<憑依>黒き村③~真相~(完)

「その村に入ったものは、2度と帰ってこない」

そんな噂のある謎の村”黒月村”

その村で姉・紅葉と再会を果たした妹・友里恵と、
紅葉の彼氏である祥吾の運命は…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夕方ー

巫女服を身に包んだ紅葉が、
”黒月村”の教え村人たちに説いているー。

「この村は、昔、神様が作り上げた村ですー
 その村の繁栄を維持することこそが、
 神の村に住む、わたしたちの使命ー」

紅葉が力強く演説をし、
村人たちが拍手をしているー。

「ーーー…」
祥吾は、そんな紅葉の様子を見ながら
やはり”まるで別人”という印象をぬぐえなかったー。

「---……お姉ちゃん…どうしちゃったんだろう…」
隣にいた紅葉の妹・友里恵が不安そうに呟くー。

失踪前とはまるで別人のような姉・紅葉の姿に
友里恵もやはり違和感を感じている様子だったー。

祥吾は、この村の雰囲気にも戸惑っていたー

一見歓迎されているようでー
歓迎されていない気がするー。
そんな気がするからだー。

いやー
村長は親切だし、他の村人たちも親切ではあるー。

しかしー
何か、何かイヤな予感がするのだー。

「ーーー……」
祥吾は、昨夜、この宿に姉・紅葉が忍び込んで
友里恵に何かしようとしていたことを、友里恵には
伝えていなかったー

友里恵が不安に思わないように、との配慮からだー。

しかもー、
紅葉はこの村の男・佐多次郎と関係を持ち、妊娠しているのだとも言うー。
さらに、不自然なことに
”こういう村にしては”赤ちゃんの姿をよく見かけるし、
実際に夜も泣き声が聞こえてくるのだー

祥吾は表情を曇らせるー

「ーーさぁ、祈りを捧げましょう」
紅葉がそう言って、神が祭られているという祭壇のようなものに
祈りを捧げるー

祈りを終えると、紅葉はそのまま拍手に包まれながら、
退出していくー

「ーお姉ちゃん!」
友里恵がすかさず声を掛けるー。

「ーーーー」
立ち止まる紅葉。

「ーーお姉ちゃん…!少しだけ、少しだけでもいいから
 お話したいの!」

友里恵の言葉に、祥吾も駆け寄り「俺からも頼むよ」と言うと、
紅葉はクスッと笑うと「ーーーあなただけなら」と、
友里恵のほうを指差したー。

昨日の夜ー
紅葉は、友里恵と祥吾が休んでいた宿に忍び込み、
”何か”をしようとしていたー。
その光景を覚えている祥吾は、友里恵を一人にするのは危険だと判断し、
「いや、俺も話したい事があるー…俺も一緒にー」と口を挟むー

「ーーチッ」
紅葉が舌打ちをしたー

「も、紅葉…」
祥吾は戸惑いながら紅葉のほうを見ると、
紅葉が見下すような目で祥吾のほうを見たー

「ー姉妹で水入らずの話がしたいの。
 それとも何?わたしたちの邪魔をするの?」
紅葉の言葉に、友里恵のほうを見る祥吾ー

「ーーわたしは、大丈夫ですからー」
友里恵が、不安そうに祥吾にそう言うと、
祥吾は戸惑いながらも、紅葉のほうを見て言い放つー。

「ーー友里恵ちゃんに、変なことするんじゃないぞ」
とー。

「ーーするわけないでしょ。わたしは”お姉ちゃん”なんだから」
紅葉は愛想の悪い態度でそれだけ言うと、友里恵のほうを見て
「わたしの住んでいる家で話しましょう」と、そのまま立ち去っていくー

「ーーすぐ、戻りますからー…
 心配しないでくださいー」
友里恵は、祥吾にそう言うと、祥吾は「何かあったら、すぐに助けに行くから」と
力強く、友里恵に対して言い放ったー

立ち去っていく紅葉と友里恵ー。

「ーーーーー…」

紅葉の妹・友里恵もこの村には警戒心は抱いているー
とは、思うー。

しかし、昨日の夜、姉の紅葉が、寝ている友里恵の部屋に
忍び込もうとしていたことを、友里恵は知らないー。
深夜に、寝静まったのを確認してから
忍び込んでくるなんて、普通ではないー

