☆本日(29日)の通常の更新は既に終わっています!
こちらは5周年記念作品デス!
通常の更新はこの1個前にあります!
憑依空間5周年記念作品!
大切な彼女が、憑依されてしまったー。
その裏に潜んでいたのは、憑依薬の売人・愛染ー。
そして、学校では不穏な動きがー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー」
体育館にやってきた舞桜は表情を歪めたー
”お前の憑依の秘密を知っている”
そう書かれた紙が、舞桜の机の中に入っていたのだー
「ーーチッ…」
舞桜は舌打ちをしながら、体育館にやってきていたー。
舞桜に憑依している不良・星宮は、
”舞桜を悪女にする”ことには全く抵抗がないし、
”舞桜が豹変した”と思われても全然構わないと、
そう、考えていたが、
一方で”憑依”のことを知られることは、
激しく嫌っていたー。
”単に、舞桜が突然悪い子になってしまった”と思われるのと
”舞桜が他人に憑依されている”と周囲から思われるのでは
全く事情が変わってくるし、
後者の場合は、星宮が望まないような面倒なことに
なる可能性があるー。
そんな風に考えていた舞桜の前に、
舞桜が想像していない人物が、姿を現したー。
「ーーーー」
体育館の入口付近ではー
舞桜を尾行してきた圭哉が、
舞桜の様子を見張っていたー。
”舞桜は、僕が取り戻すんだー…”
なんとか、”憑依された舞桜”を助け出したいー。
そう願っている圭哉は、
舞桜の行動をずっと朝から監視していたー。
”何か、元に戻すヒントがあればー”と、
そう思ったのだー
”これじゃ僕…ホントストーカーみたいじゃないか…”
圭哉はそんなことを思いながら
舞桜に憑依したという”星宮”なる人物に怒りを感じると共に、
その星宮に憑依薬を売った憑依薬の売人・愛染に対しても、
怒りを感じながら、体育館の中をこっそりと除いたー
「ーーえ…」
圭哉が表情を歪めるー。
何者かに呼びされたような感じだった舞桜の前に
姿を現したのはー
圭哉にとっても、想像していない人物だったー
「ーーせ、先生ー?」
舞桜が表情を歪めるー。
姿さえ見なければー
振る舞いさえ見なければー
声だけを聞けばー
いつもの舞桜のような声だー。
圭哉は一旦、物陰に隠れて、
体育館の方に耳を澄ませるー。
「ーー田内ー…いいや、星宮と言ったか?」
舞桜の名前を呼んでから、
圭哉に聞かされた舞桜に憑依した男・星宮の
名前を口にしたのはー
圭哉の担任の教師でもある芹沢先生だったー。
「ーーな、何のことです?」
舞桜が、表情を曇らせながら呟くー
舞桜に憑依している星宮も
”学校の教師にバレたら”面倒臭い、と
そう考えたのだろうー。
「ーー”憑依薬” どこでそれを手に入れたー?」
芹沢先生の言葉に、舞桜は表情を歪めるー
「な…なんのことだかーわたし…」
舞桜がそう言いかけると
「とぼけるんじゃねぇ!」と
芹沢先生が声を荒げたー
「田内がそんな不真面目な態度を取ったり、
そんな派手な格好したりするわけないだろうがー。
おかしいと思ってたんだー
まさか、”憑依”とはなー」
芹沢先生がそう言葉を口にするー。
体育館の入り口付近で身を隠していた圭哉は
”先生は、舞桜を助けようとしてくれているんだー”と、
そう考えたー。
「ーーくっ…く…く、ははっ!はははははははっ!
