”あの子の声でカラオケ”
そんな夢を叶えた男子高校生ー。
しかし、その裏ではー…?
※物語の展開上、
作中で「憑依」という言葉が登場しますが「入れ替わりモノ」デス~!
・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーマジで憑依できちまったー
えへへへへ」
希海の身体になった亮也は
自分が”希海と入れ替わった”ことにも気づかずに
笑みを浮かべるー。
自分は”希海の身体に憑依した”と、そう思っているー
「や、、やべ…香坂さんの声で、えへへへへ…とか言っちゃったよー」
ニヤニヤする希海(亮也)は、
完全に女子を捨てたような走り方をしながら
カラオケ店を目指しているー
もう我慢できないー
この場でこの声で歌い出してしまいたいー
そんな欲求をなんとか抑え込みながら、
カラオケを目指すー
「何歌おっかな~えへへへ…」
希海(亮也)は、
「っていうか…やっぱこの声…最高すぎるぅ…俺の声にしたい」と、
ニヤニヤしながら一人、呟いているー。
「って、今は俺の声かー」
”俺”と、希海ボイスで呟くことにもゾクゾクを感じながら
ようやくカラオケ店にたどり着いた希海(亮也)は、
ニコニコしながら個室に入ると、そのまま深呼吸を繰り返すー。
「…ってか、髪…長いとやっぱ違和感すごいな…」
希海(亮也)は髪を触るー。
「ーーなんで女子って髪伸ばすんだろうなぁ~」
個室内の鏡を見つめながら、そう呟く希海(亮也)ー
亮也からすると、髪を伸ばす理由があまり良く分からないー
「ーーま、かわいいからいっか」
そう呟くと、希海(亮也)は鏡に向かって
「先輩…今日はいっしょにいっぱい歌いましょうね♡」と、
甘い声でほほ笑んで見せたー
少し恥ずかしそうに顔を赤らめている希海の姿を見ながら
「や、、やばい…死ぬ…尊い…」と、一人呟き、早速歌を
歌い始める準備を始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーそ、、そんな…」
2部屋隣の個室では亮也に”憑依薬”と偽って
”入れ替わり薬”を渡した昭が、
亮也になった希海に”事情”を説明していたー。
それもー
”亮也が悪者になるように”話を
ところどころ”変えながら”だー。
「ーーじゃあ…先輩が、わたしをー」
亮也(希海)が、不安そうに呟くー
「俺は止めたんだけどさ」
昭はそう呟きながら笑うー。
”お前を香坂さんに嫌われるようにしてやるー”
昭は、心の中でそう呟いたー
「おまっ…!あんまり俺といるときそういうことを堂々と
言わないでくれよ!
俺まで”同類”に見られちまう!」
少し前にー
”三次元の女なんてどこがいいのかねぇ”と
昭が呟いた際、亮也はそう言ったー
その時の言葉が、昭をイラッとさせたー。
亮也におそらく悪気はないー。
しかし、昭からすれば”侮辱”以外の何物でもなかったー。
”仕返し”
それが、昭の目的ー
入れ替わりによって、夢を叶えてあげるフリをしながら
”香坂さん”が、”亮也”を嫌うように仕向けるー。
「ーーーーー」
落ち込んだ様子の亮也(希海)ー
”しかしすげぇなー…同じ亮也のやつの身体なのに
本当に別人みたいだー。
入れ替わり薬が本物かどうか、確証は持てなかったけど、
まさか本物とはなー”
昭は心の中でそんなことを考えるー。
ネットで手に入れた”入れ替わり薬”が本物かどうかは、
正直なところ”使ってみる”までは分からなかったー。
三次元の他人の身体に、昭は興味すらないー。
だからー
”もしも入れ替わり薬が偽物で効果がでなかったら”
それはそれで、何もせずそのまま話を終わりにしようと思っていたー
だが、結果はー
入れ替わり薬は本物だったー。
「ーーそろそろアイツが来る頃だと思うぜー。
香坂さん、身体、取り戻しに行くんだろ?」
昭が言うと、
亮也(希海)は「はい…」と、悲しそうに呟くー。
”へへへ…いいぞいいぞ…!
亮也のやつに対して不信感が芽生えている顔だ!”
