”他人に寄生する力”を手に入れたオタク男ー
寄生されて、狂っていく少女ー。
それでも、必死に抵抗を続ける彼女の運命はー?
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オタク男・肝太郎に寄生されてしまった真梨香は
病院での入院を続けていたー
”くくく この女も壊れたか”
肝太郎は、”自分自身が寄生虫の力を得てからー
自分のことを”キモイ”という女に寄生して、乗っ取ってはー
壊してきたー。
そうすることで、幼少期からキモイキモイ言われ続けて来た彼は
なんとか精神を保っていたー。
”僕をキモイと言った罰だー”
放心状態で、窓の外を見つめる真梨香を、真梨香の中から
見つめながら、肝太郎は笑みを浮かべるー。
「--にしても、お前はよく粘ったほうだぜ」
真梨香の右手に、肝太郎の顔が浮かびあがるー。
「--他の女は、もっと早くイカれちまうやつが、ほとんどだからなぁ へへへへ」
肝太郎の言葉に、真梨香は反応を示さなかったー。
もう、真梨香の精神はズタボロだったー。
「-----殺して…」
真梨香が目から涙をこぼしながら呟くー
「-----もう、、、、つかれたー」
感情のない声ー
完全に、壊れてしまっているー。
”くくくくー
もう、この女もおしまいだな”
肝太郎は、寄生した相手が壊れるまでを楽しんでいるー
”壊れてしまったおもちゃ”には興味はないー。
一人壊しては、また街中を歩き、自分のことをキモイと言ったり
避けるような仕草や、笑うような仕草を見せた人間に寄生するー
そして、またそれを壊すー。
今の肝太郎は、そんな生活を続けていたー。
金も足りなくなったら寄生した女を使って稼いだり、
お金を貰ったりしているから、問題はないー。
昔はどうあれー
今の彼は”キモイ”と言われ続けたことにより生まれたー
完全なサイコパスだったー。
肝太郎は、真梨香の身体から抜け出すことを決意するー。
だがー
その時だったー
病室の扉が開くー。
そこにはー
真梨香と一緒に行動していた大人しそうな女子生徒・静奈の姿があったー
「-----」
真梨香は虚ろな目で静奈の方を見るー
「---真梨香…来るのが遅くなってごめんねー」
静奈が悲しそうに呟くー
「-----しずな…」
真梨香が虚ろな目のまま呟くー
「--真梨香が何に悩んでいたのかわからないけどー
気づいてあげられなくて、ごめん」
静奈は真梨香をやさしく抱きしめると、そう呟いたー。
教室で突然暴れ出しー
教壇に飛び乗って、静奈の顔面に放尿した挙句ー
一人で怒りの言葉を叫びー
自分の手でハサミで刺した挙句、病院に運ばれた真梨香ー。
しかしー
静奈は、それでも真梨香のことを見捨てなかったー
「-ーー真梨香が何も理由なく、あんなことするはずないもんー
きっと何か、悩んでたんだよね。
だからー、わたし、力になるからー。
ゆっくりでもいいからー
元気になってー」
静奈が優しく、真梨香を見つめるー。
真梨香が寄生されていることを知らない静奈からすれば
”いきなり尿をかけられた”状態で、真梨香に会いに来るのも
数日間躊躇っていたが、
それでも”やっぱり友達を見捨てることはできない”と、
今日、こうして真梨香に会いに来たのだったー
「しずなーーーー」
真梨香が目から涙をこぼすー。
寄生した肝太郎により”精神崩壊”状態だった真梨香の瞳がー
輝きを取り戻すー
”なんだと!?”
肝太郎は驚くー。
僕を馬鹿にしたこの女は、もう、完全に壊れたはずだとー。
「--真梨香!」
「---この前のことは気にすんな!」
「-わたしたち、待ってるからね!」
静奈の後ろから、静奈が連れて来た同級生5、6人が
姿を現して言葉をかけるー
「みんなーーー」
真梨香が目から涙をこぼしたー。
「--ありがとう…
ありがとうーー
わたしーーー
頑張るからー」
精神崩壊ーー
一歩手前だった真梨香は、
クラスメイトたちの暖かい言葉で、再び気力を取り戻してしまったー
そしてー
すぐ後にやってきた家族の優しい言葉もー
真梨香に希望を与えたー。
”はぁあああああああああああああああああ??????????”
