☆本日(28日)の通常の更新は既に終わっています!
こちらは5周年記念作品デス!
通常の更新はこの1個前にあります!
憑依空間5周年記念作品ー!
彼女の舞桜が憑依されてしまったー…!
圭哉は、舞桜が豹変する原因となった
憑依薬の売人・愛染の存在を突き止め、
愛染の元を訪れたー…!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー僕が、愛染ですが」
愛染は、やってきた男子学生が”怒り”を抱いていることを
読み取りながらも、表向きの”好青年風”な態度で、
圭哉にそう言い放ったー。
圭哉の表情が、一瞬にして、鬼のように歪んでいくー
「ーーお前が……愛染っ…!」
圭哉は怒りの形相で、愛染の胸倉を掴んだー
臆病で、暴力も振るわない圭哉がー
いきなり初対面の男の胸倉を掴んでしまうぐらいに、
激しい怒りを、この愛染に対して抱いていたー。
「ーーーー先生~早く遊ぼうよ~!」
愛染の経営する孤児院の子供たちが、愛染を呼ぶー。
「ーーーーー」
愛染が、子供たちのほうを気にするー。
「ーーー憑依薬ー」
圭哉は、愛染の胸倉を掴んだまま呟いたー。
「ーーーーー」
愛染は、圭哉のほうを見つめながら
”最近憑依薬を買った人物たち”のことを思い出すー。
当然、容姿の知らない相手も多いがー、
この男子学生も、憑依薬を買った人間だろうかー、と
一瞬考えるー。
だがー、圭哉はそんな愛染の疑問をすぐに打ち消したー。
「僕の彼女が、舞桜がー…
お前の憑依薬のせいでーー…」
圭哉の言葉に、愛染は
「ーー君は…」と呟くー。
圭哉は自己紹介をするとー、
彼女の舞桜が、愛染から憑依薬を買った星宮という男に
憑依されたことを説明したー。
「ーーー舞桜を元に戻せー」
圭哉が胸倉を掴んだまま言うー。
愛染は「子供たちの前だー。まずはー…」と、
場所を変えようとするー
しかしー
「ーふ ざ け る な!」
圭哉は愛染を掴む腕に力を込めて大声で怒鳴り声を上げたー。
「ーー孤児を預かっているから、何だって言うんだー?
お涙頂戴の物語でも語るつもりかー?
僕はーー!
僕の彼女は、お前が売った憑依薬のせいで、
今、知らない男に好き放題されてるんだっ!」
圭哉は怒りの形相でそう叫ぶと、
愛染を突き飛ばしたー。
愛染が孤児院の芝生の上に手をつくー。
近くで遊んでいた子供たちが駆け寄ってきて、
愛染を心配しー
圭哉の前に立ちはだかるー
「やめて!」
とー。
圭哉は表情を歪めるー
「僕だって…!僕だってこんなことしたくないのにー!
