<憑依>闇夜の美少女①~裁き~

闇に紛れて、
悪人を葬り去るー。

そんな美少女がいたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーークククククク」
街を歩く男ー。

男は”浮気のデパート”の異名を持つ男だったー。

今までに繰り返した浮気の数は”776”ー。
あり得ない数字だが、彼は、その”ありえない”を現実のものとしていたー。

ありとあらゆる女を抱き、
”イケメン”な甘いマスクと声で、女を口説き、
そして、抱いてきたー。

女の敵とも言えるその男は、
今日も、6人の女をハシゴしてきたところだー。

”お前はホント、救いようがない奴だよ”

友人の男と飲み終えた”浮気のデパート”男は、
笑みを浮かべるー。

「ーーお前だって、救いようのない奴だろ?」

一緒に飲んでいた相手の男は”転売大商人”の異名を持つ男で、
ありとあらゆる商品を”転売”しては、多額の利益を上げているー。
年収は1億円近くにも上ると言われており、
彼のSNSは毎日炎上しているものの、
”俺にはこの炎ですら、心地の良いワルツだ”と、全く気にも留めていないー。

二人とも”法律上”は、黒ではないー。
法で罪に問えるか、と言われれば難しいだろう。

浮気は法律で禁止されていないし、
転売の方に関しても、”転売大商人”の男は、
法律上問題のないものをセレクトして、販売しているー。

二人とも、罪に問うのは、難しいのだー。

「ーじゃあな」

「ーーああ、お前も女を騙すのはほどほどにしとけよ?」

「ーへへ、馬鹿言うなよ、次の浮気でスリーセブンだぜ?」

「ースリーセブン浮気男とか、ヤバすぎだろ?」

雑談をしながら、別れる二人ー。

”転売大商人”と別れた”浮気のデパート”男は、
笑みを浮かべながらスマホを手にするー

「あ、千代子(ちよこ)ー?俺、ごめんな!仕事が忙しくてー。
 今日、このあとさ、時間取れたから、どう、久しぶりに
 千代子の声が聞きたくてさー」

笑みを浮かべる”浮気のデパート”

