<入れ替わり>きみは”虫”だよ②~人間になった僕~

ある日ー
大学からの帰りに虫と身体が入れ替わってしまった
女子大生・望愛。

虫になった彼女と、人間になった虫の運命は…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「もしもし~?」
イスで足を組みながらスマホを手に、電話をし始める望愛(虫)ー

虫になった望愛は
”ちょっと!やめてよ!”と叫びながら、
容器の外を見つめるー

「ーーーあ、光雄~?
 光雄ってさ~、僕たちー…あ、いや、虫のこと嫌いなんだよね~?」
望愛(虫)が彼氏の光雄に電話をしながら
チラッと、容器の中に入れられてしまった
虫(望愛)のほうを見て、
悪そうな笑みを浮かべるー。

「ーーうん~そうなんだ~…
 じゃあさ、わたしもあんたのこと、嫌い」

望愛(虫)が、笑いながら電話の向こうの彼氏に言い放つー

”え…?ど、どういうことー?”
彼氏の光雄は、完全に戸惑った様子だったー

”嫌いって言ったの。
 わたちたち、別れましょ”

淡々と呟く望愛(虫)ー

”や…やめてよ!ねぇ!”
容器の中から必死に叫ぶ虫(望愛)ー

だが、虫の身体になってしまった望愛に、
その言葉を、望愛になった虫に伝えることすらできないー

「え?意味が分からなかった?
 じゃ、もう1回言うよ。「お別れ」したいの」
望愛(虫)が笑いながら言うー。

”そ…そんな…急にどうして!?
 っていうか、さ、さっきまで普通に話してたのにー”

彼氏の光雄は混乱していたー。

望愛は、虫と入れ替わる直前ー
大学から帰宅している最中にスマホで光雄と会話をしていたー

光雄からすれば、たった1時間ちょっとで、
望愛の態度が急変してしまったことになり、
困惑することしかできないー。

「ーー急に冷めちゃったー
 僕のこと嫌うあんたと、カップルとか、我慢できないー」

”ぼ、僕ー?”
光雄が不安そうにそう呟くー

「あぁ、ううんー こっちの話ー
 とにかく、これでお別れー
 もう二度と連絡してこないで。バイバイ」

望愛(虫)はそう言うと、スマホの通話を終了して
「人間ってすごいなぁ~~~」と、
スマホを見つめるー。

”望愛の脳”から人間の記憶を読み取っている望愛になった虫は
当然、スマホの存在も、スマホの操作も理解したが
”記憶”を手に入れても、”感情”的な部分はまた別問題だー。

只々”すごい”ー
虫からしてみれば、人間の使うモノは、
不思議でいっぱいだったし”すごい”の一言だったー。

”ーーわたしの身体を返して!”

虫になってしまった望愛からすれば、
光雄がどんな返事をしたのかは分からないがー
必死にそう叫んだー。

いきなり仲良しの彼氏とお別れさせられてしまったー。
身体が虫になってしまっただけではなく、
彼氏と別れさせられてしまったことは、
望愛にとって非常に強いショックだったー

「ーーすごい…すごいよ人間って」
望愛(虫)は興奮した様子でそう叫ぶー

いやー、様子だけではなく
実際に身体も激しく興奮していたー。

虫からしてみれば”人間の世界”は
自分が虫であったときよりも、はるかに広く、
希望に、可能性に満ち溢れている世界だったー。

「ーー僕…今日から村木 望愛として生きるよー…!」
望愛(虫)が嬉しそうに言うー

”や…やめて…!勝手なことしないでよ…!”
虫(望愛)が叫ぶー。

もちろん、その声は、望愛になった虫には聞こえないー。

「ーー安心して、僕がちゃんと君の代わりをやって見せるから!
 ほら、僕、君の記憶、ちゃんと読めるから!
 大丈夫大丈夫!」

望愛(虫)はそれだけ言うと、
「あ~~~…すごい…!うふ…あははは!」と、
子供のようにスキップしながら、
虫になった望愛の入れられている容器からは
見えない位置に移動してしまったー

虫(望愛)はー
”自分の身体”が何をしているのかも分からない位置に
行ってしまったことに強い不安を感じるー

”誰か…誰か助けてー…”
そんな風に何度も何度も思う虫(望愛)ー

けれど、彼氏の光雄と勝手にお別れさせられてしまった以上ー
望愛の家を訪れる可能性のある一番の人間と絶縁してしまったことになる。

もちろん、誰かが望愛の家にやってきたとしても、
それでこの状況に気付いてもらえるかは分からないがー、
とにかく、誰かが来てくれない限り、望愛はずっと、虫のままー…
に、なってしまうかもしれないー

