ギャル好きおじさんと、大人しい女子高生が
入れ替わってから3年ー。
2人の進む未来はー…?
※「勝手にギャルにならないで」の後日談デス!
⇒本編を先にご覧ください~!
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「ーー明日、生配信があるけど、
準備はできてるー?」
夜ー
姉の恵麻が微笑みながら聞いてくるー。
「ーーあ、うんー」
千香(久雄)はボッとした様子で答えたー。
「ーーー大丈夫?なんか今日、元気ないけど?」
恵麻の言葉に、
千香(久雄)は「あ、ううん!そんなことないよ!大丈夫!」と、
慌てて明るく振る舞って見せるー。
「ーあたしと千香は、最強のギャルなんだからー!
もっと自信を持ってー」
恵麻の言葉に、千香(久雄)は
「さ、最強のギャルってー」と、苦笑いしながらも、
”大好きなギャル”に自分自身がなれたことー
そして、大好きなギャルの側で、こんな風に過ごせたことを
改めて幸せに思うー。
「ーーーーーー…」
この3年間は、本当に夢のようだったー
けれどー
「わたしの身体を勝手にギャルにしないで!
お姉ちゃんみたいにしないで!」
昼間ー
3年ぶりに再会した久雄(千香)の姿を思い出すー。
「ーーーー……」
千香(久雄)は、ため息をついて、
険しい表情を浮かべるー
鏡を見つめる千香(久雄)ー
この綺麗な髪もー
綺麗なネイルもー
綺麗な顔もー
いかにもギャルな服装が似合うこの身体もー
全部ー
”自分のもの”ではないー。
全部、本当は千香のものなのだー。
「ーーー」
自分の爪を愛おしそうに触る千香(久雄)ー
「千香ーーーー」
千香(久雄)の落ち込んだ様子に、
恵麻は戸惑いながらー、
事情も知らぬまま、千香(久雄)を抱きしめたー。
「ーあたしがいるからー
そんな、一人で悩まないでー」
恵麻の言葉に、千香(久雄)は、ギャルに抱きしめられたことに
幸せをー
いやー
”お姉ちゃん”に抱きしめられたことに幸せを感じたー。
分かっているー
自分は本当は千香ではないー。
だから、恵麻は”お姉ちゃん”ではないー。
それでもー
3年間もこの身体で生活をしていると、
恵麻のことが、本当のお姉ちゃんのように思えてくるー。
だってー
この3年間、ずっと妹の千香として過ごしてきたのだからー。
「ーーありがとうー」
千香(久雄)はそう言うと、
姉・恵麻のほうを見て微笑んだー
「お姉ちゃんのこと、わたしは本当に大好きだからー」
これは、本心ー。
たとえ、身体は”偽り”であっても、
千香になった久雄は、本当に恵麻のことを”好き”になっていたー
異性として、だとかそういう下心ではなく、
姉としてー。
千香になる前までは、まったくの他人だったはずなのにー。
もちろんー
”ギャルだから”というのも最初はあったが、
ギャルになりたい、と姉・恵麻に伝えてから今までー
姉・恵麻は単なるギャルではなく、
本当に尊敬できる存在であることを知ったー
見た目とは裏腹に、優しいし、気配りもできるー。
本当に、尊敬するべき存在だー。
3年間も、一緒に過ごしていればー
こんなお姉ちゃんがいたらー
誰だって好きになるー
”姉”としてー
「ーーありがとうー」
千香(久雄)は、そう言うと「おやすみお姉ちゃん」と
自分の部屋に戻っていくー
恵麻は、なんだか”別れの言葉”を言われているような気がしてー
不安そうに千香(久雄)の後ろ姿を見つめたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
久雄(千香)は、久雄の自宅で
戸惑っていたー
「ーわたし…どうしたらー…?」
ネットで”今の自分”のことを色々と知ったー
恵麻・千香は、ギャル姉妹として
動画配信者からスタートし、今ではテレビに時々出たり、
歌も作っているようだー。
「ーーー…こんなの…わたしじゃないー」
すっかり”ギャル”になってしまった自分の映像を見つめる
久雄(千香)ー
久雄になった千香も、また、3年間ー
久雄として過ごしてきたー。
しかし、千香になった久雄とは違い、
”刑務所の中”での話であり、
この3年間、久雄(千香)には”自由”というものは
存在していなかったー。
流石に3年間も男として過ごせば、
男の身体には慣れているけれどー、
それでも、”外”で自由になっていた千香(久雄)とは違い、
”久雄としての人生”にはまだ、何も慣れることができていないー。
まだ、”男”としての日常生活は、
男の身体になってから3年経過した今でも
”初心者”に過ぎない状態なのだー。
♪~~~
インターホンが鳴るー。
久雄(千香)は困惑の表情で、
インターホンに映る来客を確認するとー
それは、想像してなかった相手だったー。
「え…わたし!?」
久雄(千香)が戸惑うー。
最初は”知らない女”だと思ったが
よく見ると、”ギャル化した千香自身”だったー
”あの…出所…おめでとうございますー”
千香(久雄)は、自分のせいで3年間も服役することになってしまった
久雄(千香)に何て言っていいのか分からず、
そう呟いたー
”ふざけないで!”
