<憑依>ポゼッションブートキャンプ①~訓練開始~

とある部隊への入隊を志願した若き人々ー。

しかし、一人前の兵士となるために待ち受けていた訓練は、
想像もしない、恐ろしい訓練だったー。

その名も「ポゼッション・ブートキャンプー」

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この世界とは少し異なる歴史を辿ったとある未来世界ー。

その世界では、他国との衝突から、
有事に対する対処、果ては宇宙からの侵略者まで想定した
”総合防衛隊”なる部隊が組織されていたー。

現在は、平和であるものの、
宇宙に生命体が発見されてから100年ー。
万が一、SF映画のような出来事が起きるとも限らないし、
当然、地球内で他国との争いが起きる可能性もあれば、
武装集団による犯罪などが起きる可能性もありー、
それらに総合的に対処するための組織が
”総合防衛隊”だったー。

通称”総防”と呼ばれるその部隊は、
給料などが良いことや、基本的に現代では宇宙や地球内を含めた争いが
起きていない、ということなどから
志願する若者も、決して少なくはなかったー。

「ーーー俺はどんな訓練が来ても、絶対に乗り越える自信があるぜ!」
そんな防衛隊に入隊したばかりの新人隊員・木村 順太(きむら じゅんた)は
自信満々の笑みを浮かべるー。

「ーーーわたしは緊張するけどー」
数少ない新人の女性隊員・宮田 美智恵(みやた みちえ)は、
少しだけ不安そうな表情を浮かべるー

ポニーテールの華奢な女性であるものの、
運動神経が非常によく、体術の訓練では、いつもトップクラスの
成績を誇るー。

「ーーーそんなこと言って、あんたが一番先に根をあげそうだよ」

「--ゲッ!」
順太が振り返ると、巨体の新人女性隊員が姿を現したー。

腕相撲では圧倒的な実力を発揮し、
屈強な男の腕をテーブルごと破壊したほどの実力者だー。

「ーーそ、そ、そんなことないぞ!」
順太が言うー。

今日からは先輩たちが口々に恐れていた
”恐怖の訓練”が行われるー

実際に”総防”が所有している無人島を用いての
サバイバル訓練が行われるのだー。

聞くところによれば
”未知の能力を持つ宇宙人との戦い”を想定した訓練なのだというー。

”総防”の任務の一つは、
”宇宙からの侵略者から地球を守ること”だー。

現在、宇宙から侵略者が地球にやってきたことなど、
今のところはないものの、
宇宙で生命体が確認されている現代では
”いつ”それが起きるとも分からなかったー。

だからこそ、そういった訓練も必要なのだ。

通称 ”P訓練”

P訓練を乗り越えた先輩たちにその内容を聞いても、
具体的な返事を聞くことはできず、
それが、何を意味するのかは、順太たちはまだ知らなかったー。

ゴクリと唾を飲み込んでいると、
無人島に到着し、ヘリコプターから
新人隊員たちが無人島に着地するー。

「ーーーよく集まったなー」
筋肉ムキムキのいかにも厳しそうな教官が姿を現すー。

「ーーー貴様ら、覚悟はできているか?」
サングラスをかけた教官が、新人隊員たちに問うー。

新人隊員たちはいっせいに「はい!」と叫ぶー。

「ーーなんだその気抜けた炭酸のような返事は?
 聞こえんぞ!」

聞こえているはずなのにそう叫ぶサングラスをかけた教官ー。

「ーーはい!!!!!!!」
再び大声で叫ぶと、教官は「田辺だ」と、だけ呟き、
「貴様らには、この無人島で、3日間、生き延びてもらう」と、
言い放ったー

ざわめく隊員たち。

事前に食料はヘリコプターに大量に詰め込んできていて、
輸送機も数機、着陸しているー。
3日間ただ単に暮らすだけであれば、
順太らが想像しているよりかは、
かなり簡単な訓練と言えたー。

その反応を見て、田辺教官は目を光らせるー。

”貴様らー3日間無人島で生き延びればよいだけだと
 余裕をこいているようだがー
 貴様らがこれから見るのは”地獄”ー”

田辺教官は笑みを浮かべながら、
地獄の訓練名を囁くー

”ポゼッション・ブートキャンプ”

