憧れのクラスメイトの笑顔の裏に隠されていた秘密ー。
それを知った彼は、
ある決断を下したー。
笑顔の裏に潜む”闇”の先に待つ結末は…?
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「だめだ!」
美冬(達也)はそう叫んで、達也(美冬)を振り払ったー。
”元に戻るため”
入れ替わり薬を飲んで、入れ替わるためにキスしようとしていた
達也(美冬)を振り払ったのだー。
「---え…」
達也(美冬)が戸惑うー。
「---俺…まだ、、まだ、戻るわけにはいかない」
美冬(達也)が叫ぶー。
「--え…で、、でも…?
わたしの家…
地獄みたいだったでしょ?
もう、倉林くんが苦しむ必要はーー」
「--ダメだ!そんなこと、俺にはできない!」
達也になった美冬の言葉を遮り、
美冬になった達也が叫ぶー
普段、あまり感情的にならない美冬のー
感情的な声は、とても新鮮とも言えたー。
「--雨宮さんが、あんな状況なのに、
それを見捨てて元に戻るなんて、俺には、できないよ」
美冬(達也)が言うと、
達也(美冬)は、「--倉林くん」と、悲しそうに呟くー。
「--俺、なんとかしてみせるからー…
だから…もう少しだけ、もう少しだけ、入れ替わったままでいいかな…?」
美冬(達也)が言うと、
達也(美冬)は少しだけ笑みを浮かべた後に「ありがとう…」と、頷いたー。
「---あ!」
美冬(達也)が、声を上げるー。
「べ、別に、雨宮さんの身体でいたいとか、そういうわけじゃないから!」
と、顔を赤くしながら美冬(達也)は言うー。
”雨宮さんにエッチなやつだと思われたらまずいからな…”
「---ふふっ、わかってる。大丈夫」
達也(美冬)が微笑むー。
そんな笑顔を見て、美冬(達也)は少しだけ顔を赤らめると
「中身が雨宮さんだと、身体が俺でも可愛く見えるな…」と
照れ臭そうに笑ったー。
学校生活を送るふたりー
”憧れの雨宮さん”みたいには、慣れないけれど、
それでも、振る舞いは、出来る限り”いつも通り”に
なるように心掛けたー。
”こんなに、気を使っているのかなぁ…”
自分が、雨宮 美冬として1日を過ごすことで、
普段、美冬がどれだけ学校で、周囲に気遣っているのか
分かった気がするー。
そして、帰宅すれば待っているのは、地獄ー。
だがー
この地獄から美冬を”解放”することが出来ればー…。
昼休みー
美冬(達也)は、達也(美冬)を呼び出したー
”あること”を確認するためにー
「--お母さんの実家?」
達也(美冬)が首を傾げるー。
「-あぁ。死んだお母さんの…その、おばあちゃんとか、
あとは、お父さん側の両親とか、そういう人に
助けを求められないかな?って思ってー」
美冬(達也)は、そう提案したー
ああいう状況は”外部”に助けを求めるのが一番だとー。
だが、父親側の両親は、父親が上手く騙していて
協力は得られないとのことで、
母親側の両親は、既に死亡していたー。
「--そっか」
美冬(達也)は残念そうに呟くー
”外部の助け”を借りることも出来ない状態ー
美冬は、どれだけ今まで、苦しんできたのだろうかー。
「----」
達也(美冬)は、「やっぱり、無理しなくていいよ」と、
美冬(達也)の身を案じるー。
しかしー
美冬(達也)は、「大丈夫」と答えるー。
美冬になって、色々な経験をすることが出来たー
まさか”こんな秘密”があるとは思えなかったけれど、
元々、美冬のことが気になっていて、
同じ文化祭実行委員になって浮かれたぐらいの達也からしてみれば
”このチャンス”を絶対に生かしたかったー。
