<入れ替わり>双子チェンジ②~発覚~

入れ替わってしまった双子の姉妹ー。

姉・奈美と妹・莉緒は、
自分たちでも入れ替わっていることに気づかず、
そのまま学校に行ってしまうー。

しかし、次第にそれぞれ違和感を感じ始めてー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・

奈美(莉緒)は、
「家に帰ったら熱を測ろっと…」と呟きながら
下校していたー。

姉の奈美になってしまった莉緒は、
自分の身体が双子の姉のものになっていることに気づかず、
そのまま帰宅するー。

”身体の動きが悪い”のは、風邪を引いたからー

そんな風に、莉緒は考えていたー

「お母さんただいま~!」
奈美(莉緒)が言うと、「おかえりなさい~!」と
母親も当たり前のように反応するー

母親でさえも、身体は奈美であっても、
莉緒の仕草で、莉緒の髪型であるツインテールにしていると、
目の前にいるのが莉緒ではなく、奈美の身体であることに気づけないー。

「ーーは~~~~つかれた~~!」
奈美(莉緒)は”なんだかいつもより疲れたなぁ”と思いながら、
部屋のベッドに寝ころび、熱を測ってみたものの…

”35.5”

「逆にいつもより低いじゃん!」
笑う奈美(莉緒)ー。

「まるでお姉ちゃんみたい!」
クスクスと笑う奈美(莉緒)

姉の奈美は、平熱が35度台で、
妹の莉緒は、平熱が36度の前半ぐらいであることが多いー。

今の莉緒は、奈美の身体だから、
当然と言えば当然なのだが、
入れ替わりを自覚していない奈美(莉緒)は、
そう呟きながら笑ったー

「ー熱下がりすぎて調子悪いのかなぁ~?」

そんな風に思いながら、部屋の机の上に
転がっている漫画を見つめるー。

友達から無理やり押し付けられた漫画だ。

”読んでみて!”と、ボーイズラブ的な漫画を
渡されたのだが、正直、奈美(莉緒)は
興味を持てなかったー

”男子同士の恋愛とか、イケメンとかあんまり興味ないしなぁ…”

彼氏は欲しいが、
そういうものに興味がなかった莉緒は、
どうしても、イケメン同士の恋愛漫画を渡されても、
興味を抱けなかったのだー。

「ーーって、あれ…?」
奈美(莉緒)は、ふと、自分の異変に気が付くー。

「ーーー?」
背後にある鏡の方を振り返ると、
なぜか自分が赤面して、心臓がどきどきして、
少し興奮気味になっているのに気づくー

「ーーーあれ??わたし、なんか…今日、変かも…」
漫画の中の、服を脱いでいるイケメンのシーンを見たら
妙にドキドキしてしまったのだー
普段、まったくドキドキもしないのにー。

「ーーあ~~もう!今日はだめ!いったん寝よ!」
奈美(莉緒)はそう叫ぶと、そのまま眠りについたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーお母さんただいま!」
姉の奈美が帰宅したー。

身体は莉緒のものだが、
中身は奈美ー。

しかし、いつもの奈美のように、ストレートな髪型で、
ツインテールにはしていないことや、
落ち着いた雰囲気であることから、
母親は、先ほどと同様に、やはり娘たちの
入れ替わりには気づけなかったー