とー。

未知の宇宙人を想定したサバイバル訓練ー。

それが、
ポゼッション・ブートキャンプ
なのだー。

「ーーおい!貴様!」
順太の横にいた男性隊員ー
軽い性格の須藤 隆(すどう たかし)が、
田辺教官に指を指されるー。

「ー余裕そうな顔だな。名前は?」
教官に睨まれても臆することなく
「須藤です」と、堂々と答えるー

「ー須藤か。貴様は死んだぞ」
田辺教官の言葉に、隆は「はい?」と聞き返すー。

「ー貴様のようなヘラヘラしているやつは
 戦場では生き延びられないと言っているのだ!」
田辺教官はそう叫ぶと、隆の顔面をいきなりグーで殴りつけたー。

「ーいてっ!な、、何するんですか!」
叫ぶ隆ー

だが、田辺教官は、そんな隆を無視して、
「貴様らのような腑抜けが、3日後に何人残っているかー
 見せてもらうぞ」と、だけ言うと、
そのまま立ち去って行ったー。

ほとんど何の説明もなく、田辺教官が立ち去って行ったことに
困惑する新人隊員たちー。

「ーーつまり、どうすればいいの?」
不安そうに呟く女性隊員・美智恵に対して、
順太は「3日間、生き延びればいいってことだよ、きっと」と呟いたー。

”何が起きるのか”
それが全く分からない訓練は、むしろ不気味だったー。

田辺教官はヘリコプターに乗り込むと、
そのまま無人島から離れていくー。

「ーーははは、あのヤローもいないなら余裕だぜ!」
先ほど田辺教官に殴られた隆が笑いながら叫ぶー。

教官の見張りもなくー
これでは3日間無人島で、新人隊員同士、
同期で旅行するようなものだー。

”ーーーP訓練は厳しいって聞いてたけどー”
順太はそう思いながら、周囲を見つめるー

”これじゃ、とても厳しい訓練とは思えないー
 いったい、何が起こるんだー?”
順太は”妙に甘い訓練”に、逆に不安を感じていたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーー」
島から飛び去った田辺教官を乗せた
ヘリコプターは近くの海上の基地のような場所に着陸すると、
海上基地に待ち構えていた人間たちに向かって言い放ったー。

「さぁ、貴様ら出番だ」
田辺教官が叫ぶー。

田辺教官の視線の先には”囚人”たちがいるー。

ここは”海上刑務所”
何らかの罪を犯した囚人たちを拘束している場所だー。

「ーこれから貴様らに憑依薬を投与するー。
 無人島にいる、新人隊員たちの身体に好きに憑依して構わないー。
 何をしようと、貴様たちの自由だ」

田辺教官が言うと、囚人たちは一斉に喜びの声を上げるー。

「ただし!分かっているとは思うが、貴様たちの憑依対象は
 あの島にいる人間たちだけだ。
 己の肉体から離れすぎると、身体が腐敗し、貴様たちは死ぬ。
 いいな?」

田辺教官の言葉に囚人たちは頷くー。

囚人たちにそれぞれ憑依薬が投与されていくー。

通称”P訓練”とはー
正式名称”ポゼッション・ブートキャンプ”

総防が秘密裏に開発した憑依薬を用い、
囚人をそれを投与、訓練生たちに憑依させることで、
”憑依されていく仲間を前に起きる大混乱”を
乗り越えられるかどうかをテストする訓練だー。

総防の任務の中には”未知なる宇宙勢力との戦い”も、
視野に入っているー

そのため”憑依”という未知の現象にも
対応できなくてはならないー。

囚人たちが好き勝手できないように、
憑依薬の成分を調整してありー

「”分の身体から離れすぎると、霊体が消滅し、死ぬー”
ようになっているため、囚人は、この海上基地から近い
訓練生たちがいる無人島の人間にしか憑依できず、
また、この基地の人間には特殊な妨害電波により憑依できないようになっているー。