だがー
肝太郎は穏やかではなかったー。
”キモイ”と言われ続けて来た肝太郎からしてみればー
こんな”友情”や”家族愛”のような展開は、
”もっとも虫唾の走るー”内容だったー。
「---お前を滅茶苦茶にしてやる!」
真梨香の全身に肝太郎の顔が出現するー
「--ひっ!?」
悲鳴を上げる真梨香ー
「お願いだから、、お願いだから、わたしから出て行ってー!」
真梨香は、必死に叫ぶー
「--僕を怒らせたことを後悔させてやるぞ!」
全身に浮かび上がった肝太郎の顔が一斉に叫ぶー
「--ぁっ…」
身体の主導権を奪われた真梨香は
乱暴にベッドから起き上がると、
そのまま服を脱ぎ捨て始めたー。
「--お前を滅茶苦茶にしてやるー」
真梨香が怒り狂った表情で、
裸になったまま、病室の外に出て行こうとしているー
全身には、肝太郎の顔が浮かび上がったままー。
”社会復帰できないぐらいに壊してやるー”
怒り狂った肝太郎が、真梨香の身体を完全に支配して
病室の外に出て行こうとしたその時だったー。
「------て」
「--あ?」
肝太郎の意思とは異なる言葉が、真梨香の口から飛び出すー
「----出てって!」
真梨香が今度ははっきりと発音したー
病室の扉にかけた手が動かないー
裸の真梨香が、病室の外に出ていくことを拒んでいるー
「--わたしの身体から出てって!!!!!!!!!!!!」
大声で叫ぶ真梨香ー
”な…!?”
肝太郎は驚くー
真梨香本人の意識が、身体の主導権を取り戻したのだー
「--な…」
震える肝太郎ー
「--あんた、、、ホント、やってることがキモイ!!!!!!!
これ以上、わたしの身体で好きにはさせないから!!!!!!!!!!」
大声で叫んだ真梨香ー
真梨香の強靭な精神力がー
肝太郎の支配を、拒んだーー
「----------!!!」
真梨香の全身に浮かび上がっていた肝太郎の顔が消えていくー。
”こ、、、この女…精神崩壊一歩手前だったのに……
こんな……バカな…!”
肝太郎の意識が、真梨香の奥底に追いやられるー。
「ーーーわたし…負けない…」
真梨香はそう呟くと、乗っ取られて脱ぎ捨てた服を拾い、
すぐに再び身に着けたー。
”…くそっ…こいつ…!絶対に、、絶対に、壊してやるー”
肝太郎は、真梨香の中でそう叫んだー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
真梨香は退院したー。
そして、学校にも復帰ー
”あのようなこと”があったのにも関わらず、
学校のクラスメイトたちは真梨香をやさしく出迎えたー。
”く、、くそっ”
肝太郎は表情を歪めるー
既に、これまでで”最長記録”を更新してしまったー。
今までにも多数の女に寄生してきたが
ここまで、壊すのに時間がかる相手はいなかったー。
真梨香が元々、強い精神力の持ち主だったのかー
それとも、真梨香の周囲にいる人々との絆が強かったのかー
いずれにせよ、真梨香は寄生された当初よりも、
元気になっていたー。
”くそっ…”
肝太郎は、”諦め”の感情を抱き始めていたー
真梨香に何を語ろうと、真梨香に軽くあしらわれー、
真梨香を乗っ取ることも出来ないー
歯軋りをしながら、真梨香から抜け出そうとした肝太郎ー
しかしーーーーー!
