クリスマス当日。
自分よりも”格下”に見ていた同級生に
彼女ができたことに苛立った
くりぼっちの男は、その関係を引き裂こうと”ある手段”に打って出たー…!
・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーそ、そんなことないよー。田島くんは
イケメンだし、すぐ彼女もできるよー。」
気の弱そうな男子高校生、八嶋 隆志(やしま たかし)が
優しく笑いながらそう呟くー
「くそ~!既に彼女がいるお前にいわれたくなんてないぞ!」
隆志にそう言われた友人の田島 信夫(たじま のぶお)は、
そう呟いたー
「ぼ、僕はまぐれだからー」
隆志は気の弱そうなタイプで、
容姿にも特に無頓着な感じの
一見すると、彼女が出来なそうな感じの
男子高校生だー。
しかし、隆志は同じ図書委員の
比嘉 里緒菜(ひか りおな)から告白されて、
彼女ができたのだー。
隆志本人もものすごく驚いていたが、
それ以上に、友人の信夫は驚きー
そして、屈辱を味わっていたー。
イケメン風な感じで、クラスの中心的存在の一人でもある信夫は、
いつも”彼女が欲しい”などと公言しているタイプー。
明るい性格で、友達も多く、性格も”表向き”は良いー。
隆志も、そんな信夫の友達の一人だったー。
だがー
信夫は、内心でこう思っていたー
”なんでこんなやつにー”
とー。
信夫は、内心で人を見下す癖があるー。
隆志のことも内心では見下しており、
”自分よりはるかに格下”であると、
そう考えているー。
そのため、そんな”格下”であるはずの隆志に
自分を差し置いて彼女ができる、なんてことは
許せなかったー。
しかもー
数日後にはクリスマスが迫っているー。
優しい隆志は「田島くんにも彼女ができるし、僕はまぐれ」と、
言っているが、その言葉が、余計に信夫には腹立たしかったー。
”そのうちいい人が見つかるよ”
という言葉は、時に残酷なのだー。
そんな、一方的に隆志のことを逆恨みした信夫は
クリスマスの日に”あること”を決行しようとしていたー。
それがー
”憑依”
”カップルの絆を壊す方法”を色々調べていた信夫は
ネット上で”憑依薬”というものを見つけたのだー
それを使って、隆志の彼女である里緒菜に憑依ー、
里緒菜の身体で”隆志が嫌いな振る舞い”をして絆を
引き裂こうとしているのだー。
隆志の嫌いなことー。
それはー
”エッチなこと”だー。
奥手で、そういう話題が苦手な隆志ー。
だからこそ隆志は、大人しい里緒菜からの告白を受け入れたのだろうし、
里緒菜自身も、そんな隆志を好きになったのだろうー。
”お前のクリスマスを闇に染めてやるぜ”
・・・・・・・・・・・・・・・・・
クリスマス当日ー。
隆志が里緒菜とデートをする約束をしていることを知った
信夫は、”ちょうどいいぜ”と、笑みを浮かべるー。
里緒菜に憑依して、隆志の嫌いな”エッチな誘惑”をしてー
隆志と里緒菜の関係を引き裂くー。
「ーーへへへ…里緒菜ちゃんからいきなりエッチしよ!って
言われたら、隆志のやつ、どんな顔するのかなぁ」
信夫はニヤニヤしながら、事前に手に入れておいた
”憑依薬”を手にするー。
信じられないことだが、
オークションで”愛染 亮(あいぜん りょう)”なる、謎の人物が
憑依薬と呼ばれるものを出品していたのだー。
最初は当然、信夫も嘘だと思っていたが、
どうやらこの憑依薬は”知る人ぞ知る本物”らしいー。
闇オークションでそれを手に入れた信夫の目の前には、
今、憑依薬の入った容器が置かれているー
「へへへ…メリークリスマス!」
信夫は、そう呟きながら、迷うことなく憑依薬を飲み干したー
”俺は今日、悪夢を運ぶサンタクロース
いいや、サタンクロースになってやるぜ!”
