<入れ替わり>お父さんが新成人!?②~パニック~

成人式当日ー

娘と父親は、事故で入れ替わったまま、
成人式が始まってしまうー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

成人式が始まったー。

新成人に対するお祝いの言葉などが述べられていくー。

悪く言えば”テンプレート”のような内容とも言える話を
聞きながら、美愛(昭二)は、少し安堵の表情を浮かべたー。

”成人式”の最中は、大人しくしていれば
ひとまず、周囲に変な目で見られたりする心配はないし、
自分も美愛として無理に振る舞わなくてもいいー。

”それにしても、まさかこんなことになるなんてー”
娘の美愛になってしまった昭二は、そんな風に思いながら、
”なんとか同窓会までに元に戻ってあげないと可哀そうだよな”
と、呟くー。

既に、美愛の”成人式”を奪ってしまっているー。
そんなことは、父・昭二としても本意ではないー。

だからー何とか、成人式が終わって、同窓会が始まるまでに、
美愛と身体を元通りにしたいー。

しかしー

”どこの病院に運ばれたんだー?”
そんな風に思いながら、美愛(昭二)は表情を歪めるー。

警察官に送ってもらってしまったために、
昭二になった美愛とのんびり会話する時間も確保できないまま
ここに来てしまったー。

どこの病院に運ばれたのかも正直分からないー。

”早いところ、確認しないとなー”

そんな風に思いながら
美愛(昭二)は、成人式の話が全く耳に入らないまま
”トイレに行くフリをしてー”と、
一旦、話が行われている場所から退出するー。

会場の廊下を歩きながら
「それにしても…歩きにくいー」と呟きながら、
昭二(美愛)に連絡を入れようとするー。

”成人式が終わったらすぐに美愛のいる病院に行ってー
 それからー”

「ーーーーーーーーー」
スマホを取り出した美愛(昭二)は、スマホの画面を表示して、
すぐに沈黙した。

「ーーーーーー」
「ーーーーーーーー」

美愛(昭二)は、独り言をつぶやくー

「ーー暗証番号…暗証番号ー」

なんとなく、美愛の誕生日を入力してみるー。

「ーーーー」
当然、暗証番号は違っていたー

「ーーーー分からん…」
美愛(昭二)は、壁に寄りかかって
落ち着かない様子でそわそわしながら、
スマホとにらめっこを続けるー。

しかしー
”美愛のスマホの暗証番号”など、分かるはずもなかったー

「あ~~~こういう時、指紋認証ならなぁ~…
 美愛の身体になった俺にもロック解除できるのにー」

美愛(昭二)はそう呟くと、”はっ”として、横を見るー。

近くにー
トイレにやってきていた新成人二人組がいたー。

「ーーー…」
顔をあからめて俯く美愛(昭二)ー

”美愛の身体になった俺にも”とか、
おかしなことを口走ってしまったが
聞かれたりしていないだろうかー?

そんな、不安を感じながら、
美愛(昭二)は、”美愛から連絡があればいいけど…
このままだと、運ばれた病院も分からないぞ”と、
困惑しながら話が行われているホールへと戻って行ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーーーー!」

美愛になった昭二の考えは、甘かったー

美愛になった昭二が、美愛のスマホの暗証番号が分からないのと同じくー
昭二になった美愛もまたー
父・昭二のスマホの暗証番号など、分かるはずがなかったのだー

「ーー…あぁ~~~もう…」
昭二(美愛)は不貞腐れた様子で呟くー。

入院となった病室で、昭二(美愛)は色々なことを考えるー。

”お父さん、わたしの胸触ったりしてないよねー?”
”お父さんーわたしの身体でトイレ行ったりしないよねー?”
”っていうか、早くどうにかしないと成人式終わっちゃう!”