だがー。

「ーー!?」
人通りの少ない林近くの抜け道を歩いていた
”浮気のデパート”は表情を歪めたー。

目の前にーー
白いブラウスと長いスカート姿の女が立っているー

その少女はー見た感じ、女子高生か女子大生ぐらいの年齢に見えたー

あまりにも”その少女”が立っているには不釣り合いな
暗く、人通りの少ない夜道ー

一瞬ー、”浮気のデパート”男には、それが幽霊かとも思って
しまったぐらいだったー。

「ーーー……誰だー?」
スマホを耳元から離しー、浮気相手の一人”千代子”との通話を中断する男ー。

「ーー英恵か?それとも…喜佐子…???」
表情を歪めながら”目の前にいる女”と似た雰囲気の女の名前を呼ぶー。

だがー
暗闇から近付いてきた女は”知り合い”ではなかったー。

「ーーー死神ー」
女はそう呟いたー

「ーな、何?」
男はわずかに動揺の色を見せるー。

「ーー裁かれない罪を犯した人間を連れていく死神だー」

可愛らしい顔ー
スタイルの良い身体ー
可愛らしい声ー

「ーーーは…?ははは…お嬢ちゃんー何を言ってるんだかー」
”浮気のデパート”は、相手が華奢な美少女であることに
油断したのか、そう呟きながら近づいていくー。

「ーーーふふ」
闇夜の中から姿を現した美少女は、静かに微笑むと、
突然、”浮気のデパート”男に抱き着くー

「ーうぉっ!?へへ…なんだよー」
”よくわかんねぇけど、次はこの女にするか”
そんな風に思ったその直後ー、
いきなり、死神を名乗る美少女にキスをされたー

「ーー!!!」
ニヤニヤしながらキスを受け入れる男ー

だがー
次の瞬間ー
美少女は、そのまま男をトン、と突き飛ばして
何事もなかったかのように立ち去っていくー。

男はー
美少女にキスされた際に、
美少女の口から”口移し”された毒物入りのカプセルを
飲み込まされて、”即死”したのだったー。

ニヤニヤしたまま路上で倒れ込んでいる男ー。

「ーーーお前のような悪人にふさわしい死にざまだなー」
美少女はそれだけ呟くと、そのまま闇の中へと消えたー。

・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

「え…む、無理だよぉ~…」

とある高校ー
自信なさそうに一人の少女が微笑むー。

「ー無理じゃないよ~!冬美(ふゆみ)、可愛いんだから~!」

冬美と呼ばれた自身のなさそうな少女が
「無理無理…」と恥ずかしそうに呟くー。

来月に迫った文化祭で、”劇”をやることになり、
その配役をクラスで話し合っている最中のことだったー。

大人しくて、恥ずかしがり屋の女子生徒・
白井 冬美(しらい ふゆみ)に対して、
友人の磯村 美晴(いそむら みはる)が、
”ヒロイン役いいんじゃない?”と冗談を口にしていたのだー。

「ーーーわたしは、絶対無理ー…そんな器じゃないしー…」
恥ずかしそうに呟く冬美ー。

冬美はとにかく恥ずかしがり屋で、奥手な性格ー。
ドジなところもあるし、とにかく自分に自信がないー。

けれどー
とても可愛らしく、スタイルも良い…そんな女子生徒だったー。

「ーーーえ~…半分本気なんだけどなぁ~」
友人の美晴がそう言うと、
冬美は「ヒロイン役は美晴に似合ってると思うけど…」と、
小声で呟くー

「わたしこそ無理無理無理~!」
美晴は、ハイテンションでそう言いながらも
「あ、でも、冬美がそう言うなら、やっちゃおっかな~」と
ニヤニヤし始めるー

周囲の男子が”結局、磯村さんがヒロインやりたいんだよな”と、
苦笑いしながらそんなやり取りを見つめているー。

「ーー結局、ヒロインになってるしー」
冬美がそう呟くと、美晴は「成り行きでー」と、自分が
ヒロイン役になったことを満足そうに笑っていたー。

「ーーでもさ」
美晴がふいに呟くー。

「冬美も、もっと自信持った方がいいよー。
 奥手なのも冬美の魅力かなぁ…とは思うけど、
 冬美、それで損してることも多いしー」

その言葉に、冬美は「ーーうん…」と、悲しそうに微笑むー。

「ーーー」
昼休みに入り、美晴は教室の外に向かうー。

美晴は、冬美が”大人しくて奥手”になってしまった理由を知っているー

”あの時”からだー。
小学生時代、冬美は”お姉ちゃん”を失っているー。

高校生になって、既に当時の同級生は、ほとんどいないため、
そのことを知る人間は少ないー。

だがー
小学時代から一緒の美晴は知っているー

冬美は元々元気で明るい子だったー。

けれどー
”あの時”から変わってしまったー。

いやー
”今”、冬美がああして、普通にしていられるだけでもー
良かったのかもしれないー。

何故ならー
冬美はー”お姉ちゃん”を目の前で殺されたのだからー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー。

「ーーーー」
学校から下校した冬美は、一人、勉強を続けていたー

冬美の部屋は、驚くべきほど”殺風景”だったー。
とにかく寂しいー
そんな光景が、そこには広がっているー。

「ーーーーー」
冬美が寂しそうな表情を浮かべるとー
「いるの?」と声を出したー

その部屋には、”誰もいない”ように見えるー

しかしー
”それ”は現れたー

禍々しいオーラを身にまとう”存在”がー。

人間が”死神”と呼ぶ存在がー。

「ーーーちょっと遅れちまったー。悪いな」
”死神”がそう呟くー。

「ーーーー別にー。大丈夫」
冬美はそう呟くと、冷たい笑みを浮かべながら振り返るー

学校ではー
いや、家でも家族の前では絶対に見せない笑みー。

「ーー今日は、誰を始末するのー?」
冬美の言葉に、”死神”は答えたー

「ー今日は昨日の”浮気デパート”野郎と一緒にいた野郎だー」
死神の言葉に、冬美は「そう」と、呟くー。

「ーーそれにしても、どうしてわたしのような”身体”を選んだの?」
冬美が自信のなさげな声で呟くと
”死神”は「ん?」と、呟くー。

「ー悪人を抹殺するだけなら、わたしよりもっと、運動神経のいい人なんて
 たくさんいるだろうし、
 夜に行動するにしても、わたしみたいな子じゃなくて、
 一人暮らしの人のほうが、使いやすいと思うんだけど…」

