<寄生>パラオタ~パラサイト・オタク~③”希望”(完)

”他人に寄生する力”を手に入れたオタク男ー

寄生されて、狂っていく少女ー。

それでも、必死に抵抗を続ける彼女の運命はー?

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オタク男・肝太郎に寄生されてしまった真梨香は
病院での入院を続けていたー

”くくく この女も壊れたか”
肝太郎は、”自分自身が寄生虫の力を得てからー
自分のことを”キモイ”という女に寄生して、乗っ取ってはー
壊してきたー。

そうすることで、幼少期からキモイキモイ言われ続けて来た彼は
なんとか精神を保っていたー。

”僕をキモイと言った罰だー”
放心状態で、窓の外を見つめる真梨香を、真梨香の中から
見つめながら、肝太郎は笑みを浮かべるー。

「--にしても、お前はよく粘ったほうだぜ」
真梨香の右手に、肝太郎の顔が浮かびあがるー。

「--他の女は、もっと早くイカれちまうやつが、ほとんどだからなぁ へへへへ」
肝太郎の言葉に、真梨香は反応を示さなかったー。

もう、真梨香の精神はズタボロだったー。

「-----殺して…」
真梨香が目から涙をこぼしながら呟くー

「-----もう、、、、つかれたー」
感情のない声ー
完全に、壊れてしまっているー。

”くくくくー
 もう、この女もおしまいだな”

肝太郎は、寄生した相手が壊れるまでを楽しんでいるー
”壊れてしまったおもちゃ”には興味はないー。

一人壊しては、また街中を歩き、自分のことをキモイと言ったり
避けるような仕草や、笑うような仕草を見せた人間に寄生するー
そして、またそれを壊すー。

今の肝太郎は、そんな生活を続けていたー。
金も足りなくなったら寄生した女を使って稼いだり、
お金を貰ったりしているから、問題はないー。

昔はどうあれー
今の彼は”キモイ”と言われ続けたことにより生まれたー
完全なサイコパスだったー。

肝太郎は、真梨香の身体から抜け出すことを決意するー。

だがー
その時だったー

病室の扉が開くー。

そこにはー
真梨香と一緒に行動していた大人しそうな女子生徒・静奈の姿があったー

「-----」
真梨香は虚ろな目で静奈の方を見るー

「---真梨香…来るのが遅くなってごめんねー」
静奈が悲しそうに呟くー

「-----しずな…」
真梨香が虚ろな目のまま呟くー

「--真梨香が何に悩んでいたのかわからないけどー
 気づいてあげられなくて、ごめん」
静奈は真梨香をやさしく抱きしめると、そう呟いたー。

教室で突然暴れ出しー
教壇に飛び乗って、静奈の顔面に放尿した挙句ー
一人で怒りの言葉を叫びー
自分の手でハサミで刺した挙句、病院に運ばれた真梨香ー。

しかしー
静奈は、それでも真梨香のことを見捨てなかったー

「-ーー真梨香が何も理由なく、あんなことするはずないもんー
 きっと何か、悩んでたんだよね。
 だからー、わたし、力になるからー。
 ゆっくりでもいいからー
 元気になってー」

静奈が優しく、真梨香を見つめるー。

真梨香が寄生されていることを知らない静奈からすれば
”いきなり尿をかけられた”状態で、真梨香に会いに来るのも
数日間躊躇っていたが、
それでも”やっぱり友達を見捨てることはできない”と、
今日、こうして真梨香に会いに来たのだったー