これじゃ、僕が悪者みたいじゃないか!」
そう叫ぶ圭哉ー
愛染は、立ち上がると、
「大丈夫ー」と、子供たちに向かって言い放ちー、
「ー僕のほうが、悪者なんだー」と、子供たちに説明するー。
詳しいことまでは子供たちに話さなかったが、
愛染は、子供を盾にするようなことはせず、
孤児院の経営をサポートしている年配の男に
子供たちを任せると
「ーーーー場所を変えたいーー」
と、愛染は頭を下げたー。
「僕にとっても、君にとっても、子供たちの前で
話をするのは、得策じゃないー」
とー。
圭哉は少しだけ冷静さを取り戻すと
「わかったー」と、だけ答えたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
孤児院の奥の、愛染の部屋にやってきた二人ー。
愛染が「どうぞ」と、椅子に座ることを促すー。
圭哉は戸惑いながらも、椅子に座り、愛染のほうを見つめるー。
「ーー君の話を、聞かせてほしいー」
愛染が先に言葉を切り出したー。
圭哉は、こみ上げてくる怒りを抑え込みながら、
「ーーーお前が売った憑依薬のせいで…僕の彼女の舞桜はー」
と、悔しそうに呟いたー。
「ーーー…珍しいよー」
愛染は呟くー。
「ー”被害者”の関係者側が、僕の居場所を突き止めて
こうしてやってくるのはー」
愛染はそう呟きながら、圭哉のほうを見たー。
”そう簡単に”
愛染の元にはたどり着けないー。
愛染は愛染で、色々な策を講じているからだー。
”憑依薬”を購入した連中の中には、何人か愛染の元に
たどり着いた人間もいるが、
被害者の関係者がこうして、愛染の居場所を突き止めて
やってくるのは、愛染にとっても珍しい経験だったー
それ故にー
この圭哉という男子高校生がどれほど、
”彼女”のことを想っているのかー、ということは
愛染にもよく伝わってきたー。
「ーーー舞桜を助けるためなら、何だってするよ」
圭哉は怒りの形相のままそう呟くと、
「ーー星宮ってやつに、憑依薬を売りつけたのはー」
と、言葉を続けるー
「ーーあぁ、僕だよ」
愛染はそう答えたー。
「ーーー!」
圭哉は怒りの形相で立ち上がるー
「ーーその星宮ってやつが、僕の彼女の舞桜に憑依して、
今、好き放題やってるんだ!
舞桜は今までずっと、頑張ってきたのに!
あんな悪いことばかりさせられて!」
圭哉はそう叫びながら、涼しい顔をしている愛染に近付いていくー。
「ーーそれは、申し訳ないー」
愛染の言葉に、圭哉は「舞桜を元に戻せー」と、怒りを滲ませながら
愛染を見つめるー。
「ーーー……」
愛染は、悲しそうな目で圭哉のほうを見つめるー。
「ーーーー見ろ」
圭哉は怒り狂いそうなのを我慢しながら、
スマホに保存していた、去年の学校行事の際の
クラスの集合写真を見せつけたー。
そこには、舞桜と圭哉が楽しそうに隣同士になって
笑顔で写真に収められているー。
文化祭の終了後、クラスで撮影した写真だー
「ーーーーーー」
愛染は表情を変えずにその写真を見つめるー。
「ーー舞桜の笑顔をー
お前が奪ったんだ!」
圭哉が悔しそうに、写真の舞桜の部分を指さしながら言うー。
「ーーーーー……」
愛染は少しだけため息をつくとー
「ーーーーー君の悔しさは、よく分かるー」
と、悲しそうに呟くー。
愛染はそれだけ言うと、自分の机の上に置かれている写真を
手に取ったー。
「ー僕の彼女も、かつて君の彼女と同じように、憑依されたー」
愛染がそう言うと、圭哉は「え…」と、表情を歪めるー
たった今、圭哉がスマホで愛染に見せつけた写真の中の
圭哉と舞桜のようにー、
愛染に見せられた写真には
高校時代の愛染と、愛染の彼女であった莉奈という少女が写っていたー。
「ーーその子は、莉奈ー。
僕の大切な人だー。
君の言うーその、舞桜って子と同じようにー」
愛染の言葉に、圭哉は「ーーー…この子は今、どこに?」と、
表情を歪めながら呟くー
”圭哉と同じ、憑依の被害者”
そうは聞かされても、
今、その愛染は憑依薬を売っていて、
圭哉の彼女・舞桜は、その愛染が売った憑依薬によって
星宮に乗っ取られているのだー。
例え、愛染が過去に圭哉と同じ目に遭っているからー…と言われても、
”はい、そうですか”とは、ならないー。
「ーーーー…莉奈はー」
愛染が寂しそうな表情を浮かべるー。
「ーもう、この世にいないー」
淡々とした口調だったー。
怒りに支配されていた圭哉は、表情を曇らせるー
「ーーそ…それってー」
圭哉が言うと、愛染は「僕の目の前で憑依されてー、
憑依されたまま、莉奈は死んだよー」
「あはは!あんたのせいで、わたし、自殺しちゃうの!
