<入れ替わり>双子チェンジ③~姉妹~(完)

双子の姉・奈美と妹・莉緒。

入れ替わった二人は、
入れ替わりに気づかないまま、
1日の大半を過ごしたー。

しかし、ようやく二人は起きていることに気づき始めて…?

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー…やっぱ、これ、莉緒の身体だよね…」
奈美の部屋で、姉妹がお互いの身体を確認しているー

パっと見、同じ顔で、体形も同じで、
”かなり似ている”二人は、
本人たちも、すぐには入れ替わりに気づけないほど、
似ていたのだー。

普段は、髪型や振る舞いが違うから、
周囲は簡単に二人を見分けるし、
本人たちからしてみれば、姉妹のうち一人は
自分自身なのだから、見分けに困ることはないー。

だが、こんな風に身体が入れ替わってしまえば、
話は別だー。

「ーーー…お姉ちゃんってもしかして、
 イケメン同士がイチャイチャするようなやつ、好き?」
奈美(莉緒)が言うと、
莉緒(奈美)は、「えっ!?」と、顔を真っ赤にしたー。

「ーーやっぱりそうなんだ」
ニヤニヤと笑う奈美(莉緒)ー

確かにー
奈美はそういうジャンルの漫画が好きだー
さっき、奈美が帰宅後に漫画を読んでも、いつものように
興奮できなかったのは、おそらく身体が莉緒の身体だからだー。

でもー
なんで、莉緒がそれに気づいたのだろうかー。

そんな風に思っていると、
それを見透かしたかのように、奈美(莉緒)は笑ったー。

「ーーあ、あのね!友達から無理やり、この漫画読んでみて!って
 渡されたやつが、BL系の漫画だったんだけど、
 なんか今日だけ妙にドキドキして変な気持ちになったからー」

その言葉にー
莉緒(奈美)は「それで…わたしがそういう漫画好きだって思ったのね?」と、
ため息をついたー。

妹に趣味がバレてしまったー。
隠してたのにー…
と、思いながらー。

「別に隠す必要ないじゃん~!まぁ、隠しちゃうのがお姉ちゃんらしいっていえば
 そうだけど!」

奈美(莉緒)は笑いながらそう呟くと、
莉緒(奈美)は「うん…そうなんだけど、なんとなく、ね」と苦笑いしたー。

「ーーところで」
話を戻す莉緒(奈美)ー

”入れ替わり”が起きたきっかけー
入れ替わり中のことー
元に戻る方法ー
色々なことを考えていくー

「まぁでも、最悪、元に戻れなくてもよくない?」
奈美(莉緒)が笑うー。

ツインテールにした自分を指さしながら、
「だってほら!お姉ちゃんの身体でも、中身がわたしで
 髪型もこうなら、どうせ誰も気づかないでしょ?」
と、言い放つ奈美(莉緒)ー

「ーー確かに学校でも誰も気づかなかったけど…
 でもやっぱり、色々問題あるでしょ?」
莉緒(奈美)の言葉に、
奈美(莉緒)はニコニコしながら、莉緒(奈美)を見つめているー

「な、、何よ…?」
莉緒(奈美)が言うと、
奈美(莉緒)は「ううん。わたしの身体でも、お姉ちゃんが中に入ると、
立派なお姉ちゃんに見えるんだなぁ~って」

目の前にいる身体は自分の身体ー

つまり、莉緒のものなのに、
中身が奈美、というだけで”立派なお姉ちゃん”に見えるー

「わたしも、お姉ちゃんみたいになりたいって思えば
 なれるってことだね!」

奈美(莉緒)の言葉に、
莉緒(奈美)は少しだけため息をつきながら笑うと、
「ーーーも~…莉緒ってばこんな時まで、楽観的なんだから~」と、
微笑んだー。

色々話を続ける二人ー。

「ーほくろが消えたのは良かったけど、
 でも、確かに運動が得意じゃなくなっちゃうのは、
 嫌かなぁ~…

 あ、運動が苦手なのが悪いってことじゃないからね!」

奈美(莉緒)が言うと、
莉緒(奈美)も「確かに今日、身体は疲れなかった気がする!」と笑うー。

その上で「あ、でも、莉緒が好き嫌いが多いっていうのは、よくわかったかな~!」と
付け加えたー。

トマトの味をはじめ、”莉緒の口”で食べると
おいしくないと感じるものが多かったー。

好き嫌いが激しいー
と、いうのは精神的な部分によるものもあるのかもしれないが、
味覚による個人差もあるのかもしれないー。

そんな風に思いながら、
二人は”元に戻るために頑張ろう”という
結論に達したー。

「ーーでも、どうやって元に戻ればー?」
莉緒(奈美)の言葉に、奈美(莉緒)は、
「ちょっと待ってて!」と本棚の後ろに隠している
漫画を取り出し始めたー。

「わぁ…お姉ちゃんってば、思ったよりもすごい量ー」
そんな風に呟きながら、奈美(莉緒)が待っていると、
莉緒(奈美)が本棚から本を一つ取り出して
奈美(莉緒)に見せた。