「しずなーーーー」
真梨香が目から涙をこぼすー。

寄生した肝太郎により”精神崩壊”状態だった真梨香の瞳がー
輝きを取り戻すー

”なんだと!?”
肝太郎は驚くー。
僕を馬鹿にしたこの女は、もう、完全に壊れたはずだとー。

「--真梨香!」
「---この前のことは気にすんな!」
「-わたしたち、待ってるからね!」

静奈の後ろから、静奈が連れて来た同級生5、6人が
姿を現して言葉をかけるー

「みんなーーー」
真梨香が目から涙をこぼしたー。

「--ありがとう…
 ありがとうーー

 わたしーーー
 頑張るからー」

精神崩壊ーー
一歩手前だった真梨香は、
クラスメイトたちの暖かい言葉で、再び気力を取り戻してしまったー

そしてー
すぐ後にやってきた家族の優しい言葉もー
真梨香に希望を与えたー。

”はぁあああああああああああああああああ??????????”
だがー
肝太郎は穏やかではなかったー。

”キモイ”と言われ続けて来た肝太郎からしてみればー
こんな”友情”や”家族愛”のような展開は、
”もっとも虫唾の走るー”内容だったー。

「---お前を滅茶苦茶にしてやる!」
真梨香の全身に肝太郎の顔が出現するー

「--ひっ!?」
悲鳴を上げる真梨香ー

「お願いだから、、お願いだから、わたしから出て行ってー!」
真梨香は、必死に叫ぶー

「--僕を怒らせたことを後悔させてやるぞ!」
全身に浮かび上がった肝太郎の顔が一斉に叫ぶー

「--ぁっ…」
身体の主導権を奪われた真梨香は
乱暴にベッドから起き上がると、
そのまま服を脱ぎ捨て始めたー。

「--お前を滅茶苦茶にしてやるー」
真梨香が怒り狂った表情で、
裸になったまま、病室の外に出て行こうとしているー

全身には、肝太郎の顔が浮かび上がったままー。

”社会復帰できないぐらいに壊してやるー”
怒り狂った肝太郎が、真梨香の身体を完全に支配して
病室の外に出て行こうとしたその時だったー。

「------て」

「--あ?」
肝太郎の意思とは異なる言葉が、真梨香の口から飛び出すー

「----出てって!」
真梨香が今度ははっきりと発音したー

病室の扉にかけた手が動かないー
裸の真梨香が、病室の外に出ていくことを拒んでいるー

「--わたしの身体から出てって!!!!!!!!!!!!」
大声で叫ぶ真梨香ー

”な…!?”
肝太郎は驚くー
真梨香本人の意識が、身体の主導権を取り戻したのだー

「--な…」
震える肝太郎ー

「--あんた、、、ホント、やってることがキモイ!!!!!!!
 これ以上、わたしの身体で好きにはさせないから!!!!!!!!!!」

大声で叫んだ真梨香ー

真梨香の強靭な精神力がー
肝太郎の支配を、拒んだーー

「----------!!!」
真梨香の全身に浮かび上がっていた肝太郎の顔が消えていくー。

”こ、、、この女…精神崩壊一歩手前だったのに……
 こんな……バカな…!”

肝太郎の意識が、真梨香の奥底に追いやられるー。

「ーーーわたし…負けない…」
真梨香はそう呟くと、乗っ取られて脱ぎ捨てた服を拾い、
すぐに再び身に着けたー。

”…くそっ…こいつ…!絶対に、、絶対に、壊してやるー”
肝太郎は、真梨香の中でそう叫んだー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー
真梨香は退院したー。

そして、学校にも復帰ー

”あのようなこと”があったのにも関わらず、
学校のクラスメイトたちは真梨香をやさしく出迎えたー。

”く、、くそっ”
肝太郎は表情を歪めるー

既に、これまでで”最長記録”を更新してしまったー。
今までにも多数の女に寄生してきたが
ここまで、壊すのに時間がかる相手はいなかったー。

真梨香が元々、強い精神力の持ち主だったのかー
それとも、真梨香の周囲にいる人々との絆が強かったのかー

いずれにせよ、真梨香は寄生された当初よりも、
元気になっていたー。

”くそっ…”
肝太郎は、”諦め”の感情を抱き始めていたー
真梨香に何を語ろうと、真梨香に軽くあしらわれー、
真梨香を乗っ取ることも出来ないー

歯軋りをしながら、真梨香から抜け出そうとした肝太郎ー

しかしーーーーー!

「---!?!?!?」
逆に絶望しかけていた肝太郎が、あることに気づいたー。

「--(この女、僕と同じアニメのグッズをー?)」

真梨香が、学校帰りに、肝太郎が好きなアニメのグッズを
購入して帰宅したのだー

「----(ど、どういうことだー?)」

しかも、そういえば最近、真梨香は少し太り出していたー。
肝太郎が好きなコーラをよく飲んだり、
ポテトチップスを食べたりしているからだろうかー。

「---この女、よく見たら以外と僕と同じ行動してるんだなぁ」

真梨香をなんとか乗っ取る方法ばかりをこの数日考えていたがー
よくよく真梨香の行動を観察しているとー
”自分”になんだか似ているような、そんな気がしたー

「---(へへへ、もう少しだけ観察するかー)」

真梨香から抜け出そうとしていた肝太郎は、
真梨香が、”自分と同じアニメが好きだった”ことを知り、
もうしばらく真梨香に”寄生したまま”にすることにしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーもう絶対に、わたし、あんたに乗っ取られたりしないから」

