妹を溺愛する兄と、妹の入れ替わりー。
妹の秘密を知りながらも、なんとか平静を取り戻した兄に、
更なる衝撃が襲い掛かるー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーは~~~…」
明菜の身体で、天井を見上げている透夜ー。
入れ替わる前に風邪を引いていた明菜の風邪が再発しー、
こうして、安静にしているのだー。
「ーー髪…気になるなぁ」
明菜(透夜)は、髪を長くしたことがないためー
明菜の身体の髪の長さが気になったー。
昨日は熱もあったし、今日はひとまず学校を
休むつもりだったから、お風呂には入らなかったのだが
流石に今日は入らなければならないだろうー。
”この髪洗うの大変そうだな…”
そんな風に思いながら、
静かに天井を見上げるー
時計の針の音だけが、部屋に音を奏でている状態ー。
「ーーーーー」
流石に退屈になってきてしまい、明菜(透夜)は、
明菜のスマホを手に、
ネットでも眺めていることにしたー。
「ーーーーーー」
明菜から、スマホを確認する許可は得ているー。
最初は、透夜(明菜)が大学に明菜のスマホを
持っていくつもりだったがー
万が一周囲に発覚するリスクなど、
色々考えた結果、それぞれ”身体のほうのスマホ”を
持つことにしたのだったー。
明菜は”別に隠すことなんかないし、
お兄ちゃん、勝手にわたしのLINEとか必要以上に見ないって
信じてるから大丈夫!”と、言っていたー。
「まぁ…必要以上には見ないケドさー」
そんなことを呟きながら
”そういえば、昨日は慌ててたからアレだったけどー
やっぱ、自分の口から明菜の声が出るって
滅茶苦茶変な気分だな…”と、
内心で考えるー。
「あ」と言えば、
自分の声で”あ”と聞こえるー
それが、当たり前だったし、
それ以外の声が自分の口から出るー
なんて、永遠に経験することなく、
人生を終えるー。
そのはずだったー。
しかし今、自分が「あ」と言うと、明菜の声がするー
「あ」
明菜の声が自分の口から出る状況にはまってしまう
明菜(透夜)ー
「-お兄ちゃん」
つい、明菜の身体でお兄ちゃんと言ってみてしまうー
「はぅっ…」
ドキッとして、顔を真っ赤にしてしまう明菜(透夜)ー
部屋にある鏡を見ると
明菜の顔が真っ赤になっているのが見えたー
「ーーお兄ちゃん…♡」
今度は甘い声を出してみるー
「ーーお兄ちゃん…大好きー」
「ーーお兄ちゃん…結婚しよー」
色々なことを明菜の身体で言ってみるー
「ーお兄ちゃん、わたしとーーー」
そこまで言いかけて
明菜(透夜)はぶんぶんと首を振ったー
「ーだ、だめだだめだだめだだめだ!」
このままだと一線を越えてしまうー
そんな風に思いながら、兄としての理性を取り戻した
明菜(透夜)は「早く元に戻れないかなぁ…」と呟くー
明菜は、可愛いー。
兄である自分が言うのもなんだが、
そこらのアイドルより、可愛いー。
だから、そんな明菜の身体になれている、というこの状況は
正直、嬉しいことでもあったし、
とてもドキドキするー。
だがー
透夜からしてみれば”明菜のことを大事にする気持ち”のほうが
欲望やドキドキをはるかに上回っていてー
明菜の身体を傷つけるようなことや、
エッチなことをするつもりは、一切なかったー。
入れ替わってから、たまたま触れてしまう以外は
胸にも触っていないしー
鏡に映る明菜にキスをしたりもしていないー。
明菜のことを考えると、
早く戻ってあげたいー
その気持ちでいっぱいだったー。
「ーー元に戻る方法でも検索してみるか」
スマホを手に、”入れ替わり 元に戻る方法”なんてキーワードで
検索をかけてみるー。
案の定ー
まともな答えは出て来なかったー
漫画とかー
ゲームとかー
アニメとかー
そういう入れ替わりのレビューやら、
作品紹介やらー
そういったサイトが出てくるだけで、
現実の入れ替わりについて言及しているような
サイトは、見当たらないー
「まぁ…そりゃそうか」
そんな風に思いながら、”いつもの癖”で
ツイッターを押してしまう明菜(透夜)ー
透夜自身がツイッターをやっているため、
”ネットを見たらツイッターを開く”というのが
癖になっていたのだー。
だがー
「あーーー」
明菜のツイッターアカウントと思われるものが
開かれてしまうー。
そしてーー
「ーーぶっ!!!!!!!!!」
明菜(透夜)は、変な声を出してしまったー
そこにはー
顔を隠してはいるものの、メイド服を着た明菜のアイコンが
表示されていたのだったー
「ーーぶっ!?!?!?ぶっ!?!?!!?!?!?」
天使はー
