42歳の独身男性と、異世界の姫様が入れ替わってしまったー。
環境の変化に戸惑いながらも
”望んだ環境”を手に入れた二人はー?
-------------------------—
「-ーーーお顔が、赤いようですがー?」
メイドが、心配そうに、エレナ姫(誠吾)の方を見つめるー
「だ、、だ、、だ、、大丈夫、、です!」
エレナ姫(誠吾)は、顔を真っ赤にしながらそう言うと、
メイドに手伝われながら、ドレスへの着替えを終えたー
「(お、、お、、お、、俺が、、姫… ぶふぅぅ)」
鼻血を噴きだしながら、顔を真っ赤にして倒れてしまう
エレナ姫(誠吾)-
「ひ、、姫様!?」
メイドが、倒れたエレナ姫(誠吾)に駆け寄るー
(なんなんだこの状況…)
倒れたエレナ姫(誠吾)の周りに
美人なメイドさんたちがたくさん駆け寄って来るー
”天使だー”
”俺は、天使に囲まれているー”
”あぁ、そうか、ここは天国かー”
”俺、死んだのかなぁ”
そんな風に思いながら、メイドたちが必死に
エレナ姫(誠吾)をベッドに運ぼうとするー
メイドの髪や胸があたったり、
手に触れたりするだけで、
エレナ姫(誠吾)は、ドキドキゾクゾクしてしまいー
鼻血を流したまま、へらへらとエレナ姫(誠吾)は
笑っていたー
やがて、ベッドに運ばれると、エレナ姫(誠吾)は、
そのまま、ふわふわした気持ちになって、
眠りについたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---わぁ!すごい!!すごい!!すごい!」
部屋を荒らしまわる誠吾(エレナ姫)
「-なにこれ!?なにこれ!?!?!!?」
誠吾(エレナ姫)は、
スマートフォンを見たり、テレビを見たり、パソコンを見たりー、
”クローバー王国”には、存在しないモノの数々を
見つめて、嬉しそうに微笑むー。
「--神様ありがとう!」
誠吾(エレナ姫)は嬉しそうにそう叫ぶと、
近くに置かれていたジャージに着替えて「変な格好!」と
クスッと笑いながら、外に出かけたー。
街を歩き回る誠吾(エレナ姫)-
思わず、笑みがこぼれてしまうー。
色々なお店に入っては、お店を見つめてー
笑みを浮かべるー
”自由”-
自由を手にしたエレナ姫は、
最高の気分を味わっていたー
メイドも、執事も、騎士団もいないー
「--ふふっ♪」
ご機嫌になった誠吾(エレナ姫)は、
嬉しそうにスキップしながら街を走るー。
「---~~~」
「なんだあいつ」
「ヤバくね?」
だが、異世界の姫様と誠吾が入れ替わっている、
などと夢にも思わない通行人たちからすれば
”42歳の冴えないおっさん”が
ヘラヘラ笑いながら街中でスキップしているようにしか見えないー
”ここは地獄か?”と思ってしまうような光景ー。
「--きゃっ!危ないじゃないの!」
車に向かって叫ぶ誠吾(エレナ姫)-
「アブねぇのはテメェだ!」
車の運転手が叫ぶー。
歩行者用の信号は”赤”-
明らかに、誠吾(エレナ姫)が悪い状況だったー
「-あら?その口の利き方は何?」
誠吾(エレナ姫)が頬を膨らませながら言うー。
「--ねぇ、こいつなんかおかしいよ」
助手席の女が運転手に言うと、
運転手の男は「--きもいんだよ!」と捨て台詞を残して
そのまま走り去っていったー
「--もぅ!野蛮なんだから!」
頬を膨らませる誠吾(エレナ姫)-
いつの間にか、誠吾(エレナ姫)の周囲には、人だかりが出来ていたー
それもお構いなしに、街中を見回すと、
やがて、はしゃぎすぎて少し疲れたのか、
誠吾(エレナ姫)は、そのまま誠吾の部屋に帰宅して
昼寝をし始めてしまったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--------!」
「---------!!!」
誠吾とエレナ姫が目を覚ますとー
そこは、真っ白な何もない空間だったー。
エレナの目の前に、冴えないおっさんがいるー
誠吾の目の前に、異世界の姫様がいるー。
「---あ、姫様…!」
誠吾が、エレナ姫を指さすー
誠吾はー
さっき、自分が”姫”になっていた光景を
夢だと思っているため、
「夢の中のー」と、つけ加えたー
エレナ姫も「あ…あなたは…」と呟くー。
さっきまで”自分の身体”になっていた男だー、と。
「---」
「---」
2人は困惑しながら、
「あのっ!」と同時に叫ぶー。
そして、誠吾は、さっきまで自分が”姫”になっていたことをー
エレナ姫は、さっきまで自分が”誠吾”になっていたことを口にしたー
しばらく話を続ける二人ー
「-もしかして、俺たち、入れ替わっちゃったってことですかね?」
誠吾が言うと、
エレナ姫は「そうかもしれないね!」と、嬉しそうに頷くー。
お互いの自己紹介をする二人ー
”夢”だと思っていた誠吾は、さっきの光景が夢ではなく
本当に入れ替わっていたことを悟るー。
エレナ姫も、さっきの光景は、現実であると悟ったー。
「--まさか、全然違う世界のお姫様と入れ替わってしまうなんて…」
誠吾が言うと、エレナ姫は「わたしもびっくり」と、笑うー。
2人は、偶然、同じタイミングで”自由になりたい”
”お姫様みたいになりたい”と願いながら寝たことで
入れ替わってしまったようだったー。
お互いの境遇や、お互いの人生、お互いの世界について話し込む二人ー
やがてー、
エレナ姫は笑ったー。
「--わたし、このままあなたの世界で生活したいな~」
と。
「--え?お、、俺みたいなおっさんになりたいんですか?」
唖然としながら誠吾は言うー。
「-だって、自由なんだもん!
