んでしまったが、おかげで”ママ”呼びであることが
分かったし、十分な戦果と言えるー。

自分の部屋を勘で探し当てた天音(順太郎)が
天音の部屋に行くと、
”いかにも絵が好きそうな女の子の部屋”という光景が
広がっていて、天音(順太郎)は妙に感動したー

「THE・女の子って感じの部屋だなー
 俺のドブネズミみたいな部屋とは大違いだ」

そんなことを言いながら感心していると、
”そういえばー”と、
「ーーこの身体じゃ、酒も煙草もダメじゃないかー」と、
ガッカリしながら、部屋の中を歩き回り始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

警察が帰ったあとも
順太郎(天音)は公園のブランコに座っていたー

「ーなんで急にわたしが…おじさんに…?」
順太郎(天音)は、
”目の前にいた自分”のことを思い出すー。

「ー……早く、ママたちに伝えなくちゃ…」
順太郎(天音)はそう思いながら、
順太郎が残した順太郎の鞄を拾い、
その中から、順太郎のスマホを見つめるー。

親に連絡して、助けを求めようとしたー。

だがー

「ーーー分かんないよ…」
順太郎(天音)は、順太郎のスマホが
パスワードでロックされているのを見て、
表情を曇らせるー。

順太郎のスマホのパスワードを
天音が知っているはずなど、ないのだー。

「ーーーー」
「ーーーーー」
「ーーーーーー」

順太郎(天音)は、目に涙を浮かべながら
しばらくスマホを見つめていたがー

やがてー

”0 0 0 0”
と入力してみたー

「ーーーえ」
順太郎(天音)は思わず変な声を出してしまうー。

順太郎のスマホの番号は「0000」だった。
一番やってはいけないやつー。

中学生の天音でさえ知っている、
そんな”使っちゃいけない番号”で、
パスワードを解除できてしまったことに、
順太郎(天音)は、少し首を傾げながらも、
自分の家に電話を入れたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

♪~~~~

「ーー!」
部屋で髪に感動していた天音(順太郎)は家の
電話がなったことに気付きー、
慌てて1階へと駆け下りるー

「ーー母上!わたしが出る!」
そう叫んで、受話器を手にした直後にハッとして

「あ、ママ!」と
言い直すと、そのまま電話を握りしめたー

”もしもしー…?”

相手はー
自分の声だったー

”うわぁぁぁ…冴えないおっさん全開の声じゃねぇか”

そう思いながらも
「ーーー……と、戸田ですけど」と、声を出すー。

”わ…わたしが何でそこにいるのー…
 だ…誰なの?”

順太郎(天音)が言うー。
まだ、天音は”入れ替わり”だとは気づいていないー。

自分がなぜかおじさんの姿になっていて、
”自分の偽物”が家に帰宅したー

そんな感じの認識だー。

「ーーわたし…?戸田 天音ですけど?」

キッチンまではある程度距離があるー。
小声で話をすれば聞こえないはずだー。

”嘘つかないでよ…!わたしが…わたしが天音なのに!”

電話の向こうから、今にも泣きそうなー
いや、もう泣いているだろうかー。
そんな声が響き渡ってくるー。

そんな声を聞きながら、
天音(順太郎)は少し笑みを浮かべると
「ーーー”入れ替わり”って知ってる?」と、
小声で呟いたー

”い…いれかわ…り?”