ここにいたー
そう思いながら、明菜(透夜)は、
鼻血を流しながら失神してしまったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”お兄ちゃん、大丈夫かなぁ”
透夜(明菜)は、大学の昼休みを迎えていたー
大学内を楽しそうに探検している透夜(明菜)ー
「ー高校より全然広くてすごいなぁ~
わたしもこんな大学で過ごせるのかなぁ~」
透夜(明菜)からしてみれば新鮮な大学ー。
明菜が通う高校より、はるかに広く、
色々な設備が揃っているー。
食堂では、たっぷり昼食を食べたー
”お兄ちゃんの身体なら、食べる量、気にしなくていいよね♪”
などと思いながら、
大学の食堂を堪能した透夜(明菜)はー
”お兄ちゃんに、”アレ”ばれてないかなぁ…”と
不安そうに呟くー。
昨日は、入れ替わった直後で
そこまで頭が回らなかったのだがー
”お兄ちゃんが200回失神するレベル”の
秘密がまだ自分にはあったー。
母親は知っているのだがー
父と透夜は知らないー
その、秘密がー
そしてー
さらにーー
「ーーー…きっと大丈夫」
透夜(明菜)はそう呟くと、
たまたま近くを通りがかった男子に
「ーーん?何が大丈夫なんだ?」と
突っ込まれてしまったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー!」
やべっ、失神してた、と思いながら
起き上がった明菜(透夜)はもう一度
ツイッターの画面を見つめたー
そこにはー
”偶然”透夜が好きなアニメキャラの
コスプレをした明菜の写真が載っていたー
「ーーーはぅぁ…」
明菜(透夜)は、鼻血を流しながら
再びベッドに倒れ込んだー。
事情を知らない人が見たら
自分のコスプレ写真を見て興奮して
鼻血を流して失神している危険な女子高生だー。
「ーーー…ぁ」
今度はすぐに意識を取り戻すと、明菜(透夜)は
震えながらその画面を見つめたー
妹の明菜には、コスプレ趣味があったのだったー
友達から”明菜、絶対可愛くなるよ!”と勧められて
始めてみたところ、はまってしまったーのだったが、
当然、妹を溺愛する兄・透夜にそのことを言えば
大変なことになると考えた明菜は、
ずっと”秘密”にしていたのだー
部屋の収納スペースを確認するとー
明菜が持っているコスプレ衣装の数々が
置かれていたー。
「ーーこ、これのためにバイトしてたのかぁ…」
感心しながら明菜(透夜)は、再び鼻血を流すー
そういえば、彼氏の”和馬くん”に対しても
可愛い衣装の写真を送ってたなぁ、と思う明菜(透夜)ー
和馬くんとやらが、明菜に写真を見たい!
というようなメッセージを送っていたのは
”和馬くん”が明菜の趣味を知っていたことを
意味するのだろうー。
「ーーってか…」
コスプレ衣装を見ながら着てみたい衝動に駆られてしまう
明菜(透夜)ー
いや、しかしそれは絶対にダメだー。
と、首を激しく横に振るー
「ーーでもーーー」
明菜(透夜)はひそかに明菜のツイッターアカウントのIDを
メモして、自分の部屋の中の引き出しにそれを入れたー
「妹のファンになるぐらい、いいよなー」
そこまで呟いてから、
明菜のツイッターをさらに見つめるとー
再び透夜の好きなアニメキャラのコスプレ写真が出てきてー
明菜(透夜)は、「かはっ…」と呻くような声を上げてからー
その場で失神したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーお兄ちゃん、ただいまーーぁ…
って、やっぱ気絶してる!?!?!?!?」
透夜(明菜)が叫ぶー
鼻血を流しながら失神している明菜(透夜)を見て
「お、お兄ちゃん~!朝じゃないけど朝だよ~!起きて~!」
と、叫んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーそ、そうだったのか…」
明菜(透夜)は、
透夜(明菜)からコスプレ趣味の話を聞かされて、
友達からの勧めで始めたことや、
母は既に知っていることも説明されたー
明菜(透夜)が何かブツブツ呟きだしたのを見て
透夜(明菜)は
「お兄ちゃん…?もしかして怒ってる…?」と
不安そうに呟くー
明菜(透夜)が放心状態で何かを呟いているのを見て、
不安な透夜(明菜)は、”元自分の身体”に耳を近づけたー
するとー
兄が明菜の身体で呟いている言葉はー
怒りの言葉などではなかったー
「ーー尊いー…推せる…尊い…推せる…尊い…尊い…尊い…」
明菜(透夜)の言葉にー
”お、お兄ちゃんがわたしのオタクになってる!?”