「--なんとか、するからー」
美冬(達也)はそれだけ言うと、
笑顔で、「俺もたまには、誰かの役に立ちたいからー」と、
言葉を付け加えたー
「本当に、ありがとうー」
達也(美冬)も微笑むー。
笑顔を浮かべる二人ー。
だがー
この時は、まだ知らなかったー
笑顔の裏に潜む”本当の闇”をー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した美冬(達也)はいきなり兄の亮人に殴られたー。
そして、「早速、ヤラせろよ」と言い放つ亮人に対してー
抵抗できないまま美冬(達也)は部屋に引きずり込まれたー。
亮人が指定した、エッチな下着を身に着けさせられて、
まるでおもちゃのように弄ばれる美冬(達也)-
恐怖ー
怒りー
あらゆる感情が再び巻き起こるー
美冬の身体が感じる快感の虜になりそうになりながらも、
怒りと恐怖、
こんな人生を送って来た美冬に対する強い同情が
それを、塗りつぶしていくー
「--はぁ…♡ はぁ…♡ はぁ…♡」
乱れ切った髪型ー
乱れ切った表情の美冬が鏡に映るー
美冬(達也)は、”この家族をなんとかしないと”と、
思いながら、昨日と同じように、服を脱がされてー
首輪をはめられて、まるで犬のように、
リビングへと向かわされたー。
父の茂助と兄の亮人が、笑いながら雑談をしているー。
カセットコンロを使い、鍋を作りながら、
美冬(達也)に向かってドッグフードを放り投げる父・茂助ー
「----------」
だがー
美冬(達也)は、ある決意をしていたー。
「--ふざけるなよ」
小さな声で呟く美冬(達也)-
父・茂助と兄・亮人が驚いた表情を浮かべるー。
「-お前ら、いい加減にしろよ!」
首輪をつけたまま、裸で立ち上がる美冬(達也)-
父・茂助は「いい加減にするのはテメェだ」
と言いながら、美冬(達也)に近づいてきたー。
そして、
美冬(達也)の髪を引っ張る茂助ー。
「--お前は、啓子(けいこ)になるんだー」
茂助が笑みを浮かべるー。
父・茂助と、兄・亮人は
”母親の犠牲”で生まれて来た美冬を
死んだ母親”啓子”に仕立て上げようとしていたー。
父・茂助にとっては妻ー
兄・亮人にとっては母である啓子の死に、
2人は耐えられなかったー
既に、この二人は、狂っているー。
「--お前を殺さないのは、
お前を使って、もう一度啓子に会うためだー。
だから、お前を啓子と同じ高校に行かせてるんだー
だから、お前を啓子と同じ大学に行かせようとしてるんだー」
狂った声で笑う茂助ー。
美冬(達也)は
”どうして、娘をペットのように扱うこいつらが、
美冬を高校に行かせたのか”を理解したー。
美冬を、死んだ母親と同じ”学歴”にして、
死んだ母親の代わりにしようとしているのだとー。
「狂ってる!」
美冬(達也)が、父・茂助を突き飛ばすと、
茂助は机に激突したー。
机の上の料理や食器が崩れ落ちるー。
「--美冬!!!調子に乗るんじゃねぇ!」
兄・亮人が鬼のような形相で近づいてきたー
台所の刃物を手に、
美冬(達也)と取っ組み合いになるー。
なんとかしてーー
なんとかして、こいつらをーー
ここで刺されたらーーー
終わりだー。
美冬(達也)が必死に抵抗するとー
亮人は包丁を落として机の方に突き飛ばされたー
カセットコンロが吹き飛び、こぼれた油から、引火するー
「あっ!」
亮人が叫ぶー
父・茂助は、先ほど突き飛ばされた際に頭を打って動かないままー。
「--あぁぁあああああああああっ!」
兄・亮人が叫ぶー
美冬(達也)は身体を震わせていたー。
「----おまえ…!おまえだ!!!
全部おまえのせいだ!