「ーー知らないか。まぁいいや」
天音(順太郎)はそう言うと、
「ーーおじさんと君の身体は、入れ替わっちゃったんだよ」
と、優しく説明したー。

ニヤァ、と笑みを浮かべる天音(順太郎)ー

入れ替わってから、なぜか
”元自分”が無性に腹立たしくなるし、
無性にいじめてやりたくなるー。

何故だかは分からないが、煽らずにはいられないー。
それだけ、自分のことが嫌いだったのかもしれないー。

「ーーー君は今日から42歳のみじめなおっさんだよー
 ふふっふひひひ」

”そういえば”と、天音(順太郎)は電話で
”元自分の声”と通話をしながら思うー。

”俺、自分のこと好きだと思ったことは一度もなかったしな”
とー。

自分のことが昔から嫌いで嫌いでたまらなかったー。
だから、こうして天音と入れ替わった今、
”元自分”のことをこんなにも攻撃できるのかもしれないー

”自分”が困っている姿を見て、1種の快感のようなものを
感じ取っているのかもしれない。

そんなことを思いながら、
会話を続けていると、
天音の母親が「天音~!どうしたの~?誰から~?」と
キッチンの方から声を掛けてくるー

「あ、うん!なんか知らない人~!」
それだけ返事をすると天音(順太郎)は笑みを浮かべながら
「ーごめんなさい~知らないおじさんの話聞いちゃだめって
 ママに怒られちゃった♡」と、挑発的に言うと、
そのまま受話器を置いたー。

「ーーふふふふふ♡ まさか、また人生をやり直せるなんて」
天音(順太郎)はニコニコしながら自分の部屋に戻っていくー

42歳だった自分が、中学生にー。
もう一度人生をやり直すことができるようなものだー

その上、こんなに可愛い子にー。

元々、容姿にも恵まれず、家庭環境にも恵まれずに
育った順太郎からすれば、夢のような状況だったー

42歳という数字に、神様から”死になさい”と言われているような
気がして、命を絶とうとしていた順太郎からしてみれば、
この上ない、大逆転の中の大逆転…と、言えたー。

「ーーふふふふ…はははははっ…髪があるっていいなぁ~~!」
ツインテールよりも、髪がたくさんあること自体に
感動して、髪を嬉しそうに触ったり、こすったりを繰り返しながら
天音(順太郎)は満足そうに、いろいろなことを試してみるー

声ー

「ーーは~~…俺のあのうざい声ともおさらばだー
 っていうか…この声…癒されるぅ~」

自分の声で癒されるとか、もう最高だー、と
思いながら天音(順太郎)は色々な言葉を口にするー。

「ーーこのお腹もなぁ~…へへへ」
服の上からお腹のあたりを触るー。
中年太りしていた順太郎からすれば、
こんなスリムな感じー、
喜びが溢れて、はじけてしまいそうになるー。

「ーー肌も綺麗すぎだしー
 へへへ~」
手を嬉しそうにすりすりしながら、
天音(順太郎)は、やがて部屋にある制服を見つめるー

「ー俺が中学生…俺がJC… ゴクリ」
天音(順太郎)は”学校でもモテそうだし”と、ニヤニヤ笑みを浮かべるー。

それにー
中学ぐらいの授業なら、42歳の俺にとってー
いくらでもー

♪~~
♪~~~
♪~~~~

「ーーー!?」
自分の部屋にも、来客を知らせるインターホンの音が聞こえたー。

「ーーまさか…!」
天音(順太郎)がそう思いながら1階に再び駆け下りると、
既に母親が困惑した様子で、
応対を続けていたー

”わたしが天音なの!ママ!信じて!”
気味の悪いおじさんの声が響き渡るー。

「ーーー!!」
天音(順太郎)は、順太郎になった天音が家まで
来たことを悟るー。

”普通、おっさんの身体でここまで来るか?”
と、思いつつもー
いや、中学生だからこそ、シンプルに家に帰ってきたのかもしれないー
と、考えるー。

”こんな身体じゃ信じてもらえないかもしれない”
と、いうところまで計算せず、勢いで帰ってきたー、
そんな感じだったー

”ママ!お願い!わたし、天音なの”

その言葉に、
母親は困惑の表情で、
家の中にいる天音(順太郎)のほうを見つめたー。

③へ続く

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入れ替わって煽りを続けるおじさんと、
身体を奪われた天音の運命は…!?

次回が最終回デス~!

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