真梨香が肝太郎に向かってそう言い放つー。

真梨香の右手に、かすかに浮かび上がっている肝太郎の顔が
悔しそうに何かを呟くー

「-それよりさぁ、杏里ちゃん、かわいいよねぇ~」
真梨香がニヤニヤしながら、肝太郎も好きなアニメの
キャラクターのフィギュアを手にするー

”ん、え??あぁ、、か、かわいいよなー”
肝太郎はあっけに取られていたー

この女ー
精神的に立ち直るどころかー
なんだかーー
”違和感”を感じるー、
とー。

そして、その違和感は気のせいなどではなかったー

次第にー
真梨香に”明らかな違和感”が現れ始めたのだー

「--ーーふへへへへへへ…」
ニヤニヤしながら、肝太郎の好きな美少女キャラの
フィギュアを見つめる真梨香ー。

”この女も僕と同じキャラが好きだったなんて”
最初はそう思っていたー。

しかしー

違ったー

「--ぐへへへへへ… 僕は君を愛してるからね」
真梨香が気持ち悪い笑みを浮かべながら、
美少女フィギュアの太ももをペロリと舐めたー。

肝太郎がいつもしている行為だー。

「--こいつ…!」
肝太郎は、まるで”真梨香が肝太郎になりつつある”
そんな、気がしたー。

「--へへへへ…なんだか…変な気分だなぁ」
真梨香が呟くー。

「-ーわたし…真梨香なのに…
 なんだか、、僕…へへへ お前みたいだ…♡」

真梨香はニヤニヤしながらスカートから見える足を触るー。

「--ふへっ…へへへへへ…♡
 自分の身体なのに、興奮しちゃうなぁ…」
真梨香の狂気的な笑みに、真梨香に寄生している
肝太郎は、唖然としたー

”--な、、、な、、なんだお前…?どうしたんだ?”
思わず、真梨香に声をかけてしまうー

「へ、、へへへ 自分でもよく分からないけど、
 なんか、、、わたし、、、いいや、僕……
 だんだん、、、お前の気持ち分かるようになってきてさぁ♡」

真梨香が笑ったー。

真梨香が、コーラを飲み始めたり、
肝太郎と同じアニメやキャラを好きになったりしたのはー

”寄生”による影響ー

今までは”相手の精神が壊れる”のが先だったー
相手の精神が壊れたら、肝太郎はその女への寄生をやめて、
また別の女に寄生していたー。

だからーー
”こんな作用”があるとは知らなかったー

長期間に及んだ寄生は
やがて、真梨香の脳にまで及び、
真梨香本人が、肝太郎と全く同じ思考に染まりつつあったのだー

そしてー
1週間後にはー
真梨香は、肝太郎そのものになってしまっていたー

身体は真梨香だがー
思考は肝太郎そのものー。

「---ふへへへ 僕に寄生してくれてありがとうー
 おかげでわたし…いいや、僕、肝太郎になれたよ」
真梨香が笑いながら言うー

左手に浮かび上がった肝太郎の顔を見ると
真梨香は嬉しそうに、左手にキスをしたー。

「--ねぇねぇ」
肝太郎と同じ思考に染まった真梨香が言うー。

「-な、なんだよ」
真梨香に寄生している肝太郎が言うと、
真梨香は笑ったー。

「-もっとさ、”肝太郎”を増やそうぜ?へへへ
 できればエロイ女がいい」
真梨香の言葉に、
肝太郎は唖然としながらもー

「--お、、お前…マジで僕とそのものだな!」と笑うと、
真梨香の口から飛び出して、寄生虫から人間の姿に戻りー
笑みを浮かべたー

「---へへへへ…まさか僕がずっと寄生してると、
 僕そのものになっちゃうなんて…へへへへ」

真梨香から抜け出した肝太郎は笑うー

真梨香はニヤッと笑うとー
「この女の友達の静奈ー
 あの子も、肝太郎にしてやろうぜ?」と
コーラを飲みながら、嬉しそうに囁いたー

「お、、おう…そうだな…!え、、えっと、」
身体以外肝太郎になってしまった真梨香を見て、
本物の肝太郎が戸惑っていると、真梨香は静かに微笑んだー。

「--へへへへ 僕もお前も”肝太郎”だけど、
 それじゃ呼びにくいだろうからな」
真梨香はあぐらをかくと、笑みを浮かべたー

「--二人きりの時は、僕のこと、肝次郎って呼べよ へへへー。
 次に仲間を増やしたらそいつは肝三郎だー」

真梨香の言葉に、
肝太郎は「へ、、、へへへへ!」と笑いながら、
邪悪な笑みを浮かべたー

おわり

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コメント

寄生モノの最終話でした~!
どんどん、寄生が広がっていきそうな感じですネ~…!

「没バージョン(①部分の途中までの没版)」もあるので、
それもいつか公開したいと思います!

お読み下さりありがとうございました!!

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寄生<パラオタ>

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