<寄生>はじめての彼女(後編)~彼女の目的~

今まで一度も彼女ができたことのない
男子大学生・智弘ー。

それほど恋愛に対する優先度も高くなく、
このままずっと一人でもいいや、などと考えていた彼に、
予想外にも、彼女ができたー。

彼女・架純との幸せな日々を堪能する智弘ー。

しかし、架純の目的はー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ドキドキしながら智弘は、
なんとか自分を落ち着かせようとしていたー。

今日は、智弘にとって”童貞を卒業”する日ー。

今まで特にそんなことも気にしたことがなかったがー、
こうして彼女が出来て、改めてこういうことをする、
という場面になると、
自分が童貞であることに、少なからず引け目を、
智弘は感じていたー。

世間では”その歳でまだ童貞なの?”みたいなことを言う
女子もいるのだと言うー。

しかし、架純は

「ーそういうの、気にしてるの男子の側だけじゃない?
 案外、気にしない子も多いよ!わたしみたいに」

「というかさ、色々な子とヤリまくってる~!みたいな方が
 わたしからすると違和感あるし、抵抗あるよね。
 だから、わたしは全然気にしないし、大丈夫」

と、言ってくれたー。

確かに、童貞云々なんてことを気にしているのは、
男子のほうなのかもしれないなー、と思いながら
智弘は、ドキドキと幸せの、何とも言えない感覚を楽しんでいたー。

「ーーじゃあ…」
架純が笑みを浮かべるー。

「ーーじ、、じゃあ…?」
智弘が緊張した様子で言うとーーー
架純は、にっこりと笑みを浮かべたー。

「ーーー服…脱いじゃおー」
架純が、智弘の服に手をかけるー。

ドキドキで心臓が破裂しそうになる智弘ー。

正直、エッチと言われても、
何をするのかすら、智弘はあまり知らない。

恋愛に対して興味を抱いてこなかったこともあり、
”そういうこと”に対する知識は0と言ってもいいー。

「ーーふふふふ」
服を脱がせながら、架純は笑うー

”もうすぐ、仲間になれるね…”
架純の身体の中でー
”架純の身体の支配者”が、蠢いているー。

架純は、”入れる”機会を伺っていたー。
智弘に”ソレ”を入れる機会をー。

”上から”入れることも当然考えたー
だが、もしも振り払われたり、逃走されたりしたら厄介だー。

それにー

”入れる”には、ある程度時間が掛かるー。
だからこそ、こうして、確実に”入れる”ために、
男子を誘惑して、ここまで来たのだー。

だからこそ、架純は”童貞”を選んだー。
童貞であれば”入れやすい”ー

架純の身体の中では”子供”が生まれていたー

「ーーククー…」
架純の下着の下に、”寄生虫”が静かに顔を出すー。

架純はー
”智弘と付き合いだす前”にー
”糸のような細さの不気味な寄生虫”に寄生されて
乗っ取られていたー。

智弘と付き合い始めたのは、架純の意思などではないー
架純に寄生した”寄生虫”の方の意思だー、

架純の意識は、今や完全に乗っ取られて
身も心も完全に寄生虫の意のままー。

元々の架純は、智弘のことを何とも思っていなかったしー