あははははははっ!!」
「ーー笑いながら、死んだよー。」
愛染は歯ぎしりをするー。
「ーーーー……」
圭哉は、愛染に何て言葉を掛けていいか分からず、困惑するー
「僕はそいつを許さないー。
僕はその時、決めたんだ。
この世界から”憑依”を消し去るとー」
愛染は鋭い目つきで、圭哉のほうを見つめたー
その目には
”憑依に対する憎悪”と”揺らがない決意”が浮かび上がっていたー。
「ーーーーー…だ、だったらー…」
そんな愛染を前に、圭哉は言葉を口にするー。
「だったら、尚更分かるはずだろ!」
とー。
「ーー憑依で彼女を奪われて、目の前で殺されたって言うなら!
今、僕がどういう思いでここに来ているのか、お前には分かるはずだろっ!」
圭哉が怒りの形相で叫ぶー。
”彼女が憑依されたー”
形は違えど、同じ気持ちを味わっている者同士のはずだー。
「ーーあぁ…分かるー。
痛いほど、僕には君の気持ちが、分かるー」
愛染は淡々と、まっすぐ圭哉を見つめながら言い放つー
「ーーだったら…!だったらどうしてこんなこと…!
どうして、お前自身も憎んでるはずの憑依薬を売ったりなんかしたんだ!」
圭哉が、不良・星宮に憑依されて
邪悪な表情を浮かべる舞桜の姿を思い出すー
「舞桜は…舞桜は、あんなこと、したくないはずなのにー…
それを笑いながらさせられているんだ!」
圭哉の言葉に、愛染は言うー。
「ーー”憑依”を消し去るには、僕自身も悪魔にならなければならないー」
憑依薬を売る愛染の目的は、
憑依薬を売り、資金を稼ぐと共に
”憑依に関係する”あらゆる人間や組織とのつながりを深め、
最終的に憑依薬で稼いだ資金で、全ての憑依薬関係の技術や事業を買い占め、
関係者たちを抹殺した上で”憑依薬”そのものをこの世から消滅させることー。
その過程で、”一方通行”の憑依薬を売り、憑依した人間を苦しめると共に、
いつか”彼女の莉奈を奪った男”も、愛染に繋がってくることも狙っているー。
「ーーー…ふざけるな!憑依薬を消すために、
お前は!自分のような被害者を増やしてるんだぞ!」
圭哉は怒り狂いながら叫ぶー。
愛染はそれでも動じないー
「ああ、その通りだー。
今、”何万人”の憑依犠牲者が出ようとも、
僕は憑依薬をこの世界から消し去るー
そうしなければー
この先”何十万”、”何百万”と憑依の犠牲者が出るー」
愛染の言葉に、
圭哉も動じずに叫ぶー
「未来の犠牲者を失くすために、今、犠牲になる
舞桜のような人は仕方ないっていうのか!」
「ーーそうだ」
愛染は即答したー。
「ーーふ…ふざけるな!!!!」
圭哉が机をバンと叩くー。
「ーーーーーだったら君はー
今の犠牲者を失くすために、この先の未来で犠牲になる
大勢の人の犠牲は仕方ないっていうのかー?」
愛染は動じずにそう言葉を続けるー
「ーーこ…この先なんてー…
なってみなければ分からないしー…
だからってー…
誰かを犠牲にするやり方なんてー間違ってる!」
圭哉も負けじと愛染に向かって叫ぶー。
「ーー僕だって、僕のやり方が正しいなんて思ってないー。」
愛染は言うー。
自分が”間違っている”ことをしているのは分かっているし、
自分が”正義”とも思っていないしー
自分は”悪党”である自覚もあるー…と。
「ーーーーだったら!」
圭哉が叫ぶと
愛染は鋭い目つきで圭哉を見つけたー
「ーーだったらやめろってー?
なら、君が僕に教えてくれー。
他に何か方法があるのなら、教えてくれー。
犠牲を出さずに憑依薬を根絶する方法があるのなら
僕は喜んでそれに協力するー。
僕の人生と命を全てかけて、僕は全力で君の提案した方法に協力するー。
どうやって、憑依薬を撲滅するんだー?