昭は心の中でそう呟きながら、
「亮也のやつも、ここに香坂さんの身体で来てるはずだから、探そう」と、
笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ドキドキドキー
カラオケで1曲目を歌おうとする希海(亮也)ー
希海の声で歌う、と思うだけで
興奮してきてしまうー
ゾクゾクしてきてしまうー。
1曲目は、亮也の友人である昭が
よくカラオケに来ると歌っている
アニメソングを歌ってみたー。
アニソンを希海の声で歌うー
と、いうことになんとなくゾクゾクしたからだー
「ーーあ~~…あ…」
マイクを持ちながら声の確認をする希海(亮也)ー
「はぁ~~~この時点でもうたまらないー
推せるー」
訳の分からないことを呟きながら希海(亮也)は
恥ずかしそうに歌詞を口にし始めるー
希海の綺麗な声が、個室の中に響き渡るー
「ーーっ!」
歌うのをすぐにやめてしまう希海(亮也)ー
「ーーあぁぁぁぁ…希海ちゃんの声ーやばい」
一人、その場で頭を抱えて蹲る希海(亮也)ー
事情を知らない人間が見たら
自分で歌い出して、自分の声に興奮してしゃがみこんでしまった
ヤバい女子高生状態だー。
気を取り直して、と、深呼吸をして
再び歌いだす希海(亮也)ー
今度は恥ずかしそうにしながらも
ちゃんと歌い続けるー。
”希海ちゃんの声、やっぱり綺麗だなぁ~”
”希海ちゃんかわいいなぁ~”
”こんな声出せるんだなぁ~”
”普段穏やかな声の出し方だからギャップが”
色々な感想を抱きながら
歌を1曲歌い終えるー。
「ーーはぁ…はぁ…1曲歌うだけで
こんなに身体がドキドキするとかー…
絶対このあと身体、持たないぞー」
そんなことを思いながら
今度は、亮也自身が好きな
女性歌手の歌を歌い始めるー
「ーーーあぁっ…ヤバい、ヤバいー」
1番と2番の間で、ひたすらヤバいを連呼しながら
希海(亮也)は楽しくなってきたのか、
だんだんと、恥ずかしそうに歌うのではなく、
ノリノリで歌い始めていたー。
希海の身体で、可愛らしいポーズを取ったり、
歌いながらウィンクしたりしているうちにー
「ーーうげ…」
希海(亮也)は、希海が鼻血を出してしまったことに気付くー。
「ーやべやべ…」
希海(亮也)はそう呟くと、一旦座って
鼻血を止めようとするー
「ーー香坂さんに鼻血を出させちゃうなんて…」
そう呟きながら、鼻血が止まるのを待つー。
希海の身体でアイドルみたいなポーズをしながら歌っている姿が
鏡に映った瞬間、ゾクゾクで身体がはじけ飛びそうになったー。
「ー可愛すぎるー…」
「ーあとギャップがヤバすぎるー」
希海本人と、こうしてカラオケに来たとしたらー
希海はどんな風に振る舞うのだろうかー。
鼻血が止まるまでの間、そんなことを
亮也は考えるー。
やっぱり、いつもの希海のように
恥ずかしそうにしたままだろうかー。
それとも実は、こういう場所に来ると
はりきっちゃうタイプの子なのかー
そんな妄想をしながら
ようやく鼻血が止まったことを確認すると、
「希海ちゃんの鼻血…」と、一瞬変な気を起こしそうになったが、
「いや!血は血だし!」と、一人叫んで、
そのままティッシュをゴミ箱に捨てたー
「ーさ、次はー」
”希海の声”で歌いたい歌はまだまだたくさんあるー。
恋愛ソング的なものを希海に歌わせてみたいし、
ロックバンドの挑発的なパフォーマンスつきの曲や、
絶対本人が歌わなそうな変な歌詞の曲も歌ってみたいー。
もういいやー
全部歌ってしまえ!