「あ、そうだ、お母さん。今日の弁当に入っていた
 トマト、いつもと種類変わった?」

莉緒(奈美)は、そういいながら、かばんから弁当箱を出して
「ごちそうさま」と、いつも通り礼儀正しく感謝の気持ちを述べるー

「トマト?どうかしたの?」
母親が首をかしげるー。

「あ、うん。お母さんが悪いとかじゃないんだけど、
 なんか今日、トマトの味が全然違ってたし、
 お弁当の味もなんかいつもと違ってー」

莉緒(奈美)の言葉に、
母親は「あらやだ!もしかして腐ってたとか?」と
不安そうな表情を浮かべるー

「ーーううん。別にそういうことじゃないと思うけどー…
 全然調子は悪くないし」

莉緒(奈美)の言葉に、母親は
弁当の具材は特別変えていないし、
いつも通りだと、説明したー。

「そうだよね。ごめんね!変な話をして!」
莉緒(奈美)はそう言うと、
手洗いとうがいを済ませて、そのまま自分の部屋に
向かって、階段を登って行ったー。

部屋に戻ると、莉緒(奈美)は「ふふふ」と笑いながら
本棚の後ろに隠してある、イケメン同士の恋愛漫画を手に、
それをニヤニヤしながら読み始めたー

姉・奈美の隠れた趣味のひとつー。
勉強したり、小説を読んだりする傍らー、
奈美はこっそりこういった漫画を楽しんでいるー。

別にいけないことではないのだが、
なんとなく妹の莉緒にも隠して、
その趣味を楽しんでいる奈美は、
今日も、いつものように、イケメンの裸を見て
嬉しそうにーー

「ーーーーーー」
していなかったー。

今日の奈美は、莉緒の身体ー。
物事に対する感じ方にも、無意識のうちに
影響が出ていたー

「…なんか今日は、ドキドキしない…」
莉緒(奈美)がため息をつくと、漫画を閉じて、
本棚の後ろにしまうー

「ー今日は大人しく勉強してよっと…」
莉緒(奈美)はそう言うと、
来月のテストに備えて勉強を始めるー。

勉強自体は、いつものように捗ったー
妹の莉緒は勉強が嫌いで、
今の奈美は莉緒の身体であるものの、
莉緒も”その気になれば”頭の回転は姉譲りのようで、
勉強自体には影響が出なかったー。

「ーーー…(でもなんか、今日、変な感じ…)」
莉緒(奈美)は勉強しながらも、
そんな不安をぬぐえないー。

弁当の味が違ったこともそうだし、
他にも小さな気になることがいろいろとあるー。

「ーーーー…う~ん…」
いつの間にか、勉強する手が止まってしまった莉緒(奈美)は、
ため息をつきながら、自分の身体の異変に不安を感じるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

晩御飯の時間になり、
母親が晩御飯に奈美と莉緒を呼ぶー。

二人が階段を下りてきて、いつものように
晩御飯を食べ始めると、
ふたりとも表情を歪めたー。

莉緒になった奈美は
”やっぱり、今日、なんだかご飯の味が違うー”
と、感じて表情を歪めているー。
昼間の弁当もそうだったけど、
モノによって、味が全然違うように感じるー

とー。

けれどー
莉緒(奈美)は、母親に心配をかけないように、と
今度は何も言わず、そのままご飯を食べ続けるー。

弁当の件で、既に母親には”味”のことを伝えているー。
これ以上、母親を心配させるわけにはいかないー。

”風邪か何かで、味覚に影響が出てるのかも”
莉緒(奈美)はそう思ったー。

小さいころ、風邪をひいたときに味覚が狂った経験があるー。
また、それなのかもしれないー…

だがー

「ーねぇねぇお母さん!今日のこれ、いつもと味違くない?」

「ー!?」

隣にいた妹の莉緒まで、同じことを言い始めたー。

奈美になった莉緒は、学校の昼食をパン1個で済ませたため、
昼もあんまり味覚の違いに気づかなかったが、
今ははっきりと分かったー

「え…?ほんとに?」
母親が不安そうに首をかしげるー。

母親からしてみれば、
娘二人に相次いで”味の違い”を指摘されて、
強い不安を感じていたー。

「ーーーーわ、わたしはいつも通りに感じるけど?」
母親が奈美(莉緒)から指摘されたスープを口にするー。

父親も「俺も同じように思うけどな…」と
少し困った様子ー。

「ーーー(莉緒も、味覚が変なの?)」
莉緒(奈美)は、隣にいる奈美(莉緒)を見つめながら
激しく困惑していたー。

同じ風邪をひいた、ということだろうかー。

「ーーあ、ううん!大丈夫!いつもよりおいしいな!って
 思っただけだからー」

奈美(莉緒)が今、口に運んでいるのは
姉・奈美の大好物だったスープ。

だから、
奈美の身体になっている今ー
いつもよりおいしく感じたのだー。

「ごちそうさま~!」
ご飯が終わりー
一旦部屋に戻った二人。
莉緒の身体になっている姉の奈美も
”風邪をひいたのかな?”と思いつつ、部屋で熱を測ってみるー。

36.2ー。
いつも35度台の奈美は、ちょっと熱が高いかな?と思いつつも、
”このぐらいなら”と、
莉緒の部屋をノックして「じゃあ、わたしはお風呂に先に入っちゃうね」と、
言葉を伝えるー。