と、苦笑いするのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「ーーーーーーー!!!!!!!!!」
透夜(明菜)は”見つけた”
元に戻れるかもしれない方法をー
”兄と妹のキス伝説”
そんな、いかにも都市伝説っぽい話で、
ネット上でも「嘘」扱いされていたが、
”入れ替わった兄妹当事者の経験談”として
そのサイトには記されていたー
「そういえば、お兄ちゃんと色々試したけどー
キスはしてないなぁ…」
透夜(明菜)は呟くー
明菜になった透夜が意図的に避けてたのかもしれないー
「ーよし!チャレンジチャレンジ!」
透夜(明菜)はそう呟き、明菜(透夜)がいる明菜の部屋に向かうー。
一方ー。
明菜(透夜)は最大の秘密を見つけてしまったー。
”来週の日曜日ー
ご両親とお兄さんがいない日ー
明菜ちゃんの家に行くの、何時がいいかなー?”
「ーーーあ????」
明菜(透夜)は、彼氏の”和馬くん”から
届いたメッセージを見て、憤慨していたー。
内容によればー
明菜は入れ替わる前に、
両親と透夜が留守になる”来週の日曜日”に
”和馬くん”を家に上げようとしていたー。
「ーーま、、ま、、ま、ま、、まさ、、まさか、、まさか、まさか」
頭を抱える明菜(透夜)
明菜と”和馬くん”がエッチなことをしている場面が
頭に浮かんでしまうー
「い、い、、い、、い、、妹は渡さんぞぉおおおおおおおおお!!!」
大声で叫ぶ明菜(透夜)ー
そこに、透夜(明菜)がやってきたー
「お兄ちゃん!キス!」
とー。
「ーーはぁっ!?」
明菜(透夜)は顔を真っ赤にして叫ぶー
「ーまだキス、試してないでしょ!?
キスすれば元に戻れるかも!」
透夜(明菜)が言うと、
明菜(透夜)は全力で否定したー
「いやいやいやいやいや、妹とキスとか、
ぜ、絶対倫理に反する!」
叫ぶ明菜(透夜)ー
それにー
”来週日曜日まで様子を見ないとー!
和馬!お前に妹は渡さんぞ!”
心の中でそう固く決心していたー
しかしー
「ーーどうしても、キスはダメ?」
透夜(明菜)の言葉に、
明菜(透夜)は「ダメだ!」と答えるー。
その言葉を聞いた透夜(明菜)は、しばらく考えてから
「ちょっとスマホを貸してー」と、自分のスマホを回収すると、
”何か”を見せつけたー。
それはー
コスプレ趣味を持つ明菜が、メイド服を着ている写真だったー
「ーーぶっ!?」
この世に、天使はいたんだー。
そう思った明菜(透夜)は失神したー。
失神している間にキスされてー
目を覚ました時にはー
透夜は、元の身体に戻っていたー
「ーーあぁぁぁぁぁ!?!?戻ってるぅ!?」
透夜は、そう叫びながら明菜の部屋に駆け込むとー
明菜はにっこり微笑んだー
「戻れてよかったね!お兄ちゃん!」
屈託のない笑顔に、透夜は「あ、はいっ…!そうですね!」と
意味不明な敬語で咄嗟に答えたー。
元に戻れたのはよかったー
”でも、来週の日曜日何をするつもりなんだろうー?”
と、いう疑問が拭えないー。
”束縛する兄”にはなりたくないから、聞けもしないー。
妹と”和馬くん”がエッチするシーンが頭に浮かびー
透夜は、その場で再び失神したー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ダークな要素はナシの、
明るい(?)入れ替わりモノでした~!
最後も平和的(お兄ちゃんには穏やかじゃないかもデス笑)に
終わりましたネ~!
お読みくださりありがとうございました!!
コメント
確かに珍しくダークな要素はない話でしたね。
もし透夜が他の作品の憑依人みたいに自分勝手で最悪な人格だったとしたら、明菜は独占欲や嫉妬に駆られた透夜に恐ろしい目にあわされていたでしょうね。
ところで最近、やけに妹やら、姉とかの話が多いですね。最近はこの話以外のでも、割と平和的な妹とかの話が多かった気がするので、今度は思いっきりダークで後味の悪い妹系の話が見てみたいかな?
コメントありがとうございます~!!
今回のお話は、ほのぼの(?)系でした~!
ダークなお話もまた出てくるので、お楽しみに~デス!
ダークな妹系もそのうち出てくるかもしれません…!☆