”洗脳体験”
「他の人間に操られる」そんな現象を体験させてくれる
謎の人物が、最近、話題になりつつあったー。
興味本位で彼のイベントに参加した少女の運命は…?
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「Mrブレイン…?」
ある日の昼休み
女子高生の小宮 安裕香(こみや あゆか)は、
不思議そうな表情を浮かべながらそう呟いたー
「うん!最近話題らしいよ」
親友の市丸 佐奈子(いちまる さなこ)が
笑いながらそう呟いたー
”Mrブレイン”
最近、このあたりの地域でちょっとした話題になっている存在だー
噂話が好きな佐奈子が、そのMrブレインの話を
安裕香にしていたー
基本的に大人しい性格であるものの、
好奇心だけは妙に強い安裕香が「ーーなにそれ?」と
聞き返すと
「やっぱ、安裕香は知らないんだ」と、佐奈子がほほ笑んだー。
「なんか”洗脳体験”っていうのをさせてくれるらしくて、
一人数分みたいなんだけど、そのMrブレインに洗脳される体験が
できるらしいの」
佐奈子はそこまで言うと、
「ー他の人に操られる体験とか、悪趣味だよね」
と、苦笑いするー
「ー洗脳なんて、本当にできるの?」
安裕香が不思議そうに聞き返すー。
「ーーさぁ?でも、ほら、テレビとかでもたまに
催眠術~!とか、そういうのやってるでしょ?
たぶん、そういう系のものだと思うよ」
そう言いながら佐奈子は
「そのMrブレインが、来週から近くの商店街でしばらく
”洗脳体験”の会場を設置するらしくて、
なんか、安裕香、そういうの好きそうだなぁ…って」
確かにー
親友の佐奈子の指摘は間違っていないー
好奇心旺盛な安裕香は、そういう話を聞くと、
どうしても好奇心を抱いてしまうー。
小さいころからの佐奈子も、そういう話が好きそうだと分かったうえで
安裕香にMrブレインの話をしたのだー。
「ー他の人に操られる体験かぁ…」
安裕香はそんな風に呟きながら、教室の窓の外を見つめたー。
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”Mrブレイン”
帰宅した安裕香は、そんなワードをネットで検索していたー
確かに、ネット上にも
情報が上がっているー
”本物”の洗脳術師Mrブレインー。
そう紹介されているその人物は、
仮面で顔を隠したイケメン風の男だったー。
一人あたり”3分”という短い時間だが、
”他人に洗脳される”という貴重な体験を
することができるのだとかー。
「ーー」
安裕香は、さらにMrブレインについて調べていくー
”洗脳”
そんなものは存在しないと安裕香は思っていたし、
このMrブレインも一種の手品師のようなものだろうと、
そんな風に考えていたー
だがー
Mrブレインの洗脳術は本物であると
体験者のレビューが表示されているー
”嘘だと思っていたのにマジでやばかった”
”わたし、3分間、本当に操られてました”
などなど、Mrブレインを称賛する書き込みなどが目立つー
「ーー姉さん、お風呂は入らないの?」
弟の史郎(しろう)が、心配そうに安裕香の部屋をノックしてから
そう確認してきたー
「あ、うん!先に入ってもいいよ!」
史郎に対してそう返事をした安裕香は、
さらにMrブレインのことについて調べたー
驚くことに、Mrブレインの洗脳体験は”無料”だったー。
本業は手品用品を作っている会社の社員とのことだったが
その素性は”明かさない”人物のようだー。
「ーー後から、お金取られたりするのかなぁ…」
てっきり、その場でお金を取られると思っていた安裕香は
そんな風に呟きながら
”警戒心”と”好奇心”の狭間で、どうするべきか、
悩んでいたー。
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三日後ー
「ーわたし、今日の帰り、アレ行ってみようと思ってー」
安裕香が言うと、
親友の佐奈子は「えっ!?Mrブレイン!?本当に行くの?」とほほ笑むー。
