<入れ替わり>姫様フリーター①~望む人生~

ある日、
「異世界の姫」と「42歳独身フリーター」が
入れ替わってしまった!

全く異なる世界・立場になってしまった二人の
運命は…?

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「---ありがとうございました~」
コンビニで働く冴えないおじさん…という感じの風貌の男が、
事務的にそう言葉を口にするー。

”いつもの”接客だー。

弁当を買っていた客に
”温めますか?”と聞いたところ”あ”と返事が返ってきて、
温めないのだと思い、そのまま弁当を袋詰めしたところ、
キレられたー。

コンビニで接客をしていると、
驚くほどに”救いようのないやつら”がいることに気づかされるー。

彼、山城 誠吾(やましろ せいご)は、そう思わずにはいられなかったー。

だが、コンビニの接客においては
”理不尽”に耐えることも要求されるー。

店長やオーナーからの理不尽ー
客からの理不尽ー

そしてーー

「----山城さんって、臭くないですか?」
「--おい!聞こえるぞー」

バイト仲間からの”理不尽”

山城誠吾ー
42歳独身ー。
彼の人生は、”無色透明”だったー。

最近では、年齢のせいか、趣味も楽しめなくなったー。
生きるためにコンビニでバイトをして、
帰宅して、割引された298円のからあげ弁当と、
ストロングゼロを胃の中に流し込むー。

そんな、人生だー。

生きてはいるがー
生きてはいないー。

正社員として就職して、活躍していた彼だったが、
会社の経営が、とある出来事により、急激に悪化、
結果リストラされてしまい、このザマだー。

既に、この年齢では、なかなか正社員で雇ってくれる企業などない。

それが、この世の中の現実ー。

「-ー俺はこの…からあげ弁当のパスタと同じだなー」
自虐的に笑う誠吾ー。

彼はー
人生に退屈していたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--姫様!」

「--も~~~!分かってるってば!」
頬を膨らませて立ち上がるのは、
全く別の異世界”クローバー王国”の姫、エレナ-。

彼女は、父親である国王が早くに死亡してしまったことから、
若くして、クローバー王国を統治する立場になってしまったのだったー。

「---姫様…こちらでございます」
執事の男が、エレナ姫に向かって頭を下げるー

「--そのぐらい、分かってるもん!」
エレナ姫は、そう言うと、そのまま歩き出すー。

年齢で言えば、まだ遊びたい年頃のエレナー。

小さいころから甘やかされて育ったからか、
世間知らずで、我儘な性格ー。
けれども、その一方で、小さいころから英才教育を受けていたことからかー、
知識は豊富で、頭の回転も速いー。

