<皮>俺が試着したいのはお前だよ③~命~(完)

突如、洋品店にやってきた男は
お店の店員たちを”試着”して、
己の欲望を満たしていたー。

そして、次に男が”試着”のターゲットとして
定めたのは…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「さぁ、試着させてもらうぜー」

女性店員たちを皮にして、
欲望の限りを尽くした男・満男は
笑みを浮かべながら大人しそうな女性客に
マチ針を刺しーーー

ーーー!?!?

女性が突然、俊敏な動きでしゃがむと、
満男の足を引っかけて、満男を転倒させたー

「ーーーなっ!?テメェ!」
すぐに起き上がって女性客の方を見つめる満男ー

しかしー

「ー動かないで!」
女性客が手にしているモノを見て、満男は思わず両手を上げたー。

「ーーおぉぅ…」
満男はうすら笑みを浮かべながらもー
緊張した様子で女性客のほうを見たー

女性客が持っているのは、銃だったー

「ーーあなたを逮捕しますー」
女性客はそう言うと、警察手帳と、小型のカメラを手にー
そう言い放ったー。

「ーーまさかまさか、刑事さんだったとはー」
満男は両手を上げながら笑みを浮かべるー。

大人しそうな女性客はーー
客ではなく、警察官だったー

ここ最近発生している”行方不明事件”の捜査を行っているうちに
”人が皮にされる”という目撃談にたどり着きー
そして、容疑者として満男が浮上していたのだー

だがー
満男が何かをしているという証拠がなくー
彼女は今日、満男が犯人であるという決定的な証拠を得ようと
この満男をマークしていたー
そして、満男から決定的な証拠と入手ルートを聞き出すため、
ギリギリまで”臆病な女性客”を演じていたのだったー。

結果的に、それは成功したー
”ただの女性客”だと女性刑事を侮った満男は、
人を皮にする方法から、マチ針の入手ルートまで、
色々なことを口にしてしまったー。

「ーーなるほどなるほど。
 だからマチ針の入手ルートとか、さりげなく聞いてたんだなー」
満男はそれだけ言うと、
女性客に扮していた女性刑事は、「動かないで!」と叫んだー

”原野 みどり”ー
警察手帳にはそう書かれていたー

「ーー女刑事を試着するってのも、悪くないな?」
満男が言うー。

「ーー動くな!」
みどりが大声で叫んだー。

「ーーへへへ へへへ 撃てるのか?俺を?」
満男は笑うー。

警察官は、そう簡単に発砲はしないー
満男はそう思っているー

「ーーー」
満男がニヤリと笑いながら動こうとするー

だがー

パァン!

みどりが、銃を床に向けて放ったー。

「わお…」
満男は少し小ばかにした様子でそう呟くー

みどりの方に歩いていけばー
”正当防衛で俺は撃たれるー…かもしれないな”

満男は両手をあげながら
この状況を打開する方法を考えるー

周囲をさりげなく見渡して
”まぁーーー…手はあるかもな”と、笑みを浮かべるー

さっき、女性店長の明子を試着した際に、
店の入り口をさりげなく封鎖してしまったためー
新たな客は入ってこないー

客が入ってくれば、騒ぎに乗じて逃亡もできたかもしれないがー
それも難しいー

「ーー刑事さんよーーー
 ”お洋服”にされちゃった人たちを助ける方法を
 知りたいだろ?

 俺を撃てば、その方法は分からないー」

満男が笑いながら言うー。
少しだけ女性刑事・みどりの手が緩んだーー

「ーーー分かるわ」
だが、みどりはすぐに険しい表情を浮かべるー。

「ーーほぅ どうやって?」
満男が言うと、みどりは「ーー入手ルートが分かっていれば、そこから
探ることはいくらでもー」と、呟いたー

その直後ー
満男は突然、みどりの方に向かってマチ針を放り投げたー

「ーー!」
みどりがとっさにそれを避けるー

”残念ー”
満男はそう思いながらも、
みどりが動じた隙に背後に”脱ぎ捨てられていた”
明子の皮を掴んだー

さっき脱いだばかりの女性店長の”皮”だー。

「ーーー!」

”マチ針がみどりに刺さればよしー”
”刺さらなくてもーーー”

