不気味な噂のある”黒月村”
その村に入った人間は、二度と戻ってこないー。
そんな噂のある村ー。
その村で、姉と再会することに成功した妹の運命は…?
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「申し訳ございません」
黒月村の村長が、申し訳なさそうに頭を下げるー。
「ーーいえ、村長さんは何も悪くありませんので」
友里恵が、少しだけ寂しそうにそう言いながらー
姉・紅葉がさっきまでいた建物を見つめたー
妹である友里恵ととても仲が良く、
優しい性格だった姉の紅葉ー
記者として働いていた紅葉は
半年前に、雑誌の取材のためにこの”黒月村”を訪れて、
その後、失踪したー。
彼氏との関係も、妹との関係も、仕事も何もかも捨てて
この黒月村に住み着いてしまったのだー。
元々”この村に入った人間は二度と帰ってこない”などという噂のあった
黒月村に紅葉を取材に行かせた後ろめたさから、編集社が
しばらく紅葉をこの村に行かせたことを警察にも、妹である友里恵にも黙っていたため、
紅葉の所在地を突き止めるのに時間がかかってしまったが、
姉・紅葉の失踪から半年、ようやくこうして再会することができたのだったー
けれどー
「ーーわたしは生まれ変わったのー。
もう、あなたたちの知る紅葉じゃないー。
あたたの彼氏でも、あなたのお姉ちゃんでもないー。
急に村に来られて、迷惑なのよ」
冷たい口調で、この村の巫女となった紅葉に言われてしまったー。
”もう、あなたのお姉ちゃんではないー”
そんな言葉に、酷く傷ついた友里恵ー。
紅葉の彼氏である祥吾も、同様だったー。
「ー宿をご用意してあります。
今晩はゆっくりされていくと良いでしょうー」
村長の言葉に、祥吾と紅葉は「ありがとうございます」と頭を下げたー。
村長が宿の方に向かいながら呟くー
「お姉さんは今、妊娠されていますー。
きっと、色々と精神的にも不安があって、
ストレスもおありなのでしょうー。
あなたへの言葉も、きっと本心ではありませんー」
村長の言葉に、友里恵は「お、お姉ちゃん、に、に、妊娠してるんですか?!」と
戸惑いの声を上げたー
「ーえぇ、村の佐多次郎(さたじろう)という男と付き合っておりましてな」
と、村長は言いながら歩くー
「ーー妊娠…」
彼氏の祥吾は、その言葉に、表情を曇らせたー。
半年前ー、紅葉がこの村に来るまで、
祥吾が紅葉と付き合っていて、結婚の約束もしていたー。
紅葉と喧嘩したわけでもなければ、
紅葉から別れを告げられたわけでもないのにー
突然”村の男と付き合っていて妊娠している”などという
現実は、祥吾にとって、かなりきつい現実だったー
「ーーー…あ、、…」
友里恵は、そんな祥吾の反応を見て戸惑うー
「ーー…いや、友里恵ちゃんは何も悪くないから、気にしないで」
祥吾はそれだけ言うのがやっとだったー。
”宿”として提供された木造の建物に案内されると、
そこには村長の娘である美音がいたー。
「ーあ、どうぞ~!お部屋も2つ用意しておいたので、
安心してくださいね!」
美音が元気に宿として用意した建物の案内をするー
トイレや、お風呂まで用意されていてー
決してホテルのように綺麗ーとまでは言えないが
十分に使うことのできる環境が整っていたー。
「ーーわたしはお父さんと隣の建物に住んでるので、
何かあったらいつでも聞いてくださいね!