「ーーうん。ちょっと、気になるしー」
安裕香の言葉に、佐奈子は少しだけ微笑むー
「ーお金取られそうになったりしたら、気を付けるんだよ?」
心配そうに言う佐奈子に対して、
安裕香は「うん」と言いつつも、
”体験希望者もそこそこいるみたいだし、そういうことはなさそうだと思うから”と
微笑みながら答えたー。
そして、放課後ー
安裕香は佐奈子と別れて、”洗脳体験”ができる場所へと向かったー。
そこにはー
数名の人間が列を作っていたー。
”自分が操られる体験”をしたい人がこんなにいるんだ…と、
思いつつ、安裕香は順番を待つー
「ーーあれ?」
安裕香が前に並んでいた男子を見て、声を掛けるとー
前に並んでいたのは、クラスメイトの柏田 幸次(かしわだ こうじ)という
男子生徒だったー
「柏田くん?」
安裕香が言うと、幸次も振り返って「おわっ!小宮さんじゃん!」と
驚いた様子を浮かべたー。
聞けば、クラスメイトの幸次も、”洗脳体験”に興味を抱いて、
ここにやってきたのだというー。
「ーアニメとかゲームで洗脳シーンとかよくあるけどさ、
それを自分で体験できるとなれば、ゲーマーとしては
体験せざるを得ないだろ?」
ゲーマーを自称する幸次は、そう言うと、
「そろそろ順番が回ってきそうだな」と、”Mrブレイン”がいるという
テントのほうを見つめるー。
「ーちょうどよかった」
幸次がニヤッと笑いながら安裕香のほうを見ると
「さっきから、小宮さん、少し不安そうだし、
ちょうど俺が順番先でよかったじゃん!」と付け加える幸次ー
安裕香は、好奇心から”洗脳体験”をしてみたいと思ったが
同時に少し”不安”な気持ちもあったー。
好奇心と不安ー
その両方があったのだー。
感覚は全然違えど、
ジェットコースターに乗る直前の期待と不安が
混ざっているような、そんなドキドキだったー
「ーー俺が先に洗脳されて、レビューしてやるよ」
幸次の言葉に、
「あ、ありがとう」と、安裕香が返事をすると
前から”次の方”という声が聞こえたー
「ーよし!俺の番だな!」
そう呟くと、幸次は笑いながら、テントの中に入っていったー
「ーーーーーーー」
中から、声は聞こえないー
音は遮断されているようだー。
テントの近くで順番待ちをしている安裕香は、
緊張した様子でゴクリと呟いたー。
3分程度の洗脳体験ー
しかし、先に入った幸次が出てくるまでの時間はー
これまでの人生のどの3分よりも、長く感じたー。
そしてー
「ーーふ~~!マジですげぇや」
テントから出てきた幸次が、安裕香のほうを見て笑うー。
「ーなんかさ、ホントに言いなりにさせられちゃう感じでさ…
身体が勝手に動いちゃう感じ?
いやぁ~貴重な経験したな~」
幸次の言葉に、安裕香は、「身体はなんともないの?」と
少し不安そうに尋ねるー。
幸次は「全然。何も問題ないさ」と笑うと、
「ちゃんと最後に洗脳の解除もしてくれるし、
洗脳中も右手だけは自由にしてもらえてるから、
手をあげればすぐに中断してくれるよ」と、
安裕香に内容を説明したー。
「あ、まぁ、説明、中であるから、それを聞けばすぐわかるんじゃないかな」
幸次はそう言うと、「じゃ、洗脳体験楽しんで」と、だけ告げて
そのまま立ち去って行ったー。
”次の方~”
テントの中から声が聞こえて、安裕香は「はい」と返事をし、
その中に入るー
そこにはー
仮面を身に着けた”Mrブレイン”がいたー。
素顔は見えないが、仮面の下に隠れている顔は、
おそらくイケメンなのだろうー、と
思えるような雰囲気だったー。
「ーでは、これから3分間、あなたを洗脳しますー。
洗脳中も右腕だけは自分の意志で動かせるようにしておきますので、
もしも何かありましたら、手をあげていただければ
すぐに洗脳を解除します」
Mrブレインが淡々と説明をするー。
安裕香が「わかりました」と言うと、
Mrブレインは、マジシャンのようなステッキを安裕香の方に向けてー
そしてー
何かを唱えたー。
「ーーうっ…!」
ビクンと震える安裕香ー
自分の身体から力が抜けてー
いやー
