<二次創作・入れ替わり後日談>ただ君に記憶の鍵を~悲しみの中に光を~

※本日の通常の更新は既にしています!(この1個↑にあります)

※本小説は、果実夢想様制作により発売されたゲーム作品
 「ただ君に記憶の鍵を」の”バッドエンド版”の後日談デス!
 ゲーム本編のバッドエンドをプレイしていないと、内容が分かりません!
 また、ネタバレがあるので、これから遊ばれる予定の方は注意してください!
(⇒本編販売サイト(DLsite)はこちら
※↑外部サイトに移動します。

普段、商業作品の二次創作はほとんどしませんが、
「ただ君に記憶の鍵を」遊んで感動したので
後日談を作りました!

そのあとに、
果実夢想様の「ただ君に記憶の鍵を」がランキング1位になったと
果実夢想様から聞きましたので、
前に書いた「ハッピーエンド版後日談」に続き
作者の果実夢想様の許可を取り、バッドエンド版の後日談も考えました!

※後日談の内容自体は本編を見て、私が勝手に考えたものですが、
完成後に、果実夢想様のチェックと許可を頂いています!

原作・果実夢想様
後日談小説・無名(私)

「ただ君に記憶の鍵を」を遊んだことのある人は
ぜひお楽しみください~!

※本編のバッドエンドの「あと」から始まります!

ハッピーエンド版後日談はこちら!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”色々とごめんなさい。ありがとうございました”

「ーー何だよ、それー」

別れを告げているような言葉ー

宿木からの、そんな短い、淡々とした言葉に、
俺は迷わず、宿木の家を飛び出したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

わたしは、知っていたー
転校生の”ゆめちゃん”のことをー。

それだけじゃないー

「ーーゆめちゃん…だよね?」

転校初日ー
わたしはソワソワしていたゆめちゃんに声を掛けたー。

わたしの記憶が正しければー
ゆめちゃんはーー

”わたしがゆめちゃんにしてあげられること、何かないかな?”と

”じゃあ、お願いがありますー”

ゆめちゃんは、寂しそうにー
けれども、嬉しそうにそう、呟いたー

”忘れ物をしちゃったんですー”

そんなゆめちゃんに、わたしは協力を申し出たー。

放っておけなかったー
ゆめちゃんが、わたしのこと、覚えているかなんて、
分からないけれどー

「ーー友達に、そんな言葉遣いじゃなくていいの!」

わたしは、ゆめちゃんと”友達”になったー。

前は、遠くから見つめるだけだったけれどー
前は、何の力にも、なれなかったけれどー。

今度はー
力になれたと思うー。

ゆめちゃんからお願いされた通り、
わたしは配達のバイトをしながら、ゆめちゃんに
”ある荷物”を届けたー

ゆめちゃんは”人に会いに来た”のだというー。
相手が誰だかは、わたしは知らないー

けれどー

「ーその人に会えたら
 明るく!明るく!だよっ!」と、
アドバイスをしたりもしたー。

上手く行ったかはわからないけどー…。

そんなことを考えながら、学校に向かうわたしー

「ーーーー!」

そんなわたしの目に入ってきたのはー
公園のベンチで、寂しそうに座っているゆめちゃんの姿だったー

「ーーゆめちゃん…?
 学校に行かないの?遅刻しちゃうよ~?

 ほら、一緒に学校にいーーー」

そこまで言ってー
わたしは言葉を止めたー

ゆめちゃんの周りに、光の雫のようなものが見えるー

ゆめちゃんが、少しずつ、消えていくー

「ーーーゆめ、、ちゃん…?」

わたしが声を掛けると、ゆめちゃんは振り返って
少しだけ寂しそうに微笑んだー

「ーー結局、言えなかったー」

悲しそうにー
けれども、満足そうに微笑むゆめちゃんー

「ーーー……」

わたしは、ゆめちゃんが消えてしまうことを悟りながらも、
今、自分にできることは話を聞くことだと考えてー
そのままゆめちゃんの横に座ったー

「ーー会いたかった人には、会えたの?」

わたしが言うと、ゆめちゃんは「うんー」と頷いたー。

残念そうな「うんー」
もしかすると、ゆめちゃんの会いたかった人はー

「ーー嫌いになったわけじゃ、ないの」
ゆめちゃんは小さな拳を握りしめながら言うー。

「ーー”先輩”は、前と同じでー
 ホントに優しかったしー
 ホントにまぶしかったー

 でもーー
 これ以上は”先輩”を困らせてしまうからー」

”先輩”が誰なのか、わたしは知らないー

ゆめちゃんは
”先輩に、伝え忘れた言葉があった”と、説明したー

けれどー

”それを伝えてしまうと、”先輩”はずっとずっと苦しむことになってしまうからー
 ”先輩”のことが大好きだからこそ、何も言わずに消えることを
 決意した”

