<入れ替わり>カラオケチェンジ①~声~

「あの子の声で、歌いたいー」

そんな願いを、
彼は叶えるチャンスを手に入れたー…!

※物語の展開上、
 作中で「憑依」という言葉が登場しますが「入れ替わりモノ」デス~!

・・・・・・・・・・・・・・・

「俺、希海(のぞみ)ちゃんの声、好きなんだよなぁ~」

男子高校生二人が、昼休みの教室で何やら雑談をしているー。

「ーー香坂(こうさか)さんのことー?」
そのうちの一人が、あまり興味なさそうに呟くと、
もう一人は「そうそう!」と、ニヤニヤしながら言う。

香坂 希海(こうさか のぞみ)ー。
二人の男子生徒からすると後輩にあたる希海は、
とても大人しい女子生徒で、真面目な少女だー。

そんな希海の”声”が好きな
亮也(りょうや)は、現在、図書委員長を務めていて、
希海は、同じ図書委員に所属する
先輩・後輩の間柄だー。

「ーーー俺には、分かんないな」
亮也と話していたもう一人の男子生徒・昭(あきら)が
つまらなそうに呟くー。

昭は”時代は、二次元だ”と豪語しており、
”二次元の女が三次元の女を凌駕したディメンション時代の始まり”と
訳の分からないことを日々、口にしているー。

三次元の女には全く興味がないと断言し、
女子と仲良くする素振りはこれっぽっちも見せないー。

三次元の女子に”全く興味がない”男子生徒だー。

だから”希海の声が好き”という
亮也の言葉も、全く理解できない様子だったー。

「香坂さんの声より
 声のいい娘なんてたくさんいるぜ?」
笑う昭。

昭の言う”声のいい娘”とは、当然”二次元のキャラ”のことだー。

「お前なぁ…お前の好きな子たちの声も
 生身の人間の声なんだぜ?」
亮也がそう言いながら、昭のカバンについている缶バッジを指さすー。

「ほら、お前の大好きななっちゃんだって、声優さんがー」
亮也の言葉に、昭は机をバン!と叩いて、
「なっちゃんの声は、なっちゃんの声だ!」と大声で叫ぶー。

クラスメイトたちが驚いて一斉に亮也たちのほうを見つめるー

急に大声を上げた昭に、亮也も驚きながらも、
少ししてから苦笑いして
「ーあ、ご、ごめん…ほら、ジュースの話だよ」と、
周囲を誤魔化したー

「お前、急に大きな声出すなよ!」
亮也が小声で昭に言うと、昭は「お前がなっちゃんを侮辱するからだぞ」と、
小声で言い返したー

「わ、わかった!わかった!悪かったよー」

亮也は別にアニメやゲームが特別好き、というわけではなく
「見たり・遊んだりすることはあるけど、そんなに頻繁にではない」
というレベルー。

趣味が違う昭と仲良くしているのは、
小さいころから学校が一緒だったこともあるし、
普段の昭自身は話しやすい性格だから、ということもあるー。

だが、”二次元”の話が絡んだりすると、
すぐ興奮してしまうのは、友人の亮也から見ても、
ちょっと心配な部分の一つとも言えたー。

元々、カラオケの話をしていた二人ー。
その流れから”声”の話になり、
”希海ちゃんの声が好き”という話題にしてしまった亮也は、
少しだけ”こいつの前でそういう話はやめておこう”と
後悔するのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