それではー
おやすみなさい!」
美音は一通り質問を終えると、
そのまま立ち去って行ったー。
祥吾と友里恵が二人だけになるー。
祥吾は険しい表情を浮かべたままー
事実上の婚約者であった紅葉…
友里恵の姉に”裏切られた”祥吾は、言葉を発することなく
宿の中の木の机の前で、ずっと考え込んでいたー
「ーーあの…本当に、ごめんなさい…
お姉ちゃんが…」
”姉の裏切り”に申し訳なさを感じる祥吾ー
「ーーー……俺に魅力がなかったってことなのかもなー…
でも、友里恵ちゃんは何も悪くないから、
気にしなくて大丈夫だよ」
祥吾は精一杯の笑みを浮かべるー。
「ーーー…」
友里恵は申し訳なさそうに祥吾を見つめるー。
姉・紅葉がこの村にいる、と聞いてから
友里恵は色々とこの村について調べていたー
確かに、過去にもこの村に入った人間が
そのままこの村に住み着いた事例が記録に残っていたー
姉・紅葉がこの村にやってくる前に、
紅葉自身が取材していた記録にも
そう書かれていて、
紅葉が訪れる数か月前にも、2人組のOLが
この村に入って、そのままこの村に住み着いているー。
主に”女性”が、この村に入ると、
そのまま住み着くことが多いようだー。
”黒月村”に観光目的や、何らかの目的で訪れた人間が
そのまま住み着いてしまうことが多いことからー
”黒月村に入ると、2度と戻ってこない”という
都市伝説的な噂も広まったのだと思うー
「そういえばさ…」
祥吾が口を開くー
「あの子、”村長の娘さん”って言ってたよなー?」
祥吾の言葉に、
友里恵は「うん、そう言ってたね」と、返事をするー
「ーー娘の美音(みおん)ですー」
確かに村長は、あの子のことをそう紹介したー。
”孫娘”ではなく”娘”であるとー
「ーーーーおかしくないか?」
祥吾が言う。
友里恵は「え?」と首をかしげるー
祥吾の指摘に、友里恵は、村長と娘の美音、
最初に会った時のことをそれぞれ思い出すー。
「ーーようこそいらっしゃいましたー」
笑みを浮かべた老人男性が近づいてくるー
「ーー娘の美音(みおん)ですー」
村長がそう言うと「美音です」と、可愛らしい少女が頭を下げるー。
かなり高齢に見える村長にー
可愛らしい少女の美音ー
”娘”にしては明らかに年齢が離れすぎているー。
「ーーでも、村長さんの奥さんが若いだけかもしませんし」
「ーまぁ、それもそうなんだけどさ…」
祥吾は自分の中に芽生えた違和感を拭えずにいたー。
なんとなく、強い違和感を感じたのだー。
「ーーー……とにかく、今日は移動で疲れただろうし、そろそろ寝るか」
祥吾が言うと、友里恵は「そうですね」と、笑みを浮かべて
そのまま用意された部屋の一室へと向かったー
建物内の電気を消しー
寝静まる二人ー。
「ーーー……」
だがー
「ーーーーー」
夜に二人が寝ている建物の扉が開いたー
「ーーーー…」
入ってきたのは巫女服姿の姉・紅葉ー
紅葉は冷たい表情のまま、友里恵が眠っている部屋に向かおうと、
歩き出すー。
しかしー
「紅葉」
背後から声がして、紅葉が驚いて振り返ったー
「ーーお前…」
紅葉の言葉に、祥吾は一瞬表情を歪めるー
”村”に違和感を覚えていた祥吾は
消灯して寝ているふりをしながら、ずっと起きていたのだー。
「ー友里恵ちゃんが起きちゃうと悪いから、外で話すか」
祥吾がそう言うと、紅葉は険しい表情を浮かべたまま、頷いたー。
友里恵と祥吾に”宿”として提供された建物の外に移動する二人ー
外に出ると、赤ん坊の泣き声が聞こえたー。
近くの建物の中から聞こえるー
赤ん坊がいるのだろうー。
そんな風に思いながら、祥吾が紅葉のほうを見つめて、
言い放ったー
「ーーこんな夜中に、友里恵が寝てる部屋に行って
何をしようとしていた?」
祥吾の言葉に、
紅葉は「別に」と目を逸らすー
「ー用がないのに忍び込むなんて、おかしいだろ!?」
そう言うと、紅葉は何かを巫女服の中に隠すようなそぶりを
見せながら「あなたには関係ない」と、声を少しだけ荒げたー。
「ーー…関係あるさ…。何をしようとしてたんだ?」
もう一度聞き返す祥吾ー。
「ーー……しつこい!何もないって言ってんだろ!」
紅葉が突然声を荒げるー。
「ーーーっ」
祥吾は思わず表情を歪めるー。
紅葉はこんな乱暴な口調で喋るような人間じゃないはずー。
違和感がさらに膨れ上がるー。
祥吾が違和感を感じたことに気づいたのか、紅葉は
何度か咳き込むと、「ー妹の寝顔を久しぶりに見ようと思っただけ」と、
冷静さを取り戻して呟いたー。
「本当に?」
祥吾が言うと、紅葉は「本当よ」と、不愉快そうに即答したー。
そしてそのまま紅葉は立ち去って行こうとするー
「ーーなぁ」
祥吾がそんな紅葉に声を掛けるー。
「ーー…子供、できたんだってな…おめでとう…」
祥吾は悲しそうにそう呟くー。
本当はー
”どうして”と問い詰めたかったー。
結婚の約束までしていたのに、
何も告げられることなく、
他の男と子供を作った紅葉ー。
正直、悲しかったー
だがー
それでも、紅葉のことを責めることができなかったー
”おめでとう”ということしかできなかったー
「ーーーーーー」
紅葉は何も答えることなく、そのまま村の闇夜に消えていったー
「ーーー…」
祥吾は戸惑うー
”あれは本当に紅葉なのか?”