だったらどうするんだよ!おっさん!」
舞桜が本性を現して叫んだー。
「ーーーー!」
芹沢先生が表情を歪めるー。
圭哉から話は聞いていたし、
最近の舞桜の豹変は”異様”なのも当然理解していたー。
だが、本当に舞桜が、こういう振る舞いをすると、
”分かっていても”驚きを隠すことはできないー
「ーーー俺は今は女子高生だー。
女子高生の俺を、こんなところに呼び出して
1対1で話すってのにはー
”リスク”があるってことは、分かるよなぁ?」
舞桜はそう言うと、自分の制服を少しだけ乱して
邪悪な笑みを浮かべるー
「このまま俺が”きゃ~~~っ”て、泣きながら
外に逃げ出してー
”芹沢先生に乱暴されて…”ってー
叫んだらぁ…
どうなるか、わ・か・る・よ・な?」
舞桜の脅すような口調に、
芹沢先生は口を開こうとしたー。
その時だったー
「ーーーえ」
体育館の入り口付近から、体育館の中を見つめていた圭哉は
思わず表情を歪めたー。
体育館にいた舞桜も、驚きの表情を浮かべているー。
体育館の反対側の扉からー
圭哉にとって、見覚えのある人物が入ってきたのだー
「ーーー愛染…!?」
圭哉が思わず声を出すー。
体育館に憑依薬の売人・愛染亮が入ってきたのだー。
愛染は鋭い目つきで相手を睨みながら、
ゆっくりと歩を進めるー
圭哉は”何をしに来たんだー?”と思いながら
愛染のほうを見つめー、
ある考えにたどり着いたー。
”昨日の説得が通じたのかもしれないー”
そう、思ったのだー
愛染は、憑依された舞桜を助けるために、ここにー
「ーーなんだ、お前はー!?」
舞桜が、乱暴な口調で叫ぶー。
舞桜に憑依している星宮は、”憑依薬の売人”愛染の名前と声は
知っているが、本人の容姿を知らないためにそう叫んだー。
だがー
愛染が睨んでいたのは
”憑依された舞桜”ではなくー
芹沢先生の方だったー。
「ーーーー!」
芹沢先生は、ここにいる舞桜よりもー
そして、圭哉よりも驚いていたー。
「ーーーーお前はーーーー」
「ーーーお久しぶりですー
僕のこと、覚えていますかー?」
愛染が芹沢先生に向かって言うと、
憑依されている舞桜は、困惑した様子で二人のやり取りを見つめたー。
「ーーまぁ…聞くまでもなさそうですねー。
そのご様子ではー」
愛染が言う。
愛染が体育館に姿を現してからの芹沢先生の反応は
明らかにおかしいー。
彼が”愛染のことを知っている”ということを露骨に示していたー。
「ーーー愛染!」
圭哉が体育館に入ると、
憑依されている舞桜と、芹沢先生も圭哉のほうを見たー。
「ーーー奥田ー」
圭哉のほうを見て、芹沢先生が圭哉の名前を呼ぶー
「ーーーーなんだなんだー…次から次へとぞろぞろとー」
舞桜が不機嫌そうに舌打ちをするー。
「ーーーー君もいたのかー」
愛染は、ふっと笑うと、「ちょうどいいー」と、言葉を続けたー
「ー昨日、君が僕のところに来た時、
昔、僕の彼女・莉奈が憑依された挙句、殺されたって話をしたのを
覚えているかな?」
愛染の言葉に、圭哉は「昨日聞いたばかりだから、覚えてるさ」と、言い放つー。
愛染は、言葉を続けるー
「「女は、男を楽しませるために居るんだよー」
そいつは、僕の彼女ー、莉奈の身体でそう、僕に言ったよー」
愛染はそこまで言うと、圭哉から芹沢先生の方に視線を向けたー。
「ーー女は、男を楽しませるためにいるー…
そう言っていたあなたがー、まさか教師だったとはー」
「ーーー!」
圭哉が、
憑依されている舞桜が、
芹沢先生のほうを見つめると、芹沢先生が邪悪な笑みを浮かべたー。
「ーあの時、莉奈に憑依した男を、僕はずっと探し続けてきましたー。
そして、数年前、ようやくあなたの存在を突き止めたー。
裏社会が管理する憑依薬購入履歴の情報を調べるために
ネットワーク型の巨大組織”闇.net”に協力を依頼してー、
あなたの顔写真と、名前を知ることができたー。
けれど、なかなかあなたにたどり着くことはできなかったー」
愛染はそこまで言うと
「まさかの偶然だったよー」と、呟くー