冬美の言葉に、”死神”は、
「ーーー悪を憎む心ー」と、言いながら冬美を指さすー。

「ーーーお前だからこそ、俺の力も生かされるー。
 力が強いだけじゃー
 環境がいいだけじゃーだめなんだ」

死神の言葉に冬美は「ふぅん」と呟きながら
目を閉じるー。

「ーーじゃあ、どうぞー」
冬美がそう言うと、死神は少しだけ笑みを浮かべながら
「自分以外の誰かに、身体を貸すなんて、怖くねぇのか?」と、笑うー。

「しかも、人間じゃなくて、俺みたいな死神にー」
死神がそう言うと、
「ーー別にー」と、冬美は冷たい口調で呟くー。

「ーーーーーー」
冬美は”目の前でお姉ちゃんを殺された”時のことを思い出すー。

怖いことなんて、もうないー。
大好きなお姉ちゃんが、あんなことになったのを
目の前で見せつけられたわたしにはー

「ーーーへへっ…あ、そうそうー
 今日のターゲットは、ちょいと格闘技習ってるみたいだから、
 念のため着替えるからな」

それだけ言うと、冬美は「好きにして」と、だけ答えたー。

冬美が目を閉じるー。
死神が「お邪魔するぜ」と、呟くと、冬美の身体に憑依したー

「ーーっ」
ビクンと震える冬美ー

「ーへへっ…大した女だぜ」
そう言うと、今日も身体が動くかどうかを確認してからー
”闇夜に溶け込む”服に着替えてー
そのまま窓を開けてー
家から抜け出しー
夜の街を歩き始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

繁華街の外れー
車を運転して、自分の家に戻ろうとしていた
”転売大商人”は、
人気のプラモデルやゲーム機を大量に積んだ状態で
笑みを浮かべていたー

”定価を超えているから、買わないは、甘え”
転売大商人の異名を持つ男は、そう考えていたー。

”本当に欲しいものなら、いくら払ってでも買うだろ?”
男は、いつも転売行為にケチをつけられた時に、そう言っているー。

自分は、需要が高まれば、価格が上がるのは当然であるとー

「ーー!?」
男が車に衝撃を感じて、車を止めるー。

車から降りると、そこには石が大量に置かれていたー

「っ、なんだよー」
不満そうに呟く”転売大商人”ー

そこにー
黒いラバースーツで闇夜に溶け込んだ冬美が姿を現したー

「ーーーー女?」
転売大商人が、そう呟くと同時にー
冬美は、一瞬にして、転売大商人に近付き、そして
”あるもの”を取り出して、彼が気づいたときには、
冬美は、彼の背後に立っていたー

死神が”冬美”に憑依している理由はひとつー。
死神は、この世界では”実体”がないためー
こうして”法律で裁かれない悪人”を裁くには、
身体が必要なのだー。

冬美の身体を使って”死神”の魔力を用いー
悪人を葬り去っているー。

「ーーーー!」
男は、身体に違和感を感じるー

冬美は、男の臓器を、男の身体から、死神の魔力で
取り出していたー。

「ーーな…… え…???」
転売大商人が表情を歪めるー。

「ーー臓器ー…欲しいか?」
冬美が冷たい声で呟くー

”なんだ、このラバースーツの女…?”
身体から急速に力が抜けていくー。
本当は即死なのだが、死神の魔力で”あえて”生かされているー。

「ーーーく…ふ、、ふざけるな…!俺の…!」
”転売大商人”の言葉に、冬美は笑みを浮かべたー

「ーー99兆5000億円 で、売ってあげるー」
冬美が悪魔のように微笑むー。

「ーーそ、、そ、、そんな金ー」

「”定価を超えているから、買わないは、甘え”」
冬美が微笑むー。

「”本当に欲しいものなら、いくら払ってでも買うだろ?”」
冬美の言葉にー、
”転売大商人”は、悲鳴を上げながら冬美の方に向かってくるー。

「ーーーさよなら」
冬美が冷たく呟くとー
冬美に近付いた転売大商人は、一瞬に引き裂かれてー
そのまま”消滅”したー。

これも、死神の魔力によるものー

冬美はため息をつくと、
夜空を見上げて、少しだけ寂しそうな表情を浮かべてからー
そのまま、夜の闇へと消えたー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

昼間は大人しい女子高生、夜は死神に憑依されて暗躍…!
そんな少女と、憑依している死神のお話デス~!

続きはまた明日~!☆

憑依<闇夜の美少女>
憑依空間NEO

コメント

タイトルとURLをコピーしました