「ーーはぁ~~~~」
大きなため息をつく昭二(美愛)

一体、どうしてこんなことになってしまったのだろうー。
そんな風に思っているとー
”夫が事故を起こした”と、連絡を受けたのか、
母親が病室に入ってきたー。

「ーーお母さん!」
思わず叫んでしまう昭二(美愛)ー

「ーーえ?」
病室に入ってきた母・園枝(そのえ)は、
「ーーちょ…ちょっと…大丈夫?」と、
心配そうに呟くー

「ー頭でも打ってないー?」

その言葉に昭二(美愛)は
「ん、、あ、、お、おぅ、だ、大丈夫…」と、
慌てて”お父さんモード”に口調を切り替えたー

”あ、でも、お母さんには入れ替わったこと言ってもいいのかなー?”
そんな風に思いながらもすぐに、頭の中でー
”…お母さんパニックになっちゃうかもだから、とりあえず
 お父さんと合流できるまでは、やめとこうかなぁ…”と
考え直して、そのまま父のフリを続けるー。

”美愛を乗せて事故を起こすとか最悪よ!”だとか、
”美愛がもし成人式に行けてなかったらどうしてたつもりなの!?”だとか、
色々小言を言われる昭二(美愛)ー

”ーー美愛は成人式に行けてないんですぅ”
心の中で不貞腐れる美愛ー。

「ーき、急に信号無視のバイクが飛び出してきてー」
昭二(美愛)は、父として、その出来事を母に伝えるー。

一応ー、
”お父さんが危険運転をしていたようには見えないし…”と、
父のことを庇っての発言だったー。

実際にはー
振り袖姿の美愛をミラーでチラチラ確認していたことにも
一因はあるのだけれどもー、
美愛は、父がチラチラ自分を見ていたことには、
そもそも気付いていないー。

「ーあ、入院の手続きとかしてくるからー」
母の言葉に、昭二(美愛)は「あ、うんー。お母さん、ごめんねー」と
思わずつぶやいてしまうー。

母・園枝が振り返るー。
昭二(美愛)が、”はっ!”と、顔を真っ赤にして自分の口を手でふさぐー。

「ーーほ、ホントに大丈夫ー?頭打った?」
母・園枝の困惑の表情に、
昭二(美愛)は「う、打ってない!打ってない!大丈夫!」と叫ぶー。

「ーーそう?
 とにかく、二人とも無事でよかったー」

散々、事故を起こしたことに対して小言を言ってきていた
母・園枝だったが、最後には父・昭二のことも、娘・美愛のことも
心配している、という言葉を口にしてー
そのまま昭二(美愛)の入院の手続きへと向かったー

「ーーはぁ…」
ズキッと痛む頭を押さえながら
昭二(美愛)は、”あ、そうだー”と、
”お母さんからお父さんに連絡してもらおっと”と、
思いつくー。

母から”お父さんは、第2総合病院に入院した、と伝えてもらうことができれば、
とりあえず入院場所を伝えることはできるー。

早速、病室に戻ってきた母を見て
昭二(美愛)は「ーーそ、その、美愛にも、入院した病院は伝えておきたいんだけどー」と、
母に向かって言うと、母は「スマホ、自分で入力できないの?」と
返してきたため、ギクッとしたものの、
「でも…事故を起こしたばっかりだし…仕方ないか…わかった」と、
そのまま母が、美愛(昭二)に向かって、
”父の入院場所”を知らせてくれたー。

(……それにしてもー
 どうすれば元に戻れるのかなー?)

まず、美愛の身体になった父がここに来てくれないと
何も始まらないけれど、
せめて、同窓会ぐらいは出たいー。

早いところ”元に戻りたい”し、
どうにかしなくちゃいけないー。

そんな風に思いながら、昭二(美愛)は、病室の外を静かに見つめたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー~~~~」
成人式の話も終盤に差し掛かったタイミングー

美愛(昭二)は、なぜか顔を真っ赤に
赤らめていたー。

そういうつもりではなかったのだがー
たった今、美愛の胸に触れてしまったのだったー

ドキッとして、顔を真っ赤にする美愛(昭二)

”平常心 平常心ー”

娘の美愛からしてきされている通り、
昭二は”ちょっとエロい”父親だー。

別に浮気したり、犯罪を働いたりすることはないが、
合法の範囲内でエロいのだー。

「ーーーー」
美愛(昭二)がドキドキドキドキしながら、
自分の理性と戦っていると、
ようやく成人式の話が終わり、いったんは解散となったー。

ホールから会場の廊下に出る美愛(昭二)ー

口が渇いてしまうー。
緊張しているのかー
ドキドキしすぎているのか分からないー。

「ーーあ~~!美愛~~!ひっさしぶり~!」

横から声がして、美愛(昭二)が振り向くと、
そこには、先ほどとは別の知り合いらしき振り袖姿の女性がいたー。

しかもーー

”当たり前のように”抱き着いてきたー

「ーーふぁっ!?」
その相手の胸が美愛の身体にあたり、
美愛(昭二)は、ドキドキして顔を真っ赤にしてしまうー。

”やばい…このままじゃ勃っちまうー”
そんなことを思いながらも
下半身のほうをふと見つめてー
”いや、勃つもんが今の俺にはそもそもない!”と、
自分で自分にツッコミを入れるー。