「ー君が僕の孤児院に忘れていったスマホのー
集合写真に、”僕の彼女の仇”である男が映ってるなんてー」
「ーーーーーー!!!!!」
圭哉は表情を歪めたー
「ーーえ…どういうことー…?」
圭哉が愛染に向かって言うと、
愛染は静かに圭哉のほうを見つめたー
「君の担任の先生がー、昔、僕の彼女に憑依して
僕の彼女の命を奪った男ーーー」
愛染はそこまで言うと、芹沢先生のほうを睨みつけたー
「神塚 隆三(かみつか りゅうぞう)!ようやく見つけたぞ!」
愛染が普段の冷静な雰囲気を捨てて、感情をあらわにしたー
「か…神塚ー…?」
圭哉が芹沢先生のほうを見つめると、
芹沢先生は笑みを浮かべたー
「ははははは…まさか、偽名まで使ってー、裏社会から足を洗ったってのにー」
芹沢先生は頭を掻きむしりながら笑みを浮かべたー。
愛染が、彼女・莉奈の仇を見つけるのに手間取っていたのはー
”莉奈に憑依された男の名前も顔も最初は分からなかったからー”
ようやく、それを手に入れても、
今度は”神塚 隆三”が、偽名を使っていたため、
その足取りを追うのに手間取っていたー
だが、今日、ようやく見つけたー。
「ーーへへへ…そうさー。俺だよー
あの時、お前の彼女に憑依したのはな!」
芹沢先生が笑うー。
「ーせ…先生ー…?」
圭哉が言うと、芹沢先生は「奥田」と、
圭哉のほうを睨みつけるようにして見つめたー
「今、ここで聴いたことは全て忘れろー。
今、見たことも全てだー。
そして、今すぐにここから立ち去れー。
お前はイイ子だから、できるよな?」
芹沢先生の言葉に、圭哉は困惑の表情を浮かべるー。
「ーーぼ…僕はー…」
圭哉は少し間を置いてから、すぐに芹沢先生のほうを
真っすぐ見つめながら叫ぶー。
「僕はー……舞桜を助けたいんです!
だから、ここを去るわけには、いかないー!」
圭哉が言うと、体育館の少し離れた場所に立っていた舞桜が
ニヤリと笑みを浮かべたー。
芹沢先生は「そうかそうか」と頷くと、
突然、隠し持っていたナイフを取り出したー。
「ー悪いが全員ここで死んでもらうー。
なぁにー…俺はこの愛染から、憑依薬を奪って
別の身体で生きることにするから問題ないさー」
芹沢先生が、
愛染・圭哉・舞桜の三人をそれぞれ見つめながら笑うー。
「ー先生ー……先生はいったいー…?」
圭哉が言うと、芹沢先生は
「芹沢ってのは偽名だー」と答えるー。
「本当の名前はさっき、そいつが言ってた神塚 隆三ー
せ~っかく、悪さから足を洗って、
こうして”いい先生”やってたのによぉ…」
芹沢先生は、そう呟きながら圭哉のほうを見るー。
「ー俺はな…元々、裏社会で幅を利かせていた
銀狼(ぎんろう)ってとこに所属してたんだー。
喧嘩したり、人を騙したり、裏切ったりー
そういったことは、日常茶飯事の世界だー。
お前らにゃ、想像つかねぇだろ?」
芹沢先生は、
圭哉と舞桜、愛染をそれぞれ順番に見つめながら
まるで、自分自身がこの体育館の支配者であるかのように
”演説”を続けるー。
「ーーそんなある日、俺は裏の世界で偶然”憑依薬”を手にしたんだー。
仲間たちに気付かれないように、俺は”銀狼”を抜けて
手に入れた憑依薬で、散々遊んだよー。
そいつ、愛染の女に憑依したのも、その時だー。
まぁ、あの女は、最後は嬉しそうに自殺しちまったけどなー!」
芹沢先生が笑うー。
愛染は挑発に乗りはしなかったものの、
拳を握りしめて震わせていたー。
「ーーで、手持ちの憑依薬も尽きてー、
どうするか迷ってる時にー
俺の恩師だった当時の校長が、俺のことを心配して
更生するように言ってきてー、
俺は”裏口”で教師になったんだー。
芹沢って偽名はー
教員免許持ってて、”本人”は今、所在の分からない男の名前でなー
俺が代わりにそれを使ってるんだー」
芹沢先生はそこまで言うとー
「ーでもまさかー
俺の前の前で”憑依”の話題がまた出てくるなんて思わなかったよー」
憑依された舞桜のほうを見つめる芹沢先生ー
「ーよぉ、お前ー…どこで憑依薬を手に入れたー?