絶対に何かー
何か、しようとしていたはずだー。

祥吾は、紅葉の演説が行われていた建物から
外に出てー、
友里恵たちが向かった建物の方に向かおうとするとー
背後から声を掛けられたー。

「ーーー山崎さん!」
呼ばれた祥吾が振り返ると、
そこには村長の娘・美音の姿があったー。

「ーーおやすみなさいー」
クスッと笑う美音ー

その直後、背後からスタンガンのようなものを別の男に
当てられてー
祥吾は意識を失ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

紅葉の家に入ると
紅葉は、そのまま家の奥に向かって歩き始めたー

よくわからない小道具や、モノが散乱していて、
元々の紅葉の要素は何もない家だったー。

「ーー…ねぇ、お姉ちゃんー」
友里恵が紅葉を呼び掛けると、紅葉はそのまま
床に敷いてあったシートのようなものをどかして、
そのまま地下への扉を開くー。

「ーーー…お姉ちゃん?」
不安そうにする友里恵ー。

紅葉はそんな友里恵のほうを振り返ると、
「友里恵に見せたいものがあるの」と、微笑むー。

優しいお姉ちゃんの笑顔ー
友里恵には、紅葉の笑顔が
”昔の紅葉と同じ笑顔”に見えてしまったー

「ーなにを見せてくれるの?」
不安そうに呟く友里恵ー

「来れば、分かるわ」
紅葉はそれだけ言うと、地下室に入っていくー。

友里恵は警戒しながら地下室に入ると、薄暗い通路を超えてー
やがて再び階段で地上に出たー。

ここはー
”鍵で厳重に閉ざされていた謎の建物の内部”
出入りは、カモフラージュのため、表ではなく
紅葉の家や、村のその他の家の地下通路を通って行われているー。

村長が”災厄”が封印されていると言っていた部屋ー。
祥吾を近づけないように、村長はそう言っていたものの、
実際にそこにあったのはーー

たくさんの蝋燭が並べられていてー
真ん中には、不気味な光が集まる、謎の祭壇のようなものが
設置されていたー。

「ーーー何ここ…?」
友里恵は不安そうにそう呟くと、
紅葉が両手を広げながら説明し始めるー

「ーこの村の、奇跡よー
紅葉の声は高くなり、興奮している様子が伝わってくるー

「ーーこの村を未来永劫繁栄させるために、
 神様が与えてくれた、神秘の力ー」

そんな紅葉の姿に、友里恵は我慢できなくなって叫んだー

「お姉ちゃん!なんかおかしいよ!」
とー。

姉と再会したのに、まるで姉と再会した気がしないー

「ーどうして!?どうして、わたしが来たのに、
 何も喜んでくれないの?

 どうして、祥吾さんが来てるのに、
 何も喜ばないの?

 お母さんとかお父さんのこと、心配じゃないの!?
 会社の人たちのこと心配じゃないの!?

 お姉ちゃんの友達だって、みんなお姉ちゃんのこと心配してるのに
 お姉ちゃん、この村でいったい何をしてるの!?!?」

泣きそうになりながら叫ぶ友里恵ー。

紅葉は、そんな友里恵を見ながら微笑んだー

「だって、”今の”わたしには、そんなことどうでもいいんだもんー」

とー。

「ーーお、、お姉ちゃん…」
友里恵は悲しそうに涙をこぼすー

「ーあなたのことも、お母さんとやお父さんのことも
 彼氏のことも、今のわたしにはどうでもいいことー
 
 わたしは、この村を繁栄させるために、子供をいっぱいいっぱい
 生むの…!
 ふふふふ…それが、わたしの使命なの!」

紅葉の言葉に、友里恵は「お母さん、お姉ちゃんと連絡取れなくなってから
毎日落ち込んでて、今、入院してるんだよ!?」と叫ぶー。

「ーーそう それは残念」
紅葉は他人事のようにそう呟いたー

「ーー”そんなことより”、この村はねー」
紅葉はそう呟きながら、再び村の話をしようとするー

”お母さんの入院が”そんなことー”ーー??”
友里恵は、あまりの言われようにカッとなってー
気づいたときには叫んでいたー

「お姉ちゃんのバカ!」
ーと。

そう叫びながら紅葉の頬に、強烈なビンタをお見舞いしたー

「ーーッ…ってぇな…」
紅葉が頬を押さえながら舌打ちをするー

「ー”お姉ちゃん”のフリしてやってれば
 調子に乗りやがってー」

ー!?!?!?