「ーーーあ、、、あ、、、あ…」
顔を真っ赤にしたまま、思わずヘラヘラしてしまう美愛(昭二)ー

「ーちょ!?よ、よだれ!よだれ垂れてる!!」
抱き着いていた友人が、美愛(昭二)が涎を垂らしていたことに
気付くと、慌てた様子で「も~!」と
ティッシュで美愛(昭二)の口元の涎を拭くー

”ふぇぇぇ…”
可愛い子に涎を拭いてもらってるー、ということに
ヘラヘラと笑うと、美愛(昭二)は「っと、いけないー」と
心の中で呟いて、表情を引き締めたー。

抱き着いてきた中学時代の友人と話を合わせながらー
会話を終えると、スマホを確認するー。

スマホにはー
”妻”からのメッセージが届いていることが確認できたー

「ーーーよかったー」
ホッとする美愛(昭二)ー

恐らく”夫が入院した”とでも連絡が来て、
昭二(美愛)のいる病院に駆け付けー
それで、連絡してくれているのだろうー。

「これで、美愛のいる病院が分かるなー」
そんな風に呟きながら美愛(昭二)は
”でも、今から同窓会までに身体を元に戻すって相当難しくないか?”と、
困惑するー

同窓会の時間は、今から2時間半ちょっとあるー。
その間に美愛は当初、一度帰宅して着替えたりしてから
向かう予定だったー。

”本来であれば”
時間に余裕はあるのだが、
今の状況は特別な状況だー。

仮に遠くの病院に運ばれていたりすれば、
その時点でもうどうにもならないー。

「ーーー……ってー」
美愛(昭二)は叫ぶー。

メールが妻から届こうとー
ロックが解除できず、結局見れないのだー

”お父さんの入院先はーーー”しか、
ロック画面には表示されていないー

「くそっーーー!!」
美愛(昭二)が思わず大声で叫ぶと、
周囲が、驚いて美愛(昭二)のほうを見つめるー。

「ーーあ、ご、ごめんなさいー…」
苦笑いしながら足早に会場を立ち去る美愛(昭二)ー

そういえば、トイレも行きたいー
けど、振り袖姿でトイレは昭二からしてみればきついー。
美愛にとってもきついかもしれないがー
昭二からすれば、さらに分からないー。

ここはーー

「一旦帰宅して、家の電話で園枝のスマホに連絡してー
 病院を聞き出すかー…
 時間が足りそうになければ、同窓会に向かう服装に着替えてからー
 病院に行って、それでなんとか身体を元通りにできればー…」

そんな風に考える美愛(昭二)ー

「ーートイレも限界だしー」

しかしー
それだと、昭二が”娘の身体”でトイレと着替えを済ませることにー

「ーーぶふっ」
美愛の身体で興奮してしまい、鼻血を垂らしながら
家に向かう美愛(昭二)ー

「し、、仕方ない!」
鼻にティッシュを詰めながらなんとかタクシーを捕まえると、
美愛(昭二)はそのまま家へと向かったー

帰宅して、妻がいれば妻から病院を聞き、いなければ家の電話で妻に
電話を掛けるー。
時間が足りそうになければ着替えてから病院に向かって、
それで病院で昭二(美愛)と再会、
同窓会までに身体をなんとか元に戻して、
美愛を無事に同窓会に送り出すー。

美愛(昭二)は頭の中でそう呟きながら、
タクシーに揺られて窓の外を見つめるー。

”しかしー…
 娘の身体で鼻血を出してしまう父親なんてー…
 よく考えたらやばいな…”

美愛(昭二)はそんなことを考えながら
タクシーの運転手から「あの…?大丈夫ですか?」と聞かれて
恥ずかしそうに「あ、、だ、大丈夫ですー」と答えるのだったー。

③へ続く

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コメント

今のところ、お父さんも自制できていますネ~!☆
このままうまく元に戻ることはできるのでしょうか~?

最終回は思わぬ展開になるかもしれませんネ~笑

続きはまた明日デス~!

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