対案があるなら、僕は喜んで聞くよ」
愛染の言葉に、圭哉は「そ…それはー…」と困惑するー。
”憑依薬”
そんなものがあるなんて知らなかったー。
愛染の話を聞く限り、愛染がその中心というわけではなく、
世界の暗部に、憑依薬は蔓延しているのだと言うー。
「僕が消えても、僕以外の誰かが憑依薬を売り続けるー。
だから、僕は憑依薬を売りつつ、憑依薬撲滅に必要な資金を集めて、
”憑依薬の販売ルート”を 徹底的に洗い出しているんだー。
闇を知るには、己もその闇に溶け込むのが、一番の近道だからー」
愛染の”鉄のような意思”に
圭哉は、愛染が憑依薬を心の底から憎んでいることを
感じずにはいられなかったー。
「ーーーーーー…」
圭哉は少しだけため息をつくとー
「ーーー…決意の強さは分かったよー」と、だけ言葉を口にするー。
「ーーーでも、僕だって決意の強さは負けてないー」
圭哉は再び愛染を睨みつけるー。
「ーー僕とお前が逆の立場だったらー…!
愛染!お前だって、僕と同じことをするはずだ!
その莉奈さんって人を助けるために、
僕と同じように何だってするはずだ!!!
違うか!?!?!?」
圭哉が大声で愛染を睨みつけるー
人に対してこんなに激しい怒りを感じたのは
生まれて初めてだと思うー。
圭哉は、そんな風に思いながら、震える手で愛染の腕を掴むー。
「ーーーーーー」
愛染はそんな圭哉のほうを見つめながら
少し間を置くと、やがて静かに息を吐いたー。
「ーーーーーー…それは、確かに君の言う通りだー…
僕が君の立場なら、僕は僕を許さないだろうし、
僕を殴り飛ばしてでもー
そう…彼女を元に戻せと言うだろうー」
愛染はそれだけ言うと、圭哉のほうを見たー。
圭哉は「舞桜を元に戻す方法をー教えてほしいー…お願いだー」
と、頭を下げるー
しかし、愛染は「ない」と即答したー
圭哉は目に涙を貯めて怒りに任せて
愛染を殴り飛ばしたー。
生まれて、初めての暴力ー
それほどまでに圭哉は怒りを感じていたー
「ーーーー…」
唇から少し出た血を吹きながら愛染は
「ー僕を殴りたいなら殴れー…君にはその資格があるー」と、
淡々と呟くー
「ーーふざけるな…ふざけるな…!!ふざけるな!!!!」
圭哉は、何度もそう叫ぶと、
愛染はそんな圭哉を見ながら立ち上がったー。
「ーーー…僕は、どんなに憎まれようと、止まるつもりはないー。
さっき、君は反対の立場だったら、どう思うかー、って僕に聞いたなー?
君が僕の立場ならどうする?