紅葉の豹変に驚いてしまう友里恵ー。

「ーーーまぁいいさ。
 お前も俺…いいや”わたし”と同じようにー
 すぐに他のことなんて、どうでもよくなっちゃうからー」

紅葉の言葉に、友里恵は震えながら「お、、お姉ちゃん…?」と呟くー

紅葉は凶悪な笑みを浮かべながら答えたー

「ーお前のお姉ちゃんの”身体”は、俺のものだー」
とー。

「ー全ては神様から授かったこの村を守り、維持していくためー」
紅葉はそう呟くと、祭壇の光から、白い光の玉を取り出したー。
まるで、魂のような玉ー

「ーお前も”お姉ちゃん”と同じようにー
 身体を村に捧げるんだー」

笑う紅葉ー

”お姉ちゃんは、正気じゃないー…”
友里恵は、そう悟ったー

村に洗脳されているー?
それともー?

「ーーお姉ちゃん!目を覚まして!」
友里恵が必死に叫ぶと同時に、紅葉は、友里恵の身体に
強引に光の塊をねじ込んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーくっ…くそっ!」

一方の祥吾は、スタンガンで気絶していた間に
椅子に縛られてしまっていたー

そこに、村長の娘を名乗っていた美音がやってくるー。

「ーー黒月村は、人口減に苦しまされていたー。
 老人ばかりの村になりー
 若い者は村を出てー
 村は限界集落となったー」

美音がそう語りながら、祥吾の周りを歩き回るー。

「国からの助けも得られずー、
 ネットで移住を呼び掛けてみても
 ”努力不足”
 ”ジジイとババアの村”
 ”淘汰を受け入れろ”とバッシングされるばかりー」

美音はそこまで言うと笑みを浮かべたー

「だから、我々は”努力”したー」
とー。

少女らしからぬ美音の雰囲気に、祥吾は「どういうことだ!」と叫ぶー。

「ーー村に伝わる禁忌の儀式で、年老いた村人の身体から
 魂を取り出しー、
 それを、村にやってきた若い人間に”憑依”させたー。

 若い人間の身体を、わたしたちが乗っ取りー、 
 支配した若い身体を使い、赤ん坊を出産していくー」

美音の言葉に、祥吾は「憑依…だと…?」と呟くー

そう言えば、黒月村には不自然なほどに赤ん坊が多かったー。

美音は言うー。

村の人口を維持するためにー
村に伝わる禁忌の儀式を用いて、時々村にやってくる外界の人間に
村人の魂を憑依させて、支配ー、
その若い身体を使って、出産させることで、人口を増やしているのだとー。
そして、憑依を繰り返すことで、元々黒月村に残っていた老人たちも
永久に生きることができるのだとー。

「ーーまさか…!紅葉も…!」
祥吾が叫ぶと、美音は笑ったー。

「そう!お前の彼女の紅葉も、いや、この女も!
 外からこの村にやってきて、私たち村人に身も心も支配された人間だよ!
 ははははははっ!

