<入れ替わり>娘をいじめるやつは許さない~登校編~

いじめを受けて不登校になってしまった娘と
その父親が入れ替わってしまったー。

”入れ替わり騒動”を乗り越えた、瑠梨はー?

※「娘をいじめるやつは許さない」の後日談デス!
 先に本編をご覧ください!

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”元に戻った”瑠梨は、重い足取りで
学校に向かっていたー。

いじめを受けて不登校になってしまっていた瑠梨は、
ある日、父親の勝と突然入れ替わってしまい、
結果、瑠梨になった娘は
”娘をいじめるやつは許さない”と、
いじめっ子たちを懲らしめたのだったー。

”いじめは落ち着いた”
父・勝から、瑠梨はそう聞いているー。

瑠梨として学校に行っていた父が、そう言っているのだから、
そうなのだろうー。

けれどー
やっぱり、瑠梨は、怯えていたー。

父が解決させてくれたとは言えー、
”いじめ”というものはまた始まる可能性があるし、
何より、いじめが落ち着いたのも、”中身”が
父親の勝だったからこそ、だー。

瑠梨は、そう思いながらも学校にようやくたどり着いたー

不登校になって、
しばらく学校に来ていなかった瑠梨にとっては、
久しぶりの学校ー。

クラスのみんなからすれば、
瑠梨(勝)が学校に来ていたから、
瑠梨が学校に来るのは、もう”久しぶり”と言えるような状態では
無くなっているだろうけれど、
瑠梨本人からすれば、”久しぶり”だったー。

勝になった瑠梨は、学校に一度も行ってなかったし、
入れ替わる前と同じ”不登校生活”と、ほぼ変わらない1日を
過ごしていたのだからー。

「---…あ」
瑠梨のいじめを仕組んだ”黒幕”であり、
瑠梨の親友でもあった萌々が、瑠梨に気付くー。

瑠梨も、直接的にいじめを仕掛けて来るのは”真紗美”であっても、
いじめを仕組んだのは”自分の親友”である萌々だと
気付いていたー

だからこそ怖かったー。

親友であるはずの萌々が、そんなことをしている、と
考えただけで、怖かったー。

「--ーおはよ」
萌々は不安そうにそう呟いたー

”中身”が元に戻った、などと
萌々は知らないはずだー。
萌々の雰囲気から察するに、
”お父さん”はわたしの身体で何をしたんだろう?と、
少しだけ瑠梨は不安を覚えるー。

「お、、おはよぅ…」
小さい声で返事をする瑠梨ー。

その様子を、真紗美と愛、貞江ー
いじめグループだった三人も見つめているー。

「----」
真紗美も、瑠梨になった勝から思わぬ反撃を受けて以降は、
大人しくなっていたー。
ギャルの愛もそうだー。

だがー、
瑠梨の身体で”いじめ”を鎮圧した勝も、
分かっていたー。

”また、いじめは再発する”
とー。

この世界は、ファンタジーやメルヘンの世界とは違うー。

だからこそー
”ある手段”を準備しておいたー

「-----」
瑠梨は、”不登校になる前のように”
真紗美たちがいじめを仕掛けてこないことに
少しだけ安心するー。

だが、真紗美は改心した様子ではなく、
真紗美も、ギャルの愛も、なんとなく、”不満”というオーラも
放っているのは、瑠梨にも十分伝わって来たー。

「---」
親友の萌々は、瑠梨にほとんど声を掛けてこなくなったー。

真紗美たちが、瑠梨をいじめるように仕組んでいた萌々は、
今までは”妙に明るすぎるぐらいに”瑠梨によく話しかけてきていたが、
瑠梨になった父・勝との会話で、
自分の裏がバレたこと、そして瑠梨(勝)から、強く威圧されたことから、
瑠梨との関係は”完全に終わった”という状態になっていたー。

いじめは、もうしないー
だが、親友としても、もう終わりー。

萌々の、そんなメッセージだった。

しかしー
瑠梨とて、話せる相手がいないわけではなかったー

真紗美たちの直接的ないじめがなくなりー
少しずつではあるものの、元々瑠梨と話していた、
クラスの中でも大人しい女子たちは、瑠梨の元に
戻りつつあったー。

「-------……」
真紗美は舌打ちしながら、その様子を見つていたー。

あの日ー
”瑠梨”から思わぬ反撃を受けたー。
真紗美は、まさか”中身”が、瑠梨の父親だとは
夢にも思っておらず
”キレた瑠梨”に反撃されたー、
と、そう思っていたー。

「-----ねぇ やっぱあいつ、うざくない?」
ギャルの愛が言うー。

「--誰?」
オカルト好きの貞江が言うと、
リーダー格の真紗美が「堀口さんでしょ」と、
愛想なく呟いたー。

真紗美たちは瑠梨になった勝に
”力”で押さえつけられたー。
改心しているわけではないー。
一度大人が、きつく言った程度で”いじめ”が
落ち着くのであればー
いじめは、もっともっと、世の中から少なくなっているはずだー。