そんな風に思ってしまうー。
「ーー」
友里恵の眠っている建物のほうを見つめる祥吾ー。
村は都会のように建物が密集しているわけではないー
ある程度この建物から離れても、人が近づけば遠目からでもわかるー。
そんな風に思いながら、祥吾は夜の村を歩き始めるー。
黒月村は小さく、
元々人口も少ないー
だから、夜は不気味なほどに静まり返るー。
紅葉の心境の変化には、どんな理由があるのだろうかー。
髪型も、服装も、雰囲気も違うとは言えー、
確かに、アレは紅葉だとは思うー。
しかしー
紅葉であるとは信じられないー。
まるで、言動が”別人”に思えるからだー。
「ーーくそっ…紅葉…
友里恵ちゃんも、心配してるんだぞ…」
小声でそう呟くと、
祥吾はあることに気づいたー。
赤ん坊の泣き声が、複数の家から聞こえるのだー。
こういった村は基本的に
高齢化が進み、最年少の人間も年配の人間であることが多いー
だが、この黒月村は違うー。
さっき、紅葉と話しているときも聞こえたように
赤ん坊の泣き声がするー。
しかも今は、複数の方角から、赤ん坊の声ー。
そしてー
祥吾の恋人であった紅葉も妊娠しているのだというー。
「ーいったい、なんなんだー」
そんな風に思いながら、祥吾が村の中を歩いているとー、
ふと、村の女が、男と共に抱き合ってキスをしているのが見えたー。
「ーー…」
振り返る祥吾ー。
さっき、紅葉は寝静まった友里恵に何をしようとしていたのだろうかー。
そんな不安を感じながら、祥吾は
”そろそろ宿に戻るか”と、友里恵が寝ている宿に
戻るのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝ー。
「ーー大丈夫ですか?」
友里恵が心配そうに祥吾のほうを見つめるー。
祥吾は、昨日、一睡もしていないー。
そのせいか、見るからに”寝不足”なのが分かるような
そんな顔になってしまっていたー。
「ー大丈夫だよ」
祥吾は優しく微笑むと、
村の村長がやってきたー
「おはようございますー。
ゆっくりと眠れましたかな?」
村長との雑談が始まるー
友里恵も、姉・紅葉のことを色々と聞いているー。
村長は、紅葉のことをとても褒めていたー。
それを聞いて友里恵の気分を良くしたのか、
村長と話がはずんでいるー。
村長と友里恵が話をしている間、祥吾は
宿の外に出て、友里恵が見える位置にたったまま、
村を見渡したー。
「ーーーー……」
祥吾はあることに気づくー
村の中に”一か所”だけ、厳重に鍵で閉ざされた建物があることにー
「村長、あそこの建物は、なんですかね?」
祥吾が村長に聞くと、
村長は「あぁ、あそこは、”村に伝わる古の災厄”を
封じている場所でしてな…」と、苦笑いしながら呟いたー。
「そうですか…」
祥吾は不思議そうな顔をしながら、頷いたー。
③へ続く
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コメント
不気味な村の真相は…!?
お姉ちゃんの異変の真相は…!?
次回の最終回で明らかになります~!☆
今日もお読みくださりありがとうございました!

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