そう叫びそうになったー。
それでも、久雄(千香)はそれを抑えて、
話を聞いたー
ここで感情的になってしまえば、
話し合いもできないー
そう、思ったからだー。
「ーーなんの、用ですかー」
驚くほど冷たい声だったー
久雄(千香)は、久雄の身体から出た声に
自分でも驚きながら、千香(久雄)の次の反応を待ったー
千香(久雄)は戸惑いながらも
”こ、、これからのことについて、お話をー”と、
言葉を発したー。
「ーーー」
久雄(千香)は、ため息をつくと、
そのまま千香(久雄)を、
”今の自分の部屋”に招き入れたー。
部屋の奥にやってきて、
千香(久雄)が座るー。
あり得ないほどギャルになっているー
久雄(千香)は、怒りを感じながらも、
千香(久雄)の前に座ってー
「ーーわたしの身体を、返してくれるんですか?」
と、険しい表情で呟いたー。
「ーーーーーーーー」
千香(久雄)は、すぐには返事をしなかったー。
この人生を手放したくないー。
この身体を手放したくないー。
元に戻れば、自分は”前科持ちのおっさん”でしかなくなるー。
このままー
知らん顔を貫いてー
生きていきたいー
何度、そう思ったことかー。
けれどー
千香(久雄)は小心者だったー。
そんなこと、できる人間じゃなかったー。
この3年間ー
”刑務所にいる俺の身体とは会えないよなー
だから、仕方ないよな”
と、ずっと自分に言い聞かせてきたー
けれどー
こうして、”元自分”が出所してきた以上ー
「ーーーーーー正直ー
俺は、この身体のまま生きたいー
ギャルとして、お姉ちゃんと生きたいー
そんな”おっさん”に戻りたくないー
でもーーー
時々、夢に見るんだー
今の自分は、自分じゃないってー」
千香(久雄)は悲しそうに久雄(千香)のほうを見たー
「自分勝手だって分かってるー
でもーーー
俺はーー戻りたくないー
そんな、身体にー」
千香(久雄)は涙を流しながらそこまで言い放つとー
久雄(千香)は反論しようとしたー。
どんなに泣き落としをされようとも、
千香の身体は千香のものだし、
”俺は戻りたくないから、君にその身体で生きてほしい”
なんてことは、どう考えてもおかしいー
だが、久雄(千香)が反論の言葉を口にする前にー
千香(久雄)は、涙を拭きながら言葉を続けたー。
「元に、戻ろうー。」
とー。
「戻りたくないけど、戻ろうー
戻る方法を、探そうー」
千香(久雄)の意外な言葉に、
久雄(千香)は困惑するー
このおじさんは、自分の身体を奪い、
勝手にギャルになった上にー
自分に罪を被せて、3年間も服役させた男だー。
「ーーーこんなに幸せな人生をー
人から奪うわけには、いかないからな…」
千香(久雄)は、それだけ呟くと、
再び目から涙をこぼしたー
ギャルだけど優しいお姉さんにー
こんなに可愛い妹ー
そんな、尊い人生を、自分のような人間が
奪うわけにはいかないー。
本当は、奪いたいー
けど、罪悪感から、どうしてもそれはできなかったー。
”元・俺の身体は刑務所にいるからー”と
自分に必死に言い聞かせてきたこの3年ー
しかし、こうして久雄になった千香が刑務所から
出てきた以上、久雄には、もう罪悪感に耐えられるほどの
強い心はなかったー。
彼は、元々小心者なのだー。
「ーーそんなに…そんなにわたしの身体を勝手に
ギャルにしてー…今更よくもそんなことが言えますね」
久雄(千香)は怒りの形相でそう呟くとー
「ーーー本当に、申し訳ないー。
戻ったら、どんな罪でもーーー」
と、千香(久雄)は土下座を続けたー
元に戻る方法を色々試そうとする二人ー
だがー
その前に、と、千香(久雄)は
「ーお姉さんとだけ、仲良くしてやってくれないかー?」と
頼み込むようにして、お願いをするー。
「ギャルじゃなくなってもいいー
でもーーー
お姉ちゃんはーー
君のお姉さんはーー
本当に、いい子だからー」
と、泣きながら何度も何度も、千香(久雄)はお願いしたー
「ーわたし、お姉ちゃんの悲しむ顔、見たくないの!」
千香(久雄)は、
つい3年間千香として振る舞っていた癖が出てしまい
ハッとしながらも、今一度、深々と頭を下げたー。
「ーーー…………わかりました」
久雄(千香)は、そんな千香(久雄)の姿を見て、
そう呟いたー
3年前もー
元に戻れそうなことは一通り試したー
だが、今度は、二人の気持ちが一致したからだろうかー。
3年ぶりにーー