”男同士が入れ替わってしまう”漫画のようだー。

「これがどうかしたの?」
奈美(莉緒)が首をかしげながら言うと、
莉緒(奈美)は「この漫画ね、明人くんと、学くんが、入れ替わっちゃうんだけどー」
と、漫画の内容を語り始めるー。

”この漫画では、最後に元に戻る方法が何個は出てきてー
 それをやってみれば、わたしたちも戻れるんじゃないかな”と
言いたかったのだが、
莉緒(奈美)は、自分の好きな漫画の一つの内容を
熱弁し始めてしまうー。

「ーーお、、お姉ちゃ~~ん…?」
あまりの熱量に気圧された奈美(莉緒)が言うと、
莉緒(奈美)が、ハッとした様子で
平静を取り戻したー

”この漫画みたいなことすれば、元に戻れるんじゃないかな?”
”そう伝えると、
奈美(莉緒)は「やってみよっか!」とほほ笑むー。

「で、どんな方法?」
奈美(莉緒)の言葉に、莉緒(奈美)は、少しだけ
恥ずかしそうにしながら「キス…」と呟いたー

「キス!?わたしがお姉ちゃんと!?
 しかも、わたしがお姉ちゃんの身体で、自分とキスするの!?」
奈美(莉緒)が顔を真っ赤にしながら叫ぶと、
莉緒(奈美)はうなずいたー。

「ーーま、、まぁ…で、、でも、男の人とするわけじゃないし…
 それで戻れる可能性があるなら…い、、いいけど」

戸惑う奈美(莉緒)ー
莉緒(奈美)は、緊張した様子で奈美(莉緒)を見つめるとー
”自分の身体”とキスをしたー。

そっくりの双子の姉妹が抱き合ってキスをしているー。

そんな光景がしばらく広がったあとにー
莉緒(奈美)が、ゆっくりと奈美(莉緒)から
唇を離したー。

莉緒になった奈美は、妹とのキスに、特に何も感じてないのか、
少し戸惑った表情を浮かべながら「戻ってないー」と呟くー。

だがーー

「お、、、お…お、、、お姉ちゃん…おね…」
妹の莉緒は、奈美の身体で顔を真っ赤にしながら、
狼狽えていたー

”姉とのキス”に、
激しくドキドキしてしまったのだー

「ーーちょ、、だ、大丈夫?」
莉緒(奈美)が困り果てた様子で言うと、
顔を真っ赤にしている奈美(莉緒)が
「お、お姉ちゃんとのキスとか…だめ…ドキドキがやばい!」と、
声を上げたー。

実際はー
”キスをしたことがない”奈美の身体になっているせいで、
激しくドキドキしているのだが、
それには二人とも気づかなかったー。

「ーー…も~!…姉妹なんだから、そんなに興奮しなくてもー」
莉緒になっている奈美は、
もし、自分が”自分の身体”で同じことをしていたら
激しくドキドキしてしまうなんて、夢にも思わず、そう言い放つー。

「ーう~ん…でも、キスでも元に、戻れないとなると…」
莉緒(奈美)はそう言いながらー、
他の作品で見たようなシチュエーションを色々と提案して
元に戻るために、色々と試していくー

手を繋いで念じてみるー
赤い糸をお互いの指につけて、念じてみるー
わざとぶつかってみるー

しかし、いずれの方法でも
二人の身体が元に戻ることはなかったー。

困惑してしまう二人ー。

「ーーー……昨日までは普通だったから、
 たぶん、寝てる間に入れ替わったってことだよね?」
奈美(莉緒)の言葉に、
莉緒(奈美)は「そうだと思うけど…」と返事をするー。

「じゃあさ、とりあえず今日はこのまま過ごして、
 また明日、考えてみようよ!
 もし戻ってなくても、今日の感じならー
 他のみんなにはバレないでしょ?」

奈美(莉緒)の言葉に、
莉緒(奈美)は「確かに、焦らなくても大丈夫…かもね」と、
少し落ち着いた様子でほほ笑んだー。

もし、二人が”見た目の異なる”姉妹だったら
大変だったかもしれない。

お互い、”行ったことない学校”に行かなくてはいけないし、
本人に成りすますのも、姉妹とは言え、
学校ではどのように振る舞っているのか、はっきりとは
知らないわけだから難しいー。