満男は、そう思いながら邪悪な笑みを
みどりに向けたー

みどりがマチ針を避けた隙にー
満男は明子の皮を手にしてーー

それを、着たのだー

「ーークククククク」
明子になった満男が笑うー

「ーー撃てるのか?」
明子が表情を歪めるー

「ー撃てるのか?ほら、撃ってみろよ
 ”わたし”死んじゃいますよぉ~~~?????」

明子が綺麗な足を触りながら笑みを浮かべるー

「くっーーー…」
みどりが銃を握りしめながら、明子のほうを見つめるー

明子は「クク…バカなやつ」と、呟くと
そのままコツコツと音を立てながらみどりの方に近付いたー。

みどりの持っている銃が明子の胸のあたりに向けられるー。

「ーー撃つ?」
明子は笑うー

「ーーー」
みどりが明子を睨むー

”クククー
 そうだよな 撃てるわけがねぇよな”

明子は邪悪な笑みを浮かべながらー
みどりを思いっきりビンタしたー

「服ごときが調子に乗りやがって!」
何度も何度もみどりをビンタする明子ー

やがて、銃と共に吹き飛ばされたみどりは
床の上に転がって、明子のほうを睨みつけるー

「ーーへへへへ」
明子は笑いながら、みどりを踏みつけ始めたー

「美脚で女を踏みつけるとか、マジで興奮するなぁ…ククク」
明子の美脚で、みどりを踏みにじる行為に
明子を支配している満男は興奮しながら笑みを浮かべるー。

「ーーーおら!!おら!!!おら!!おらあああああ!」
明子の声で怒鳴り声を上げながらみどりを
何度も何度も踏みつけて、怒りの形相で叫ぶー。

「ーーくっ…ぅ… うぅぅ」
みどりが苦しそうに歯を食いしばるー

「ーーさぁ~て」
明子はそう言うと、マチ針を手に、みどりを見つめたー

「お前のような、気の強い女、嫌いじゃないぜ?
 俺のクローゼットのコレクションにしてやるー」

明子はそう言うと、
マチ針をみどりに刺そうとしたー

しかしー

パァン!!!

と、音が再び響き渡ったー

「ーーかっ…」
明子の口から血が流れるー

「ーーあ???????」
明子が視線を下ろすと、みどりは、床に落ちていた銃を拾っていたーー

「ーーー…あ????????????」
明子の表情が青ざめるー。

みどりは、明子を撃ったのだー。

「ーーあ…お、、、お、、、お前…な、、な、、なんてことを…!」
明子の顔がみるみる赤くなっていくー
怒り・屈辱・恐怖ー
色々な感情が入り乱れたー

「ーーお、、、お…お…くそがあああああああああああああ!」
明子が再び襲い掛かってくるー。
みどりはそんな明子を回避するとー
明子は床によたよたと倒れたー

”く、、く、、くそっ!まさか撃ちやがるなんてーーー”
倒れた明子は舌打ちをするー

”女を着れば撃たれない”
満男はそう思い込んでいたー

だが、みどりは明子ごと満男を撃ったー

「くそっ!」
明子は叫ぶと、慌てて自分の後頭部に手をかけてー
そのまま明子を脱いだー

他人を着たまま撃たれた、なんて初めての経験だー。

だがーー
”脱げば大丈夫”な、はずだーーー

と、満男はそんな風に思って
明子の皮を脱ぎ捨てたー

しかしー

明子の皮を貫通してー
満男の身体には、穴が開いていたー

「ーーそれ以上、動かないでー」
みどりが銃を握りしめながら言うー。

そして、みどりが応援を要請したー。
まもなく、代わりの警察官も駆け付けるだろうー

「ーーはぁ…はぁ…はぁ…くそが…!なんてことしてくれたんだ…!
 くそが…!」

満男は憎しみを露わにしながら、みどりのほうを見つめるー。

みどりは、明子の皮の状態を心配しながらも、
明子ごと、満男を撃ったのだー

そのまま”無抵抗”を貫ければー
”犠牲者がさらに増えてしまう”
そう、考えての苦渋の決断だったー。

「ーー(出血がひどい)ー」
満男は歯を食いしばりながらそう思ったー

このままー
このまま抵抗を続けていれば、最悪、自分は死ぬかもしれないー。

そんな風に思った満男は、ついに降参したー

「ーーーーー……死にたくないー…
 死にたくないー」

泣きながら土下座する満男ー。

”くそ…俺はこんなところでは死ねないー
 貴様を…貴様を絶対に皮にしてやるー”

降参のポーズをしながらー
満男は、自分の服の袖の裏に隠してある
別のマチ針を出すチャンスを伺っていたー

「死にたくないーー
 死にたくないよぉ」
満男は泣き叫ぶー

わざと、大げさにー。

撃たれた傷は深いーーー
が、この場から、このみどりとかいう刑事を皮にして着て、
逃走することができればーー

なんとか治療できる範囲内であるー…と、
満男は思うー。

満男にとっての”死”は、
二通りだー。

ひとつはー
”自分自身が死ぬこと”