教えろよー」
芹沢先生が言うー。
愛染の”裏オークション”は、表示される人間を絞っていて
徹底的に情報拡散を防いでいるため、
知らない人間は、知らないー。
芹沢先生も、当然知らなかったー。
「ーーーく…くくくー」
舞桜が笑い出すー。
「ーーおっさん、何なんだか知らねぇけどー…
おっさんも憑依したいってことか?」
舞桜に憑依している星宮が笑うー。
「ーーーーーー」
芹沢先生が、舞桜のほうを睨むー。
「ーーーー教えると思うかー?
へへっー」
舞桜が、愛染のほうをチラッと見つめながら、
芹沢先生のほうを見るー。
”さっき、愛染って呼ばれてたなー
ってことはーこいつが憑依薬の出品者かー”
舞桜に憑依している星宮は、愛染のほうを今一度
見つめながらそう考えるとー
”俺としても、憑依がどうこう騒がれると面倒臭いからなー”
と、芹沢先生のほうを今一度見つめるー
”舞桜が急に豹変して不良になった”
そんな事実に、例え周囲が困惑していたとしてもー
”憑依”なんてことは、言われなければ分からないしー
疑いを持ったとしても、それを証明する手段はないー
だがー
”こいつらみたいのがいると、厄介だなー”
舞桜はそう呟くと、
芹沢先生のほうを見つめたー
「ーこの女の身体は俺のものだ!
憑依の快感は、俺だけのものだ!
お前みたいなおっさんに教えるものか!」
舞桜がバカにしたような笑みを浮かべながら叫ぶー
「舞桜ー…」
圭哉は、彼女の舞桜が好き放題されている光景に
腹を立てながらも困惑しながら、状況を見定めるー
星宮とかいう不良に憑依された舞桜ー
裏の顔を持っていた危険な芹沢先生ー
そして、憑依薬を売る男・愛染ー。
この場にいる人間は、圭哉にとって
誰一人油断ならない人物であることには、違いないー。
なんとか舞桜を助けたいー。
そのためには、この状況、どうすればいいのかー。
圭哉は、表情を歪めながら
周囲の状況を見渡すー。
「ーーーなめるんじゃねぇぞ」
芹沢先生が、凶悪な本性を露わにして、
舞桜の胸倉を掴むー。
「ーせ、先生!そ、その身体は舞桜のーー」
圭哉はそんな言葉を口にしながら
芹沢先生を止めようとしたー。
だがー
「奥田。黙ってろ」
芹沢先生が、これまでの”先生”としての口調ではなく
邪悪な本性をむき出しにしながら、圭哉を脅したー。
「ーーく…く…くふふふふふふ」
胸倉を掴まれたままの、憑依された舞桜が笑うー。
「ーおっさんさぁ…状況、分かってるー?」
舞桜のバカにしたような口調に、
芹沢先生は表情に怒りを浮かべながら言葉を吐きだすー。
「ーお前こそ、銀狼(ぎんろう)に、所属していた俺を舐めるんじゃねぇぞ?
憑依薬をどこで手に入れたー。
言えー」
芹沢先生が恐ろしい形相で、舞桜を睨みつけるー。
「ー銀狼だか、敬老だか知らねぇけどー…
ー汚ねぇ手でかわいいわたしに触れるんじゃねぇよ!クソ野郎が!」
舞桜が汚い口調で、怒鳴り声を上げるー。
”舞桜が、あんな口調で怒鳴っているのを見たくないー”
そう思いながら圭哉は、二人のやり取りを見つめるー。
「ーーーーテメェ!」
芹沢先生が、拳を振り上げようとしたー。
だがー
「ーー俺は今”女子高生”で、おっさんは”中年の男性教師”ー
この状況、分かってるよな?」
舞桜の言葉に、芹沢先生が「!」と、手を止めるー。
舞桜が芹沢先生の手を振り払うと、
「ーー俺が涙を浮かべながら「きゃ~~~~~~っ」って
叫んで、体育館の外に飛び出して、助けを求めたらどうする?
