<MC>さなぎ~SANAGI~(前編)

大好きな幼馴染ー。

しかし、幼馴染の子に、彼氏が出来てしまい、
冷たくされた彼は、逆上してー

”狂気”に走ったー。

———————-

男子大学生の住野 信良(すみの のぶよし)には、
小さいころから仲良しの幼馴染がいたー。

水澤 裕梨(みずさわ ゆうり)-。

小さいころ、近所に住んでいたことから、
家族ぐるみで仲良くなりー、
大学生になって、お互い一人暮らしを始めた現在でも、
その、良好な関係は続いていたー。

しかもー
”偶然”大学まで同じだったー。

大学でも、小さいころと変わらず、
仲良く話をしていた信良と裕梨ー。

だがーーー
”それ”は突然終わりを告げたー。

裕梨に、彼氏が出来たのだー。

「--ど、どうして…!?」
強くショックを受ける信良ー。

裕梨は「ど、どうしてって…わたしと信良は幼馴染だし、
わたしに彼氏ができたって…不思議じゃないでしょ?」と答えたー。

その表情には、何のうしろめたさも感じなかったー。

信良と裕梨では、そもそもの”認識”が違ったのだー。

信良は、裕梨のことを異性として意識していたし、
恋愛感情も持っていたー

一方の裕梨は、小さいころから一緒だったからか
信良はあくまでも「幼馴染」であり、
恋愛対象としては、全く考えていなかったのだー。

信良は彼氏ではないー
だから、他の彼氏を作ることも何も不思議ではないし、
裕梨としては今後も「幼馴染」として
今まで通り、恋愛関係ではない仲良しとして
普通に過ごしていける、としか思っていなかったー

「う、、裏切者!なんでだよ!」
信良が叫ぶー。

「-ちょ…?ちょっと落ち着いて!何を言ってるの!?」
戸惑う裕梨ー。

信良と裕梨の認識の違いから、
そもそも話がかみ合っていないー。

信良からすれば
”自分がいるのにどうして彼氏なんか…!?”と、
まるで浮気されたかのような気持ちになりー

裕梨からすればー
”祝福してくれると思ったのに、突然切れだした”
と、意味が分からない、という気持ちになっているー。

「-もういい!勝手にしろ!」
信良はそのまま不機嫌そうに、立ち去ってしまったー

「なーー、、なんなの…?」
戸惑う裕梨ー。

その日からー
信良と裕梨の間には、距離が生まれてしまったー。

”裏切られた”
信良は、そう思いー

”急におかしくなってしまったー”
裕梨は、そう思いー、
お互いにお互いの距離を作ってしまったのだったー。

だがーー
信良は、それだけではなかったー。

「--許さない…ずっとずっと一緒だったのにー…
どうしてー」

信良は、小さいころに
”大きくなったら信良くんのお嫁さんになる~!”と
裕梨から言われていて、ずっと、そう思ってしまっていたー。

小さいころの戯言ー
まだ、何も分かっていない年齢では、よくあることー

だが、それを信良は真に受けていて、
”裕梨が裏切って、しかも彼氏を嫌味で見せつけて来た”
と、思い込んでしまっていたー。

怒りのあまり、復讐の方法を連日ネットで探す信良ー。

そしてー
信良はたどり着いてしまったー

”蛹(さなぎ)”にー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1週間後ー
信良は、裕梨を呼び出したー。

”謝りたいんだ”
信良の言葉に、小さいころからの
幼なじみとして信良のことを信頼している裕梨は
呼び出しに応じたー。

「お邪魔します~」
信良の家に入る裕梨ー。

これも、別に特別なことではないー。
大学生になってからも、二人は必要があれば
相手の家を訪れることはあったー。

信良は裕梨のことを意識していたが
裕梨からすれば、本当に”姉と弟”あるいは”兄と妹”のような
感覚で、”異性を家に上げたり”
”異性の家に行くこと”は抵抗があったけれど、
信良相手の場合は別だったー。