”ーー…早く…なんとかしなくちゃー”

虫の身体で出来ることは限られているー。

必死に容器の隙間から外に逃げ出そうとするもののー
そう簡単には外に出ることはできないー

”そういえばー”
虫(望愛)は、考えるー

さっき、望愛になった虫は、”餌をくれる”と、
そう言っていたー。

”餌を入れに来た時ー…”
虫(望愛)は考えるー。

餌を入れるには、この容器を一度開けないと、
入れることはできないー
恐らく隙間から入れるのは無理だろうー。

”あの子が、ここに餌を入れる時がチャンスー…”
虫(望愛)はそう考えるー。

ここに入れられたままじゃ、何もできないー
どうにかしないとー。

そんな風に考えているその時だったー

「おいし~~~~~!」
そんな声が聞こえてきたー

台所の方で、望愛(虫)は何かを
食べている様子だったー

「チョコレート…ってやつ、わぁぁ…おいしい~!」
子供のように喜ぶ望愛(虫)の声が聞こえるー。

”あんまり食べ過ぎないでね…”
虫(望愛)はそんな風に願うー。

あまり暴食されてしまうと、太ってしまうー。

そんな風に考えていると、
今度は、甘い声が聞こえてきたー

「わぁぁ…なんだこれ…ひゃ♡」

何かエッチなことをしている感じの声ー
やがて、それはだんだん激しくなっていくー

”ちょっと…!お隣さんに聞こえたらどうするの…!?やめてよ…!”
虫(望愛)が、容器の中からそう叫ぶもー
もちろんそれは望愛になった虫には聞こえずー、
隣人が今、在宅だったら確実に響き渡ってそうな
大きな喘ぎ声を望愛(虫)は出しているー。

虫からしてみれば、男の身体だろうと、女の身体だろうと、
”虫の身体では味わうことのできない”
初めての経験だったー

「な…なにこれぇ…す…すっごぉぉぉい♡」

望愛(虫)は喜びながら、
自分の身体のー…望愛の身体の反応を堪能していたー。

虫では感じることのできない最高の快感ー

望愛になった虫はー
この快感を忘れることができなくなってしまったー。

「ーーはい、餌だよ」

夜ー
望愛(虫)が虫カゴ代わりにしている容器の扉の部分を
開いて、餌を入れようとしてきたー

”ーーー!!”
虫(望愛)は、咄嗟に脱走しようとしたー。

脱走したその先に何があるのか、
それは虫(望愛)には分からないけれど、
とにかく、ここから逃げ出さないことには、始まらないー。

しかしー

「ーーー!!!!!!」
虫(望愛)は動きを止めたー。

望愛(虫)が餌を持っていた手とは別の
もう片方の手に”殺虫剤”を握りしめていたのだー。

さっき、大学からの帰宅最中に、
本来、明日会う予定だった虫嫌いの彼氏・光雄のためにと
切らしていた殺虫剤を買ったー…

その、殺虫剤だー。

「ー逃げようとしちゃ、ダメだよー」
望愛(虫)が微笑むー

「しゅ~~~~~~~~~~~~」
望愛(虫)が殺虫剤を虫(望愛)に向けてー
そう声を出したー

”や、、やめてええええええええ!”
虫(望愛)は悲鳴を上げたー。

だがー
実際には殺虫剤は発射されておらず、
望愛(虫)が口で”しゅー!”と言っていただけだったー。

「ーーーふふふ…僕たち虫は、すぐにこれかけられると
 死んじゃうんだね。

 人間って酷いもの作るなぁ~」

望愛(虫)はそう呟くと、餌を容器の中に入れ終えて
立ち去っていくー。

”はぁ…はぁ…はぁ…”
虫(望愛)は身体を震わせていたー

虫になってみて、初めて分かったー。

人間に殺虫剤を向けられるー、ということは
人間が銃を向けられるのと、同じぐらいの恐怖を感じる…
ということをー。

虫(望愛)には何もできなかったー。
あまりの恐怖に、
このちっぽけな身体が震えただけでー
他には、何もー
できなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「ーーふふふ…どうだい?似合うかいー?」
望愛(虫)が、生足を晒したショートパンツ姿で、
虫になった望愛がいる容器の前にやってきたー。