芹沢先生が、わたしを…わたしを…ってー
制服を乱しながら出ていったらー…どうなる?
よ~く、考えろよ、おっさんー」
舞桜が挑発的に笑みを浮かべるー。
芹沢先生は「テメェの身体じゃねぇくせにー…」と、
歯ぎしりをしながら舞桜を見つめるー。
舞桜は「ふふっ♡ ”女子高生”って立場はー
悪用すれば最強だもんーー」と、邪悪な笑みを浮かべるー。
芹沢先生が怒りの形相で立ち上がろうとしたその時だったー。
「ーーー神塚ー」
黙って成り行きを見守っていた愛染が、芹沢先生の本名を呼ぶと、
芹沢先生は怒りの形相で振り返ったー。
「ーー愛染ーーー」
芹沢先生がそう言うと、愛染は淡々とした口調で言い放ったー。
「ーー憑依薬は、僕が持ってるー」
体育館の中が静まり返るー。
愛染は、そんなことお構いなしに言葉を続けるー。
「ー僕は、お前に莉奈を殺されてからー
ずっと、”憑依薬の売人”として、憑依薬を売ってきたー」
愛染のそんな言葉に、
芹沢先生は思わず笑いだしたー
「なんだァ?はははっ!そうかそうか!愛染!お前も
あの時の俺のように、女を乗っ取って好き放題したくなったのか!はははっ!
何人に憑依したんだ?
ん~?死んだ彼女似の女にでも憑依して毎晩、お楽しみでもしてるのかぁ?」
芹沢先生の言葉に、
愛染は鋭い目つきで芹沢先生を睨みつけたー
「ーー黙れー。クズがー」
愛染のあまりにも冷たい口調に、
体育館は再び静まり返るー。
「僕が憑依薬を売るのは、憑依薬をいずれこの世界から
完全に根絶するためー。
お前のようなクズと一緒にするなー」
愛染がそう言うと、芹沢先生は笑みを浮かべたー。
「ーーークククーまぁいいー。
お前が憑依薬を売ってるってことはー
お前ー…今も憑依薬を持ってるってことだよなー」
芹沢先生の言葉に、愛染は少しだけ表情を歪めるー。
確かに”持って”いるー
芹沢先生は邪悪な笑みを浮かべると
「なら、話は早いー」
と、愛染に向かって歩き出したー
「ーお前の憑依薬ー俺が貰うー」
芹沢先生の言葉に、愛染が身構えるー。
そんな様子を見ていた舞桜は鼻で二人を笑うと、
そのまま体育館から立ち去ろうとする。
しかしー
「ーー舞桜ー」
その前に、圭哉が立ちはだかったー。
「ーーーーーーふん。いつまでもいつまでもしつこいんだよ!」
舞桜が表情を歪めながら叫ぶー。
「ーーーもうさ、”わたし”はさぁ、あんたの知る田内 舞桜じゃないんだよねぇ…
あんたみたいな、ウジウジした弱っちいやつと誰が付き合うか!
さっさと消えろ!」
舞桜の言葉に、圭哉は心を刺されるような気持ちになりながらも、
それでも負けじと舞桜のほうを見つめたー。
「ー姿は舞桜でもー
声は舞桜でもー
お前の言葉は、舞桜の言葉じゃない!」
圭哉が怒りの形相で叫ぶー
「ーーーーーは~~~~~~~~???????」
舞桜は髪をぐしゃぐしゃに掻きむしると、
鋭い目つきで圭哉を睨みつけたー
「マジでうぜぇなーお前…」
舞桜はそう言うと、圭哉の方に近付いてきて、
顔を至近距離まで近づけて圭哉を威嚇するように睨んだー
”恐怖”
と
”戸惑い”
まるで、大好きな舞桜に睨まれているような、
そんな錯覚に陥ってしまうー。
「ーーーーーーもうわたしは、お前の彼女じゃないー」
舞桜の脅すような口調に、
「ーー勘違いするなー」
と、圭哉が言い返すー。
「ーーーあ?」
舞桜の表情がさらに歪むー。
「ー僕の彼女は舞桜だ!
