軽い気持ちで幼馴染に憑依した彼は
夢のような1時間を体験するー。
その行為が
”消せない傷”生み出すとも知らずにー
・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーわたしは愛花ー…えへ…♡」
愛花の口で、”わたしは愛花”だと名乗るー。
何もおかしなことではないのだがー
今の愛花は、それを繰り返して興奮しているー
「ーーはぁぁぁぁ…自己紹介するだけで興奮するなんて、反則だー」
愛花は、顔を真っ赤にしながら、顔を手で覆い隠して
一人「あぁぁぁぁ…」と、うめくような声を上げるー。
あまりの興奮にどうしていいか分からないー。
幼馴染であり、彼氏に憑依されてしまった愛花は、
今、伸吾に完全に身体も意識も乗っ取られた状態でー
欲望のままに身体を動かされていたー。
「ーーーーふふふっ…」
しばらくすると、愛花は笑いながら鏡の前で
色々なポーズを取り始めるー。
色っぽいポーズや、
挑発的なポーズ、
誘うようなポーズ、
まるでモデルのようなポーズ、
絶対に愛花が取るはずのないポーズの数々ー。
「ーーーあぁぁぁ…たまんない…」
愛花はうっとりしながら、パシャパシャとスマホで、
愛花自身の色々なポーズを自撮りしていくー。
そして、それを伸吾自身のスマホに送り付けて、
すぐに愛花のスマホからは、その痕跡を削除するー。
ポーズをとるのに飽きると、
今度は、愛花の髪で遊び始める伸吾ー
髪を乱してみたり、
ちょっと上げてみたり、
スマホでツインテールの作り方を調べてツインテにしてみようとしたりー、
色々なことを試すー
「っていうか、髪、なんでこんなにサラサラしてるんだー?」
夢中で髪を触りながら、愛花はニヤニヤと笑みを浮かべるー。
伸吾自身の髪とはまるで違うー。
どうしてこんな風になるのか、と伸吾は思いながら
愛花の身体で、愛花の髪を触るー
「ふぇぇぇ…
こんな髪がいつでも触れる状態だったらー…
俺、常にドキドキしてるぞー…?」
愛花はそんな風に呟く、ニヤニヤしながら
スカートから覗く足を見つめるー
「足も…なんだよこれ…
は~~~…」
語学力を失いながら、自分の太ももを両手で
嬉しそうに触る愛花ー。
「ーーはぁ~~~癒されるぅ~」
うっとりとした表情を浮かべながら
自分の脚を何度も何度も触っては
ニヤニヤとだらしのない笑みを浮かべる愛花ー。
「ーーえへへへへ…えへへへへへへへ…
すべすべって言うかー…
なんかもう尊いー」
生足の写真も撮り始めると、
それもスマホで送信するー。
スマホの痕跡を消してから、愛花は、スマホを放り投げると、
「ーーあと30分かー」と、笑みを浮かべてから、
「ーーせっかくの機会だし、たっぷり楽しまないとー」と立ち上がるー
「今のわたしは、小野原伸吾ー」
伸吾は、愛花に、自分の名前を名乗らせたあとに、いやー…と、笑みを浮かべるー
「小野原愛花ー… くひひっー」
愛花の名前は、中森 愛花だが、あえて、自分と合体したような名前を
名乗らせて笑みを浮かべるー。
そこから30分はあっという間だったー
鏡の前で胸を揉みー
鏡に映る愛花とキスをして、甘い言葉を囁いたりー
愛花の身体で卑猥な言葉を叫んだり、
スカートの中に手を突っ込んだり、
生足を堪能したり、
再び色々なポーズを決めたりしたー。
「ーははははっ!拓斗がくれた憑依薬、最高だぜ!」
残り10分を切った時点で、
既に激しく興奮していた身体で、
角オナを体験してみようー、と、そうも思ったのだがー
さすがにそれは思いとどまったー。
今、愛花の身体で絶頂を迎えるようなことがあれば、
流石に愛花も異変に気付くだろうし、
不安に思わせてしまうー。
”ーー最後は、寝落ちしてたって思わせる感じがいいと思うぞー?”
