<皮>貴族の戯れ②~愉悦~(完)

”人を皮にする力”を手に入れた
名門貴族・ブロンツィーニ家の三人の息子たちは、
欲望の日々を過ごしていたー。

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「ーえへへへへ♡ いい、いいぞぉ!この身体ぁ♡」
三男・サルヴァトーレに連れて来られた町娘のローザは、
早速皮にされて、長男・アレッシオに着られて
遊ばれていたー。

「この前の女より、おっぱいの感触がいい♡
 うへへへへ!あははははははぁ~」

胸を揉みながらローザが椅子に座り、足をバタバタとさせているー。

「ー兄さんが中身だと、美人も台無しだなぁ」
三男のサルヴァトーレが苦笑いしながら呟くー

「ーな、なんだよそれ~!」
アレッシオに乗っ取られているローザが頬を膨らませて
子供のように拗ねるー

「ーん!今のそれ、いい!いいぞ兄さん!もっと、もっとやってくれ!」
笑いながら三男のサルヴァトーレが叫ぶー。

三男サルヴァトーレは、
長男アレッシオや次男ベルトランドをはるかに凌ぐ武術の持ち主ー。
剣技も、体術も他の二人をはるかに凌ぐー。

一方で、それなりの知性も持ち合わせており、
長男アレッシオといるときと、次男ベルトランドと行動するときー
それぞれ、”相手に合わせる”節があり、
一見すると、粗暴な外見で貴族らしさを感じさせないものの、
その潜在能力は高いー。

アイーダの皮を着たサルヴァトーレが
「じゃあ、兄さんー女同士、楽しもうぜ?」と笑うと、
ローザの皮を着たアレッシオは
「うふふふ!わたしたち女同士~~~!」と嬉しそうに叫んでから
二人でキスを始めたー

次男・ベルトランドは、その様子を見つめながら
「女同士の花園ー美しいー」と、静かに笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーローザは来てませんか?」
ブロンツィーニ領で暮らす若者・ラウロは、
街で、そう尋ねて回っていたー。

顔見知りの薬屋のおばさんが、「今日は来てないねぇ」と
心配そうに呟くー

「ーローザ…どこにいったんだ?」
ラウロは、ローザの幼馴染ー。
恋人同士の間柄で、昨日から姿の見えないローザのことを心配していたー。

必死に聞き込みを続けるラウロー。

ブロンツィーニ家が統治するこの領地は、
平民の暮らしも豊かで、安定した暮らしを、民たちは
送ることができていたー

そのため、
”貴族と平民の共存”を掲げる
領主・アルカンジェロのことを、民たちも慕っているー

だが、最近になり、ブロンツィーニ家の息子たちに、
突然娘を連れ去られたり、
失踪する人間が現れたりと、
ここ、ブロンツィーニ領では不穏な空気が漂っていたー。

「ーーーえ?それは本当ですか?」
行方不明になったローザのことを探しているラウロが、
道端で首飾りを売っていた初老の男にそう聞き返すー。

「ーーあぁ、昨日だったかなー?
 サルヴァトーレ様が、娘を城の方に連れて行ったのを見たよー」

初老の男は、それがローザかどうかは分からない、とのことだったが
外見の特徴から、ブロンツィーニ家の三男・サルヴァトーレに
連れ去られたのは、ローザであると確信したー

「ーーサルヴァトーレ様が…」
表情を歪めるー。

平民たちは、ブロンツィーニ家の当主であるアルカンジェロや
三人の息子たちと直接話すような機会はまずなかったが、
当然、その名前は知っていたし、
領主と、その息子ということで、様付けで常に呼ぶような関係性だー。

ラウロも、ブロンツィーニ家には、良い印象を持っていたー。
だが、最近はなんだかおかしいー。

当主・アルカンジェロも姿を見せなくなったし、
連れ去り事件なども多発しているー。

「ーーーありがとうございます」
そう初老の男性に伝えたラウロはー
ブロンツィーニ家の城に潜り込む決断をしていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーこれはこれは、お久しぶりですな」