今日の亮也は”妙にご機嫌”だったー。

あまりにも”分かりやすい”反応だー。

「ーー今日、香坂さんと図書当番か」
呆れた様子で昭が言うと、亮也は「ゲッ!なんでわかったんだ!?」と
表情を歪めるー

「なんでって、お前朝からご機嫌すぎだろ」
と、昭は呆れた様子だー。

「ーーそ、そんなにか…?」
亮也が苦笑いしながらそう言うと、昭は「そんなにだ」と、即答するー。

少し間を置いてから
「しかし、三次元の女なんてどこがいいのかねぇ」と、昭は
首を横に振りながら言うー。

周囲の女子たちが、昭と亮也のほうを見つめるー

「おまっ…!あんまり俺といるときそういうことを堂々と
 言わないでくれよ!
 俺まで”同類”に見られちまう!」

そんなことを言うと、昭は少し不愉快そうにしながら
「三次元の人間なんて骨と皮と肉だぜ」と、呟くー。

「ーその点、二次元はいい。
 身体の中に夢がぎっしり詰まってる。ドリームだ。分かるか?」

昭がそう言うと、
亮也はもうヘラヘラして、昭の言葉を聞いていなかったー

”香坂さん”との図書当番が楽しみなあまり、
上の空になっているような、そんな状態だー。

「ーーーお前も希海ちゃんの声、一度聞きに来いよ!
 あの癒しのボイスはホント、たまんないぜ~!
 1回、香坂さんが歌ってるところ見て見たいぐらいだし!」

カラオケ好きな亮也は笑いながらそう言うー。

「誘えばいいじゃないか」
昭が冷静に返すと、
「いやいやいや、絶対、そんなことできねぇよ!
 嫌われちゃったらイヤだし!」と、亮也は顔を赤らめながら
即答するー。

”それにー”と、
「希海ちゃん、どう見てもカラオケとか、そういうの苦手なタイプだろー?」
と、亮也は付け加えたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後ー

「ーーこ、香坂さんー 今日もよろしくー」
図書室に入ると、先にやってきていた希海に声を掛けるー。

「あ、先輩ー。よろしくお願いしますー」
ペコリと頭を下げる希海ー。

昭の前では”希海ちゃん”などと呼んでいる亮也だったが、
本人の前では”香坂さん”と呼んでいるー。

本を読みながら、穏やかな表情を浮かべている希海ー

「ーあ、そういえば、これなんですけどー」
ふと、思いついたかのように、希海が図書室の
貸出記録を見せてくるー。

ごく普通の相談だー。

相談を受けながら、”やっぱ、希海ちゃんの声、いい声だなぁ…”と
思わずニヤニヤしそうになってしまうー

とにかく、落ち着いた感じで綺麗な、癒される声だー。
カラオケで歌ったら、本当に綺麗な声に聞こえるだろうなぁ…
そんなことを考えていると

「ー先輩…?」と、希海が首を傾げたー。

「あ、あぁ、ごめんーえっとー…これは、そうだなぁ…」
亮也はようやく我に返って、希海から聞かれたことに答えるー

”でも、カラオケに誘うなんてやっぱ、おかしいしー
 嫌われるかもしれないー”

深呼吸をすると亮也は”こうして一緒に委員会の仕事を
していられるだけで、俺は幸せなんだ”と、
今日もそれ以上の行動をせずに、そのまま図書委員の仕事を終えたー。

高校3年生である亮也は、
あと少しで委員会活動を終える。

図書委員としての仕事が終われば、
希海との接点はおそらくはほとんどなくなるだろうー。

校舎内ですれ違うことがあれば、挨拶をしてくれるし、
たまに雑談をすることもあるが、
それ以上の関係ではないー。
ましてや、一緒にカラオケに行くことなど、できないだろうー。

そんなことを思いながらも、
亮也の高校生活の残り時間は着々と減っていき、
ついに、図書委員の仕事の”最後の日”もあと1か月ぐらいの
ところまで迫ってきていたー。

「ーーー」
図書委員の当番表を少し寂しそうに見つめる亮也ー。

あと、希海と一緒にー
二人きりで当番をするのは4回だけー。

”このまま”
何もないまま、終わるのだろうー。

そう思っていたある日ー、
昭から声を掛けられたー。

「ーよっ!」
昭に空き教室に呼び出されて、
亮也がそれに続くと、
昭は突然、「最近お前、テンション低いよな」と、苦笑いし始めたー。

「ーう、うるせ~な!どうせ理由は分かってるんだろ?」
亮也が言うと、昭は「香坂さんとお別れしたくない~!とか、だろ?」と
”図星”のことを口にしたー。

「ーーやっぱ分かってるんじゃないか」
亮也はそう言うと、「話がないなら、俺、カルピス買いに行くから、もう行くぞ」と、
空き教室から立ち去ろうとするー。

「いっしょに、香坂さんとカラオケに行きたいんだろ?」
昭の言葉に、亮也は「あぁ…いけるものならな!」と、答えるー。

「ーだったら、俺がその夢をかなえてやるー」
昭が言うー。

「ーはぁ?お前に何ができるんだよー?」
亮也は困惑するー。

確かにコミュニケーション能力は高いかもしれないが、
”二次元こそ正義”な昭には、彼女もいないし、
恋愛経験もないー。
そんな昭が、どうやって”亮也と希海が一緒にカラオケ”を
実現するというのだろうかー。