「あ、うん~!どうぞお先に~」
部屋の中から、奈美(莉緒)が言うと、
そのままお風呂の方に向かっていく奈美(莉緒)ー。

いつものように服を脱いで、
お風呂で髪を流そうとしたその時だったー。

ふと、肩の少し先ー二の腕のあたりに”ほくろ”があるのが、見えたー。

「ーーーーあれ?」
莉緒(奈美)は表情を歪めるー。

奈美には、この場所にほくろはないー。
確かー
妹の莉緒には、この場所にほくろがあったー。

そんな風に思いながら、莉緒(奈美)は
「莉緒と同じ場所にほくろができちゃったってことかな…」と呟くー。

だがー
お風呂で裸になって、さすがに”違和感”を感じる部分が
ほくろ以外にもいくつかあったー。

「ーーー…なんか、今日…変な感じ…」
莉緒(奈美)は戸惑うー。

”身体が入れ替わっている”という考えには
まったく至らず、相変わらず困惑した状態のまま
お風呂を終えると、奈美(莉緒)が「次はわたしの番~!」と、
お風呂場の前にやってきたー。

莉緒(奈美)は、微笑みながら、
お風呂に入っていく奈美(莉緒)を見つめるー。

「ーーー」
莉緒(奈美)が服を着たり、髪を乾かしたり、
お風呂場の前でしているとー

”お姉ちゃん!!”
と、中から声が聞こえたー。

「ーーどうしたの~?」
お風呂場の中からの声に、返事をする莉緒(奈美)ー

”お姉ちゃん!奇跡が起きた!”
嬉しそうな奈美(莉緒)の声ー。

「ーーーえ、なになに?」
莉緒(奈美)は、訳が分からず、戸惑った様子で返事をするとー、
身体にお湯を浴びた状態で、奈美(莉緒)がお風呂場の扉を開けた。

「見て!!ほくろが…!消えた!やった~~~~!」
二の腕のあたりを示しながら、奈美(莉緒)が叫ぶー。

妹の莉緒は、二の腕のほくろを昔から結構気にしていたー

”ここ目立つもん!”
というのが理由だー。

だからこそ、姉の奈美も、普段服を着ていればあまり見えない
妹のほくろのことを覚えていたし、
お風呂で自分の身体に、”妹と同じほくろ”が出てきたことに
すぐに気づいたのだー。

「ーーーえ」
莉緒(奈美)は表情を歪めるー。

そしてー
自分の腕に”莉緒のほくろ”があることを伝えるー。

「ーーーえ…お姉ちゃんのほうに、わたしのほくろが移動したのかな!?」
奈美(莉緒)が笑いながら言うとー
莉緒(奈美)は、困惑の表情を浮かべながら呟いたー

「ーーそういえば、莉緒、今日、食べ物の味が違うって
 言ってたよねー?」

莉緒(奈美)の言葉に、莉緒(奈美)は「あ、うん!え?お姉ちゃんも?」と
不思議そうに首をかしげるー。

「ーーー」
莉緒(奈美)の中に今日の出来事が思い浮かぶー。

弁当の味が違ったー
特に”トマト”ー
妹の莉緒は野菜が嫌いだー。

イケメン同士の恋愛漫画を見ても興奮しなかったことー。
晩御飯の味も違ったことー。
妹にあったはずのほくろが、自分のほうにあることー
そして”熱”

「ーーなにか、今日、変わったことはなかったー?」
莉緒(奈美)が言うと、
奈美(莉緒)は、体育の授業での出来事や、
今日は妙に熱が低いことなどを話したー。

「ーーーー……」
妹のほうをじっと見つめる莉緒になった奈美ー

そしてー
呟いたー

「ーーねぇ…莉緒…
 それ、わたしの身体じゃない?」

とー。

「ーーーえ…?」
戸惑う奈美(莉緒)ー

「ーーそれで…わたしが…莉緒の身体になってるような気がするんだけど…」
莉緒(奈美)の言葉に、
奈美(莉緒)は混乱した様子で、目をぱちぱちとさせたー。

③へ続く

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コメント

ついに入れ替わりに気づいた二人…!
二人の運命は…!?

次回が最終回デス~!
今日もありがとうございました~!

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