そんな風に思いながら、次々と少しでも
気になった曲を、入れていくー。
恋愛ソングを歌う希海(亮也)ー
”先輩への届かない愛”を歌いながら
まるで希海に告白されているような
そんな錯覚に陥りながら、
その世界に入り込んでしまうー。
歌いながら、思わず涙までこぼしてしまった希海(亮也)は、
「うぉっ!?なんで!?」と、叫ぶー。
希海の身体の涙腺が脆いのだろうかー。
それとも、身体を好き勝手されていることに希海の身体が
拒否反応を示しているのだろうかー。
「ーーーいや…希海ちゃんの歌声があまりにも綺麗すぎて
泣けたのかも…」
そんなことを呟きながら、希海(亮也)はさらに次の曲を歌うー。
歌詞に”俺”とか”~~だぜ!”とか
”~~じゃねぇ”とか、乱暴な言葉が含まれる
亮也がたまに聞くロックバンドの曲だー。
中指を突き立ててみたり、
不良みたいなポーズをしてみたり、
身体を揺らしながら
過激な言葉を口走っていくー。
希海の綺麗な声にー、
完全にミスマッチな曲ー。
それを今、希海の身体でー
希海の声で歌っていると考えるだけで、
興奮して身体がはち切れそうになってしまうー。
「ーー俺を舐めるんじゃねぇ」
歌詞の中のセリフを口走る希海(亮也)ー
思わず「ふぁぁぁぁ…罵られたいー」と、意味不明な
言葉を口走って、ニヤニヤしながら
顔を真っ赤にしている希海(亮也)ー
「ーーあ~~こんな声が出るなんてたまんないなぁ…
これが俺の声だったら、毎日歌いに来て
毎日興奮しちゃいそうだけど…」
希海(亮也)はそう呟きながらもー
「まぁ……”他人の声”だからこそ興奮するのかな」と、
少し我に返ったような感じで呟くー。
”亮也が希海の身体で希海の声で歌う”からこそ興奮するのであってー、
”元々自分が希海で、希海の声で歌っても”何も興奮しないかもしれないー。
そんな風に、急に妙に冷静になった希海(亮也)ー
「ーま、そんなことはどうでもいいかー
とにかく今はいっぱい歌わないとー」
ラップ風な歌詞の歌を歌い始める希海(亮也)ー
だんだんと希海の声の出し方ー…
言葉には言い表すことが難しい
”その人の身体ならではの声の出し方”を
掴んできた気がするー。
”こういう感じ”で声を出せば
希海の可愛らしさをー。
”ああいう感じ”で声を出せば
希海の綺麗な部分をー
色々、何を強調したいかによって
声の感じを色々変えることによって、
色々な希海を楽しむことができるー
「ーーはぁ~~意外と低い声も出ていいなぁ~
しかも、すげぇゾクゾクするー」
低い音程の歌を歌い終えた希海(亮也)は
ニヤニヤしながら、”あ、くそ!何か録音するもの持って来ればよかった”と、
一人舌打ちをするー
希海の歌声なんて、たぶんこの先、もう聞くことはできないだろうー。
せっかく、こんな夢のような機会を手に入れたのだから、
”録音”できる何かを持ってくるべきだったー。
そんな風に思いながら希海(亮也)は時計を見て
「まだいけるな」と、笑みを浮かべて
再び曲を選び始めるー。
「ーーーほらー 香坂さんの身体ー」
希海の身体で亮也が熱唱している外ではー、
昭が亮也の身体になった希海に、
部屋の中で歌う希海(亮也)を指さしながら
そう呟いていたー。
「ーうそ……わたしが勝手に…」
亮也(希海)は唖然としているー
”自分の身体が勝手に動いている”
そんな経験を生きているうちにする人間は
まずいないだろうー。
亮也になった希海は今、そんな場面に直面しているー。
”自分”が嬉しそうに個室の中でノリノリで歌っているー。
驚いた様子で震えている亮也(希海)を横目で確認して、
昭はニヤリと笑みを浮かべるー。
”これで、香坂さんに嫌われちゃうな”
昭はそう呟くと、
「ーーまぁ、安心しろ亮也ー
お前にも、きっと嫁が見つかるー。
三次元なんかじゃなくて、二次元の世界の中でなー」
と、静かに心の中で囁いたー。
昭の計画もー、
自分が希海に憑依したのではなく、希海と入れ替わっている、ということもー
何もかも知らないまま、亮也は希海の身体で
楽しそうに熱唱を続けていたー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・
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次回が最終回デス~!
欲望のままにカラオケを楽しんだ彼の運命はー…?
続きはまた明日デス~!
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