脱ホームレスのために通りすがりの女性の身体を
奪った男ー。
しかし、結局は、乗っ取った身体の名前も家も分からずに…?
--------------------–
「--はぁ~~~髪もホームレスになると、邪魔なだけだなぁ」
乗っ取った女性の身体で、呟くシゲルー。
乗っ取った時点では綺麗な長い黒髪だったのだがー
家も名前も分からないために、ホームレスになってしまった現在ー
髪は傷みー、
最近では雨も続いているため、傷んだ髪がべとべとするような感じが
して、非常に気持ち悪いー。
「--仕方ない。切るか」
女性にとって髪は大事なものだと、聞いたことがある気がするー。
もちろん、そうじゃない人もたくさんいるだろうけれどー、
この女の場合は、おしゃれな感じだったし、
髪もよく手入れされていたからー、
恐らくは、髪も大事にしていたのだろうー
その髪をバッサリと切り、短髪になったシゲルは、
「-はぁ~これで少しは楽になった」と、生活しているテントの中で
寝転んだー。
綺麗だった生足も薄汚れているし、
すこしすりむいてしまった箇所もあるー。
「--綺麗な人って、やっぱ努力してるんだろうなぁ…」
すっかり、”綺麗”という感じではなくなってしまった
身体を見て、シゲルはため息をつくー
「あ~~~失敗したなぁ…
せめて住所だけでも分かる女を乗っ取ればよかったー」
女性の知り合いはいなかったがー
帰宅直前の女性だったりー
家から出て来るところ見た、だったりー
相手の住所を知る方法は、いくらでもあったー。
だが、身分証明書もスマホも、何も持っていないー
などということを、
想定することを忘れていたシゲルは、
結局、ホームレス生活から抜け出すことは
できなかったー。
「--はぁ」
ため息をつきながら、薄汚れた肩だしの服で、
空き缶拾いを始めるー。
自販機のつり銭の返却口の確認も忘れないー。
おしゃれな服装なのに、
薄汚れていて、
しかも空き缶を拾っている女を見て、
周囲は、不思議そうに、それを見つめるー。
「--まぁ…女のホームレスは少ないって言うしな」
自分の口から女の声が出ることにも、もう、すっかりと慣れてしまったー。
「---」
自販機の下を覗くー
短いスカートを履いていて、後ろから丸見えの状態になっていたがー
もはやシゲルには、そんなことを気にするような
羞恥心はなかったー。
元々、長年ホームレスとしてやってきたのだー
男だろうが、女になろうが、
もはやシゲルに、そんなことは、関係のないことだー。
「---……お!」
シゲルは自販機の下に100円玉を発見して、
嬉しそうに手を突っ込むー。
「--くそっ…とれねぇなぁ」
短いスカートから下着を丸見えの状態にしながら
自販機の下の隙間に手を突っ込む女ー
周囲は唖然としているー
中には、嬉しそうにスカートの中を見つめたり
撮影している人間までいたー。
普通に街を歩いていただけなのに、
こんな風に身体を使われている彼女本人にとっては、
災難としか言えない状況ー
しかし、シゲルはそんなことお構いなしに、
「よっしゃ!100円!」と嬉しそうに叫んだー。
唖然とする周囲を無視して、
体臭を漂わせながら街を歩くー
「そろそろ、なんとか風呂も入らねぇとな…
やっぱ、女でも何もしなきゃ臭うんだな」
シゲルは自分の短くなった髪を触りながら呟くー。
その時だったー
「---あれ…??結美(ゆうみ)じゃんー?」
背後から声を掛けて来たのはー
同じぐらいの年齢の女だったー。
「---え?」
シゲルが振り返ると、
「やっぱり結美!」
と、その女は叫んだー
シゲルは唖然としながらも
すぐに”この身体の知り合いか!?”と
内心で笑みを浮かべたー
これでー
ホームレス生活からおさらばできるー
「--ど、どうしたのその格好!?