母さんが死んだのも、なにもかもっ!」
炎が広がっていくー
兄・亮人は泣き叫びながら、父・茂助に呼びかけるー。
「父さん!おい!やばいよ!父さん!早く、早く起きてくれよ!」
叫ぶ亮人ー
だが、父親は頭から血を流していたー。
「---…あ…あ…」
首輪をつけられた状態のまま美冬(達也)は、
慌てて近くの服を拾って、そのまま家の玄関の方に向かうー。
「---……みぃふぅぅゆううううううううううううう!!!!!!!」
兄・亮人の鬼ような声は、炎にかき消されー
そのままー
雨宮家からは、炎が巻き上がったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「-----な、何があったの!」
駆け付ける達也(美冬)-
”自分の家が火事になっている”ことを知り、
慌てて、達也になった美冬も駆け付けたのだー。
「---ごめん…」
美冬(達也)が呟くー。
「--雨宮さんを、助けようと必死になってたらー
こんなーーー」
美冬(達也)は、焼け落ちる家を見つめるー
父・茂助と兄・亮人は助からないだろうー。
もう、死んでいるかもしれないー
達也(美冬)は目に涙を浮かべながら、
「もう十分…ありがとう」と、呟くと、
入れ替わり薬を手に、身体を元通りにしようとするー
「だめだ!」
美冬(達也)は叫んだー。
「-たぶん、俺、このあと、捕まるからー…
雨宮さんに、俺の罪を償わせることはできないー」
美冬の年齢や、
父と兄の暴行などの証拠から、罪はそれほど重くならないかもしれないー
だが、それでもー
しばらくの間は、今までのように自由に生活することは出来ないー。
「----倉林くんー」
達也(美冬)は、戸惑いの表情を浮かべるー。
色々な思いが頭の中を駆け巡るー。
悪魔のような存在だったとは言え、
父と弟は死んだ。
そのことを”感謝”するのはおかしいのかもしれないー。
けれどー
それでもー
”達也に対して”
「ありがとうー わたしのためにー」
と、感謝の気持ちを述べたー。
「---…本当に、ごめん」
美冬(達也)は悲しそうな笑顔を浮かべながら言うー。
「--俺が出て来るまでー
俺の身体ー
預かっておいてーー…
罪を償ったら、この身体、返すからー」
美冬(達也)の言葉に、達也(美冬)は静かに頷いたー
警察が駆けつけて、美冬(達也)が連行されていくー。
「----…倉林くんー」
連行されていく美冬(達也)を見つめながら、
達也(美冬)は、燃え尽きる自宅を見つめたー。
「----」
あんなに酷い人たちでも、
父や兄は、たった一人ー。
達也(美冬)は
「わたしのせいで…お母さんが…
ごめんなさい…」と、
母親の命と引き換えに生まれてきた苦しみを
口にしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数年後ー
達也(美冬)は大学生になり、
”大学生”として、普通の生活を送っていたー
”達也”としての生活にも慣れて
数年間も”男”として過ごすと、
”男”として過ごす方が自然な感じになって来るー。
「--あぁ、じゃあな」
達也(美冬)が友達に手を振って、
家の方に向かうー。
けれどー。
達也(美冬)は、少しだけ寂しそうに空を見上げたー。
「-----……」
自虐的に微笑むと、
達也(美冬)は、そのまま、家に向かって歩き出したー
彼女は
”笑顔の裏に潜む闇”を知ってしまったからー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
美冬(達也)はとっくに釈放されていたー。
だがー
達也(美冬)に会いに行くことはなくー
姿を消したー。
「---はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡
俺、、雨宮さんみたくなりたかったんだー」
美冬に元々憧れを抱いていた達也ー。
「--そんな俺が…雨宮さん、、そのものに♡」
嬉しそうにポーズを決める美冬(達也)-
行方を晦ました美冬(達也)は遠い地で、
バイトをしながら、生計を立てていたー。
”優しい美冬”を、自分がそのまま継承しながらー。
美冬と入れ替わった後ー
最初はそんなことを考えていなかったのだが、
兄・亮人に乱暴された際に、
女の快感を知ってしまい、病みつきになってしまったー
虜になってしまったー。
そして、達也は”さりげなく美冬の人生を奪う”ことを考えたー。
そのためにはー
美冬の父と兄が邪魔だったー。
2人をうまく始末しー
”逮捕”されることを理由に、達也(美冬)から
”しばばく身体を借りる”約束を取り付けー
釈放された後に、姿を消したー
「---ごめんな…でも、俺、我慢できないんだ…♡」
美冬(達也)は、自分の足を触りながら
嬉しそうに微笑むー。
途中から、美冬の身体を奪うことで頭がいっぱいになっていた
達也ー。
そんな達也の笑顔ー
笑顔の裏に潜む闇をー
美冬は、見破ることができなかったー
「美冬は俺のものだ…いや、俺が美冬だ♡」
美冬(達也)は小さくそう囁いたー。
おわり
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タイトルは男子側の方の闇を示していました~笑
途中から欲望に支配されてしまったのですネ~!
お読み下さりありがとうございました!!
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