憑依薬をくれた拓斗は、そうアドバイスしてくれていたー。
「ーーあ~…もっと早く愛花の身体で、角オナしてれば
体験できたかもなぁ」
愛花はソワソワした様子で、スカートの上からアソコのあたりを
抑えると、「がまんがまん」と、笑みを浮かべるー。
最後に指を舐めたり、
服の匂いを嗅いだり、
愛花の部屋にあった愛花の下着を手にして、それを
撫でまわしたりして、
「もう、時間だなー」と、呟くとー、
そのまま先ほど放り投げたスマホを拾い、手に持ったままー
ベッドのすぐそばで、ベッドにもたれかかるようにしてー
座り込んだー。
”わたし、寝落ちしてたのかなー?”と、
そう思わせるための、行動だー。
「ーー愛花の身体、本当に最高だったなぁー…」
そんなことを思いながら、
憑依薬の時間は終わり、愛花の身体は意識を失ったー。
愛花の身体からはじき出された伸吾は、少し離れた場所で
実体に戻りー、
そのまま愛花の家を後にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日の夜になってもー
伸吾は、愛花に憑依したときのことが忘れられずにドキドキしていたー
けれどー、同時に、
”この1回にしよう”とも決意していたー。
愛花とは幼馴染同士だし、
伸吾は、下心などではなく、純粋に愛花のことが好きだし、大切にしているー。
大切にしているのに、憑依したのかー?と、
怒られてしまうかもしれないー。
けれど、伸吾は拓斗に、愛花の身体に害はないのかを何度も何度も
確認した上で、
さらには愛花が怖がるようなこともないのかどうかを何度も確認、
その結果、拓斗が”寝落ちを装えばより安心”という提案をしてくれたのだー。
”憑依”ということ自体に好奇心があったのも事実だし、
1時間だけで、愛花の人生にも影響がないのであればー、と、
思った上での決断だったー
もちろんー、
それでも伸吾に後ろめたい部分はあるし、
愛花のことを思うなら、憑依はしないべきだったのだろうー。
あるいは、愛花本人に直接許可を取ったりするべきだったのかもしれないー。
けれどー”1回だけなら”と、伸吾は軽い気持ちで憑依したー
少し、心配になって、元に戻ったあと、数時間置いてから
愛花に”雑談”のメッセージを送るー。
すると、愛花からは”うん!大丈夫ー”と、
その雑談に応じる”普通のメッセージ”が帰ってきたー。
ホッと、一安心する伸吾ー。
愛花から普通に返事があったということは、
愛花は無事に目を覚まし、
伸吾が拓也に”お手本”で憑依されたときのように、
”何も分かっていない”のだろうー。
”自分は寝落ちした”
そう思ってくれているのだろうー。
”この1回だけー”
何度も何度も自分にそう言い聞かせて、
遅れてやってきた罪悪感を忘れようと、
伸吾は「気晴らしに、お菓子でも食うか」と、
自分の部屋を出て、台所に向かうのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「愛花!おはよう!」
伸吾が、いつものように愛花に声を掛けるー
だがー
愛花はビクッ!とした反応を示してー
「お…おはよ…」と呟くと、足早に逃げるように
立ち去ってしまったー
「ーーえ…」
伸吾は一瞬、不安に思うー。
”昨日の憑依”、
愛花に憑依されている間の記憶が残ったりしてないよなー?
とー。
1時間目の授業が始まる前に拓斗を呼び出して”確認”すると
「ーー記憶?残るわけないだろ」
と、答えたー。
「ーお前だって、俺に憑依されてる間の記憶なかっただろ?
それに俺も、じいちゃんにお手本で憑依されたときの間の記憶はないしー」
拓斗の言葉に、伸吾は「まぁ…確かにそうだよな」と、頷くー。
「ーきっと、お前の気にしすぎだろー?
ほら、お前のことだからどうせ、1時間の憑依でも、
後から罪悪感感じちゃったりしてるんだろ?