と、わたしに説明したー。

「ーーーーそう… ゆめちゃんは、それでいいの?」

わたしが聞くと、
ゆめちゃんは「わたしといる間、先輩…すっごく困ってたから…」と
寂しそうに呟くー。

「ーーこれ以上、先輩を困らせたくないからー」

”先輩”は、とても優しい人なのだと思うー。

でも、ゆめちゃんの突然の登場に戸惑ってしまってー
それがゆめちゃんにも伝わってしまったー。

だから、
ゆめちゃんはー
”先輩を嫌いになったわけじゃないけれど、
 先輩を苦しめないために、一人、消えることにした”

そういうことなのだと、わたしは考えながらー
ゆめちゃんのほうを見つめるー

その”先輩”がー
もう少しー
もう少し、違う振る舞いをできていればー

ゆめちゃんがー
”先輩が困っちゃう”と思ってしまうような振る舞いではなくー
もう少しだけーー

何かが違っていれば、

ゆめちゃんは、一人消えなくて済んだのかもー

「ーーーーー」
ゆめちゃんが、一人涙をこぼしながら、
どんどん、その姿は薄れていくー

「ーーちょっと待って!」

わたしはとっさに叫んだー

ゆめちゃんが涙ながらにわたしのほうを見るー

せっかくー
せっかく、”また”この世界に来たのにー
手ぶらで帰らせるなんて、あり得ないー

「ーーお土産!!
 お土産、、持って帰らないとだめ!」

わたしの咄嗟の言葉に、ゆめちゃんは首をかしげるー

「ーー旅行に来たんでしょ!?
 だったら、お土産持って帰らないと!」

「ーーお、お土産ー…?
 り、旅行じゃないけどー…」

「いいから、ついてきて!」

わたしは、無理やりゆめちゃんの手を引っ張るー。

まだー
まだ、消えていないー

まだーーー

わたしはあの時ー
ゆめちゃんに声を掛けることもー
何かをしてあげられることもできないままー

「ーーここはー?」
わたしがゆめちゃんを引っ張ってきた場所ー

それはー

「ーーー見ればわかるでしょ!ゲームセンター!」

「ーーー…は、、はぁ…」

戸惑ってるゆめちゃんー。
可愛いー
推せるー。

あ、ううんー
そうじゃなくてー

「ーーほら、ここ、一緒に来てー」

わたしは”プリクラ”で、ゆめちゃんと
一緒に写真を撮ろうと、ゆめちゃんを
プリクラの台の前に呼び寄せたー。

「ーーー……」

今にも消えてしまいそうなゆめちゃんー。

「ーーゆめちゃんーーー
 せっかくだから、思い出、作ろ?」

わたしにはー
”また”あの時と同じようにー
何もしてあげられないままー

そんな風には、なりたくなかったー

わたしの自己満足かもしれないけれどー
こんなことじゃ喜んでくれないかもしれないけれどー

それでもー

「ゆめちゃんと、一緒に、写真撮りたいー」

わたしのそんな言葉に、
ゆめちゃんはきょとんとしながら目をパチパチさせてー

少ししてから、照れくさそうに微笑んだー

「ーーえへへ…じゃあ、ちょっとだけー」

嬉しそうなゆめちゃんを見て、
わたしは暖かい気持ちになると、
そのままお金を入れてプリクラで写真を撮る準備を始めるー。

「ーーわわっ!」

「ーーわぉ」

「ーーあわわ!?」

色々な反応を見せているゆめちゃんを見てー
わたしは少しだけ切ない気持ちになるー

きっとー
”こんな経験”したことがないことが
イヤでもわかってしまうからー。

もっとー
もっと早くー
”あのとき”
連れてきてあげればよかったー。

ゆめちゃんが一人、この世界からいなくなってしまう前にー。

「ーーあわ!?あわわ!? ? ?」

そんなことを考えていると
隣にいるゆめちゃんの頭に「?」マークが
いっぱい浮かんでいることに気づいたわたしは、
「ほら!カメラに向かって笑って~!」と、ゆめちゃんに伝えるー