「---!?!?!?」
逆に絶望しかけていた肝太郎が、あることに気づいたー。
「--(この女、僕と同じアニメのグッズをー?)」
真梨香が、学校帰りに、肝太郎が好きなアニメのグッズを
購入して帰宅したのだー
「----(ど、どういうことだー?)」
しかも、そういえば最近、真梨香は少し太り出していたー。
肝太郎が好きなコーラをよく飲んだり、
ポテトチップスを食べたりしているからだろうかー。
「---この女、よく見たら以外と僕と同じ行動してるんだなぁ」
真梨香をなんとか乗っ取る方法ばかりをこの数日考えていたがー
よくよく真梨香の行動を観察しているとー
”自分”になんだか似ているような、そんな気がしたー
「---(へへへ、もう少しだけ観察するかー)」
真梨香から抜け出そうとしていた肝太郎は、
真梨香が、”自分と同じアニメが好きだった”ことを知り、
もうしばらく真梨香に”寄生したまま”にすることにしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーもう絶対に、わたし、あんたに乗っ取られたりしないから」
真梨香が肝太郎に向かってそう言い放つー。
真梨香の右手に、かすかに浮かび上がっている肝太郎の顔が
悔しそうに何かを呟くー
「-それよりさぁ、杏里ちゃん、かわいいよねぇ~」
真梨香がニヤニヤしながら、肝太郎も好きなアニメの
キャラクターのフィギュアを手にするー
”ん、え??あぁ、、か、かわいいよなー”
肝太郎はあっけに取られていたー
この女ー
精神的に立ち直るどころかー
なんだかーー
”違和感”を感じるー、
とー。
そして、その違和感は気のせいなどではなかったー
次第にー
真梨香に”明らかな違和感”が現れ始めたのだー
「--ーーふへへへへへへ…」
ニヤニヤしながら、肝太郎の好きな美少女キャラの
フィギュアを見つめる真梨香ー。
”この女も僕と同じキャラが好きだったなんて”
最初はそう思っていたー。
しかしー
違ったー
「--ぐへへへへへ… 僕は君を愛してるからね」
真梨香が気持ち悪い笑みを浮かべながら、
美少女フィギュアの太ももをペロリと舐めたー。
肝太郎がいつもしている行為だー。
「--こいつ…!」
肝太郎は、まるで”真梨香が肝太郎になりつつある”
そんな、気がしたー。
「--へへへへ…なんだか…変な気分だなぁ」
真梨香が呟くー。
「-ーわたし…真梨香なのに…
なんだか、、僕…へへへ お前みたいだ…♡」
真梨香はニヤニヤしながらスカートから見える足を触るー。
「--ふへっ…へへへへへ…♡
自分の身体なのに、興奮しちゃうなぁ…」
真梨香の狂気的な笑みに、真梨香に寄生している
肝太郎は、唖然としたー
”--な、、、な、、なんだお前…?どうしたんだ?”
思わず、真梨香に声をかけてしまうー
「へ、、へへへ 自分でもよく分からないけど、
なんか、、、わたし、、、いいや、僕……
だんだん、、、お前の気持ち分かるようになってきてさぁ♡」
真梨香が笑ったー。
真梨香が、コーラを飲み始めたり、
肝太郎と同じアニメやキャラを好きになったりしたのはー
”寄生”による影響ー
今までは”相手の精神が壊れる”のが先だったー
相手の精神が壊れたら、肝太郎はその女への寄生をやめて、
また別の女に寄生していたー。
だからーー
”こんな作用”があるとは知らなかったー
長期間に及んだ寄生は
やがて、真梨香の脳にまで及び、
真梨香本人が、肝太郎と全く同じ思考に染まりつつあったのだー
そしてー
1週間後にはー
真梨香は、肝太郎そのものになってしまっていたー
身体は真梨香だがー
思考は肝太郎そのものー。
「---ふへへへ 僕に寄生してくれてありがとうー
おかげでわたし…いいや、僕、肝太郎になれたよ」
真梨香が笑いながら言うー
左手に浮かび上がった肝太郎の顔を見ると
真梨香は嬉しそうに、左手にキスをしたー。
「--ねぇねぇ」
肝太郎と同じ思考に染まった真梨香が言うー。
「-な、なんだよ」
真梨香に寄生している肝太郎が言うと、
真梨香は笑ったー。
「-もっとさ、”肝太郎”を増やそうぜ?へへへ
できればエロイ女がいい」
真梨香の言葉に、
肝太郎は唖然としながらもー
「--お、、お前…マジで僕とそのものだな!」と笑うと、
真梨香の口から飛び出して、寄生虫から人間の姿に戻りー
笑みを浮かべたー
「---へへへへ…まさか僕がずっと寄生してると、
僕そのものになっちゃうなんて…へへへへ」
真梨香から抜け出した肝太郎は笑うー
真梨香はニヤッと笑うとー
「この女の友達の静奈ー
あの子も、肝太郎にしてやろうぜ?」と
コーラを飲みながら、嬉しそうに囁いたー
「お、、おう…そうだな…!え、、えっと、」
身体以外肝太郎になってしまった真梨香を見て、
本物の肝太郎が戸惑っていると、真梨香は静かに微笑んだー。
「--へへへへ 僕もお前も”肝太郎”だけど、
それじゃ呼びにくいだろうからな」
真梨香はあぐらをかくと、笑みを浮かべたー
「--二人きりの時は、僕のこと、肝次郎って呼べよ へへへー。
次に仲間を増やしたらそいつは肝三郎だー」
真梨香の言葉に、
肝太郎は「へ、、、へへへへ!」と笑いながら、
邪悪な笑みを浮かべたー
おわり
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コメント
寄生モノの最終話でした~!
どんどん、寄生が広がっていきそうな感じですネ~…!
「没バージョン(①部分の途中までの没版)」もあるので、
それもいつか公開したいと思います!
お読み下さりありがとうございました!!
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