<憑依>消えたストーカー②~居場所~(完)

忽然と姿を消したストーカー男。

あれだけ狂気的な言動を繰り返していた男が
突然消えた理由とは…?

そして、彼は恐るべき場所に潜んでいたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「気持ち悪い!!近寄らないで!」

茉莉の言葉を思い出すー。
ストーカー男・芳夫は茉莉から拒絶された。

”君は、僕にプロポーズしてくれたのにー”

プロポーズとは、芳夫の妄想だー。
学園祭を訪れた際に、茉莉が”客”であった芳夫に対して
ただ単に社交辞令的な笑みを浮かべただけのことー。

それだけで、芳夫は茉莉にプロポーズされたと勘違いし、
付き纏うようになったのだー。

だが、芳夫は拒絶された。
拒絶された芳夫は、狂気に染まったー

”操る”
”支配”
”支配”
”支配”

だから、芳夫は検索したー
怒りに身を任せてー。

そして、芳夫は見つけた。

他人に憑依する夢のような、方法をー。

そして、今、芳夫はここにいるー。

綺麗な右手で、勃起したかのように見えるソレを
何度も何度も触っているー

「ーーくく…ふふふふふ…ひひひひひひひ」
狂気的な笑みを浮かべながら、芳夫は
”他人の身体”で笑い声をあげたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーなんだって?」
友人の英輔が戸惑うー。

「昨日、茉莉が襲われたらしいんだ。あいつにー」
茉莉の彼氏・謙太が戸惑いながら言うとー、
英輔は表情を歪めたー

「でも昨日、お前、茉莉ちゃんの家の周り、
 パトロールしてたんだろ?」

英輔の言葉に、謙太は「あぁ…」と困惑の表情を浮かべるー

だが、さすがに深夜3時を回ったところで、帰ってしまったからー
それ以上のことは分からないー。

「ーーで、茉莉ちゃんは?」
英輔も昨日の夜、一度心配して、パトロール中の謙太に
会いに来ているー。
確かに、その時は、何の異変もなかったー。

「ーー…茉莉は…なんとか落ち着いたけど、
 今日は休むことになってー…
 それで今、ちょうど今日は大学でやることもなかったらしいから
 響子ちゃんが、茉莉の家に一緒にいるよ」

その言葉に、英輔は「そっか」と呟いたー。

だがーー
翌日も、それは起きたー

”♪~~~”
”♪~~~~~”

謙太が目を覚ますー

”あれ、昨日はいつの間にか寝落ちしちまったか”
そんな風に思いながらスマホを確認すると
茉莉から助けを求めるメッセージが届いていたー

「ーーま、、茉莉!?」
慌てて茉莉の家まで駆け付けた謙太はー
再び滅茶苦茶にされた茉莉の姿を見つけたー。

茉莉の部屋には、裸の茉莉の写真が置かれていたー。
乱れ切った茉莉の姿ー

”君は僕の妻だー
 夫である僕は、妻のどんな姿だって見ることができる”

