毎年、クラスで手作りチョコを配っている
女子生徒・和美に憑依した昭典は、
”下剤入りのチョコ”を作り、
クラスで配ろうと画策するー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーークククー…できた」
和美が笑みを浮かべるー。
その笑みは、優しい性格の和美が
普段浮かべるような笑みとはほど遠い、
邪悪なものだったー。
「ーーこれを喰ったやつらー…
すぐにトイレに行きたくなってー…ククク」
和美は嬉しそうに笑うー。
優しく、可愛らしい顔立ちなのに、
悪そうな笑顔を浮かべているー
そのアンバランスな光景に、
和美に憑依している昭典に憑依薬を提供した
覆面の男は、表情を歪めたー
”悪趣味なやつだー”
闇・netと呼ばれる謎の団体に所属している覆面男・ビショップは、
光の小さな球体のような状態になって、
少し離れた場所から”憑依された和美”の様子を見届けていたー。
目的は不明ー。
だが、昭典が和美に憑依して”何をするのか”を、
見届けている様子だったー。
チョコを作り終えた和美は笑みを浮かべながら
部屋へと戻るー。
「ーーへへへ 必死にこいてチョコなんか作っちゃってよ…
バレンタインデーなんて、くだらねぇ」
和美の口で、バレンタインデーを敵視する言葉を口にして、
ゾクゾクと快感を覚える昭典ー
「へへへへ…
明日はバレンタインデーだね~♡みたいな女子が
こんなこと言っちゃってるなんて、マジで最高!」
和美はだらしなくベッドに座ると、笑みを浮かべながら
「なにがバレンタインデーだ!ば~~~か!」と、大声で叫んだー
可愛い声で、乱暴な言葉を口にすることにもー
和美がバレンタインデーを馬鹿にする発言をしていることにも、
昭典は更なる快感を感じながら、
少しすると、「でも、せっかくなら学校で食べてもらわないとなー」と、
一人呟くー
和美が作った”下剤入りのチョコレート”ー
だがー
普通に渡しただけでは、多くの男子は下校後に食べるはずだー。
もちろん、女子もそうー。
下校後に食べられたのでは、
和美自身ー、いや、和美に憑依している昭典は、
バレンタインに浮かれているクラスのやつらが
苦しむ様子を見ることはできないー
「見てぇな…」
ベッドの上で胡坐をかきながらそう呟く和美は、
ふと鏡のほうを見つめたー。
「ーーへへ…そっかー
こいつを使えば、なんとかなるかもなー」
和美は、鏡に映る自分の姿を見つめながら
自分の”かわいい”を悪用しようと、笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「ーー面倒くせぇなー…女子って」
昨夜は、スマホをいじって一晩中過ごしたー。
和美の身体で色々遊ぼうかとも思ったが
なんとなく面倒臭くなって
結局和美のスマホで、Hな動画を見て、一人ニヤニヤしながら
夜を過ごしたー。
女の身体で過ごすことには
当然、色々と苦戦はしたものの
色々新鮮な体験もできたー
「っていうか、俺の身体は部屋で倒れたままかー…
まぁ、昨日はちょうど親も遅かったし、
あんま気にしてないだろー」
親は良くも悪くも”昭典に無関心”なタイプで、
昭典が部屋から出て来なくても
見に来ないようなタイプの両親だー。
部屋のベッドの上で、憑依薬を使ったため、
万が一部屋を覗きに来たとしても、
”昭典が寝ている”ぐらいにしか思わないー。
そんな感じの両親であるため、
心配はいらなかったー。
「ーーバレンタインデーを堪能してから、元に戻るとするかー」
そう呟きながら、”髪も面倒くせぇな”と、呟きながら、
ボサボサのまま学校に行こうとするー。
しかしー
「ー…チョコ食べてもらうためにはー…仕方ねぇか」と、
仕方がなく身なりを整えた和美は、
あれこれ試行錯誤しながら、ようやく学校に向かう準備を整え終えたー。
”下剤入りのチョコ”を持ってー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーみんな、おはよ~!」
学校に到着すると、昭典は和美として振る舞いながら、
満面の笑みで、教室へと入って行ったー。
早速”下剤入りのチョコ”を取り出す和美ー。
時計をチラッと確認するー
”さぁ、喰えー
俺が作った下剤入りのチョコを、なー”
和美は邪悪な笑みを浮かべるー。
時計を確認したのは”先生が来る前に”
みんなに食べさせるためー。
そのため、今日は”いつもより少し早め”に学校にやってきたー。
「お、うまそ~だな!」
和美がチョコを取り出したのを見て、昭典の親友・毅が
嬉しそうに笑うー
毅は色々雑談をしながら、
”そういや、昭典のやつ、今日は休みか~!