「ーーまぁ、そんな面倒臭そうな顔をするなって
 俺がお前に夢を与えてやるー」

昭が得意げな表情でそう呟くと、
亮也に対して”怪しげな小瓶”を見せた。

「ーーーなんだそれはー」
亮也が言うと、昭は「”憑依薬”だ」と語るー

「ひ、ひ、憑依薬ー!?」
亮也がそう言うと、昭は「そう。他人に憑依できる薬だー。」と
笑みを浮かべるー

驚く亮也に、昭は、この薬を、憑依したい相手の
名前と顔を念じながら飲むことで、その相手に憑依することができる、
と説明するー

「それを使って、香坂さんに憑依すれば、
 お前は香坂さんとしてカラオケに行くことができるんだー。
 ま、一緒に行くって夢は叶わないけどー…
 香坂さんの”声”で色々歌ってみたいんだろ?」

昭の言葉に、亮也は「で、でもー…」と、反論しようとするー。

「ー大丈夫だって。憑依されている間の記憶は
 ”整合性が取れるように”勝手に調整されるし、
 憑依されている間に実際にさせられていたことの記憶は
 残らないー。
 お前が、香坂さんの身体でおかしなことをしようとしてるならアレだけど、
 カラオケで歌うぐたいなら問題ないだろ。

 勝手にカラオケに行って香坂さんの金を使うことが申し訳ないと思うなら
 香坂さんに憑依してから、自分の金を回収してカラオケに行けばいい」

昭にそう言われると「そ、そうだなー」と呟く亮也ー。

もちろん、”本当に本物なのか?”という心配もあったが、
”希海と一緒に図書委員でいられる時間があとわずか”なことや、
”希海の声で歌ってみたい”という欲望の方がそれを上回りー、
「じ、じゃあ、今日の放課後、早速ー」と、笑みを浮かべたー

「ーーあ、でも、憑依してる間、俺の身体はどうなるんだ?」

「ーー抜け殻になる」
昭は即答したー。

「ーでも大丈夫さ」
昭が何やら提案するー。

その提案は、希海に憑依したあとに行く予定のカラオケボックスに
先に亮也と昭で足を運び、個室に入ったあとに、亮也が憑依薬を飲む、というものだったー

そうすれば、昭が亮也のことを見張ってられるし、
誰かに見られる心配もないー。

いざという時、自分の本体が近くにあるのも安心だー。

早速、カラオケボックスに移動した二人ー

”俺は、ここでアニソン歌ってるからさ
 香坂さんから抜け出したお前が戻ってくるのを待ってるよー

 あ、香坂さんの身体でこの部屋来るなよー。
 万が一、誰かに目撃されたら厄介だー。
 お前は別の部屋で歌ってろ”

昭はそう呟いたー。

それに頷く亮也ー。
「ーさぁ…いくぞ…」
ゴクリと唾を飲みこみ、憑依薬を一気に飲み干したー。

「ーーー!!!」

一瞬にして視点が切り替わるー。

亮也は、ちょうど学校の正門を出たばかりのーー
希海の身体になったのだー

「ーーうっ…ほ、、ホントにー…」
希海(亮也)は笑みを浮かべながら驚いた様子で
自分の手を見つめるー

「ー香坂さん?どうしたの?」
ちょうど近くを歩いていたクラスメイトらしき女子が声を掛けてくるー

「ーえ?あ、、あぁ、なんでも…なんでもないよ」
希海はそう呟くと、ニヤニヤしながら
カラオケボックスに向かって走り出したー。

”やべっ!スカートの感触気持ちイイーー”
そんな風に思いながら、希海(亮也)は、希海の声で
歌うことをワクワクしながら妄想するのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・

カラオケ内ー

「ーーーえ…」
亮也が起き上がるー。

「ーーーー…」
昭がその様子を見つめるー

昭が亮也に渡したのは”憑依薬”などではなかったー

「ーーわ、、、わたしー」
亮也と”入れ替わった”希海が困惑の表情を浮かべるー。

「ーー…」
昭はそんな様子を見ると、静かに笑みを浮かべてから、
亮也(希海)に対して静かに語り掛けたー。

「ー香坂さんー。
 落ち着いて聞いてくれ」

「ーー”俺は止めたんだけど”ー
 亮也のやつが、香坂さんの身体を奪ったんだー」

とー。

②へ続く

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コメント

あの子の声で歌いたい…!
そんな入れ替わりモノですネ~!

今日は入れ替わり部分までが中心でした~!
続きはまた明日デス~!

入れ替わり<カラオケチェンジ>
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