ブロンツィーニ家の当主・アルカンジェロが、
近隣の貴族・ソルレンティーノ家の当主と対面するー。

「ーーーそれにしても、アルカンジェロ殿は、最近、
 少し変わられましたな」
ソルレンティーノ家の当主が言うー。

「ー変わった?どこがですかな?」
アルカンジェロが言うと、
ソルレンティーノ家の当主は「以前はもっと、領主として
切羽詰まられていたというか、威厳に満ちた感じでしたが
最近はその緊張感がほぐれたご様子ー」と、呟くー

「ははは!肩の力を抜かないと、私も身体が持ちませんからな」
アルカンジェロがそう言うと、
ソルレンティーノ家の当主は「それもそうですな」と、笑ったー。

対談が終わり「では、これにて」と、
ソルレンティーノ家の当主がブロンツィーニ領から
立ち去っていくー。

「ーーー父上ー」
背後から、三男のサルヴァトーレが声を掛けるー。

「ーーー」
立ち止まるアルカンジェロー

「いや、兄さんー」
サルヴァトーレの言葉に、アルカンジェロは笑みを浮かべたー。

父・アルカンジェロの後頭部がぱっくりと割れてー
中から美男子の次男・ベルトランドが姿を現したー

「ーーー父上として振る舞うのも、大変だよ」
次男・ベルトランドは長い髪を触りながらそう呟くー

「ーあははははは!うるさい父さんがいなくなってせいせいするよ」
長男のアレッシオも背後からやってくるー

”人を皮にする力”禁断の果実を使い始めた三人を問い詰めた
父・アルカンジェロは、その日の晩に、
三人の息子によって”皮”にされて、
既にブロンツィーニ家の当主・アルカンジェロは
事実上、不在の状況になっていたー。

だがー
いきなり姿を消すのもまずい、ということで、
今のように、次男のベルトランドが時々、
アルカンジェロの”皮”を着て、アルカンジェロが
健在であることを示しているのだー。

「ーーーー私は疲れたー
 少し、戯れをするとしよう」
次男・ベルトランドはそう呟くと、
町娘・ローザの皮を着てから、
優雅なドレスを身に着け、
まるで、現在のファッションショーのように、
ローザの美貌を楽しんだー。

ローザの美貌や、セクシーなポーズに、
長男のアレッシオは嬉しそうに足をバタバタさせるー。
三男のサルヴァトーレは拍手をしながら、ローザを着た
兄・ベルトランドを称えるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーはぁ…はぁ」
ブロンツィーニ家の城に潜り込んだローザの幼馴染・ラウロは、
表情を歪めていたー

城の見張りを突破して、何とか中に潜り込んだラウロー。

「ーーーローザ…」
ローザを必ず救い出すー。
その一心で、ラウロは、城の奥へと向かっていくー。

だがー

「ーーサルヴァトーレ様」
三男のサルヴァトーレの前に、城の兵士がやってくるー

「どうした?」
装飾の施された剣を腰に掛けたサルヴァトーレが兵士に向かって言うと、
兵士は「不審な若者が城の中に入り込みました」と、報告するー。

「ーーー若者ー?」
三男・サルヴァトーレはそう呟くと、
「ーーなるほどー」と、静かに頷くー

タイミング的に、恐らくはあのローザとかいう町娘のー。

「ーーー兄さんたちには報告しなくていい。ご苦労だったな」
サルヴァトーレはそう呟くと、静かに立ち上がったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーあっれええええええ~~~~~~~?」

