手に入れた憑依薬で美人女性の
身体を乗っ取ったホームレス…。
しかし、その女性の家も名前も分からずに…
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駆け込んだファミレスで、乗っ取った女の身体のまま、
料理を口に運ぶシゲルー
ハンバーグにピザ、ステーキ…
今まで満足に食べることのできなかった鬱憤を晴らすかのように、
女の身体で美味しいものを食べまくるシゲルー
「--はぁ~~~うめぇ~~~~!」
ガツガツと食べる美人を見て、周囲の利用客は
少し驚いた様子だったが、そんなことお構いなしに
料理を口に運ぶー
さらには、ドリンクバーを注文して、
何度も何度も炭酸飲料やジュースを飲んでいくー。
「--はぁぁ~何杯も飲めるなんてお得だなぁ~」
女の身体で、女の金を使い、飲むドリンクバーはうまいー。
シゲルはそんな風に思いながら、
何杯も何杯も、ドリンクを口に運んだー。
「はぁぁ~~~…」
この女はダイエット中だったりするだろうかー。
健康に気遣っていたりするだろうかー。
「ーーまぁ、関係ないか。これからは俺の身体なんだし」
シゲルはそう呟くと、
”しかし名前も家も分からないのは参ったなぁ」と、
つまようじで歯の隙間に入ったものを取り除きながら
考え事をするー。
おっさんモード全開の美人を見て、
周囲はさらに困惑するー。
そうこうしているうちに、ドリンクバーで大量に飲み物を飲んだことによって、
トイレに行きたくなってしまったシゲルは、
そのままトイレの方に向かうー。
「---っと」
うっかり男子トイレに入ってしまいそうになったが、
自分の太ももが目に入って、”今の俺は女なんだなぁ”と、思いながら
女子トイレに向かうー。
女子トイレに入ると、その光景を見つめながら
ニヤニヤと嬉しそうに頷くー
「合法的に女子トイレに入れるなんて…へへ」
イヤらしい笑みを浮かべながら、トイレの個室に入るもー
シゲルは、ここで首を傾げてしまったー。
”座ってする”
正直、そのぐらいしか分からないー
「----」
「----」
「--どうすりゃいい?」
シゲルは、しばらく考えていたが、
もう限界なので、とりあえず、自分の頭の中で描くような形で、
トイレを済ませようとしたー
「って、、ん???なんか、感覚が違うぞー?
なんだこれ??ンん??」
一人で色々ブツブツ呟きながら、ようやくトイレを済ませると、
女の身体を見つめながら
「つーか、ここについてないってヤバいな」と、一人呟いたー
ようやくトイレを終えて、お店に戻ると、
トイレが長かったからか、”食い逃げされたのではないか?”と
不安そうな店員が、シゲルの座席の周りを徘徊していたー
「あ、すみません 腹を壊して、ちょっと下痢しちゃって」
女の声で、そう呟くシゲルー
本当は、”はじめての女性としてのトイレ”で時間が
掛かっていただけで、
お腹は壊していないのだが、
その言い訳が一番良い気がしたのだー。
しかしー
店員も、周囲の利用客も、なんだか、少し困ったような顔をしていたー。
シゲルが乗っ取っているようなキレイな女性が、
平然と「下痢しちゃって」などと言い放ったことに
どう反応していいか、困っていたようだー。
「--え…?ど、どうか…した?」
シゲルが戸惑うー。
「--あ、、ほ、ほら、結構量が多くて、時間がかかっちゃったんですよ」
”下痢でもそんな時間はかからないでしょ?”と疑われていると思ったシゲルは
さらに、女を捨てているような発言を繰り返すー。
店員は、少し恥ずかしそうにしながら
”もういいですよ”と、いうような態度を示したー。
しばらくしてから、ファミレスから出たシゲルは
「生き返るなぁ~うめぇもの食うと」と、嬉しそうに夜の街を歩いていたー
ホームレスとして長年生活していたシゲルにとって、
ハンバーグも、ピザも、炭酸飲料も、何もかもが”久しぶり”だったー。
だから、つい食べ過ぎてしまったし、
あまりの感動から、”乗っ取った身体の家が分からない”という状況も
すっかりと頭から抜けていたー。
「お、そうだ」
近くのコンビニに立ち寄るシゲルー。
女としてコンビニを利用するのは、当然初めてだー
”あの店員…俺の足をイヤらしい目で見てる気がするな”
シゲルは、そんな風に思いながら、
ミニスカートから覗く、太ももを少しだけ触るー
”まぁ、当然か…へへへ”
「--久しぶりに吸えるぜ」
シゲルがコンビニに入って来た目的は”煙草”だったー。
ホームレスになる前は煙草好きだったシゲルー。
だが、ホームレスになってからは、そんなお金も確保することが出来ずー、
煙草を満足に吸うことのできない状況が、続いていたー。
「--身分証明書をお願いします」
コンビニのバイトが言うー。
「---え」
シゲルが乗っ取った身体は、おそらく成人しているがー
女子大生か、OLかー
いや、もしかすると女子高生の可能性も0ではーーー
「---…」
(ったく、いずれにせよ、身分証明書なんか持ってない)-
「ごめんなさい、忘れちゃいましたー
でも、わたし、未成年じゃないですよ?
