”入れ替わり”で、少女の身体を奪うことに成功したおじさんー。
彼は”絶対に身体を返すつもりはない”と宣言した上で、
何故かおじさんの姿になった少女を、執拗に煽り始めたー。
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大谷 順太郎(おおたに じゅんたろう)ー
彼の人生は、悲惨な人生だったー。
学生の間は、過酷ないじめに耐え抜きー
それでも何とか見返してやろうと必死に勉強して、
良い大学に通って、一流企業に就職したー。
だが、新社会人1年目ー
その会社が大きな不正を行っていたことが発覚し
急激に業績が悪化ー、
わずか半年にして強引にリストラのような形で、
会社を去ることになってしまったー。
その後は職を転々とした挙句、
何をやっても上手くいかず、
現在はフリーターとして、アパート暮らしをしているー。
42歳ー
生涯独身ー。
既に髪の毛もほとんどなくなり、
身体的には60歳を超えているような気がするー。
実際に、
少し前には、年金受給者と間違えられたこともあるー。
それだけ、老けて見えるということだー。
「42歳かー。死ぬか」
順太郎は、ある日、そんな風に呟いたー
42歳=”しにさい”
順太郎は、神様から”しになさい”と言われた気がしたー。
”な”がどこから出て来たのか分からないが、
とにかくそんな気がしたー。
そして、順太郎は、ネットで死ぬ方法を調べ始めるー。
調べなくても分かりそうなものだが、なぜか調べ始めたー。
誰かに”命を捨てるなんてやめなさい”と、
そう言って欲しかったのかもしれないー。
だがー
そんなことをネットで調べている最中に
彼は、ある広告が目に入ったー
”死のうとしている人間”をターゲットにした広告なのだろうかー。
”どうせ死ぬなら、美少女になれ”
と、そう書かれていたー。
「ーーははは、やべぇ広告が表示されたな」
笑いながら順太郎がそう呟くー。
”そうだ 美少女になろう”
”可愛いは正義”
”おっさん、おっさんのまま死んでいいのか?”
次々と、変な広告が表示されるー。
「ーーっ、何なんだよ全くー。」
面倒臭そうにその広告をついつい開いてしまった順太郎はー
出会ってしまったー
”どうせ死ぬなら、入れ替わり”
そのサイトはー
”他人と入れ替わる指輪”を販売している
不思議な指輪だったー
値段はなんと、100万円ー
「なんだよこの子供でも引っかからなそうな詐欺はー」
そう思いながらページを閉じようとすると、
順太郎のパソコンの画面にある言葉が表示されたー
”どうせ死ぬなら借金して破産してでも100万円
払ってみませんか?”
とー
「ーーーチッ…煽りやがってー」
”100万円払って、もしも入れ替わりが本当にできれば
あなたの人生は大逆転”
変なゆるキャラみたいなのが画面上に表示されて
ふき出しでそう言っているー。
”100万払って、もしも詐欺でも
あなたはどのみち死ぬから関係ない”
「ーーーー………」
画面を見つめながら順太郎は少し考えてから
「ー確かにー。買うか」
と、頷いたー。
散々、煽るようなメッセージを見つめながら、
”入れ替わりの指輪”の内容を確認した順太郎は、
借金に、私物の売却に、何とか100万円をかき集めてー
そして、”指輪”を購入したのだったー。
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絵を描くことが好きな女子中学生ー、
戸田 天音(とだ あまね)は、
休日の今日も、絵を描いていたー。
ツインテールのほんわかとした感じの少女で、