本当に、裕梨からすれば”信頼できる家族のような幼なじみ”という
認識だったのだー。

「ーーーーーー」
部屋に裕梨が入って来たのを確認すると、
信良は「この前は、本当にごめん」と頭を下げたー

「ううんー。大丈夫。」
裕梨が優しく首を振るー。

「いきなりだから、びっくりしちゃったんだよね。
わたしも、もっと早く彼氏が出来そうってこと、
信良に伝えて置いた方が良かったかも!
急にで、本当にごめんね!」

裕梨はそう言うと、
「あ、今度、啓太(けいた)と一緒に遊びに行こうよ」

”啓太”とは裕梨の彼氏のことだー。
「--啓太も、信良とぜひ一緒に!って言ってたし!」
裕梨が笑いながら言うー。

”嫌味”ではないのだがー
裕梨は信良のことを”幼馴染”としてしか、一切考えていないためー
そのすれ違いが、信良の心をさらに抉ってくるー

信良は、笑いながら頷くと、
「--裕梨、変わったよな」と、呟くー。

「---え…?」
裕梨が戸惑っていると、
信良は、言ったー

「俺がいるのに平気で浮気するなんて!
裕梨は変わっちゃったよな!!!」

信良が叫んだー

裕梨は表情を歪めるー。

”謝りたい”
そう言って呼び出されたのに、またおかしな方向に話が進んでいるー。

「-こらっ!信良!わたしと信良は付き合ってたわけじゃないでしょ!?
一度も告白してないし、されてもいないし、
わたしと信良は幼馴染でしょ!」

裕梨がさすがに怒ったのか、叱るような口調で言うー。

だがー
その時だったー。

突然、信良が謎の水鉄砲のようなものを裕梨に向かって放ち始めたー

「なーー、なに!?えっ…?」
裕梨が戸惑うー

粘液ー
緑色のねちょねちょした気色の悪い液体が
裕梨の身体にまとわりつくー。

「裕梨は、間違った方向に変わっちゃったねー」
残念そうに呟く信良ー。

信良が何を言いたいのか、もはや理解できないー。
裕梨は困惑しながら
「ど、、どういうこと!?何を言ってるの!?」と叫ぶー。

信良はフッ、と笑うとー
「でも大丈夫。安心してー。
俺は、間違った方向に進もうとしている
幼馴染を見捨てたりはしないからー」
と、呟きながら、
さらに、謎の粘液の入った水鉄砲を裕梨に向けて放つー。

気持ち悪く、べとべととした粘液が、
裕梨の顔に付着して、
裕梨は思わず悲鳴を上げるー。

「--蛹(さなぎ)って知ってる?」
信良が言うと、
裕梨は「何言ってるの…?」と泣きながら信良を見つめたー。

「昆虫の一部は、幼虫から成虫になるまでの間、
さなぎの中で過ごすんだー。
その間に、身体も、心も、作り替えられるー。
”正しい大人”になるためにね」

信良が、独自の解釈を交えながら、
さなぎについて説明するー。

「-裕梨も、間違った部分はなおさなくちゃ!」
信良は、狂気的な笑みを浮かべたー。

裕梨は、泣きながら、”信良が何をしようとしているのか”を
なんとなく理解したー

「--わ、、わたしを……さなぎみたいにするつもりなの?」
と、震えながら呟くー。

「-そう!幼馴染を裏切るような悪い女になっちゃった優莉を
俺は助けるんだ!
さなぎの中で裕梨は、何もかも作り替えられて、
新しい裕梨に生まれ変わるんだ!