しかしー
奈美と莉緒であれば、”別人の身体”で
学校に行っても、周囲に気づかれることはない。

姉の奈美が、妹の莉緒の身体で、
自分の通う学校に行っても、
周囲は髪型や仕草から、
目の前にいるのは奈美だとしか思わないー。

身体が入れ替わっていてもー
生活に特別大きな支障は、ないー。

「ーー…でも、ほんとに誰も気づかないものなんだね」
莉緒(奈美)が、苦笑いしながらそう呟くー。

「それはそうでしょ」
奈美(莉緒)が、自分の部屋の方に戻ろうと立ち上がりながら呟くー。

そして、部屋の出口まで歩いて行ったところで、微笑んだー

「だって、わたしとお姉ちゃんだって
 さっきまで入れ替わっていることに気づかなかったんだからー」

とー。

「ーーふふふ、確かにそうねー」
莉緒(奈美)が笑うー。

自分たちだって、さっきまで入れ替わりに気づかなかったのだー。
周囲が、そう簡単に気づけるはずもないー。

「明日、戻ってるといいね」
「うん、おやすみー」

挨拶を交わしー
双子の姉妹の”入れ替わり”の1日は終わりを告げたー。

そして、
翌日ー

「ーーお姉ちゃん!お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん!
部屋に駆け込んでくる妹の莉緒ー

「ーー……?どうしたの…朝から?」
まだ寝ていた姉の奈美は眠そうに身体を起こすー。

「ーお姉ちゃん!戻った!元に戻ったよ!
 正真正銘、わたしの身体!」
妹の莉緒の叫びに、姉の奈美は「えっ!?」と驚きながらもー
自分の身体が元に戻っていることを確認して、
「ほんとだ…!よかった…」と、安堵の溜息をついたー。

結局ー
父親が、出張の際に買ってきた怪しげなお菓子が
入れ替わりの原因であることは、本人たちも父親も知らぬまま、
二人の入れ替わりは解決したー。

怪しげなお菓子による入れ替わりは、1日だけで、
その効果は切れる様子だったー。

それからしばらくが経過したー。

「ーーねぇねぇお姉ちゃん!」
ある日の休日、莉緒が部屋にやってくるー。

「ーーどうしたの?」
大好きなBL系の漫画を読みながら、奈美が返事をするー。
入れ替わったことをきっかけに”別に隠す必要はない”ということで、
今は堂々と趣味を楽しんでいるー。

「ーー今度さ、また入れ替わってみない?」
莉緒の突然の言葉に、
奈美は「え?どういうこと…?」と不思議そうにしながら
漫画を机の上に置いたー。

「ーーわたし、なんかあの日のこと、たまに夢に見るんだけど、
 ドキドキしちゃってー…」
莉緒の言葉に、奈美は「ある意味、貴重な体験だったよね」と
優しく微笑むー。

でもー
「ーもう一度入れ替わりたいってどういうこと?
 あの日の入れ替わりは莉緒の仕業ってこと?」と、
戸惑いながら尋ねる奈美ー。

「ちがうちがう!
 ほら、あの日、誰にもわたしたち、気づかれなかったでしょ!

 だからさ~」

莉緒は小声で、奈美に囁くー。

「ーわたしがお姉ちゃんの髪型にして、
 お姉ちゃんがわたしの髪型にしてー
 お互い振る舞いも、相手のものに合わせればー
 誰も気づかないんじゃないかな?」

とー。

「ーーえぇっ!?」
驚く奈美ー。

あの日の入れ替わりをきっかけに、
この姉妹はお互いに”立場を交換する遊び”を
時々するようになったのだったー。

おわり

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コメント

双子姉妹の入れ替わり物語でした~!

いつかは、双子の「気づかれない」入れ替わりを
描きたいと前から思っていたのですが
それを実現させることができました!!

お読みくださりありがとうございました~!

コメント

  1. 匿名 より:

    完全にそっくりな双子のことを確か、一卵性双生児って、いうんでしたっけ?
    入れ替わったことに気付かないくらい、そっくりなら、元に戻れなくても、特別困りませんね。

    ところで、この話、もし男女の双子だったり、姉妹仲が悪かったりとかしたら、また違う、別の面白い展開になりそうですよね。いくらそっくりでも、性別が違う双子なら、すぐ気付くでしょうし。

    あるいは、二卵性双生児だったりしても、展開が変わりそうです。

    • 無名 より:

      ありがとうございます~!☆

      双子の入れ替わりでも、
      色々なパターンが作れそうなので、
      またいつかチャレンジしてみるのもいいかもしれません…★

      男女パターン、姉妹仲が悪いパターン…!
      確かに面白そうデス~!