2人は、元の身体に戻ることができたーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーそっか……」
ギャルな姉・恵麻は残念そうに呟くー。
”入れ替わり”のことは話さなかったー。
元に戻ったあと、3年間のことを大まかに説明された
千香は、”ギャルをやめる”宣言をしていたー。
「ーーーー…」
髪を黒に戻し、ごく普通のメイクにして、
落ち着いた服装に戻した千香はー
3年前とは、ちょっと違うけれどー
やっぱり、本来の千香らしい姿に戻っていたー
「ーーーーーー」
落ち込んでいるのか、恵麻は言葉を発しないー。
「ーーでもね、お姉ちゃんー」
恵麻のほうを見て、千香は言うー。
「ーーー”ギャルなわたし”じゃなくてもいいならー
わたし、お姉ちゃんと一緒に頑張るー。
もちろんー…
ファンの人が”ギャル姉妹じゃなきゃやだ”って言うならー
それはそれまでだけどー」
「ーーえ?」
恵麻が顔を上げるー。
「ーーわたしには、わたしのやりたいことがあるからー
それをしながらだけど、お姉ちゃんとの活動は、
続けていければーって思ってるの」
”ギャル姉妹”としてはもう活動できないー
千香はギャルではないし、
千香自身、ギャルになんてなりたくないー
でもー
姉の恵麻のことを拒絶するのではなくー
受け入れようと、
そう、思うことができたー
3年間ー
自分の人生は失ったけれどー
それをきっかけに、疎遠になりかけていた姉との絆はー
取り戻せたのかもしれないー
「ーーだって、お姉ちゃんー
すっごく楽しそうだったしー
あんな楽しそうなお姉ちゃん見てたらー
わたしも、お姉ちゃんを一人にはできないよ」
千香は、映像で”ギャル姉妹”として活動する
”久雄が中身の自分”と”恵麻”の姿を見たー。
恵麻は本当に楽しそうだったし、
本当に、妹である千香のことを大切にしてくれているのが
映像から伝わってきたー
「ーわたしがギャルじゃなくても、
ーーいいよね?」
千香の言葉に、恵麻は微笑みながら答えたー
「ギャルでも、ギャルじゃなくてもー
千香は千香ー
あたりまえでしょ!」
とー。
微笑む千香と恵麻ー
そしてー
「ーーあと、お姉ちゃんー
ひとつだけお願いがーー。」
千香が言うと、恵麻は首を傾げたー
「ーわたしたちを手伝いたいっていう人がいるんだけどー…
マネージャーさんみたいなこと、お願いしてもいいかな?」
千香は微笑むー
”あの人ー
たぶんー悪い人じゃないからー”
”元に戻る直前”
千香になっていた久雄は、
「ギャルじゃなくなってもいいー
でもーーー
お姉ちゃんはーー
君のお姉さんはーー
本当に、いい子だからー」
「ーわたし、お姉ちゃんの悲しむ顔、見たくないの!」
姉・恵麻のことばかり叫んでいたー。
3年間も無駄に服役することになってしまったし、
勝手にギャルにされたりー
色々不満はあるけれどー
それでもー
”責任もって、ちゃんと手伝ってくれますよね?”
後日ー
千香は久雄に、電話で、”自分たちのお手伝い”をお願いしたー
久雄は今、コンビニでバイトをしながら生計を立てているー。
そんな久雄へのお願いー
元に戻った久雄は、”3年間お姉ちゃん”だった、恵麻にもう、会えないー。
それはきっと、辛いことだろうー。
”でもー
おじさん…あ、いや、俺の身体はー
お姉ちゃん…あ、、違う、お姉さんに不審者だと思われてるしー”
久雄が申し訳なさそうに言うー
けれど、千香は「大丈夫!わたしが説得しますから”」と、
笑いながら答えたー。
「こんな風に、お姉ちゃんと一緒に活動する人生になっちゃった責任、
ちゃんと取ってくださいね!」
千香が笑うー。
嫌味とか、そういうのじゃないー
”元に戻ってしまった久雄に、恵麻に合う機会をあげたい”
そんな、千香の配慮であることは、久雄にはすぐにわかったー
「ーーわかったー…
へへ…おじさん、ギャル好きだしー」
久雄が冗談を口にすると、
千香は「変なことしたら、今度こそ自分で服役してもらいますからね!」
と、千香も冗談を返して微笑んだー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
「勝手にギャルにならないで!」の後日談でした~!
お姉ちゃんが認めてくれて、
久雄が変態行為に走らなければ、
このあとは、うまくやっていけそうですネ~!
お読みくださりありがとうございました~!
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