正しい、裕梨に、ね!」

信良の言葉に、
裕梨は「い、、今すぐやめて!」と叫ぶー。

「--信良の話、ちゃんと聞くから!
今の信良は、間違ってるよ!」
裕梨が泣きながら叫ぶー。

助かりたいー、という気持ちも当然あるしー
”助けたい”という気持ちもあるー。

小さいころからずっと仲良しだった信良が、
今、”狂気”に走ろうとしているー。

だから、止めたい、と、裕梨は本当にそう思っていたー。

「--間違った裕梨の話なんか、聞くもんか!
さなぎになって、ちゃんと正しい裕梨になるまで
俺はお前の話なんて、聞かない!」

そう言うと、信良は裕梨に再び、
粘液入りの水鉄砲を放ち始めたー

裕梨は身動きを封じられて、
悲鳴を上げるー。

そしてー
あまりの仕打ちに、ついに、裕梨の我慢も限界を迎えたー。

「--信良は…おかしいよ…!
狂ってるよ!!!!!!!」

泣きながら大声で叫んだー

信良はブチッ、とキレたー。

粘液入りの水鉄砲を裕梨の顔面に吹き掛けると、
「-言ったな!?この裏切り女!」と叫びながら
「俺が裕梨を正しい女に作り替えてやる!」と、
完全に身動きを封じられた裕梨に
粘液をかけ続けてー

やがてー
裕梨は、”蛹”になったー。

「--はぁ…はぁ…はぁ…」
信良は荒い息をしながら、水鉄砲を放り投げるー。

ネットで購入した”裏社会のアイテム”-。

人間を”蛹”にして
作り替えることのできる、狂気の品物ー。

それを使った信良は、
蛹になった優莉に語り掛け始めたー。

”裕梨…どうして俺を裏切ったんだ?”
とー。

当然、裕梨から返事はないー。

”俺は、ずっとずっと裕梨のこと、好きだったのにー。
どうして?”

信良は、そこまで言うと、さらに蛹に語り続けるー。

”裕梨も、俺を好きになってくれなきゃー
おかしいだろ?
俺たちの歩んでる道は、一方通行じゃないはずだ”

信良の言葉に、蛹が少しだけ脈打つのを感じたー

”裕梨ー
俺のことを好きになれー”

”俺を好きになれー”
”俺を好きになれー”

狂気的な笑みを浮かべながら
その言葉を何度も何度も繰り返す信良ー。

・・・・・・・・・・・・・・・

”俺を好きになれー”
”俺を好きになれー”
信良の言葉が、”蛹”の中で完全に身動きが
取れなくなった裕梨に響き渡るー。

手足も拘束されたような状態になっていてー
その言葉から、逃げることも出来ないー。

「-----…~~~」
蛹内部の裕梨の身体には、口や耳からも
粘液のようなものが入り込みー
声を発することも出来ない状態になったー

「--んっ、、、ぐっ… ぁ…」
白目を剥いてピクピクと震える裕梨ー

耳から入り込んだ粘液が優莉の脳を
クチュクチュと刺激するー

「~~~~~」
”自分が変わって行く”のが嫌でも分かるー。

”好き”
”好き”
”好き”
”好き”

自分の感情ではない何かが、
さなぎの中で、自分の中に流れ込んでくるー。

「--あ、、、、あ…」
涎を垂らしながら、何も抵抗できない裕梨は
目から涙をこぼすー。

”彼氏”に関する記憶や感情がいじられていくのを感じるー

「やめ…やめて……やめて…!」

だがー
さなぎの外に、そんな言葉は届かないー。

”クズ男のことなんて忘れろ”
”お前の彼氏はあいつじゃない、俺だ”
”お前の主は、誰だ?”
”俺だー”

信良が蛹の外から、
蛹に向かって何度も何度も語り掛けるー。

「----…わたし……」
虚ろな目になる裕梨ー。

耳からー
鼻からー
口からー
スカートを突き破ってアソコからー

あらゆる場所から粘液が身体の中に入り込み、
快感すら感じてしまうー。

どうすることもできないこの状況に絶望したのかー
それとも既に色々な部分を作り替えられてしまっているのかー

服もボロボロにされた裕梨は
やがて抵抗する動きを見せなくなりー
さなぎの中で、されるがままに、身を任せたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---裕梨…」
さなぎを撫でる信良ー。

間違った裕梨は消えてー
新しいー
正しい裕梨がこの中から生まれるー

「幼虫は、蛹を経て、成虫になるんだー」
信良はそう呟くと、
無気味な笑みを浮かべたー

<中編>に続く

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コメント

現在、毎週土曜日のお話だけ
書く時間が取れないので、
別の日に書いて予約投稿しています~!

その都合上、続きは来週土曜日になってしまいますが
楽しみにしていてくださいネ~!

PR
MC<さなぎ~SANAGI~>

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