今ももし、架純本人の意識が残っていれば、
それは変わらないだろうー。

良い印象も、悪い印象も持っていなかったー
悪く言えば”架純は智弘にまったく無関心”だったのだー。

しかしー
智弘は知らないー

架純が自分に告白してきたのが、
寄生虫に乗っ取られたからだとー。

そして、架純が自分と付き合ってきたのはー
今日、この日のためであることをー。

「ーーー(さァ…もうすぐ本当の仲間になれるのよー)」
架純が笑みを浮かべるー。

人間に寄生するためには、
口からでも、”下”からでもいいー

架純に寄生した際には、”下”から入ったー
架純は、苦しそうに、けれども快感も感じているような声で
喘ぎながら、そのまま乗っ取られたー

「ーーー」
架純は智弘の様子を見つめるー

”キス”をしたときに、智弘の体内に、
”架純の体内で生み出した寄生虫の子供”を植え付けようと思ったがー
それは、やめたー。

口から侵入されそうになれば、智弘も気づくだろうー。

だがー

架純は笑みを浮かべるー。

”智弘のような童貞”ならー
フェラに乗じて、架純の口から、智弘の肉棒を通じて、
智弘の中に寄生虫を送り込んでもー
”気づかれない”可能性が高いー

智弘は、幸せの絶頂のまま、
寄生虫に、肉体を乗っ取られるのだー。

「ーーねぇ、フェラってしてもらったことある?」
架純がクスッと笑うー

智弘は顔を真っ赤にして「え…えぇっ!?」と叫ぶー

「ど、どういうやつー?」
智弘は、そもそもフェラもはっきり知らなかったー

架純が、「わたしの口で、智弘を気持ちよくしてあげるの」と
笑みを浮かべるー。

「ーーえ…えぇぇ…!?!?」
さらに顔を真っ赤にする智弘ー

「ーーー…わたしも、初めてだからドキドキしちゃうけどー
 わたし、頑張るからー」

架純が顔を赤らめながら言うと、
智弘は「わ、、わかったー」
と、緊張した様子で答えるー

”わたし、頑張るからー…繁殖するためにー”

架純はニヤリと笑うー。

「ーーーーーー…な、、なんか… なんか…
 変な気分っていうか…」

智弘は戸惑いながら、架純の前で
ソレを出すー。

一度もそう経験がない智弘からしてみれば、
人前でコレを出す、ということ自体が、
なんだか、罪を犯しているような、
いけないことをしているような、
そんな感覚になってしまうー。

「ーーーーー…」
架純がじゅるりと笑みを浮かべるー

智弘は、そんな架純の表情に、
少しだけ違和感を感じながらもー
「む、無理はしなくて、いいからー」と、だけ付け加えたー。

だがー
架純は、嬉しそうに智弘のそれを口に咥えると
”目的”のために動き出したー。

「ーーんっ… く… な…なんだこの感じー」
智弘が顔を真っ赤にしながら呟くー

今までに感じたことのない快感ー
今までは自分でヤッていただけだったけどー
可愛い彼女の口で、気持ちよくしてもらっているこの感じはーー

何とも言い難い快感だったー。

「ーー(ん~~~~)」
架純は、自分の身体がピクピクと少し震えていることに気付くー

”そっか~この女、フェラしたことないんだなぁ…
 潜在意識的な拒絶反応かな?”

