<入れ替わり>おじさん体験学習②~二人の違い~

おじさんと1週間入れ替わった状態で
過ごすことになってしまった女子大生ー。

彼女は、入れ替わった状態で、色々な困難に直面していくー。

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1日目ー

”今日はそれぞれの家に帰宅してもらって、
 自宅でまずは身体に慣れて下さいー”

おっさんを差別から守る会代表の内堀にそう言われた、
太郎(菜月)は、太郎の家に帰宅したー

「くっさ…マジで最悪」
太郎(菜月)は、”加齢臭”のような匂いを感じながら
不機嫌そうに
「ってか、なんでこんなところに住めるの…?
 ほんと、あり得ない!歩く公害じゃん」などと
文句ばかりを呟くー。

「ーーっていうか最悪ー…」

”菜月になった太郎”は今頃菜月の家に帰宅しているー

正直、吐き気がするー。

生理的な嫌悪感が身体中から溢れ出しそうになり、
頭をボリボリと掻きながら何度も何度もため息をつくー。

「あぁ~…もうダメ…」
太郎(菜月)は”心底気持ち悪い”というような表情を
浮かべながら、そのままお風呂へと向かうー。

だがー
服を脱いで”中年のおじさん”の身体が露わになったのを見て、
太郎(菜月)はさらに気分を悪くしたー。

男にしかないソレを見て
「無理無理…ホントに無理…」と、
震えながら、そのままお風呂へと向かっていくのだったー。

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”絶対無理!変態!許さない!絶対に、許さない!”

おっさんを差別から守る会で説明を受けたあとに、
太郎になった菜月に言われた言葉を
菜月(太郎)は思い出していたー。

”お互いに相手の家に帰宅する”ということを、
内堀が伝えた際に、
彼女は悲鳴を上げていたー。

最終的には”体験学習をしっかりこなさないと、元に戻れない”と
内堀に言われて、文句を言いながらも菜月は
納得したもののー、太郎からしてみれば、複雑な感じはあったー。

「ーーーふぅ~~~」
だが、菜月が心配しているのとは裏腹に、
菜月の家に帰宅した菜月(太郎)は、
エッチなことをするわけでもなく、
落ち着いた様子で座っていたー。

菜月の部屋を見渡す菜月(太郎)ー

とてもきれいにしていて、
可愛らしい空間ー、とでも言えば良いのだろうかー。

「ーーーーー……」
友達と写っている写真が机の上に飾られているー。

その写真には、楽しそうに笑顔を浮かべている菜月の姿が写っているー。

太郎が見た”菜月”の姿とはまるで別人だー。
中年のおじさん以外に対しては、普通の優しい子なのだろうかー。

そう思いながら、菜月(太郎)は、自分の胸に手が触れてしまったことに気付きー
ドキッとするー。

さっきから、何かをするたびに、度々胸に手が触れてしまったりするー。

”何回やっても、慣れないな”などと、
胸に手が触れてしまうことにドキドキしながら、
おっさんを差別から守る会の代表・内堀と連絡のやり取りをするー。

”菜月の大学の予定”と”菜月のバイトの予定”を内堀に確認しているのだー。

「明日はバイトのみ…か」
菜月(太郎)はそう呟くと、
「ーじゃあ…お風呂は入っておかないとダメかな」と、
そのままお風呂場に向かって歩き始めたー。

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2日目ー。

「ーーーーー!!!!!!」
疲れ果てて寝落ちしていた太郎(菜月)が目を覚ますー

「ーーはぁ…そうだったー」
起きた瞬間は、そんなこと忘れていたのだが、
たるんだお腹が目に入って、
自分がおっさんになっていたことを思い出す太郎(菜月)ー

昨日はお風呂に入ったあとに、疲れ果てて
すぐに寝てしまったー

お風呂は正直、楽だったー。
菜月の髪は長いー。
ハゲかけている頭を洗うのは、不愉快だったが、同時に楽でもあったー。

「ーーまぁ、便利なところが一つぐらいはないとねー」
太郎(菜月)はそう呟きながら、
”バイト”に行く準備を始めるー。

内堀からの連絡で、太郎のバイト先は”コンビニ”であり、
お店自体は全然別の場所だが、
業種としては、菜月と”同じ”であることが分かったー。

バイトの時間を確認し、バイトに行く準備をするー

その最中でー
部屋は味気ないし、菜月の部屋みたいに綺麗でもないがー
その一方で、
ちゃんと整理整頓はされていて、
モノの配置が”効率よく”配置されていることに気付くー。