君も僕と同じように、憑依薬を憎みー
僕と同じように、突き進んだんじゃないのかー?」
愛染の言葉に、
「僕は…仮に憑依薬を憎んだとしても、
お前みたいなやり方は、思いつかないー」と、
圭哉は、愛染を睨みながら言い放ったー
「ーーお前がどんな手を使ってでも、憑依薬を消し去ろうとするようにー
僕は、どんな手を使ってでも、舞桜を必ず助け出すー」
圭哉はそれだけ言うと、
時計を確認してから、立ち去っていくー
「ーーーー言ったはずだー…君の彼女は、もう元には戻せないーと」
愛染が、立ち去ろうとする圭哉に言い放つと、
「そんなこと…やってみなくちゃ分からないー…」と呟いてからー
”明日もここに来るからー”と、圭哉は言い返したー。
「ーー明日も?」
愛染が言うと、圭哉は
「ーお前から、舞桜を元に戻す方法を聞き出すまでー…
僕は何日でもここに通い続けるー。
1週間でも、1か月でも、1年でも、10年でも!」
と、目に涙を浮かべながら叫ぶー。
「もしも、舞桜を元に戻す方法がないって言うなら
お前がその方法を作るまで、僕はここに通い続ける!」
圭哉はそう叫ぶと、そのまま立ち去って行ったー。
一人残された愛染は
少しだけ笑うとー
「まるで…昔の僕のようだなー」と、自虐的に呟いたー。
頑固なところもー
目的のためには全てを掛けるところもー
よく、似ているー
「ーーーー」
だが、愛染は心を鬼にすると決めているー。
憑依薬をこの世界から消し去るためには、自らも
”闇”に染まるしかないのだからー。
生半端なやり方では、
結局、憑依薬をこの世界から消すことができないまま、
寿命を迎えてしまうー。
それどころか、逆に消される可能性だってあるー。
「ーー誰にどう思われようと
僕は”憑依”をこの世界から消し去ると決めたんだー」
愛染がそう呟きながら、ふと少し離れた場所の台を見つめると、
先ほど、圭哉が彼女・舞桜との写真を見せてきた際のスマホが
そのままになっているのに気づいたー。
「ーーー…彼の…忘れ物かー」
愛染はそう呟きながらスマホを手にするー。
画面にはー
圭哉と舞桜の写真が映し出されているー
「ーーーー」
複雑な表情を浮かべながらその写真を見つめたその時だったー
「ーーーーーーー!!!!!!!!」
愛染は、今まで冷静を装っていたその表情をー
激しく歪めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーなぁ、仁藤ー」
廃墟のような場所で、不良男子の仁藤が拘束されて
震えていたー。
「ーーーど~して、余計なこと言っちゃったのかなぁ~?」
圭哉の彼女・舞桜が笑うー。
舞桜は、仁藤の不良仲間で、別の高校に通う星宮という
男に憑依されているー。
ニコニコしながら、拘束した仁藤の周りを歩く舞桜はー
メイド服姿で、仁藤を見つめるー。
「ーーーねぇ、どうして~?教えて?」
舞桜がクスッと笑うー。
一見すると可愛らしい女子高生ー。
だがー
その中身が”誰”なのかを、仁藤は知っているー
「ーねぇ、どうして?」
舞桜の表情から笑顔が消えるー。
「ーーねぇ?教えてよ」
舞桜の綺麗な手が、仁藤の顎を掴み、
仁藤は悲鳴を上げるー
「ーねぇ??なぁ?? おい!! 何で余計なこと言ったんだ?あぁ?」
舞桜の可愛らしい声なのにー
仁藤はその言葉に震え上がってしまうー
「ひぃっ…か、勘弁してくれー」
震える仁藤ー。
仁藤は、圭哉に問い詰められた際に、舞桜が憑依されていることを
圭哉に伝えてしまったー。
そのことを、問い詰められているのだー
「ーせっかく、エロイ身体を手に入れてー
こ~やって、意のままに好きな格好もさせられるようになったのによー」
舞桜はそれだけ言うと、
拘束した仁藤の股間のあたりに足を押し付けて、
そこを踏みにじったー
「ぐああああああっ」
仁藤が悲鳴を上げるー
「ー仁藤くんのコレ、このまま踏みつぶしちゃおっかなぁ~~~~♡」
脅迫するような口調の舞桜に、仁藤は再び悲鳴を上げるー。
「ーやめてくれ!助けてくれ!やめてくれぇ!」
泣き叫ぶ仁藤を見て、舞桜は
「ーわたしみたいに可愛い女の子に泣かされちゃうなんてー」
と、にこにこしながら仁藤を見つめるー
そして、突然真顔になって低い声で「だっさ」と、仁藤を脅すー
仁藤は震えながら舞桜のほうを見つめるー。
舞桜と親しいわけでもなかったが、
同級生である以上、当然”普段の舞桜”のことは知っているー
その舞桜が、こんな別人みたいになってしまうなんてー