最近、全然連絡も取れないし、大学にも来ないしー
家にも帰ってないから、心配したんだよ!?」
友達らしき女がそう呟くー。
”大学”
ー乗っ取った女は女子大生だったのかー、と
シゲルは思うー。
その友達によれば、結美は一人暮らしで、
最近連絡が取れなくなったことを、
みんな心配していたのだというー。
シゲルは、笑みを浮かべながら、
「ご、ごめん…わたし、記憶が…なくなっちゃって」と、
苦笑いしながら答えたー。
さすがに”記憶があるフリ”をするのは不可能だと考えたからだー。
記憶がないのは事実だし、
そう答えておくのが、一番良いと思ったー。
「--え~…ほ、ほんとに?」
友達が言うー。
「--信じられないけど…」
友達はそう言いながらも、しばらく考えると
「--じゃあ…記憶を亡くしたから、家にも帰れず…
大学にも…来なくて…ってこと?」
と、呟くー。
シゲルが憑依している結美は頷いたー
「---うん」
結美の現状を見て、友達は表情を歪めるー。
”ホームレス”になり果てて、汚れた結美を見てー
あるいは、体臭を感じて、イヤな顔をしているのかもしれないー。
「---……わ、わたしの家、どこだか知ってる?
ほ、、ほら、こんな格好だから、お風呂にも入りたいしー」
結美が言うと、
友達は少し考えてからー
「あ、じゃあ、ちょっとこれから大学に提出物だけ出してくるからー
そのあと車で迎えに来るよ」
と、友達は答えたー
どうやら、友達は車を持っているらしいー。
”住所だけ教えてくれればいいから”とも言ったが、
友達は”記憶喪失の親友を放っておくことはできないし、大学にも事情を説明しないとでしょ”と
返事をしてきたー
確かに、その通りだー。
結美という子の記憶は読み取れないー
で、あれば、結美としてこれから生きていくためには、
事実上、記憶喪失として生きていくしかないー
スマホなどを確認しても、
結美の全てを知ることは不可能だろうからー。
「---わかった…うん…」
結美を乗っ取っているシゲルはそう言うと、
友達は、”妹尾 千佳子(せお ちかこ)”と名乗り、学生証をみせて来たー。
2時間後に待ち合わせする約束をし、
千佳子と別れた結美は、一度ホームレスの根城に戻るー。
大事な私物をいくつか回収するためだー。
しかしー
「---!」
テントに戻ると、学が笑みを浮かべながら、
シゲル…結美の方を見つめていたー
「--シゲルさん、そんなエロイ身体を見せつけられちゃ…
俺、もう我慢できないっすよ」
結美に、シゲルが憑依していると決めつけている学はー
結美に襲い掛かって来たー
なすすべもなく、”女”として乱暴されてしまうシゲルー。
「やめろよ!」と言いながら学を突き飛ばそうとしたがー
”結美の身体”では、学の力に叶わずー
そのまま学の思うがままにされてしまうー。
やがて、強気な「やめろよ!」という態度は
弱弱しい悲鳴に代わりー、
結美の身体でイカされてしまったシゲルはー
半泣きの状態で、逃げるようにして、
ホームレスのたまり場から脱出したー。
「-くそっ!!お前らとなんか二度と関わるもんか!」
ホームレスのたまり場に向かって叫ぶー。
友達に声を掛けられてよかったー
やっぱり、男だらけのホームレス社会で結美のような女が
ホームレスになるのは、厳しすぎるー。
結美は、ボロボロの容姿のまま、足早に、
千佳子との待ち合わせ場所に向かったー。
待ち合わせ場所に到着して、しばらくすると、
赤いスポーツカーが近くに止まって、その中から千佳子が出て来たー
「え?それ、千佳子の車?」
結美が言うと、
千佳子は「あ、わたしが車好きなのも、忘れてるんだね?」と、苦笑いしてからー
「-家に送っていくから、乗って!」と、笑みを浮かべたー。
”へへへ…今日から俺も女子大生か”
結美に憑依しているシゲルは嬉しそうに心の中で叫んだー
車の助手席に乗り、千佳子の方を横目で見ながら
”悪いなぁ・・・”と笑みを浮かべるー
”お前のお友達の身体は、俺が貰ったぜ”