「ーーーーー…おっさんの家なんて、
 みんな汚いって思ってたけどー」
と、呟きながら「ーーまぁ…ちゃんとしてる人もいるよね」と、
歯磨きを終えて、そのままバイト先へと向かったー

当然、歯磨きは昨日買った”新しいやつ”を使ったー
どうせ、おじさんの口に入れるのだからおなじことなのだがー
どうしても、菜月が生理的に無理だったのだー。

「ーーーありがとうございます~!」
菜月になった太郎も、ほぼ時を同じくして、
”女子大生・菜月”としてバイトをこなしていたー

”ホント、一部の客の態度が違うってのは、あるよなー”
菜月(太郎)はそんな風に思いながら
接客を続けるー。

”一部の客の態度”が自分の身体の時とはまるで違うのだー。

普段の自分なら絶対に文句を言って来そうな
チャラそうな男の客が
嬉しそうに笑みを浮かべたり、
全体的に”客”が親切になるような気がするー

いやー
”気がする”ではないー。
実際になっていると、思うー。

「ーーーったく」
菜月(太郎)は思わず不愉快になって舌打ちをすると、
「え?」と近くにいた店長が菜月(太郎)のほうを見つめるー

「あ、いえ…な、なんでもありませんわ…うふふふふふ」
菜月(太郎)はそう言いながらも
”って、何でお嬢様口調で話しちゃったんだ俺”と、
心の中で明らかにおかしいだろ、と苦笑いしながらも
そのまま菜月として接客を続けたー

”不慣れな身体で戸惑うことはあるけど、
 いつもより客から何か文句を言われることは少ないし、
 色々とやりやすい”

そんな風に思いながら、接客を続ける菜月(太郎)ー

しかし、そんな菜月(太郎)を雑誌コーナーの方から
不気味に見つめている客の姿があったー…。

「ーーおい!早くしろよ!」
客が激怒するー。

別のコンビニでバイト中の太郎(菜月)は、
”何ここ?治安悪すぎ”と、
ため息をついたー。

妙に攻撃的な客が多くー、
太郎(菜月)は疲れ果てながらバイトを続けるー。

「ーーーおい!おっさん!ふざけんじゃねぇぞ!」
客に再び文句を言われる太郎(菜月)ー

”何なの?変な客ばっかり!”
内心で苛立ちを覚えながらも、
いつものように仕事を続ける太郎(菜月)ー

厳密に言えば”いつものように”では全然ないのだが、
菜月自身、元々コンビニでバイトをしているため、
店舗と身体は違えど、ある程度の仕事はできるー。

「ーーー…」
休憩時間に入り、椅子に置かれていた鞄を机の上に移動して、
その椅子に座ったその時だったー

「ーちょっ!?えっ!?キモ!?勝手に触らないでください!」
菜月と同じぐらいの年齢の女子大生バイトが
そう叫びながら休憩室に入ってくるー。

「ーーえ!?あ、ごめー」
太郎(菜月)がそう言いかけると
「ーわ、わたしのカバン、そんな汚い手で触らないでください!」
と、女子大生バイトが怒りをあらわにするー

「ーーえ…き、汚くはないですよー
 ち、ちゃんと手を洗ったのでー」
太郎(菜月)が言うと、女子大生バイトは
「ーーマジ最悪」と、小声で呟きながら、
鞄をウェットティッシュで拭き始めるー

”はー?何なのこの子ー”
太郎(菜月)は不満に思いながら
昼食を食べ始めるー

だが、昼食を食べているうちに、
太郎(菜月)は”自分の姿”を、その女子大生バイトに
重ね始めたー。

「ーーーー」
そういえば菜月も、自分のバイト先で
”おじさんのバイト”に対して辛辣な態度をとることがあるー。

「ーーーーーー」
太郎(菜月)は、少し離れた場所にいる女子大生バイトを見つめながら
”…わたしも、こんな風に”嫌な子”に見えるのかなー”
と、心の中で静かに呟いたー