 ーーいやー、
 村人の半分は”外から来た身体”だなー」

美音の言葉に、祥吾は叫んだー

「くそぉおおおお!!!!紅葉を返せ!」
とー。

紅葉の態度が別人のようだった理由がようやくわかったー

”中身が別人ー”
紅葉は、村人に憑依されて、乗っ取られているのだー。
中身が違えば、いくら身体が紅葉のものであっても、
違和感を感じるのは当然のことだー。

「ーーこの娘も、村長の娘などではないぞ」
美音が笑うー。

「ーーふざけるな!!くそっ!ふざけるな!」
祥吾が怒り狂った形相で叫んでいると、
建物内に巫女服の紅葉も入ってきたー

「ーーふふふふふ…今更気づいてももう遅いー
 この女が、婚約者であるお前や、妹、仕事まで
 何もかも捨てるような女だと思っていたのか?」

紅葉がニヤリと笑いながら言うー

「そ、、それは…」
祥吾が戸惑うー。

「ー可哀そうな女だなぁ?
 婚約者から、そんな風に思われてたなんて?」
紅葉の嫌味っぽい言葉に、祥吾は「目を覚ましてくれ!」と叫ぶー

しかし、その言葉は紅葉には届かないー

「ー無駄だ。
 この身体も、心も、完全に乗っ取ったのだからー」
紅葉が自分の身体を見せつけるように両手を広げて笑うー。

「ーー世間は我々のような村を助けようとしてくれないー
 それどころか、”努力不足”とあざ笑うー。
 我々のような村は淘汰されて当然だとー。

 だから努力したんだよ。
 何が悪い?

 若者の身体を乗っ取って、”努力”して、
 繁殖してるんだよ。

 何が悪い?」

紅葉の言葉に、祥吾は、耐え切れずに目を背けるー。

大好きな婚約者が、
乗っ取られて好き放題されている姿に、祥吾は耐えられなかったー。

「ーーいいものを見せてやろう」
紅葉の横にいた村長の娘を名乗る美音が、
何かを取り出して、近くのパソコンで動画を再生し始めたー。

そこにはー
取材で村を訪れた紅葉が泣きながら襲われる姿が映っていたー。

紅葉は、自分が乗っ取られたときの映像を
笑みを浮かべながら見つめているー

”助けて… 助けて…!”
謎の白い人魂のようなものを憑依させられる直前、紅葉は
泣きながら呟いたー

”祥吾…助けて…!”
とー。

その映像を見せられた祥吾は怒り狂って雄たけびを上げたー。

「ーークククククー
 まぁ、心配するなー
 この女と、お前もヤラせてやるからさ」

紅葉はそう言うと笑うー。

「今、妊娠してる子を出産したら
 今度はお前との子を産んでやるー」

紅葉の言葉に、さらに怒りを爆発させる祥吾ー。

その時だったー

「ーーふふふふふふ」
背後から声がするー

建物に3人目の女性が入ってくるー

その女性はー
一緒に村に来た紅葉の妹・友里恵だったー

「ーーわし、、いいや、わたしもここに住むことにしましたぁ♡」
微笑む友里恵ー

「ーま、まさか、お前ら、友里恵ちゃんも!?」
祥吾が叫ぶー

笑う紅葉と美音ー
そして、友里恵も笑いながら言うー

「ー大丈夫ですよぉ~?
 祥吾さんも、すぐ、この村が大好きになりますからね~♡」
友里恵はそう言うと、人魂のようなものを手に、祥吾の方に
ゆっくりと近づいてきたー。

「ーーやめろ…友里恵ちゃん…!やめろ…やめろぉぉぉ!」

悲鳴を上げる祥吾ー
しかし、その願いが、乗っ取られた友里恵に届くことはなかったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

”村”を舞台としたお話でした~!
以前書いた「禁忌の村」とは、
また違う感じにしてみました★!

お読みくださりありがとうございました~~!

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憑依<黒き村>
憑依空間NEO

コメント

  1. 匿名 より:

    村ぐるみで訪れた若者達を乗っ取って子孫繁栄なんて、恐ろしい村ですね(笑)。
    生まれた子供の身体もなんらかの欲望とかで乗っ取ってる可能性もありそうです。
    成長したらやがて村を出ていきそうな子供も普通にいそうですし。

    紅葉に憑依してるのは男(じじい)みたいですが、ババアに憑依されてる被害者もいるんですかね?
    本編前の紅葉が憑依される過程の話も面白そうなのでじっくり見てみたかった気がします。

    それにしても、この話、昔の別の時代か、あるいはファンタジー世界だったらまた違う展開の話になりそうですよね。

    • 無名 より:

      ありがとうございます~!☆

      若いイケメンにはおばあさんが憑依している設定デス~!
      (乗っ取られた紅葉と子供を作った男性など…)

      確かにファンタジー世界でも別のお話が作れそうですし、
      紅葉が村を訪れた時のお話も楽しそうですネ…!

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