あいつ、そんなにバレンタインデー嫌いなのかなぁ”
などと、笑いながら言葉を口にするー。
和美は”俺なら、ここにいるけどなー”と、笑みを浮かべるー。
毅はその後も、和美のチョコを褒めるような発言を
繰り返しているー。
「ーー毅ー」
和美は一瞬、そう呟いてしまったが、
すぐに何度か咳き込んでから、
「ーーふふ、嬉しい♡」と、甘い声で喜んで見せたー
”お前には真っ先に食べてほしいぜー…クク”
毅とは、普段仲良しだが、
バレンタインデーに対する考え方は毎年、意見が合わないー
和美はそんな毅のほうを見て
「ーーねぇねぇ、ちょっと味見してみて♡」と、甘えるような声を出すー。
毅は「え…え?今?」と、困惑しながらも
和美の甘えるような仕草に”下剤入りのチョコ”を口にしてしまうー
「やっぱうめぇ!」
和美の義理チョコを嬉しそうに食べる毅ー
和美は口元を手で隠しながら、
今にも笑い出しそうに、笑いをこらえるー。
そして、なんとか笑いをこらえると、
「ねぇ、みんなもせっかくだから、わたしのチョコ、味見してみて♡」と、
周囲のクラスメイトたちにも言い放つー。
先生がまだ来ない、ということもあり、
和美のチョコを多くのクラスメイトは味見してくれたー
「ーねぇ…真壁くんも~♡」
なかなか食べようとしない大人しい男子に甘えるような仕草で
チョコを食べるように促すー
「え…ぼ、僕は帰ってから食べるからいいよー」
そんな言葉に、和美は舌打ちすると、
「ーーいいから、喰って♡」と、
乱暴な言葉を甘い声で出しながら、その男子を脅したー。
結局ー
ほとんどの男子が、和美の”下剤入りチョコ”を口にしてしまったー。
”手作りの義理チョコ”ということもあり、
一人あたりの分量は少ないー
そのため、多くの生徒が、和美のチョコを全て食べてくれたー。
「ククククー
さぁ、誰が最初にトイレに行くかな?」
和美は自分の髪を触りながら
嬉しそうに自分の座席に着席するー。
先生がやってくるー。
「ーーーーーー」
和美は思わず笑ってしまいそうになるー。
「ーーくく…やべぇ…
トイレに行くやつが出てきたら、笑っちまいそうだぜ…」
和美は小声でそう呟くと、
”その時”を待つー。
1時間目の授業が始まったー
1時間目は数学ー
「ーーーー」
和美は、周囲を見渡しながら笑みを浮かべたー。
”バレンタインなんて、くだらねぇー
浮かれてるお前らに地獄を見せてやるー”
和美がにやりと笑うー。
もう、笑いを隠すこともできなかったー
「ーーそろそろだなー」
和美が小声で呟くー。
周囲の生徒の一部が、
”腹痛をこらえるかのような”仕草をし始めたのだー
「ーーーせ、先生ー」
毅が立ち上がるー
「ち、ちょっと、俺、トイレにー」
毅が言うと、数学の先生は「ーーはい」と、だけ呟いたー
数学の先生は、あまり愛想のないタイプで、
融通の利かない先生だー。
そのため、生徒からは嫌われていて、
”トイレに行きたい”とも言いにくいタイプの先生でもあるー
「お、俺もー」
「ぼ、僕も…すみませんー」
3、4名の男子が立ち上がるー
和美は思わず鼻で笑ってしまったー。
周囲の生徒にも聞こえてしまったかもしれないー。
「ーーー…ほらほら…行けよトイレにー
みんな、行きてぇだろ?」
和美の表情は、完全に歪んでいたー
悪人顔を披露しながら、
今、この瞬間、”ほとんどの生徒が腹痛や便意に苦しんでいるだろう”と
考えると、さらに興奮したー
「ーーわ…わたしも…いいですかー?」
女子が一人、顔を赤くしながら恥ずかしそうに
トイレの方に向かっていくー
周りの生徒たちもソワソワしているー
明らかにトイレに行きたいのを我慢しているー、というのが
和美にも伝わってきたー
”くくく…やべぇ…笑いをこらえるのが大変だー”
和美は身体をぷるぷると震わせながら、次々と様子が
おかしくなるクラスメイトたちの姿を見つめているー。
”バレンタインデーなんてモンに、浮かれてるから、
こんなことになるんだ!”