そう書かれたメモが、部屋の中に残されているー。

「くそっ!ふざけやがって!」
謙太が怒りの形相で叫ぶー。

「ーーこわい…こわいよ…」
茉莉の言葉に、謙太は表情を歪めるー。

「ーーこの部屋で襲われたのか?」
謙太が言うと、茉莉はひどく怯えた様子で頷くー。

「ーー玄関の鍵は…?どこから入ってきたんだ?」
謙太が不思議そうに戸惑うと、
茉莉は言葉を口にしたー

”英輔と一緒に部屋に入ってきた”のだとー。

「ーーなんだって?」
英輔とは、謙太の友人の名前だー。

英輔と一緒に、ストーカー男の芳夫が入ってきたとは
いったいどういうことなのだろうかー。

茉莉はそのまま泣きじゃくってしまうー。

「ーー……どういうことなんだ?」
困惑する謙太は、表情を歪めながら
茉莉をなんとか落ち着かせて、大学へと向かうー。

大学で英輔を見つけ、すぐに話を聞くー

だが、英輔は「俺が茉莉ちゃんの家に?そんなわけないだろ?」と
首を振るー。

ますます、謎は深まるばかりだったー。

茉莉の友人である響子も、不安そうにしながらも、
”できる限り茉莉の側にいてあげたい”と、
時間の許す限り、茉莉の部屋にいてくれることになったー。

女子二人では、危険かもしれないがー
それでも、女子一人よりは圧倒的に、
芳夫に襲われるリスクは低いー。

謙太は、そう考えていたー

しかしー
茉莉は、その翌日もー
ストーカー男の芳夫に、乱暴されたー。

茉莉はパニックに陥っていて、話も要領を得ないー。
その日のメモ書きにはー
”どこへ逃げようとも、僕は妻を離さない”と
書かれていたー

「ーー何が妻だ!この野郎!」
怒りの形相でメモを破り捨てる謙太ー

”響子”の居ないタイミングを的確に狙っての襲撃ー

どうしてー?
謙太は、英輔や響子に対しても疑念を抱き始めるー。

誰かが、芳夫と関与しているのではないかー
とー。

「ーーーー」
謙太は思わず頭を押さえるー

最近はなんだか疲労が蓄積しているー
彼女の茉莉に付き纏うストーカー・芳夫のせいだろうー。

そんな様子を見て、茉莉は「大丈夫…?」と
謙太の身を案じるー

謙太は振り返って笑顔で「俺は大丈夫だから…」と告げると、
心配する茉莉を安心させて、”ある決意”をしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「えぇっ!?」
響子が驚くー

「マジでやるの!?」
英輔が叫ぶー。

茉莉を絶対に守るー
そう決意した謙太の提案はー

”4人で1週間共同生活”だったー

「ーいやいやいや無理があるだろ?
 そもそも茉莉ちゃんはOKしてるのかよ?」

英輔が言うと、
謙太は「あぁ」と頷いたー。

英輔は戸惑いながらも
「まぁ、俺はどうせ暇だし、なんか楽しそうな気もするからいいけど」と
答えるー

一方の響子も「わたしも、別に構わないケド…」と
三つ編みの髪を触りながらうなずくー。

「ありがとうー」
謙太は頭を下げると
”ストーカー野郎、必ずお前を捕まえてやる”と、
決意を口にするー

”ぐふふふふふふー”
ストーカー男・芳夫は、潜んでいたー

”消えた”のではないー
”さらに近づいた”
そう、言うべきだろうかー

「ーー僕は夫だー」
ペロリと唇を舐めながら、芳夫は、他人の身体で不気味な笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・