とー。
千佳子が「じゃあ、15分ぐらいでつくからー」と、
車を走らせ始めるー。
結美は”ボロ”を出さないように、千佳子と雑談しながら
結美の家に到着するのを待つー。
”記憶喪失の設定にできたのは良かったけどー…
ボロは出さないようにしなくちゃな”
結美に憑依しているシゲルは、そう思いながら
千佳子との雑談を続けるー
ここで”ボロ”を出してしまったら、
全てが台無しになってしまうー。
「--…」
(この女の家、どんな家なんだろうなぁ…)
結美を乗っ取ったシゲルは、結美の部屋のあれこれを妄想するー。
まぁ、どんな家であろうと、
これからは自分が結美になるのだ。
結美の部屋も、結美自身も、
シゲルの好みに”カスタマイズ”していくー。
その、つもりだー。
「---…え?」
ふと、結美は首を傾げたー。
千佳子が運転していた車は、
廃工場のような場所に入り、そのままさらに奥へ進んでいくー
「--あのさ、わたしの家ってこんな場所にー?」
結美がそう言うと、
千佳子は車を止めたー。
結美に憑依しているシゲルは、この時点で
ゾワッ…と、本能的に危機感を感じていたー
「お前さぁ」
千佳子が呟くー
「---え」
結美が戸惑っていると、千佳子は続けたー
「--”俺”たちの憑依薬の取引、
よくもジャマしてくれたよな?」
千佳子がうすら笑みを浮かべながら言ったー。
「----…!!」
結美は、表情を歪めるー。
「-いやぁ、憑依薬を勝手に持ち去った野郎を
見つけ出すのは苦労したけどー
おかしな女ホームレスがいると聞いてすぐにピンと来たぜー」
千佳子の言葉に、結美は、叫ぶー
「-お、、お前は、、誰だ!」
とー。
「--あぁ?身体は、千佳子って子だぜ?
まぁ、その結美って子とは何の面識もねぇ女だし、
この子の意識は、今は俺のものだけどな!」
千佳子が笑みを浮かべたー
結美は咄嗟に逃げようとしたー。
だがー
車の周囲は既に、黒服の怪しい男たちに囲まれていたー。
公園に置かれていた憑依薬をー
シゲルは持ち去り、結美を乗っ取ったー
しかし、あの憑依薬は、この裏組織が”取引”のために
あの場所に置いていたものー。
偶然、シゲルが持ち去ってしまったことで、
この組織は損害を受けたのだー。
「--へへへ 覚悟しとけよ」
千佳子が言うー。
「--ひっ!?」
車から引きずり降ろされた結美は、
そのまま男たちに乱暴に扱われて、
身体を弄ばれ尽くすー。
悲鳴を上げてー
自分が男であったことも忘れてしまうぐらいに
女として泣きじゃくるー
「---クククク まぁいいさー」
千佳子は、そんな結美を見つめながら微笑むー
「--憑依薬を盗みやがったなら、それはそれで、色々な使い道が、あるからな」
千佳子はそれだけ言うと、裸にされて、男たちに好き放題される
結美の姿を見つめながら、闇の中へと消えたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数週間後ー
”組織”が経営する店でー
メイド服を着た結美が、虚ろな目で、
怪しげな男たちに”ご奉仕”していたー。
「----へへへ 結美ちゃん 俺のこれ、しゃぶれよ」
粗暴な男が言うー。
「---はい…ごしゅじんさま…」
この数週間で、すっかり自我を壊されるレベルで
好き放題され続けた結美は…
結美に憑依しているシゲルは、完全に、”組織”の
言いなりになってしまっていたー
男がズボンを脱いで、晒したソレを結美は
虚ろな目のまま咥えると、男が気持ちよくなるように
一生懸命、口を動かし始めたー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ホームレスが、憑依薬を使ったけれど、
乗っ取った身体の名前も家も分からない…!という
お話でした~!
それにしても、何も分からないまま
こんな目に遭っている結美ちゃんは可愛そうですネ…!
今日もお読み下さり、ありがとうございました~☆!
コメント