女の子の身体を乗っ取るようなーー
お前みたいなどうしようもないワルとなんか、
元々付き合ったことなんて、ない!!!!!」
圭哉が叫ぶー
その直後ー
舞桜は、圭哉に突然、殴る・蹴るの暴行を加え始めたー
「ーおらぁ!!調子乗るんじゃねぇぞテメェー」
舞桜が圭哉の胸倉を掴んで、圭哉を睨みつけるー
「ーお前の彼女だった舞桜はもういねぇんだよ。わかるかー?あ?」
圭哉を揺さぶりながら呟く舞桜ー。
「ーーー僕は諦めないー
絶対に、舞桜を取り戻して見せるー」
圭哉は怒りの形相で、舞桜をほうを見つめるー
「ーー何を言っても無駄だっつってんだろー
この身体はもう完全に、俺のものなんだからー」
舞桜に睨まれてもー
舞桜に何を言われてもー
何をされてもー
「ーーー僕は諦めないっつってんだろ!」
圭哉が怒りの形相で言い返すと舞桜は、圭哉をそのまま
殴り飛ばすー。
「ーー今のこの女は、暴力を振るうこともー
男を陥れることもー
お前を殺すことだってー
何でもするぜー」
舞桜の言葉に、圭哉は「舞桜…」と悔しそうに
歯ぎしりしながらも、「それでも僕はー」と、
舞桜に必死に呼びかけを続けたー
「ーーーお前の彼女ー…イイ身体だったぜー
あの時、ぶっ殺しちまったのは、もったいなかったなぁ!」
体育館の舞台側の方では、芹沢先生と愛染が対峙していたー。
「ーーー…」
愛染が歯ぎしりをするー
「ーーへへへへ 世間じゃ、あの小娘、”自殺”扱いだもんなぁ
憑依ってのは本当にすごいぜー」
芹沢先生は手を広げながら叫ぶー。
「ーいつかもう一度憑依したいって、そう思ってたのさー
そろそろ”頼れる教師”を演じるのも疲れたー!
女子高生になって、またエンジョイライフを楽しむってのも一興だ!」
その言葉に、愛染は「クズめー…!」と、
心底蔑んだような表情を浮かべるー
「ーーおいおい、どうするつもりだー?
俺を殺すか?
ここは学校だぞ?
一生懸命やってる男性教師をぶち殺すのか?あ?」
芹沢先生の挑発的な言葉に、
愛染は「裁きを下すー」と、だけ言い放つー
「裁きだァ?ふざけんじゃねぇ!」
芹沢先生の強烈な蹴りが愛染に直撃するー。
吹き飛ばされる愛染ー。
彼女の死から憑依薬を憎み、今、目の前にその仇がいる愛染ー。
この場にいる全員を始末して、憑依薬を再び手中に収めようとする芹沢ー。
彼女の舞桜を何としても取り戻したい圭哉ー。
欲望のために邪魔な圭哉を葬り去りたい、憑依された舞桜ー。
体育館の中に4人の思惑が、それぞれ蠢き合っていたー…
④へ続く
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コメント
明日の④が最終回デス~!
5周年記念作品の結末をぜひ見届けて下さいネ~!
これを書いている時点では④をこれから書き始めるので、
皆様は明日続きが読めますが、
これを書いている時点の私にとってはまだまだ先の長い旅(?)の途中デス~
(※通常の毎日の更新はその日に全部一気に書きますが、
通常の更新以外の更新の小説は、仕事との兼ね合いもあって
毎日500文字ずつぐらい執筆して、完成してから皆様にお届けするスタイルで作っています~☆)
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