4人の共同生活が始まったー。

茉莉は、親友の響子だけではなく
彼氏の謙太、友人の英輔がいることに安心感を感じたのか、
穏やかな笑みを浮かべていたー。

4人で晩御飯を食べ始めるー。
謙太も、周囲を時々警戒しながら、雑談を続けるー。

英輔と響子は、とても楽しそうだー。
茉莉も同じー。

「ーそれにしても、あのクソ野郎は来ないみたいだな~!」
英輔が笑いながら言うー。

「ーまだ分からないでしょ?いつも深夜に来てるみたいだし」
茉莉の友人・響子が言うー。

謙太は「俺たちがいれば、大丈夫ー」と、茉莉を安心させるー。

茉莉は「うん…」と頷くー。

”英輔と一緒にストーカー男の芳夫が入ってきた”
とは、いったいどういうことだろうかー。

そんな風に思っているとー
茉莉が突然立ち上がったー

「ーーん?どうした?茉莉?」
謙太が声を掛けるー

しかし、茉莉は笑みを浮かべたままー
机の引き出しのほうを漁り始めるー

そしてー
茉莉は奇妙なものを机から取り出したー

「ーー茉莉?」
不思議そうにする謙太ー

茉莉が机の上に載せたのは、
大人のおもちゃー。

「ーーこれをつけてこの綺麗な手で握ると、
 興奮するんだよ…」
茉莉が低い声で呟くー

茉莉の机の上に置かれているのはー

「そ、、それ、ペニバーー」
大人のおもちゃの名前を口にしようとした英輔の口をふさぐ謙太ー。

響子もいるからー
と、いうことだろうー

「ーーくくくくくくく…全員集まっちゃったなら、教えてやるよ」
茉莉はそう呟くとー
ニヤリと笑ったー

「ーー僕は、今、この女の中にいるー」
と、自分を指さしながらー

「な…!?」
驚く謙太ー

「ーーえ」
英輔が唖然とするー

「ーー!?!?」
響子はただただ、驚いているー

「ーー茉莉ちゃんは、僕のものだー」

茉莉はそう言いながら笑うと、
自分の胸を揉んで見せたー。

「ーーお、、お前ふざけるなよ!」
机を叩いて立ち上がる謙太ー。

にやりと笑う茉莉ー。
いつもの茉莉が浮かべる表情ではないー
だらしのない笑みに、
胸を触るいやらしい手つきー

「ーーま、、茉莉から出ていけ!」
叫ぶ謙太ー

英輔と響子は驚いて身動きが取れない…
そんな状態で二人の様子を見つめているー

「ーー今すぐ茉莉から出ていけ!」
茉莉の方に迫る謙太ー

しかし、茉莉はニヤニヤしながら呟くー

「茉莉ちゃんは、僕の妻だぁ…へへへへ…
 プロポーズされた僕は、愛を以って、そのプロポーズに
 答えたんだ」

茉莉の身体でニヤニヤしながら呟く芳夫ー

「ふざけるな!茉莉はお前にプロポーズなんか
 していないぞ!
 この妄想野郎!」

謙太が叫ぶと、英輔も立ち上がったー

「そうだ!この妄想野郎!その子から出ていけ!」

そして、茉莉の友人である響子も
「ー茉莉ちゃんを返して!」と叫ぶー

3人に囲まれた茉莉ー

だがー
茉莉は凶悪な笑みを浮かべるー

「ーーお前らさぁ…
 きれいごと言ってるけどー…
 自分たちも、僕の”妻”を傷つけたことを自覚しなよー」

結婚もプロポーズも、そもそも付き合ってすらいないのに
茉莉のことを勝手に妻と呼ぶ芳夫ー

「ーどういう意味だ?」
謙太が言うと、茉莉は笑みを浮かべたー。

「僕は、お前たち全員の身体に既に
 憑依した経験があるんだぜ?」

とー。

「ーー!?!?」
謙太は表情を歪めるー

「ーそして、それぞれの身体で、茉莉ちゃんを襲った」

その言葉に、謙太は今までの出来事を思い出すー

茉莉が”英輔と一緒に部屋に入ってきた”と
ストーカー男のことを言っていた件ー

親友の響子が、茉莉のことを心配して、茉莉の部屋を
訪れていた際も茉莉が襲われたことー

そして、謙太が茉莉の家の周囲を見回っていたのにも
関わらず、茉莉が襲われたことー

全ては、芳夫が茉莉の身体を乗っ取ったからこそー、
”外部から誰も部外者は侵入していないはず”なのに、
茉莉が襲われたー
そう思っていたー。

しかしー
違ったー

実際はー

謙太が茉莉の家の周辺を見回っていた際に、
芳夫は謙太に憑依して、謙太の身体で茉莉を襲ったー

響子が茉莉の部屋を訪れていた際には
芳夫は響子に憑依して、響子の身体で茉莉を襲ったー

また別の日には、英輔に憑依して、
英輔の身体で茉莉を襲ったー

そして、茉莉に憑依して、茉莉自身の身体で
茉莉を味わいつくしたー

「ーお前ら全員、僕に憑依されて
 茉莉ちゃんを順番に襲ってるんだよー
 ククク」

その言葉に、
謙太も、英輔も、響子も激しく動揺したー

「記憶があいまいだろ?
 僕が身体から抜け出す前に、適当に記憶を
 チャチャっといじってるからなぁ」

茉莉がニヤニヤしながら言うー

そしてー
芳夫が響子に憑依して、茉莉を襲った時に
響子の身体で自撮りした写真を響子に見せつけるー

「そんな…わたしが…茉莉ちゃんを…」
茉莉の親友・響子が絶望するー

「ほらほらぁ」
茉莉が笑いながら、
英輔に憑依した際に、茉莉を襲った写真ー
謙太に憑依した際に、茉莉を襲った写真ー

それらを、それぞれ投げつけたー。

謙太と英輔は、それぞれ怒りの形相で、茉莉のほうを見つめるー

「ーー素晴らしいだろ!?これが憑依の力だ!
 僕は、茉莉ちゃんとして、そして第3者としても
 茉莉ちゃんを味わい尽くせるんだ…!

 妻をしゃぶりつくせるんだ!
 ひゃはははははは!」

狂ったように笑う茉莉ー。

「テメェ!」
謙太は、憑依された茉莉を何とかしようと思ったー

しかしー

「ーーへへへへ ここからは4人で楽しむか…!
 4人同時プレイだ!」

茉莉がそう叫ぶとー
茉莉の身体から、分裂した芳夫の魂が飛び出しー
茉莉は笑ったー

「ー僕はさぁ、マルチプレイもできるんだ!
 4人に同時に憑依することも、なぁ!」

不気味に笑う茉莉ー

唖然とする英輔もー
怒っている謙太もー
逃げようとした響子もー
全員芳夫に憑依されてしまうー

そしてー
4人は同じ笑みを浮かべると、茉莉の身体を4人で
狂ったように、弄び始めたー…

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

憑依されていたのは、一人ではなく…4人でした~!
その時その時、都合の良い身体に憑依して
お楽しみしていたようデス~!

お読みくださりありがとうございました!!

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