天才的な能力で執務を圧倒的に終えて見せると、
驚く執事に対して、「このぐらいちょろいから!」と、
ドヤ顔で言い放って、そのまま自分の部屋に戻って行ったー。

部屋に戻ったエレナ姫は、ベッドに寝転び、天井を見上げるー。

執事やメイドが、なんでも世話をしてくれるし、
何かをお願いすれば大抵のことは聞いてくれるー。

けれどー
”自由”がないー。

エレナ姫は、まだ若いからか、
王国の騎士も、執事も、メイドも、みんな
”過保護”に接してくるー。

部屋の外には常に見張りの騎士がいるし、
一人で行動することも許されないー。

外に、一人で出ることも許されていないのだー。

「---わたしも、あなたと同じなのかもねー」
部屋で飼っている小鳥を見つめるエレナ姫ー

自分は、この鳥かごの中にいる小鳥と同じー。
檻の中では自由に動けるし、
檻の中では何不自由なく生活できて、”外”の人間が守ってはくれるけれどー

それは、あくまでも”檻の中”でだけー。

「ーーわたしもあなたも、檻の中の小鳥ー」

エレナ姫はそう呟くと、
ベッドの上で眠りについたー。

彼女もまたー
人生に退屈していたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ある日ー

「ーーーレジ袋が有料?ケチくさいこと言ってんじゃねぇよ」
誠吾は、酔っ払いのおっさんに絡まれていたー

何がケチ臭いことだー。
誠吾はそう思った。

”とっくにレジ袋は有料になってんじゃねぇか”
とー。

「--申し訳ございません。」
それでも、誠吾は謝罪の言葉を口にするー

それが、コンビニの店員の宿命でもあったー。

「--何が3円だ。3円ぐらいケチケチすんなよ。
 あんた、独身だろ?そんなこと言ってっからモテねぇんだよ」
酔っ払いの絡みはエスカレートする。

いわゆるウザ絡み、クレーマーの類だー。

”どっちが3円をケチってんだよ。いいから3円出せよ”

そんな風に思いながらも誠吾は
レジ袋有料化に理解を求めるー。
もちろん、不満を顔に出さずに、丁寧に、だー。

「---…申し訳ございませんお客様ー。
 今回は、こちら、対応させていただきますので」
店長が奥から出てきて、酔っ払いのおっさんに
レジ袋をサービスするー。

「--え」
と、思いながらも、酔っ払いの男の接客を終えると、酔っ払いの男は
「-お前みたいなおっさん、接客向いてねぇよ」と
捨て台詞を残して立ち去って行ったー。

「--山城くん。臨機応変に対応しなくちゃ」
店長は、誠吾を責めるような口調で言ったー。

「---も、申し訳ありません」
誠吾は”何で俺が悪者なんだよ!”とツッコミを入れたくなるー。

こういう店長の弱きな姿勢が
ああいうクレーマーを増長させるのだー。

女子大生バイトと男子高校生バイトが
ヒソヒソと”ああいう頭の固いおっさんにはなりたくないですね”と
話しているー。

誠吾は、それでも頭を下げながら、
その日の仕事を終えたー。

家に帰った誠吾は、
「あ~~~~~!つまんねぇ!」と叫ぶー。

「こんな人生、クソ食らえだ!」
怒りが収まらない誠吾は、
晩御飯を終えて、お風呂を済ませると、
パソコンで動画を見ながら時を過ごし、
ベッドに飛び込んで、
強く思ったー

”こんな人生ー
 やってられるかー”

とー。

寝る直前に見た、ファンタジーモノのアニメの姫を思い出しながらー
”俺も、お姫様みたいになりたかったなぁ…”
と、心の中で願うとー
そのまま、誠吾は目を閉じたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ーーーしーっ!」
唇の手前で指を立てて、
メイドに合図を送るエレナ姫ー。

異世界では、エレナ姫が
部屋から抜け出して、街に行こうとしていたー。

(みんなは危ないって言うけど、わたしだって
 普通に買いものぐらいできるから!)

エレナ姫は、街に出ることさえ、許されなかったー。
”町には危険がたくさん”であるとー。

「--わたしだって、お買い物ぐらいしたいもん!」
エレナ姫は頬を膨らませるー。

買い物には十分行ける年頃だったし、
自分の身は自分で守ることぐらいできるー。

もう、エレナ姫は子供じゃないのだー。

しかしー
王宮の入口付近にやってきたタイミングで、
第5騎士団長・ライナスが率いる騎士団が姿を現したー

「--姫様。どこへ向かわれるのですか?」
紳士的な雰囲気のライナスの言葉に、
エレナ姫は「どきなさい!わたしは買い物に行くの!」と叫ぶー。

ライナスは「申し訳ございません」と首を振ると、
「それは、出来かねますー」と、呟くー。

「どうして!?わたしの命が聞けないって言うの?」
エレナ姫が言うと、
ライナスは「先王のご意思です…」と、
申し訳なさそうに呟いたー。

エレナの父親である先王は、死の間際に
”エレナを頼む”と、臣下たちに言い残していたー。

そのことから、余計に騎士団も執事もメイドも、
エレナに対して”過保護”になってしまっているのだー。

「---!」
エレナは表情を歪めたー

物影から、先ほど部屋から抜け出した際に合図を送ったメイドが
見ていることに気づいたー。

メイドが、騎士団に告げ口をしたのだー。

「---……すべては姫様の安全のためです。
 どうか、お部屋にお戻りくださいませ」
第5騎士団長・ライナスは深々と頭を下げると、
エレナ姫は不満そうに、そのまま部屋へと戻るのだった。