霊体になった信夫は、さっそく、
クリスマスデートに出かける準備をしているであろう里緒菜の家に向かったー
”いたいた”
笑みを浮かべてー
信夫は、楽しそうに出かける準備をしている里緒菜に、
”憑依”したー
「ーーぁ…」
里緒菜がビクンと震えて、持っていたプレゼントの小包を床に落とすー。
「ーーーうわっ…マ、マジで比嘉さんにー…うへへへ」
里緒菜に憑依した信夫は、里緒菜の両手を見つめながら
笑みを浮かべるー
「ーーうはっ…やべぇ…自分の口から比嘉さんの声が出るー」
それだけでゾクゾクしてしまうー。
そしてー
視線を下にずらすとー
「ーーうひっ…こ、、これが、、女の子視点で見るおっぱい…」
思わずだらしない笑みを浮かべてしまう里緒菜ー
だがー
信夫は、自分が里緒菜に憑依した目的を思い出してー
「いや、違うぞ俺、本来の目的を思い出せ」と、呟くー。
「ーーー……」
数秒、真顔で考えたのちにー
すぐに、だらしない笑みを浮かべたー
「自分のことを”俺”って言ってる比嘉さんやべぇー」
そう呟くと
”ちょっとだけ”と意味深なことを呟いてから、
デートの時間までまだ少し時間があることを確認しー
お楽しみの時間を始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーお待たせ」
待ち合わせ場所のクリスマスツリーの前にやってきた
里緒菜ー。
「ーーーえ…」
振り返った隆志が唖然としているー
クリスマスツリーが綺麗にライトアップされている中ー
隆志の表情に里緒菜は
”クククーさっそく戸惑っているな”と、笑みを浮かべたー。
里緒菜の普段の大人しい雰囲気とはまるで別人のような、
男を誘うような格好ー。
肩を出してー
胸元を強調して、
ハートの形をしたペンダントを身に着けてー
短いスカートで、生足を晒しているー
さらには、ネットで必死に調べながら、
メイクもした状態の里緒菜を見て、
隆志は困っている様子だったー
「さ、寒くないのー?」
晒された生足に対して、隆志がそう呟くー
里緒菜は「ふふ…綺麗でしょ?」と甘い声を出すと、
隆志は露骨に戸惑った様子を浮かべたー
”クククー幻滅しろ~!!隆志!
お前のクリスマスを、最悪のクリスマスにしてやるぞ!”
里緒菜に憑依している信夫は、
そう思いながらもー
”それにしても、足…さみぃな…”と
ぶるぶる震えながら、わざとらしく隆志の腕を掴んで、
隆志にしがみついたー。
「ーーわっ!?ちょ、ちょっと、近いよー!」
隆志が戸惑った様子で”みんなも見てるから”と、呟くー
「え~いいじゃん~!イチャイチャしちゃお!」
隆志に対して言い放つ里緒菜ー
先ほどから、”わざと”甘い声を出して、
隆志を誘惑しているー。
そういう行為こそが、隆志の嫌がることだと、
信夫は理解しているからだー。
隆志は戸惑いながら、里緒菜と一緒に歩き出すー。
近くの、イルミネーションのイベントを見に行こうと
していた二人ー。
しかしー
「ーーーねぇ…あのさ…」
里緒菜が甘い声で囁くー
「ーーわたしが今日、こんな格好で隆志に会いに来た理由ーわかる?」
甘い声に隆志は「え…えっ?」と戸惑うー。
「ーーわたし、隆志とエッチしたいの♡」
その言葉に、隆志は「えぇぇっ!?」と、戸惑ってしまうー。
「ーー(へへへ、急に身体の関係を求めてくる女なんて、
お前の一番嫌いなタイプだよな)」
「ーーーだめ?わたし、学校では大人しくしてるけど、
本当はエッチな女なのー」
わざと甘い声を出す里緒菜ー。
「ーえ、、えぇっ!?」
もじもじした様子の隆志ー。
明らかに困っているように見えるー。
「ーーーねぇ~♡ ホテル行こうよ~」
里緒菜にこんな甘いことを言わせてると思うと、
憑依している信夫自身も興奮してきてしまうー。
”やべぇな…比嘉さんの身体がゾクゾクしてるぜー
…そっか、今の俺は比嘉さんの身体を使ってるから、
俺が興奮しても、興奮するのは比嘉さんの身体なのかー”
そんな風に思いながら、隆志の反応を待つ里緒菜ー。
「ーーほ、、ほ、、そ、そんなこと…」
隆志は、そう言うと、里緒菜のほうを見てー
「ーーり、、り、、り、里緒菜ってー
そ、そういう感じだったんだー」
と、呟くー
里緒菜は「ふふ…これが本当のわたしー」と、
囁いてからー
「エッチなわたしを受け入れてくれる?」と
笑みを浮かべたー
”お前の今年のクリスマスはー
せっかくできた彼女に幻滅して、別れるきっかけになるー
”幻滅のクリスマス”だぜー”
里緒菜に憑依している信夫が笑みを浮かべるー
それに影響されて里緒菜もニヤニヤと笑みを浮かべているー
「ーーわかった。いこう」
隆志が言うー。
「ーーえ」
ニヤニヤしていた里緒菜は思わず間抜けな声を出してしまった。
今ー?なんてー?