だめですか…?」
甘い声を出しながら言うシゲルー。
店員は「確認しないといけないので…」と呟くー
だが、さっき、イヤらしい目で足を見ていたことに
気付いていたシゲルは、周囲に客がいないことを確認すると、
「-お・ね・が・い♡」と、甘い声を出して誘惑したー。
さらには、目の前でスカートを少しだけめくって、
ふふっ…と微笑んで見せるー
その上で小声で
「-身分証取りに行くの面倒くさいから、売ってー
そしたら、わたしの足、触ってもいいから」と、囁くー
適当そうなバイトだー。
たぶん、乗るだろうー。
そう思いながら、シゲルは女の身体で微笑むー。
シゲルの読み通りー
店員は、乗ったー
足を20秒ぐらい触らせてやって、そのまま煙草を手に、
店から出るシゲルー
コンビニから少し離れた場所で、煙草を吸いながら
煙を吐くとー
「--あぁ、この子、喫煙者じゃなかったかな?
ま、いいか
これからいっぱい吸うんだし」
と、女の声で笑いながら呟いたー。
シゲルは次第に、
”家とか名前とか分からなくてもいいか”と、思いながら、
お金を使って豪遊し始めるー。
夜になると、適当なネットカフェを見つけて休みー
昼になると、外で遊び出すー。
だがー
そんな生活は、3日で終わったー。
所持金が、つきたのだー。
たぶん、この女の銀行口座には、お金も入っているのだろうがー
財布にはお金しか入っておらずー
乗っ取ったタイミングでは、おそらくメインの財布を持ち歩いていなかったか、
あるいはカードは持ち歩かず、必要な時以外は家に置いてあるタイプの
子なのだと思うー。
「----…」
お風呂にも入れずー
髪は乗っ取った時とは違い、ボサボサになりー
綺麗な生足も汚れ始めたー。
「---…」
家をどんなに探してもー
見つけることが出来ずー
記憶を読み取ることもできずー。
途方に暮れたシゲルはー
結局ーー
”自分の帰るべき場所”に戻っていたー。
「---……」
彼はー
いや、彼女は
結局ホームレスになってしまったのだー
「--ありがとうございますぅ~」
他のホームレスから食料を分けてもらって、
それを食べるシゲルー
女の身体になっただけで、
結局、何も変わらなかったー。
”俺だよ、シゲルだよ”と言いながら
戻ることもできたのだが、
シゲルは、それはせずに、別人として
この場所にやってきて、ホームレスとなったー。
”憑依薬”を手に入れた直後からー
他のホームレスを見下すような行動を取っていたために、
今更合わせる顔がない、と、そう考えていたためだー。
最初、ホームレス仲間たちは
”女性がこんなところに…”と驚いていたが
「ホームレスに男も女も関係ありませんよ」と無理矢理
押し通して、ホームレスのたまり場の仲間に
入れて貰ったのだー
「-気を使わなくていいんで。ここでは男も女もないですから!」と、
言い続けながら、生活するシゲルー。
「----はぁ~~~~もう、綺麗って感じじゃなくなっちゃったな」
拾った鏡で顔を見つめるシゲルー
顔は汚れてー
髪もボサボサになってー
大胆に露出された足も、泥がついたりして汚れているー
「--まぁ…こういう生活に男も女もねぇってことだな」
空き缶を拾いー
それを売ってー、
ホームレス生活に戻ったシゲルー
平気で周囲の前で着替えたりして、
他のホームレスをドキドキさせたりもしたがー
元々シゲルは男であるため、
そんなことは一切気にしなかったー。
「---それにしても、
この女ー
俺のせいでホームレスになってると考えると、興奮するなぁ…」
夜ー
そう呟きながら、ホームレス仲間と自作したテントの中で、
胸を揉んでいると、そこに、見覚えのある男がやってきたー
ホームレス仲間のひとりで、若めの男・学だったー。
「----あ、、こ、こんばんは」
愛想よく微笑むと、学は言ったー。
「--あの、違ったら申し訳ないんですけどー」
学は、そこまで言うと、しばらく言葉を止めるー。
「え…?どうかしたんですか?」
”早くモミモミの続きしたいから、話を済ませてくれよ”と、
シゲルは思いながらも、学を見つめるー
すると、学は信じられない言葉を口にしたー。
「-シゲルさんですか?」
とー。
「---……え?」
変な声が出てしまったー
思わず、声が裏返ってしまったー。
学がぐいっと近づいてきて、
顔をじーっと見つめると、
さらに言葉を続けるー。
「-シゲルさん、ですよね?」
学の言葉に、シゲルはー
いや、シゲルが乗っ取っている女性の身体が
生理的に拒否反応を覚えたのか、
ビクンと震えるー。
「-し、、しげ、、、しげるぅ?
だ、誰ですか…?
わ、、わたしはアカネですよぉ~」
”アカネ”とは、
この子の名前が分からないため、
適当に名乗った偽名だー。
「---いいや、シゲルさんですね」
学は”断定”の口調でそう呟いたー
「な、、な、、何言ってんの?」
思わず声を荒げてしまうシゲルー。
”なんだよ…なんなんだよ…”
何で分かるんだ?と思いながらも、
必死に「ほら、、わたし、どう見ても女ですよ?」と
胸を触りながら言うー。
ついでに、胸を触りたいという欲求も、満たしたー。
だが、それでも学は疑いの目を向けるー。
「仕草ー
言動ー
すべてがシゲルさんのものなのになぁ…
おかしいなぁ…」
とー。
学は、ホームレスになってからは
”人間観察”が趣味で、この敷地内で暮らすホームレスのことは
ほぼ100パーセントは把握していたのだー
だからー
”女の身体”であっても、
仕草がほぼシゲルなためー
学は気づいてしまったー。
「----まぁ、いいやー。
失礼しました」
立ち去っていく学ー。
シゲルは、冷や汗をかきながら、
胸を揉むのも忘れて、
しばらく、学の後ろ姿を見つめ続けたー。
③へ続く
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他人の身体を乗っ取ったのに、
結局ホームレスに……
なんだか、不穏な気配を感じますネ…!
次回が最終回デス~!
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