和美は口元を手で隠しながら
笑いをこらえて顔を真っ赤にしているー
「お、おい…お前ら…ど、どういうことだー?」
数学の教師がついに表情を歪めて、
次から次へとトイレに行きたがる生徒たちのほうを見て、
困惑しているー。
「ーせ、先生…僕も…すみません!」
「ーーわたしも…あ…もう…だめ」
真面目な生徒たちもトイレの方に駆け込んでいくー。
数学の先生は”あまりに大量の生徒がトイレに駆け込もうとしている”ため、
サボろうとしていると判断したのか、
「おい!お前ら!」などと声を上げているー。
”サボりじゃないんだよ…先生ー”
和美はニヤニヤしながら口元を隠して、
周囲の生徒たちを見つめるー
「ーまだ…我慢してるやつらがいるのかー
まぁ、ジワジワ来るタイプを入れておいたからなー…
へへへ」
和美は歪んだ笑みを浮かべながら、
その生徒たちを見つめるー
「ぁ…ぅ… うぅぅぅぅぅぅ」
大人しい真面目な女子が、うめき声を上げるー。
「う、、うわっ!?」
「おいっ!?」
周囲の生徒たちが声を上げるー。
”あららー”
和美に憑依している昭典は、心の中でそんな風に思うー。
「ーーー……ぷっ…くす…」
和美はついに笑いをこらえるのが限界になってしまったー。
クラスの女子の一人が、トイレと言い出すことができないまま、
教室で悲惨な状況に陥ってしまっているー。
「くすっ…ふ、、ふ、、あはっ…ひひひひひひひひひっ」
口元を必死に隠しているもののー
和美は身体を震わせながら、笑い出してしまったー。
その笑い声は教室中に響き渡っているー
「か…和美ー…?」
一人の女子が苦しそうにそう呟くー。
当然、クラスメイトたちは、和美のチョコを食べたことを
疑い始めるー。
困惑する数学の教師を他所に、和美は笑みを浮かべながら叫んだー
「ーひひひひひひ…最高のバレンタインデーだ!あははははははははっ」
和美が狂ったように笑いだすと、
クラスメイトたちの怒りの視線が和美の方に向けられるー
「ーー騙される方が悪いんだよ!ばーか!」
和美は挑発的にそう叫ぶと、
”さて、俺はそろそろ撤収するかなー”と、笑みを浮かべたー
自分の身体に戻ーーー…
「ーー!?!?!?!?」
和美は表情を歪めたー。
「ーーー!?!?あれ…っ!?あれー?」
慌てふためく和美ー。
クラスメイトの怒りの視線が向けられる中ー
”説明書”に書かれた通り、身体から抜け出そうとしたのだがー、
抜け出すことができないー
「ーえ…ちょっ…」
和美が表情を歪めながら、憎しみの眼差しを向けてきている
クラスメイトたちのほうを見つめるー
「ーーえ…え~っと…これは…そのぉ…」
和美はー
クラスメイトたちから怒りをぶつけられた挙句、
生徒指導室に呼び出されて、下剤入りチョコを配布した件で
停学となり、さらには和美の両親から激しく説教されてしまったー
「ーーーーー…」
和美は、自分の部屋で放心状態になって座り込んでいたー。
和美に憑依した昭典の身体はー
親に見つからないようにと、布団に潜った状態で憑依薬を
飲んだことにより、”窒息”してしまっていたのだー。
つまり、もう、元に戻る身体がないー。
「ーーー…嘘だ…」
「嘘だーーーーーーーーーーー!!!」
和美の身体で叫ぶ昭典ー。
昭典は”下剤女”として、
嫌われ者の女子高生としてー
生きることになってしまったー
おわり
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コメント
バレンタインデーの憑依モノでした~!
友達にあげる予定のチョコを横目に、
下剤入りのチョコのお話を書く私…。
何だか背徳感がありますネ笑
(※渡すやつに変なものは入っていません~☆)
お読みくださりありがとうございました~!
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