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それぞれ、バイトが終わりー
それぞれの家に帰宅するー。

二人の反応は対照的だったー。

太郎になった菜月は、帰宅後に
いつもよりどっと疲れた気持ちになりながら
ため息をつくー。

お客さんの態度がいつもより全体的にきつかったし、
店長や、バイトからの反応もどこか冷たかったー

菜月自身は”いつもと同じぐらい”仕事をしたつもりだー。
コンビニの店舗が違うから戸惑う部分はあったとは言え、
怒られるような仕事をしたつもりはなかったー。

「ーーー……」
自分の手を見つめる太郎(菜月)ー

”ーーーーー”
自分が”中年のおっさん”になったからー?
そんな風に思いながら、
”中身”は同じでも、”身体”が変わるだけで
ここまで”周囲の世界”が変わってしまうものなのかと、
太郎(菜月)は驚きを感じるー。

一方、菜月の部屋に帰宅していた
菜月(太郎)は「はぁ~…やっぱかわいい子だと、楽だよなぁ」と、
ニヤニヤ笑みを浮かべるー。

もちろん、女子には女子の大変な部分はあるー。

けれどー
”周囲から蔑まれる中年のおっさん”よりは
圧倒的にマシだと、菜月(太郎)は
感じずにはいられなかったー

「ーーーあ、いけね」
菜月(太郎)は呟くー。

「こんなかわいい子にカップ麺食べさせるのは良くないかな…?」
そんな風に呟き、少しの間、無意識のうちに帰りに
買って来てしまったカップ麺を手にしながらも
「ま…1週間だし、いいか。」と、
カップ麺を口にし始めたー。

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3日目ー。

二人とも入れ替わり後の身体に少しずつ
慣れながら生活を続けるー

「ーーあ~~~…もう…いやだ」
太郎(菜月)は、今日はバイトはなかったため
ぐったりと家の中で過ごすー。

「早くー…早く…1週間経過しないかなぁ…」

さっき、買い物に行った際には、
”何も悪いことをしてないのに”
通りすがりの女子高生たちにヒソヒソと指を指されていた

「はぁ…なんか理不尽ー」

”おじさん”ってこういう理不尽な思いをしているのかなー?
と思いつつも、
今の太郎(菜月)の頭の中は”早く元に戻りたい”という
気持ちでいっぱいだったー。

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4日目ー

菜月(太郎)がバイトを終えて帰宅するー。

「ーーは~~~やっぱ”かわいいは正義”だな」
菜月(太郎)はニコニコしながらそう呟くー。

菜月になった太郎は
”女子大生”としての生活を楽しむ一方で
”おじさん体験学習”のルールは徹底的に守っていて、
菜月の身体になってから4日目の今日まで、
一度もエッチなことはしていなかったし、
菜月のことはしっかりと調べて
”周囲がほとんど気づかないレベル”にまで
菜月に成りすませていたー。

「ーーはぁ~…このおしゃれの喜びが味わえるってのはいいよなぁ」
菜月(太郎)は鏡の前で、
おしゃれな自分を見て、ニヤニヤと笑みを浮かべるー。

”俺がこんなことしてたら、気持ち悪いだけだもんな…”

楽しめることの選択肢に”おしゃれ”があるというのは
素晴らしいことだと思いながら
菜月(太郎)はカレンダーを確認して
”さて、あと3日かー”と、静かに呟いたー。

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5日目ー。

太郎になった菜月は、バイト先に行くのが”イヤ”になっていたー。

同じコンビニで働く女子大生が
毎回のように”気持ち悪い”オーラを全開にしてくるからだー。

まるでー
入れ替わる前の自分を見ているようにも思えてしまうー。

「ーーあぁ…行きたくないー」
頭を抱えながらも、太郎(菜月)はバイト先へと向かうー。

一方ー、
大学を終えた菜月(太郎)は、
今日も”女子大生”としての1日を終えて満足そうに家へと向かっていくー

だがー

「ーーー」
その背後で、菜月(太郎)を見つめる不気味な男の姿があったー

先日もコンビニで菜月を見つめていた男は
静かに笑みを浮かべたー

③へ続く

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コメント

おじさん体験学習の1週間…!
二人は体験学習終了後にどんな感想を抱くのでしょうか~?

続きはまた明日デス~!

コメント

  1. TSマニア より:

    ルールはエッチなことしたらルール違反なんですか?笑

    菜月みたいな女子大生と入れ替わってミニスカ履いてオシャレにコーデしてメイクしてヘアアレンジして女の子のオシャレ楽しみたいですね笑

    無事に戻れるか、または…

    楽しみにしてます!!

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~☆

      おしゃれしてお出かけするのは全然セーフデス~笑

      無事に戻れるのかどうかは、明日のお楽しみですネ~!