全てを任せてもいいような、そんな、
とろりとした感情が、あふれ出てくるー
「ーー名前は?」
Mrブレインが言うー。
安裕香は、答える気がなかったのに、
自分の口が勝手に動くのを感じたー
「小宮…安裕香です…」
とー
「ーー小宮さんか。いい名前だ」
Mrブレインはそう言うと、続けて
安裕香の方にステッキのようなものを向けるー
「ーー立て」
その言葉に、安裕香は、まったく立つ気がなかったのに、
自分が立ち上がってしまうー。
”これが…洗脳…?すごい”
安裕香はそんな風に思いながらも、
Mrブレインの命令を聞いているこの状況が
何か心地の良いものに思えてしまったー
Mrブレインが次々と命令をしていくー
行う命令は、ちゃんと無難なものばかりで、
エッチなことを強要したり、
安裕香を傷つけたり、そういった類のものは
一切存在しなかったー。
そして、あっという間に
”洗脳体験”の3分間は終了したー
「ーー解除」
Mrブレインはそう言うと、仮面をつけたまま微笑んだー。
「ー以上で、終了になります。お疲れ様でした」
その言葉に、安裕香は「ありがとうございました」と
お礼を言いながら
「すごかったです」と、率直な感想を述べたー
「ーちゃんと、自分の意志で身体は動きますか?
一応、解除できてるかしっかり確認しないといけないので」
Mrブレインのその言葉に、安裕香は
身体を動かしたり、自分の意志で声を出せるかを念のため確認するー。
「ー失礼」
Mrブレインはそう言うと「その場で回転しろ」と、安裕香に向かって
”命令”をしたー。
しかし、安裕香は回転する様子もなく、
そのままきょとんとした表情を浮かべているー。
「ーー大丈夫みたいですね」
Mrブレインは微笑むー
”まだ洗脳状態が続いてしまっていないかどうか”確認するための
言葉だったようだー。
「ーーお気をつけてお帰り下さい。今日はありがとうございました」
Mrブレインが頭を下げると、安裕香も頭を下げて、
そのままテントの外へと歩いていくのだったー
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翌日ー
「ねぇねぇ!どうだった!?Mrブレイン!」
親友の佐奈子が早速、安裕香に対して嬉しそうに聞いてくるー。
安裕香は微笑みながら、
昨日体験した「Mrブレインの洗脳体験」について
話をしたー。
「ーーふ~ん じゃあ本当に、洗脳されてたんだね?
やらせとかじゃなくて」
佐奈子の言葉に、安裕香は
「うん…だって勝手に身体が動いてて…」と笑いながら答えるー。
「ー…お金とか取られたりしてないよね?」
佐奈子が心配そうに言うー。
安裕香は笑いながら「全然そんなことなかったよ~!」と
答えるのだったー。
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だがー
その日の夜ー
寝ようとしていた安裕香に異変が起きたー
”起きろ”
声が、聞こえるー。
「ーーー」
安裕香が目を開くー
”起きろ”ー
心地の良い声ー
心地の良い”ごしゅじんさま”の声ー
「ーーはい」
安裕香は虚ろな目のまま起き上がると、
ゆっくりと歩きだすー
まるで、操り人形のようにー
”ー今から指定するものを、
一つ残さずネットで注文しろ”
男の声が響き渡るー
「はい…」
安裕香はそう呟くと
虚ろな目のままネットで言われた通りのものを
注文するー
”ククク いい子だー
今日は特別にご褒美をやろうー
一晩中、胸を揉み続ける権利をお前にやろうー。
もめ。揉みまくれ”
その言葉に、安裕香は「はい…」と答えると
そのまま両手で両胸を揉み始めたー
虚ろな表情のままー
②へ続く
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コメント
洗脳モノのお話デス~!
早速、不穏な感じになっていますネ…!
続きはまた明日デス!
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