もうひとつはー
”自分が逮捕されてしまうこと”

どちらになったとしても、満男にとっての死で
あることには変わりはないー。

身体が生きているか、身体が死んでいるかー、の
違いだけだー。

牢屋に放り込まれたみじめな自分など、
死んでいるも同然ーーーー

「ーーー現行犯で、逮捕しますー」
みどりが警戒しながら近づいてくるー。

「ー助けてくれええええ…死にたくねぇよおおおおお」
泣き叫ぶ満男ー

”お前が近づいてきたときー
 お前を、服にしてやるーーー”

応援の警官が到着したら、もう逃げ場はないー
そうなる前に、みどりを支配してーー
逃げる必要があるーー

”今だーーーー!!!”
満男は目を見開いたーーー

「ーーしゃあああああああああああああああ!!!!」
袖の中からマチ針を出して、みどりの首筋にそれを刺そうとするー

ものすごく素早い動きだったー

しかしー

「ーーーーー!!!!」
みどりがマチ針の存在に気づきー
反射的にーーーー

引き金を引いたー

「ーーーがっ!?」
血を吐く満男ー

バン!バン!バン!バン!!!

何発も銃声が響き渡るー
みどりも、”自分が刺されそうになって”
身の危険を感じ、後先考えずに何発も何発も銃を放ったー

「ーーぐぼぁっ!?」

背後のガラスケースに叩きつけられて、
血まみれの状態で倒れ込む満男ー

”負けたー”

俺はーーーーー

負けたーーーーーー

くそがーーーーーーー…。

満男は、そのまま、目を閉じたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーーーー」

「ーーーーーーーーーーーーーーー」

満男は、死の闇に飲まれたはずだったー

しかしーーー

「ーーーひっ!?!??!!?!?」
満男は、飛び起きたー。

周囲を見渡す満男ー。

「ーーー……???…?????」

”俺は、死んだはずではー?”

そんな風に思いながらー。

だがーーー
満男の視界に、すぐに綺麗な生足が目に入ったー

「ーー(こ…これはーーー)」
満男が戸惑っていると、病院の先生らしき人物が
近付いてきて「お目覚めですか?」と笑みを浮かべたー

この”身体”は、女性店長の明子だー。

明子の綺麗な生足ですぐに分かるー。

しかしー
これはいったいー?

疑問に思う満男に対し、
医師は説明したー

皮にされていた被害者の三人は、
あのあと、輸血などを行い、時間をかけて
”人間の姿”に戻ったのだというー。

満男が今まで皮にした人間は
満男自身、元に戻す方法を知らなかったため
ずっとそのままだったが、
病院側が何らかの”皮から人間に戻す方法”を
見つけたのだろうー

「ーーーあ、、ありがとうございますー」

程なくして、明子は退院したー

だがーー

「ーーーくくくくくくーーー」
明子は自分の足を触るー。

”まさか、俺がこの女になっちまうとはなー”

どういう仕組みかは分からないー

だが、”一度皮にして着た人間”は、
自分自身になる、ということなのだろうかー。

満男は今まで”一度も一度皮にした人間を元に戻した”ことはないー

だから知らなかったが、
”着られた人間”は、”着た人間”に汚染されて
そのものになってしまうー

と、いうことだろうかー。

明子は下品な笑みを浮かべるー

警察もー
病院もー
まさか、明子が”満男そのものになってしまった”などとは
思わないだろうー

「ククク…試着どころか、ご購入しちまったぜ」
笑みを浮かべた明子は、”電話”を掛けるー

”俺”がこうなっているということはー
あの、ギャル店員と最初に乗っ取った店員もーー

”俺”になっているはずだー。

声ー
脚ー
胸ー

三人で夢の花園を作り上げようじゃないかー。

電話をして、
真由梨と帆乃を呼び出し、三人で集まるーー

そしてー
三人は顔を見合わせるなり、同じ笑みを浮かべたー

「ーーよぉ、”俺”ー」
とー。

満男は、三人に増えたー。

地獄が、再び始まるー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

本日は体調不良で少し更新が遅れてしまい
すみませんでした~!
(普段はお昼前後、 今日は夕方になっちゃいました!)

今後も急にそういうことがあっても、
よほどのことがなければその日のうちに更新はできるので
安心して待っていてくださいネ~!

試着男のお話は今日が最終回でした!
”死んだ満男”と、同一個体なのかどうか…は
難しいところですが、とにかく大変なことになりそうですネ~

お読みくださりありがとうございました!!

皮<俺が試着したいのはお前だよ>
憑依空間NEO

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