「ーーーへへへ 何をしようと自由ってことはー
 エロいことをしたり、殺しをしてもいいってことだな?」

囚人の一人が言うー。

「ーーあぁ、構わん。我々”総防”に中途半端な人間など必要ない。
 ポゼッション・ブートキャンプで死ぬ人間がいるなら、
 それまでのことだー」

田辺教官は冷徹にそう呟くと、囚人たちを見て叫んだー

「さァ貴様ら!行け!」

その言葉と同時に、囚人たちは、”久々の自由だ”と笑みを浮かべながらー
次々と幽体離脱しー
海上刑務所から見える新人隊員たちのいる島に向かうのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

順太たちは、問題なく1日目の夜を迎えていたー。

順太は焚火の前に座って、
無人島の穏やかな夜の空気を吸いながらも、
この”P訓練”と呼ばれる謎の訓練に違和感を覚えていたー。

「ーーー不安そうね?」
同じ新人隊員の美智恵が声を掛けてくるー。

「ーーまぁ、不安じゃないって言えば、嘘になるかな」
順太はそう呟くと、美智恵は「そうだよね…」と、
順太の隣に座って、焚火のほうを見つめるー。

先輩たちは、口々にこの”P訓練”を恐れていたー。

単純なサバイバル訓練よりも、何よりも恐ろしい訓練であるとー。

しかし、教官の田辺から課せられたのは、
3日間、この無人島で生き延びる、ということだけ。

しかも、その田辺教官はヘリコプターで早々にこの島を離れ、
3日後に迎えに来る、と言っていたー。

教官も不在である故に、先ほどから軽い性格の隆を中心に、
海辺でゲラゲラと大騒ぎをしているー

まるで、学生時代の修学旅行のようなノリになっているー。

「ーーーーーー教官がさ…」
順太がふと呟くー

美智恵が不安そうな表情で順太を見つめるー。

「教官が早々にこの島を離れたってことはー…
 俺ー…何かあると思うんだー」

順太は、本来、新人隊員たちの様子を監督しなければ
いけないはずの田辺教官が、早々にこの島を
離れたことに違和感を感じていたー。

「ーーー教官がこの島から離れないといけないほどに危険なーーー」

順太がそこまで言いかけるとー
突然、海辺で遊んでいた隊員たちが、
殴り合いを始めていたー。

「ーーー?」
順太が首をかしげているー。

「ーーちょっと~?喧嘩とかやめなさいよ~!」
美智恵がそれに気づいて声を掛けに行くー。

だがー

「ーーうっ!」

「ーーーーあっ…」

海辺にいた新人隊員の男たちが、次々とビクン、と震えて
不気味な笑みを浮かべ始めるー。

「ーーーえ…何…?」
美智恵が不気味なものを見る目で、
仲間たちを見つめるー

順太が”様子がおかしい”と気づいて、美智恵の前に立ち、
美智恵を守るようにしているとー

美智恵とは別の、大人しい雰囲気の女性隊員が
近くにやってきたー

「くふふふふ…女の身体だ…」
笑みを浮かべる女性隊員の璃子(りこ)ー

「え…璃子…?」
美智恵が困惑の表情を浮かべるー

だが、璃子はお構いなしに、自分の胸をニヤニヤしながら
揉み始めるー。

「ーーー!!!」
順太が”今まで感じたことのない感覚”を感じて、
表情を歪めたー。

「順太?」
美智恵が振り返るー。

順太は”自分の中に何かが入ってきた”感覚を覚えて、
必死に抵抗するー

「ーーーーーーーーー」
その様子を島から少し離れた海上刑務所から
モニターで見つめていた田辺教官は笑みを浮かべたー

「さぁ、今年は何人”生き残れる”かなー?
 憑依とは、精神力の戦いー
 油断しているやつは、あっという間に、囚人たちに支配されてしまうだろうー。」

田辺教官は呟くー。

総合防衛隊では、
未知なる存在との戦いへの対応力も要求されるー。

それ故に、”憑依薬を使った囚人”を無人島に放ち、
実戦形式の訓練を行っているのだー。

この状況に対応できないような隊員はー
油断して、簡単に乗っ取られるような精神力の持ち主はー

”不要”ー

地獄絵図と化した無人島の様子を、無人島に放ったドローンで
確認しながら、田辺教官は静かにその様子を見つめたー

②へ続く

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地獄の訓練がスタート…
続きはまた次回デス~!

今日もお読みくださりありがとうございました~!

憑依<ポゼッションブートキャンプ>
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