そんな気にすんなって。
1回きりにしておけば、貴重な経験できてよかったなぁ、で終わる話だし」
拓斗が言うー。
伸吾は「そうだな、そうするよー」と、この時もまだ、
それほど深くは考えていなかったー。
しかしー
昼休みに、伸吾は愛花から呼び出されたー。
流石に、拓斗も不安そうな表情を浮かべていたが、
”記憶が残るはずはない”と、改めて伸吾にそう言い放ったー。
伸吾は意を決して、愛花に呼び出された場所に向かうー。
するとー
そこにはー
愛花と、愛花と親しい女子生徒の二岡 順子(におか じゅんこ)の姿があったー。
伸吾は、この時点で”嫌な予感”を感じたー
「ーー…あ…あれ、二岡さんもー…え…えっと、話ってー?」
伸吾は、笑顔を浮かべながら
動揺を悟られないように、そう呟くー。
「ーーー……」
愛花は震えながら「これは…なに…?」と、
伸吾にスマホを差し出したー。
「ーーん」
伸吾はそう言いながらスマホの画面に目を向けるー。
そこにはーーー
愛花が胸を揉んだりー
鏡にキスをしたりー
足を触ったりー
スカートをめくったりー
嬉しそうに”欲望に満ちた行動”を楽しむ
映像が残されていたー。
「ーーえ…え…?ど、どういうー…」
伸吾は”とぼけた”
この映像は
”明らかに”伸吾が愛花に憑依したときの映像ー
つまりはー
”昨日”の映像だー。
”な、なんでこの映像があるんだよー?”
伸吾はそう思いながら、表情を歪めるー。
「ーー気づいたら、わたしのスマホの中に保存されてたのー
わたしねー…
昨日、家に帰ったあとすぐ、
気づいたら1時間ぐらい経っててー
最初は部屋に戻ってすぐに寝落ちしちゃったのかな~なんて
思ってたんだけどー…
スマホにこれが保存されているのに気づいてー…」
愛花が映像の中の時計を指さすー。
「ーーちょうど、わたしの記憶が飛んでる時間なのー」
愛花の言葉に、伸吾は
「ーえ…え~…そ、それは、どういうことー…?
寝てる間に、愛花が勝手に何かしてたってことー…?」
と、とぼけるー。
「む…夢遊病ってやつかなぁーー
あ、愛花が不安なら俺も一緒に、色々調べてみー…」
そこまで言葉を口にして、
伸吾は、愛花が目に涙を浮かべて、
震えていることに気付いたー。
「ーーー」
愛花の友達の順子が「愛花…もういいよー」と、
愛花に向かって優しく言うと、泣き出した愛花に変わって、
順子が愛花のスマホを手に、
伸吾に映像を見せたー。
「ーさっき”途中から”映像を見せたけどー…
最初から見てみて」
順子は淡々とそう言うと、
”最初から”映像を再生し始めたー。
スマホが宙を舞っているかのような映像から、
映像は始まったー
そして、スマホが落下して
ちょうど”愛花”が見える向きに転がるー。
「ーーーー」
伸吾は”俺が…俺が憑依したって…バレるわけー”と思いながら、
その映像を見つめているとー
その直後ー
映像の中から、信じられない言葉が響き渡ったー。
”今のわたしは、小野原伸吾ー”
”小野原愛花ー… くひひっー”
ーーー!!!
よく覚えているー
あの時だー。
憑依した愛花の身体で、スマホを放り投げたあの直後、
伸吾は確かに、愛花の身体で自分の名前を名乗ったー
”ーははははっ!拓斗がくれた憑依薬、最高だぜ!”
映像の中でー
伸吾は、自ら愛花の身体で、全てを自白してしまっていたー。
あの時ー
適当にスマホを放り投げた時、
偶然ー、スマホの動画撮影を始めるボタンを
押してしまいー、
気付かぬまま、愛花の身体を堪能ー
そして、気づかぬまま、愛花から抜け出してしまったのだー
「ーーーーーーー」
愛花が泣きながら伸吾のほうを見つめるー。
「ーどういうことなの?」
友達の順子が呟くー
「え…え…こ、これは、そのー」
伸吾は狼狽えながら、視線を泳がせるー
「どういうことなのっ!」
愛花の友達、順子が怒鳴り声を出したー
「ひっ!?」
伸吾は、泣きじゃくる愛花のほうを見て、
怯え切った様子で、なんとか、声を絞り出したー
「は…話せばわかる…」
とー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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絶体絶命のピンチに…!?
ちょっとした憑依が生み出す”傷”ー
次回が最終回デス~!
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