わたし、全然自由とかなかったし、もう毎日毎日うんざりで!」
エレナ姫が笑うー。
「--……あなたは、”姫”になりたかったんでしょ?
だったら、”交換”しましょ?
自由はないけどー
あなたがなりたいお姫様には、なれると思うしー」
エレナ姫が言うと、
誠吾は「マ、、マ、、マジで!?」と、思わず叫んでしまうー。
まさか、相手のお姫様から
”入れ替わったまま”の生活を提案されるなんてー、と
思いながら「こ、交換します!します!」と叫ぶー。
「ふふ!決まり!やった!」
エレナ姫が嬉しそうに言うー。
”42歳の冴えないおっさんになれることを喜ぶお姫様”
誠吾は、思わず笑ってしまうー。
2人は、”お互いとして生活するための”最低限の情報を相手に伝えるー
「--ばいと?」
エレナ姫が首を傾げるー
「-そう。さっき言いましたけど、お金を自分で稼がないといけないのでー
俺はその、”バイト”っていうのをしてるんです。
コンビニ、っていうのはーー」
誠吾が、丁寧にエレナ姫に説明していくー
相手が”姫様”であることを考え、敬語を使う誠吾ー
「うん!わかった!面白そう!」
エレナ姫が両手をポン!と叩いて笑うー
「いやぁ、面白くなんかないですよ。
毎日毎日、うんざりでー」
誠吾が言うと、エレナ姫は「それはわたしも同じだから」と、笑いながら、
”姫”としての生活を説明するー
「-まぁ、あなたみたいに何かやる必要はあんまりないんだけど、
とにかく、メイド!メイド!執事!執事!騎士団!騎士団!で
うんざりしちゃう感じ!
…ほんとに、大丈夫?」
エレナ姫が”自分なんかの生活と入れ替わって大丈夫?”と
不安そうにするー。
「いやいやいや、むしろ、俺からお願いしますって感じですよ!
メイド!メイド!とか、もう、天国じゃないですか!」
誠吾が言うと、
エレナ姫はクスクスと笑ったー
お互いに相手のことを”変な人”と思いながらー
2人は握手を交わしたー。
「---------」
目を覚ますエレナ姫(誠吾)-
「---姫様!お目覚めですか!?」
メイドの一人が嬉しそうにエレナ姫(誠吾)に駆け寄るー。
「--あ、う、、うん」
エレナ姫(誠吾)はメイドの方を見ながらそう言うと、
静かに微笑んだー。
(そうか…寝ている間は、相手と会話できるってことなのかな)
エレナ姫になった誠吾はそう思うー。
”相手と同じタイミングで寝る”と、
入れ替わった相手と、次元を超えて会話できるのかもしれないー。
「--リリ?」
エレナ姫(誠吾)が、心配して駆け寄って来たメイドのことを呼ぶー
さっき、夢の中で出会ったエレナ姫が
メイドの名前と特徴を教えてくれたー。
試しにその名前を呼んでみたのだー
「--わ…!姫様…わたしの名前、憶えて下さっていたのですね!」
リリが嬉しそうに言うー。
(…なるほど)
エレナ姫(誠吾)は、さっき、白い世界でエレナ姫と会話したのは
夢ではなかったと確信するー。
メイドの名前が、ちゃんと合っていたからだー。
「--(姫になれるとか、最高じゃん!周りに天使がいっぱいだし!)」
エレナ姫(誠吾)はニヤッとしながら立ち上がると、
「もうわたしは大丈夫!」と、大袈裟なリアクションをしながら、
メイドのリリの方を見てほほ笑んだー
「--わぁ~~~~~~~!すっげえええええええええええ!!!!」
思わず叫んでしまうエレナ姫(誠吾)-
夜ー。
豪華な食事を前に、目をキラキラさせながら叫ぶエレナ姫(誠吾)-
値引きされたからあげ弁当ばかり食べていた誠吾から
してみれば、ありえないほど豪華すぎる食事だったー
「え??え??いつも?いつもこんな???」
エレナ姫(誠吾)が言うと、
執事は首を傾げながらも「はいー」と答えたー
(うわぁ…やっぱここ天国じゃんー!