”ちょっと…!そんなに足を出して何のつもりなの!?”
虫になった望愛が叫ぶー。

「ーおしゃれって楽しいねー
 君の記憶を見ながら色々試してみたら
 僕、はまっちゃったよ」

望愛(虫)はニヤニヤしながら
自分の足を見つめるー

「ーーふ~~~こういうの…エッチっていうのかな?」
望愛(虫)の言葉に、
虫(望愛)は”ちょっと!やめて!”と、叫ぶー。

”おしゃれ”をするぐらいならまだしも、
”エッチ”なんて言葉が出てきた以上、
このままエスカレートするとまずい、という気持ちが
虫になった望愛の中で膨らんできて、虫(望愛)は
さらに焦りの感情を膨れ上がらせていくー。

「ーーでもさ、凄いんだよ!
 僕がさ、大学で男の子に甘えたりすると、
 何でもお願い、聞いてくれるんだよ!」

望愛(虫)は嬉しそうに言うー。

「ーー人間って楽しいなぁ…
 僕、人間になれて本当にうれしいよ!」

望愛(虫)は興奮した様子で言うと、
「あ、そうだったー。ほら、餌だよ」と、
見下すような視線を虫(望愛)に浴びせながら、
餌を容器の中に入れてきたー。

人間になって2日目のこの虫はー
”女”という立場を既に悪用し始めているー。

”早く…なんとかしないとー”

「ー僕は楽しくてたまらないよー。
 だってほらー…
 虫だった僕には、おしゃれなんて、何もできないだろう?

 せいぜい、脚を綺麗に掃除することぐらいだー。

 でもまぁ、”人間”になった僕から見たらー
 虫が脚を掃除してたって、な~んにも分かんないね ははっ」

そのまま立ち去っていく望愛(虫)ー

虫(望愛)は、”どうすることもできないこの状況”に
焦りを感じていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

それからさらに数日が経過したー。

望愛になった虫は、どんどん過激な服装を好むように
なっていき、
帰宅すると、虫になった望愛から見えない場所で
一人、エッチなことをするようになったー

姿は見えないが、聞こえてくる音や、声で
何をしているのかは大体想像はできるー

「イク、ってやつ、すごいねー。
 僕にはあんなすっごいゾクゾク感じることー
 なかったからなぁ」

ニコニコしながら餌を渡しに来る望愛(虫)ー

その時だったー

♪~~

部屋のインターホンが鳴り、
可愛らしいミニスカート姿の望愛(虫)は
「はい~」と、返事をしに行くー。

”望愛の記憶”を全て受け継いでいるからか、
”普通に人間らしい振る舞い”を
1週間ちょっとの間に、完璧にマスターしているー。

一方ー、
”虫”になった望愛にも、虫の記憶は流れ込んできているがー
”確かに”この生き方をしてきた虫が、
いきなり人間になったら、有頂天になってしまうのもー
仕方がないのかもしれないー、と思えてしまうような
人生…いや、虫生だー。

一度人間を知ってしまったらー
こんな生き方はー

虫(望愛)がそんな風に思っていると、
望愛の部屋に、彼氏”だった”光雄が入ってきたー。

「一度、しっかり話がしたいんだー。
 このまま急に別れるなんて、俺…」

来客はー
”望愛になった虫”にいきなり別れを告げられた彼氏の光雄だったー

”光雄!!!”
虫(望愛)が叫ぶー

その声は、当然届かないー

「って、うわぁ!?」
光雄が、望愛の部屋にいる虫(望愛)に気付いて悲鳴を上げるー。

光雄は”虫嫌い”

望愛の部屋に容器に入った虫がいるのを見て、悲鳴を上げたのだったー

「ーーーあ~~そっか、光雄、虫が嫌いだったんだね~」
望愛(虫)はクスッと笑うと、殺虫剤を持ってきて、光雄に手渡したー。

「ーーえ?」
困惑する光雄。

望愛(虫)は、笑みを浮かべながら
「ーーほら、しゅーっ!っtやっちゃえ」と、
光雄に対して言い放ったー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

やりたい放題の人間になった虫…!
果たして、元に戻ることはできるのでしょうか~?

続きはまた明日デス~!

入れ替わり<きみは”虫”だよ>
憑依空間NEO

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