部屋に戻ったエレナ姫は、
不満そうにベッドに飛び込むと、
不貞腐れた様子で頬を膨らませながら、
目から涙をこぼしたー。

「--こんな生活…もうイヤ…」

自分は恵まれているー。
そんなことは分かっているー

身の回りの世話はメイドや執事たちがしてくれるし、
身の安全は騎士団の面々が守ってくれるー。

飢える心配もないし、
生活する場所も約束されているー。

けれど”自由”がないー

自分は、かごの中の鳥と同じー。

自分のことを自分でやろうとしても、
やらせてくれないしー
自由に外出することもままならないー。

「----…こんなことなら、
 姫になんて生まれなければよかったのに…」
エレナ姫はそう呟くー。

例え貧しくても、平民に生まれたかったー。
そうすれば、もっと自由にー。

そんな風に思いながら、エレナ姫は、
眠りについたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー

「----!?」
目を覚ますと、見知らぬ天井が目に入ったー。

42歳独身の誠吾が目を覚ますと、
最初に目に入ったのは”見知らぬ天井”だったー。

しかも、自分が、まるでお姫様が寝るかのようなベッドで
寝ていたー。

「---!?!?!?」
さらにーー

「---え?」
綺麗な長い髪、いかにもお姫様のような服装ー、
華奢な手ー

「---あ…あ…」
試しに声を出してみると、とても可愛らしい声が口から出たー。

「---姫様ー
 おはようございます」

部屋をノックして入って来たのはメイドー。

「--え???あ、、え??お、、おはようー」

”姫様”とはー?

誠吾はそう思いながら
納得したー

”そうか。夢か。自分がお姫様になってる夢を見るなんて
 俺の疲れももう限界ってことか”

そう思いながら、自分の顔を思いっきりパンチしてみるとー

「いってぇ~~~~~~~!」

自分で自分を殴って悲鳴を上げる”エレナ姫”を見て
メイドは「ひ、、姫様!?」と、狼狽えた様子で
エレナ姫になった誠吾に駆け寄ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「----なにここ?」

一方ー、
エレナ姫も、目を覚まして唖然としていたー

汚らしく散らかった部屋ー
狭い部屋ー。

ランニングシャツにトランクスという自分の格好ー。

「------え…?」
誠吾になったエレナ姫は、鏡で誠吾の冴えない姿を見つめながら
首を傾げたー

「---」
身体を確かめるようにして触っていく誠吾(エレナ姫)-

股間のあたりに手を触れて
男にしかない、アレに手を触れると、
誠吾(エレナ姫)は「きゃっ!」と、顔を真っ赤にして悲鳴を上げたー。

「--------!!!」
部屋の玄関から外に顔を出すとー

そこにはー
メイドも、執事も、騎士団もいなかったー

「---わあ!!!」
目を輝かせる誠吾(エレナ姫)-。

”神様が、わたしを鳥かごから解放してくれたー”

そんな風に思った誠吾(エレナ姫)は
「--わたしは自由よ!!!!!!!!」
と、大声で叫んだー。

42歳独身おっさんの叫びにー
たまたまアパートの廊下を歩いていた近所の住人は、
”やばいやつ”を見る目で誠吾(エレナ姫)を見つめたー

②へ続く

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コメント

全く立場の違う
姫と42歳独身フリーターの入れ替わりデス…!

今日は入れ替わるところまでがメインでしたネ~!

明日もぜひお楽しみください~!

入れ替わり<姫様フリーター>
憑依空間NEO

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