隆志は微笑むー。
「ーどこのホテルがいいかなぁ~?
あ、親に遅くなるって連絡入れておかないと」
そんな”予想外”の反応にー
里緒菜は声を上げたー
「ーーえ!?ちょ!?ちょっと待てって!」
思わず男口調で喋ってしまう里緒菜ー。
「ーーん?」
隆志が困ったような表情を浮かべながら
里緒菜のほうを見るー
「ーほ、ホテル、、ホテル、本当に行くのー?」
里緒菜の言葉に、隆志は「もちろん!」と笑うー。
「ーーえ…いや、あの、ちょっと」
里緒菜に憑依している信夫は困惑してしまうー。
「ーー実は僕も、里緒菜とエッチしたかったんだぁ~」
満面の笑みの隆志ー
「ー里緒菜がエッチな女って聞いてー
僕、もっと里緒菜のこと好きになったよ」
隆志のその言葉に、里緒菜は「え…!?え…!?」と、
逆に困惑させられてしまうー。
「ーよし!この先のホテルにしよう」
隆志はそう言いながら、
「やっぱ、僕と里緒菜は気が合うなぁ~」と微笑みながらー
里緒菜の方に近付いてきたー。
「ーーえ」
嬉しそうにホテルまで選んで、意気揚々とホテルに
向かおうとする隆志を見て、唖然とする里緒菜ー
”な、なんだこいつー?
ホテルってどういう意味だか、分かってんのか?”
里緒菜に憑依している信夫はそんな風に思うー。
”こいつ、ホテルの意味を勘違いしてるんじゃね?”と、
そう思ったのだー。
しかし、隆志は勘違いなどしていなかったー。
里緒菜を、ピンク色のネオンが輝くラブホの前まで
連れてくると、
「ーーバニーガールの格好とか、してほしいなぁ~」と
笑みを浮かべるー
「ーーえ、、えっと…」
里緒菜に憑依した信夫が困惑していると、
隆志は笑みを浮かべたー
「僕も、学校では猫被ってるけどー
実は僕、滅茶苦茶エロいんだー」
隆志の言葉に、里緒菜は「あ…?」と訳の分からない返事を
してしまうー。
「ー親に隠れてAVもいっぱい見てるしー。
里緒菜にもずっと隠してようと思ってたんだけどー
まさか、里緒菜がそんなエッチな子だったなんてー
やっぱり、僕たちは惹かれ合う運命だったのかなー」
隆志の言葉に、里緒菜は「ま、、待って!やっぱ心の準備がー!」と叫ぶー
「待たないよ」
隆志は笑みを浮かべるー
「いっしょに朝まで、エッチしよっか」
”僕さ~毎日里緒菜で抜いているんだよね~”
急に本性を現した隆志に対して、里緒菜に憑依している信夫は
恐怖を感じー
憑依から抜け出そうとしたー
しかしー
”あれっ!?”
愛染亮から購入した憑依薬は、
一度憑依した”抜け出すことができない”ものだったー
抜けようとしても、信夫は、里緒菜の身体から、
出ることもできないー
「ま、ま、待ってくれ!俺は、、俺は実は信夫でー!」
里緒菜の身体のまま、そう叫ぶ信夫ー
けれどー
隆志は、ニヤァ、と笑みを浮かべたー。
「ーそういうプレイも、嫌いじゃないよー」
とー
「や、、やめてくれぇ~!!」
そのままホテルに連れていかれてしまう里緒菜ー。
里緒菜に憑依した信夫はこの日ー
真面目なやつだと思っていた隆志に幻滅すると同時にー
女として抱かれる快感に目覚めてしまったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ちょうどクリスマス当日だったので、
クリスマス1話完結憑依も用意してみました~!☆
この日以降…
信夫くんは、里緒菜として、隆志と付き合うことになってしまったようデス…☆
お読みくださりありがとうございました~!
コメント
これは「あざ笑う妹」に近いタイプのオチですね。本人の思惑とはまったく違う結末になってますね。
里緒菜として付き合うことになったのは、女として抱かれて隆志に惚れちゃったんですかね?
里緒菜の身体の影響とかも受けたりとかして。
それにしても隆志の本性がアレだったので、もし本物の里緒菜だったら、幻滅して普通に破局していたかもしれませんね。
もし里緒菜の本性が信夫が演じてたみたいな女だったなら話は別ですけど。
コメントありがとうございます~!☆
カップルを壊すどころか、
逆に別の意味で繋がりを深めてしまった感じですネ~!…
里緒菜ちゃんだけは、災難デス…!