ゆめちゃんはー
今から消えてしまうとは思えないぐらいにー
とても嬉しそうに、笑ってくれたー

1枚、また1枚とプリクラの写真を撮影するー。

そしてー
それが終わると、ゆめちゃんは、満足そうに笑ってくれたー。

ゆめちゃんの姿が薄れていくのを感じてー
わたしはたった今、取り出し口に出てきた写真を手にして、
ゆめちゃんの手に握らせたー

「ーーーえ…?」
ゆめちゃんが寂しそうに微笑むー。

「ーーおみやげ」
わたしは、それだけ告げるー。

「ーーーーーーありがとうー」
ゆめちゃんは、わたしと一緒の写真を手に、
静かに微笑んでくれたー。

「ーーあ、、あの…!」
ゆめちゃんが思い出したかのように言うー。

「ーこの前届けてくれた”箱”なんだけどー…」

ゆめちゃんは、
わたしがあの日、届けた荷物を
”回収”してほしいー、とお願いしてきたー

”先輩”に迷惑はかけたくないからー、とー。

「ーーわ、わたしにゆめちゃんの家に侵入しろってことー?」

泥棒みたいで気が引けるー。
そう思いつつも、「鍵はポストにあるからー」と、
申し訳なさそうなゆめちゃんを見て
わたしは頷いたー。

自分が消える直前でも、その”先輩”のことばかりー。
本当に、ゆめちゃんにとってはー
その人が大切なんだねー…。

ゆめちゃんが消えていくー

「ーーゆめちゃん!」
わたしは叫んだー

あの時ー
いじめられているゆめちゃんを、同じ教室から
見つめているだけでー
わたしは、助けることができなかったー

そうしている間に、担任の先生から、
”ゆめちゃんがいなくなった”ことを告げられたー

わたしは、ずっと後悔してきたー

「ーーゆめちゃん!わたしーー、わたしのことーー!」

”覚えてるー?”
そう、聞こうとしたー

でもー
それ以上は、間に合わなかったー

ゆめちゃんはー
わたしを見て、少しだけ微笑んでー
優しく頷いてくれたー

気がしたー。

”ありがとうー”

そんな声が、聞こえたー

「ーーー…」

わたしは、床を見渡すと、
ゆめちゃんに渡した”プリクラの写真”も
消えていることに気づいて、

少しだけ、笑ったー。

「ーーちゃんと、持って帰ってくれたんだねー」

とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

暗くなった道を、俺は歩いていたー

”こんなにも、この街は広かったのかー”

そう、思いながらー

何でこんなことになってしまったのだろうー。

今になって気づくー

俺はー
”宿木のことが好きだったんだなー”

とー。

「ーーーー」
この前ー
荷物を届けてくれた子とすれ違ったことに
俺は気づきもせずー

”ーーーー”

宿木と前に訪れたゲームセンターを前に、
俺は宿木との思い出を、一人思い出しながらー

”もっとー
 もっと、宿木とちゃんと向き合っていればー”

と後悔したー

そしてー
宿木はその翌日ー

”いなかった”ことになっているかのようにー
学校からも、その存在が消えていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

高校2年生のクリスマスの日を迎えていたー
宿木のお墓の前にやってきた俺ー。

この場所を見つけるのにも、結構時間が掛かった。

けれどー
ようやく、見つけたー。

あれからー
俺は”宿木のおもかげ”を探し続けたー

そして、分かったことがあるー

”宿木ゆめ”という人間は既に死んでいるー。
俺と会った時点で、宿木ゆめは、この世に存在しなかったー。

「ーーどうして、俺に会いに来てくれたんだー?」

俺は、自虐的に笑いながらー
宿木の墓のほうを見つめたー

「ごめんー。俺、思い出したくても思い出せないよー」

記憶に”霧”が掛かったままー

思い出せそうで思い出せないー
記憶ー

記憶の扉が開きかかっているのにー
その扉を開くための「鍵」が足りないー

その「鍵」はー

「ーー宿木が「鍵」だったのかもなー…」

俺はそんな風に思いながら、墓のほうを見つめるー。

「ーー今度は、俺が宿木に会いにいくからー」

理由を聞くまでー
絶対に、諦めたりなんかしないー。

理由を聞いてー
宿木に”好きだった”という気持ちを伝えるんだー。

「何十年後になっちゃうか分からないけどー
 俺が宿木のいるところに、必ず、行くからー

 宿木が、俺に会いに来てくれたようにー」

必ずー

必ず、いつか宿木に会いに行くからー

「ーーだから、その時はーー
 その時は、今度こそーーー
 俺に、教えてくれよなー…」

俺は、静かにそう呟くとー

”待ってますー先輩”

と、声が聞こえたーーー気がしたー

思わず笑みがこぼれるー。

今はまだ、分からないー

でもー
俺の中にある”記憶の扉”を必ずいつか開いて見せるからー。

宿木が”鍵”ならー
必ず宿木に会いに行くからー

「俺が行ったときー扉、閉めるなよー」

休みの日、宿木が急にやってきたときに、
自分が玄関を閉めた時のことを思い出しながらー

「ーーーー玄関…閉じても無駄だからな」

と、少しだけ笑いながら、静かに空を見上げたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

バッドエンド版も比較的綺麗に…☆
救いを見いだせるような後日談を作ってみました!~

最初はハッピーエンド版後日談しか作る予定は
なかったのですが、ランキング1位になったそうなので、
何回か合作したこともある果実夢想様をお祝いする意味でも、
バッドエンド版後日談も作りました~☆!

本編のハッピー・バッド、
私の後日談の両側を全部見ると
色々見えてくるかもデス~笑

お読みくださりありがとうございました!

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