仁藤は”憑依”という事柄に対して
恐怖を感じずにはいられなかったー
「ーーま、いいやー」
舞桜はそう言うと、
「とりあえずイラついて仕方ねぇから、ヤラせろよ」
と、仁藤の拘束を解くー。
震える仁藤ー。
舞桜みたいな可愛い子と”ヤレる”のは、普段なら
喜ぶところだが、
今はそんなことに喜ぶことができないぐらいに、
恐怖を感じていたー。
「ーねぇ、早くわたしを気持ちよくしてくれないとー
わたし、あんたをぶっ殺しちゃうかもー」
微笑む舞桜ー
仁藤は青ざめながら、舞桜の言葉に従うことしか
できなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
担任の芹沢先生に、圭哉は
「ちょっと、お話、いいですかー?」と
舞桜の豹変に関して、度々相談をしている芹沢先生を呼び出したー。
芹沢先生が信じてくれるかは、分からなかったけれどー
”憑依”のことを芹沢先生に伝えようー、と圭哉は考えたのだったー
圭哉は、舞桜の身に起きていることを、自分の知る範囲内で
包み隠さず話したー。
愛染のことまで話すとややこしくなるため、
ひとまず、星宮という別の高校の不良が、舞桜に憑依している、ということを
説明するー。
「ーー憑依ーーー?」
芹沢先生は表情を歪めるー。
「ーーはいー…急に言われても、信じられないとは思いますけどー…
本当なんですー」
圭哉は戸惑いながら言葉を口にするー。
いきなり”憑依”なんて言われても信じることができるはずなどないー。
先生の立場から立って考えてみれば
”素行不良になった彼女を庇うために”滅茶苦茶な嘘をついている、と
思われても仕方がないー。
「ーーーーーー」
芹沢先生は、しばらく表情を曇らせながら考え事をしていたが、
やがて、口を開いたー
「ー田内が、何かに憑依されていて、その結果が、今の田内ってことかー?」
舞桜の豹変のことを、そう口にする芹沢先生ー。
「ーーーーーし、信じてもらえるんですかー?」
圭哉が、思いの外、理解が早かった芹沢先生に対してそう言うと、
「あぁ」と、芹沢先生は頷いたー
「だってそうだろ?あいつー、…田内は、元々俺たち教師の間でも
評判だった”優等生”だー。
それが最近のあいつはどうだ?
姿は同じでも、まるで別人じゃねぇかー。
だが、お前の言う通り、田内が憑依されていて、
別の人間が中にいるってなら、分からないでもないー」
芹沢先生に信じて貰えたことに圭哉は”希望”を感じながらも、
芹沢先生は「でもー」と、言葉を続けるー。
「ー俺以外の先生に言っても、笑われるのがオチだー。
この件は俺も色々動いてみる。
あまり、必要以上に広めるなよー。
”憑依”なんて普通は混乱するだけだ」
芹沢先生の言葉に圭哉は「はい」と頷くー
確かに芹沢先生の言う通りだー。
”憑依”なんてことを広げれば、
さらに舞桜が傷つく可能性もあるし、
余計な混乱を招く可能性もあるー。
圭哉と芹沢先生は、その後も情報交換を続けると、
そろそろ授業が始まる時間、ということで、
圭哉は芹沢先生と話をしていた指導室から「失礼します」と
頭を下げて外に出ていくー。
圭哉が退出すると
芹沢先生は、何度か舌打ちを繰り返してから
静かに「ーーーー憑依…」と呟いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後ー
体育館に呼び出された舞桜は
険しい表情を浮かべながら
体育館にやってきていたー。
今日は、体育館を使用している部活もなく、無人の状態だー。
「ーーーーー」
舞桜がぎゅっと紙を握りしめるー。
舞桜の持っている紙には
”放課後に体育館に来いー。
お前の”憑依”の秘密を知っているー”
と、そう書かれていたー。
「ーーーー仁藤かー…?それとも」
舞桜が腕組みをしながら不満そうに呟くとー
体育館の影から姿を現したのはー
舞桜に憑依している星宮が全く想定していない人物だったー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
5周年記念作品第2弾の第2話でした~!☆
記念作品なので、いつもより1話あたりが少し長めに…★
どのような結末を迎えるのか、
また明日も楽しみにしていてくださいネ~!
今日もお読み下さり、ありがとうございました~!
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