パラダイスじゃん!)
そんな風に思いながら、エレナ姫(誠吾)は
ガツガツと料理を食べ始めたー
お姫様としての振る舞いは全く見られずー
ガッガッ、食べ続けるエレナ姫(誠吾)-
護衛のために同席していた第5騎士団長のライナスも
(今日の姫様は随分…ワイルドな感じだな)と、心の中で
少し引き気味に疑問を抱いていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--これが、”ばいと”」
誠吾になったエレナ姫は、誠吾から聞かされていた通り
バイト先のコンビニにやってくると
目をキラキラさせながら、店内を見渡したー。
「---………よ~し!頑張るぞ!」
妙に張り切った様子の誠吾(エレナ姫)を見て、
店長や、他のバイトスタッフが表情を歪めるー。
”ほどほどに”仕事をしていたが、誠吾は
どちらかというと、あまり生気のないタイプだったー。
「--ーーいらっしゃいませ~!」
誠吾から教わった通りに、接客もこなす誠吾(エレナ姫)-
小さいころから英才教育を受けていたエレナ姫は、
物分かりが早く、あっという間に、
コンビニの”接客”自体には適応したー。
だがー
「-(これが、”れじ”?)」
ゴクリと唾を飲み込む誠吾(エレナ姫)-
”レジ”のことも、当然誠吾から説明を受けていたのだがー
実際にいじりながら説明を受けたわけではないし、
そう簡単にはいかなかったー。
そもそも、エレナ姫の住んでいる世界ー
クローバー王国にはこのような”機械”の類は
あまりないのだー。
「--う~ん」
指1本1本で、戸惑いながらレジを操作していく
誠吾(エレナ姫)-
「ッチ」
客の年配の男が露骨に舌打ちを始めるー。
「-ちょっと!山城さん!何やってんですか!」
女子大生バイトが不機嫌そうに、誠吾(エレナ姫)を突き飛ばすー
「ご、ごめんなさいー」
誠吾(エレナ姫)はそう言いながらも、
どこか嬉しそうだったー。
”ーこれが、鳥かごから解き放たれた鳥の世界ー”
ぷくっ、と頬を膨らませながら誠吾(エレナ姫)は、
女子大生バイトがレジを終えると宣言したー。
「--次は、あなたには負けない!」
とー。
「--はぁ?何言ってるんですか?」
さらに不機嫌になる女子大生バイトー。
だがー
そんなことお構いなしに、負けず嫌いのエレナ姫は
”この”ばいと”でまずは一番になってやるわ!”と
誠吾の姿のまま、メラメラと闘志を燃やしたー。
なんとか1日目のバイトを終えた誠吾(エレナ姫)はー
帰りに”スーパー”に寄ったー
目を輝かせながら売り場を見つめる誠吾(エレナ姫)-
”お金で、モノを買う”
それは、エレナ姫のいた世界と同じだが-
露店のようなモノや、取り扱い商品が限られている道具屋の類が多く、
スーパーのような施設はクローバー王国にはないー
”限られたお金の中で、限られた食べ物を買う”
という行為自体を楽しんだ誠吾(エレナ姫)は、
誠吾がいつも食べているという”からあげ弁当”を購入して、
そのまま家へと戻って行ったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エレナ姫になった誠吾は、
”姫”としての1日を終えて、笑みを浮かべたー
”姫とか、マジでイージーモードすぎる!”
身の回りの世話をしてくれて、
色々決断するべきことはあっても、
仕事自体は”楽”だと誠吾は感じていたー
まだ若いからか、宰相を始め、他の重鎮が
ある程度姫の負担を軽減できるよう、働いているのだー
そして、何よりー
「(可愛いメイドたちに囲まれて… しかも俺自身も可愛い姫ー)」
ヘラヘラしながら、周囲のメイドたちを見つめる
エレナ姫(誠吾)は、
”姫になってよかった…”と心の底から思うのだったー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
相手の立場を満喫している二人…
このままうまく行くのでしょうか~?
今日もお読み下さり、ありがとうございました!
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