背後から声がして振り返るー。
そこには、ブロンツィーニ家の長男・アレッシオの姿があったー

「ーーー…!」
ラウロは、ギクッとしながら振り返るー

「ー君、見かけない顔だねぇ~?」
偶然、ラウロと遭遇した長男のアレッシオが、ラウロのほうを
じーっと、見つめるー。

「ーーは、はいー先日より使用人としてー
 このお城で働いておりますー」
ラウロがとっさにそう言うと、アレッシオは「そっかぁ~!」と、笑うー。

「ーー頑張ってねぇ~」
そのまま立ち去っていくアレッシオー。

ふぅ、と息を吐くと、
ラウロはさらに城の奥に進んだー

その時だったー

「ーーーローザ!」
ローザの姿を見つけたラウロは、城の廊下の影に隠れていたローザに駆け寄るー。

「ーー…!」
ローザがラウロのほうを見つめるー。

「ーーローザ!よかった!」
ラウロがローザに駆け寄ると、ローザは「ーー来てくれたの…!?」と
嬉しそうに呟くー

ラウロは「あぁ」と頷くと、「怪我はないか?何があった?」と
ローザの身を案じるー

ローザは「ーここのお城の人たちに、無理やり連れて来られてー
でも、なんとかここまで逃げて来れたの」と、手短に説明したー

「そっか」
ラウロは頷くと、「もう大丈夫だー。なんとか、脱出しよう」と
ローザに優しく語り掛ける。

ローザも静かに頷くー

「ーーこのお城から出る抜け道を見つけたの」
ローザの言葉に、ラウロは「なら、そっちを使ったほうがいいな」と、
侵入してきた道を引き返すのは難しいと判断し、
ローザの見つけた”抜け道”の方に向かうー。

薄暗い抜け道を通るラウロとローザ。

そしてー
拷問部屋のようなところに出てきた時点で、
ラウロは顔色を変えたー

「ーーロ…ローザ…?」
ラウロはローザのほうを振り返るー

暗闇の中で、ローザが”笑った”気がしたー。

「ーーーここが、出口ー」
クスッと笑うローザ

「ーーえ…?」
ラウロが戸惑っているとー
ローザが突然、いつの間にか手にしていた剣で
ラウロを貫いたー

「ーーー平民ごときが、我らブロンツィーニ家の城に
 侵入するなど、笑止ー」

ローザの言葉に、ラウロは「え…?ろ、、、ローザ…?」と、
自分が刺されたことを忘れてしまうぐらいに、
戸惑いながら、呟くー。

「ーーーここは、出口ー
 ”この世”の、なー?」

ローザはそう言うと、笑みを浮かべたまま
真っ二つになって、中からブロンツィーニ家の三男、
サルヴァトーレ・ブロンツィーニが姿を現すー

「ーーお、、お、、お、、、お前…!」
ラウロが怒りの形相で呟くー

「ーお前ら平民など、我ら貴族の”玩具”にすぎぬー」
平民には高圧的なサルヴァトーレは、そう呟くと、
脱ぎ捨てたローザの皮を足で踏みにじるー。

「ーこの女は”洋服”
 お前はーー我が剣の試し斬りのための”かかし”だー」

そう言いながら、サルヴァトーレが、ラウロにトドメの剣を
振るおうとするとー

「ーー待ちなよ」
と、背後から声が聞こえたー

「ーー!」
サルヴァトーレが剣を止めると、背後から長男のアレッシオが
姿を現したー

「ー兄さんー」
サルヴァトーレが頭を下げるー。

子供のような長男・アレッシオは、瀕死のラウロに近付くと
「ごめんねぇ、僕の弟が野蛮なことをしようとしてー」
と、ラウロのほうを見つめるー。

「ーーどうせ死ぬなら、楽しく死にたいもんねぇ」
アレッシオが狂気的な笑みを浮かべるー

「ーこの男は、僕の玩具にさせてもらうよー」
アレッシオがそう言うと、サルヴァトーレは「兄さんも好きだなぁ」と
呟きながら、そのまま立ち去っていくー。

”拷問相手”を見つけたアレッシオは、嬉しそうに
「さァ、楽しい”死”をはじめようー」
と、震えるラウロに対して言い放ったー。

立ち去っていくサルヴァトーレが舌打ちをしたことに、
アレッシオは気づいてーー

「ーーーー」
いたのだろうかー。
それともー…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日ー

ブロンツィーニ家の城では、
アイーダとローザと、金髪ツインテールの美女が、
三人でお茶会をしていたー

「ーーうふふふふ 素敵ですわ!ローザ様ー」

金髪ツインテールの美女ー。

アレッシオー
ベルトランドー
サルヴァトーレの三人が、
”町娘”を着て、”女子会”を楽しんでいるのだー

今日もー
平民たちの悪夢は続くー

この地に、ブロンツィーニ家のある限りー。

おわり

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コメント

「貴族の戯れⅡ(仮称)」もそのうち書く機会が
あるかも…しれませんネ~!
お読みくださりありがとうございました~!

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皮<貴族の戯れ>

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