少し小柄な感じの天音はー、
休日や放課後に、よくお出かけして絵を描いているー
”受験勉強”真っ最中ではあるものの、
こうして絵を描く時間も大切にしていた天音ー。
今日も絵を描き終えて、
そのまま帰宅しようと思ったその時だったー
「ーーーーー」
ニヤニヤしながらおじさんが近づいてくるー。
天音は、近くにおじさんがやってきたことには
気付いていたものの、ニヤニヤしていることには
気付いておらず、特に特別、警戒もしていなかったー。
「ーーーー(この子にしようかなー)」
ニヤニヤしながら近づいてきたおじさんは、
先日、注文した100万円の入れ替わり指輪を身に着けた
順太郎だったー。
ちょうど昨日、100万円の入れ替わり指輪が届き、
それを身に着けて、”入れ替わる身体”を物色していたのだー
”ツインテールに小柄な感じに穏やかで可愛らしい感じー
俺の新しい身体にふさわしいー”
順太郎はそう思いながらも
”まぁ、どうせ…”と、心の中で諦めのようなものを感じていたー。
100万円で購入した入れ替わり指輪は、
指にはめて、その手で握手した相手と
入れ替わることができるのだというー。
効力は1回きりであるため、入れ替わる相手は
慎重に選ぶように、とも説明書きに書かれていた。
だが、”入れ替わり”なんて非現実的なことが
現実で起きるわけがないのだー。
”騙された”
そうに違いないー。
だが、あの広告に書かれていたように
”どうせ死ぬなら”関係のないことだー。
入れ替わろうと思って少女に握手をして、
怪しいおっさんとして通報された挙句、
自ら命を絶つー。
順太郎は、そんな風に思いながら、
天音に声を掛けたー。
「ーーあの…」
何年振りだろうかー。
順太郎が、仕事とお店以外で女性と話したのはー。
まぁー
相手は少女だが、
それでも順太郎にとっては、何年ぶりー
いや、下手をすれば10年以上ぶりぐらいの”快挙”となるー
いや、そんなことはどうでもいいー
「ーーーえ?」
天音が振り返るー。
ツインテールを揺らしながらー
「ーこれ、落としましたよー」
握りこぶしを作りながら、順太郎がそう言うと、
天音は「あ、ありがとうございますー」と、少し不思議そうに
しながらも手を差し出して、
その手を開いたー
「今だ!!!!!!!!!!!!!!!」
順太郎はそう叫ぶと
100万円の入れ替わり指輪をはめた手で、
天音の手を握り、無理やり握手をしたー。
「ーーーーー!!!!!!!」
「ーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
順太郎と天音が目を見開くー。
「ーーーーーーーははは」
順太郎は思わず笑いだしてしまうー。
握手をしたのに、やっぱり入れ替わっていないー。
「ーーーははっ!はははははっ!あははははははっ!」
急に笑い出した順太郎を見て、天音が不安そうな表情を浮かべるー
”やっぱり、100万円の入れ替わり指輪なんて嘘だったんだ”
そう思いながら、笑いが止まらない順太郎ー。
”あんな、子供でも騙されないような
どうしようもないのにはまって、100万円を失ってしまうことになるとは、
もはや笑いが止まらないー
42歳ー。やはり、神様からしになさいと言われているのだー”
順太郎は、そう思いながら笑い続けるー
「あははっ!あはっ!ふひっ!あはははははははっ!
あはっはっははははははぁ~~~!」
完全に狂人のソレだー。
だがー
しかしー
いつの間にかー
少女が笑い出していることに
順太郎は気づいたー
「ーーーー!」
”ついに俺、女の子にまで笑われるほど落ちぶれたのか!?”