そんなことを思いながらもー
口から”架純の身体の中で生まれた子供”を、出しー
智弘の肉棒の先端から、智弘の身体の中に侵入させようとするー

「んっ… ぁ」

”異物が中に入ってくるような感触”を覚えた智弘がー
「え…」と、言いながら、眼下で、智弘のアレを咥えている架純を見つめるー。

架純は、にっこりと微笑むー。

普通ー
”異物が入ってくるような感覚”など、するはずがないのだがー
智弘は童貞で”これがフェラされるということなんだ”と解釈してしまうー。

”架純の思惑通り”にー。

架純は、口から智弘の肉棒に向かって移動させている”子供”が
半分ほど、智弘の中に移動しているのを口元から感じるー

「ーー(ふふふふ……気持ちイイでしょ?支配されていく感覚ー)」
架純は表情を歪めながら笑みを浮かべているー

フェラなんて、どうでもいいー
今の架純にとって、”我々の繁殖”が一番大事なことだったー

そのために、智弘と付き合っているのだからー。

各地で、架純のような”支配された人間”が
こうして繁殖を続けているー。

”手間”はかかるー
けれど、智弘の支配が終わったら、次はまた別の男を誘惑するー

そして、支配されて仲間になった智弘は、
女を誘って、繁殖するー。

男の身体の中でも、女の身体の中でも
架純を支配している寄生虫は、繁殖することができるー。

”人間の体内”が一番、
彼ら寄生虫にとって、繁殖に適した環境なのだー。

体内で子供が生まれたら、
その子供を別の人間に寄生させー
架純を支配している寄生虫と、
智弘を支配した寄生虫は、それぞれの体内で再び”繁殖”するー

そして、架純と智弘は、それぞれまた別の人間を誘惑してー
寄生しーー…
を、繰り返すー

1が2に、2が4に、4が8に、8が16にー

そうして、寄生虫は増えていくのだー

「んぁぁ… うっ… くっ」
智弘が気持ちよさそうに笑みを浮かべるー

「(ふふふ…寄生されるときのずきずきまでー
  本来のフェラの感覚だと思ってるなんてー
  やっぱり童貞を選んでよかーー)」

架純がそう思った瞬間だったー

架純は、口の中に”想定外”の感触を感じたー。

「ーーあっごめ!…」
智弘が慌てた様子で叫ぶー

架純は思わず、智弘の肉棒から口を離したー

智弘はー
ほんの短時間でー
架純の口に向かって射精してしまったのだー

肉棒を通じて、智弘に入り込もうとしていたー
”寄生虫の子供”も、共にー。

架純が咳き込みながら、
智弘の肉棒に入りかけていたけれど、射精と共に
押し戻されてしまった寄生虫を吐き出すー。

寄生虫が、部屋に落ちてー
ビチャビチャともがき苦しむようにして動きー
やがて、動かなくなるー

智弘は「え…なんだこれ…?」と、
困惑の表情を浮かべるー

だがー
架純は、鬼のように表情を歪めていたー

「あ…あぁぁぁ…わたしの…わたしの…!」
架純が、智弘に寄生させようとしていた
”寄生虫の子供”が、智弘の肉棒から押し戻された挙句、
体外に出てしまい、もがき苦しんでいたのだー。

架純に寄生している寄生虫たちはー
”外界”で長く行動することはできないー。
特に、子供のうちは”貧弱”だー。

「え…い、一体…これはどういう…?」
状況を理解できずに困惑している智弘ー。

「ーーあぁぁぁぁ…」

だがー
智弘の言葉に耳も貸さずー
架純は鬼のような形相で、智弘が射精したことによって
寄生に失敗して、外に飛ばされてしまった”子供”を見つめるー。

「お前の…お前のせいだ!
 あんなにすぐに出しやがって!
 この童貞野郎が!」

架純が、顔を真っ赤にしながら怒り狂っているー。

しかし、智弘からすれば”架純がなぜ怒っているのか”を
そもそも理解することができないー。

「ーーえ…お、、俺…何か悪いことー…?」
智弘が言うと、架純は、寄生虫の子供を手でつかんで、
それを無理やり智弘の口から入れようとしたー。

「こうなったら実力行使だ!クソ野郎が!
 わたしがどれだけ苦労して、ここまでやってきたか、
 わかっているのかー!?」

豹変した架純が、寄生虫の子を智弘にねじ込もうとするー。

子供は、人間に寄生してー
そして、人間の中で成長しー
その人間の身体で、子供を作りー
また別の人間に子供を寄生させて、繁殖していくー

「ーーーや、、やめろってば!」
智弘が架純を押し飛ばすー

突き飛ばされた架純が、声を上げるー

同時にー
寄生虫の子供が、長い間、外気に晒されたことでー
力尽きるー

「ーーう…う…うああああああああああああああああっ!!!」
架純は怒り狂った様子で、頭を抱えながら、
「わたしの、、わたしの子供がぁあああああああああああ!」と
叫ぶー。

架純の耳から、糸のような細さの寄生虫の姿が見えるー

智弘は「か…架純ーー…これは…!?」
と、まだ状況を理解できないまま、架純に声をかけるー。

しかしー
架純は、悪魔のような形相で、
「ーー絶対に許さない」と、智弘を睨みつけると、
そのまま家の外に飛び出しー
走り去ってしまったー

「な…な…なんだっていうんだ…?」
智弘は、最後の最後まで、状況を理解することは、できなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日を境に、架純は大学からも姿を消し、
智弘を含む、架純と連絡を取り合っていた人間全員が、
架純と連絡を取ることができなくなったー

「ーーーー…ま」
智弘は、自販機の横のベンチに座って
昼休みを過ごしながら、一人呟いたー

「ーーーま…俺に彼女なんて、最初からできるわけなかったんだよな」

智弘は
”やっと目が覚めたぜ”と、思いながらー

”はじめての彼女”ができる前の日常に
戻っていくのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

2話続きの寄生モノでした~!

智弘くんは、なんとか無事に助かりましたが、
真相に気付かないまま…

でも、知ったところで巻き込まれるだけかもですし、
知らないほうが幸せなのかもですネ~!

お読みくださりありがとうございました!!

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寄生<はじめての彼女>

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