そう思いながら振り返るとー
そこにはー
”自分”がいたー。
不安そうな顔で、泣きそうになっている自分がー
「ーーひっ…!ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
尻餅をついてしまう順太郎ー
だが、尻餅をついたタイミングで、
ふわっと、”自分のツインテールが揺れた”のを感じたー
「ーーあ?」
髪を触る順太郎ー
するとそこにはーー
「か、、、か、、、か、、、か、、、
髪があるぅううううううううううううう!!!!」
嬉しそうに可愛い声で叫んだ順太郎ー。
ツインテールではなく、髪があることに興奮したー。
順太郎はーーーー
ツインテールの少女、天音と入れ替わることに成功したのだー。
「ーーなんだよあの指輪、握手してすぐに入れ替わるんじゃなかったのか」
立ち上がって、可愛らしい服をパンパンと払うと、
泣きそうな顔でこちらを見ている”自分”を見つめたー
「ふはっ…いかにも冴えないおっさんって感じの
醜い姿だなー」
つい数秒前まで自分の身体だった身体を
躊躇いもなく、侮辱する天音(順太郎)。
「ーーな…なにこれ……ど…どういう…こと?」
不安そうな表情の順太郎(天音)を見て、
天音(順太郎)は嬉しそうに微笑むー。
そんな様子を見て、順太郎になってしまった天音は
涙をこぼし始めたー。
42歳の髪の薄い冴えないおじさんが
公園で突然ボロボロと涙をこぼしているー。
この世の中ではー
何の絵にもならない光景ー…
かもしれない。
「ーーーうわぁ……やばいおっさんだな…へへ」
天音(順太郎)はそう呟くとー
”無性に元・自分”に腹が立ったー
”俺は、こんな醜いおっさんだったのかー”
別の人間として”元々の自分”を見ることで、
自分に対する感情がこんなにも変わるとは思わなかったー
天音になった順太郎は思うー。
”なんだこの醜い生き物はー”
とー。
さっきまで自分だった身体に対して
ここまで平然と”醜い生き物”と断言できる人間は
そう多くはないだろうー。
だが、元々、”死ぬか”と思っていたほどの順太郎は、
自分のことが大嫌いだったー。
「ーーー……な…なんでわたしが……おじさんにー…?」
戸惑う順太郎(天音)ー
この子はまだ中学生ー
確かに、状況を理解するのは難しいだろうー。
そう思いながら、
天音(順太郎)は笑みを浮かべるー
「ーーおじさんどうしたの~?」
泣いている”元自分”を見つめながら
煽るような口調で呟く天音(順太郎)ー
「ーーー…わ…わたしが何で…目の前にー?」
入れ替わったことすら理解できていない様子の
順太郎(天音)ー
そんな姿を見つめながら、微笑むと
「わたしが目の前に~?
おじさんは、おじさんでしょ!」
と、天音っぽい口調を勝手に想像して、そう呟いたー。
「ーーー…わ…わ…わたしは…わたしは…
わたしはおじさんじゃないよ…!」
順太郎(天音)は、
目の前にいるのが”自分”であることから、
同い年の人間に話すような口調で話すー。
「ーーえ~~?だってどう見てもおじさんじゃ~ん!」
天音(順太郎)はだんだんと愉快になってきて、
煽り続けるー。
順太郎(天音)は、ついにその場に座り込んで
泣き出してしまうー。
公園で座り込んで大声で泣くおっさんー
「ーーうわぁぁ…最悪だなぁ…俺」
天音(順太郎)は”元自分”の無様な姿を見つめながら
「ーーおじさん、何で泣いてるの~?」
と、ニヤニヤしながら言い放ったー。
公園で”おっさん”が大声で泣いているー。
そんな異様な光景に、
何人か人が集まってくるー。
「ーーーーー(人が集まってきたか)」
天音(順太郎)は少しだけ笑みを浮かべると
「ーこのおじさん、何か急に泣き出したんですけど…!」と、
不安そうな顔を”わざと”浮かべて
周囲に集まってきた人たちに言い放ったー。
「ーーーどうしたんですか?」
集まってきた人の一人が、順太郎(天音)に話しかけるー
「ーわたしが…急におじさんになってて、
わたしが目の前に、もう一人いてー」
天音になった順太郎を指さしながらそう言い放つ
順太郎(天音)ー
だがー
そんな話、誰も信じることなどなくー
集まった人たちの一人が、「とりあえず警察に相談しようかー…
このままにしとくのもアレだし」と、
警察に通報してしまうのだったー。
②へ続く
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コメント
ツインテールな少女の身体を手に入れたおじさん…!
今のところ楽しそうに煽ってますネ~笑
続きはまた明日デス~!
コメント
年齢差のある入れ替わりいいですねぇ
少し小柄な感じの子なら尚更
さて続きはどうなるのやら
コメントありがとうございます~!
中学生が相手の入れ替わりは
私の作品の中ではレアですネ~!☆!