だが、現実はそうではないー。

真紗美は、舌打ちをすると、読書をしている
瑠梨の方に近づいて行ったー。

「--堀口さん、今日の放課後、話があるんだけどー」
真紗美の言葉に、ビクッとする瑠梨ー。

真紗美から呼び出されるー
それが、何を意味しているのかは、瑠梨が一番よく分かっているからだー。

「--堀口さんに、大切な話があるの」
いつも通り”表面上”はにこっとしながら、愛想よく瑠梨を誘う真紗美ー。

だからこそ、誰も”真紗美が瑠梨をいじめている”とは
認識していないのだー。

「----…」

不安の表情のまま、放課後を迎えた瑠梨はー
呼び出された空き教室に向かったー。

だが、待ち構えていた真紗美はー
「ねぇ」と不快そうに呟くと、顔をあげて
少し戸惑った表情で、言葉を続けたー。

「--堀口さんってー、
 これ、好きなの?」

”プリ☆ヒメ”
小さい子を中心に、大人気のアニメで
多数のグッズやカードなども展開されているー

瑠梨は、小さいころからずっとプリ☆ヒメが好きで
今もプリ☆ヒメのグッズを集めたりしているのだー

「---…え、、、う、、ううん…」
瑠梨が咄嗟に首を振るー。

「---」
真紗美が表情を歪めるー

ギャルの愛が「嘘ついても無駄だからね!」と叫ぶー。

「---」
オカルト好きの貞江が近づいてきて、瑠梨に何かを耳打ちしたー

”大丈夫ー
 いじめ、じゃないよー
 真紗美も、プリ☆ヒメ好きなのー。
 ただ、あなたとプリ☆ヒメのお話をしたいだけ”

貞江の耳打ちに、瑠梨は「えっ!?」と、戸惑うー。

そんな瑠梨に対して、真紗美は少しだけ恥ずかしそうにー

「--その、わたしも好きなの…それ…
 だから、、、その…色々お話できればって…」

真紗美も”プリ☆ヒメ”が好きだったー
だが、学校では”そんな子供っぽいやつ!”とネタにされることも
多いため、真紗美は仲良しの愛・貞江以外には、
その趣味を秘密にしていたー。

「--……え、、藤原さんもー?」
瑠梨が戸惑いながら聞くと、真紗美は静かに頷いたー

「---…子供っぽいって笑うやつもいるんだからー
 絶対に誰にも言わないでよ?」
真紗美の言葉に、瑠梨は、少しだけ緊張がほぐれた様子で
「うん!」とほほ笑んだー。

ギャルの愛も、一緒になって話をしているー。

「---ふふ」
オカルト好きの貞江は、その光景を見ながら、
”あの日”のことを思い出していたー

「--幽霊さん、”また”会える?」
貞江は、瑠梨(勝)が、最後に学校に来た日ー
そう、聞いたー。

貞江には、世話になった、ということで、
「明日からは普通の瑠梨に戻る」と
瑠梨(勝)は、放課後の貞江に伝えたのだー

「--また…か」
瑠梨(勝)は窓の外を見つめながら、
あることを思いつくー

「--ーーーじゃあ、瑠梨のこと、守ってくれるか?」
瑠梨(勝)が言うと、
貞江は「え…?」と首を傾げたー

「--俺がこうしてこの子を助けても、
 きっと、”また”いじめはぶり返すと思うんだー。
 いじめっていうのは、そう簡単なものじゃないー

 だから、君にこの子を助けてあげて欲しいー
 また、”いじめ”が再発しないようにー

 そしたらーー
 そしたら、そうだなー…
 2学期が終わるころまでに、この子がいじめられずに
 過ごしていたらー
 また、会いに来るよ」

瑠梨(勝)は、中身の自分が瑠梨の父親だと悟られないよう、
そう言うと、オカルト好きの貞江は目をキラキラ輝かせたー

「そういうことなら、わたしに任せて!」
とー。

貞江は少しだけ考えと
「そのためにーー
 瑠梨ちゃんの趣味とか好きなモノ、全部教えてもらっていい?」
と、瑠梨(勝)に質問したー

「え…?なぜ?」
瑠梨(勝)が言うと、
貞江は「”好きなもの”が分かってると、瑠梨ちゃんを守りやすいから」と、
静かに微笑んだー。

あの日の”幽霊”との約束を果たしたー。
実際には瑠梨と父親の勝が入れ替わっていただけなのだが、
それを知らない貞江は、瑠梨には幽霊が憑依していたと
信じ込んでいたー。

真紗美たちが、再び瑠梨をいじめ出そうとしていたのを見て
貞江は”真紗美と瑠梨の共通の趣味”を結び付けようと、
その話を真紗美に吹き込んだー

結果ーー

「--うそ!それ持ってるの!?」
真紗美が、嬉しそうに瑠梨と話しているー

いじめが始まるのは些細なきっかけー

そしてー

いじめが終わるのも、またー。

貞江は、そんな光景を見ながら
満足そうに微笑んだー

「幽霊さんー
 瑠梨ちゃんはわたしに任せてー

 あなたとまた、会うためにー
 わたし、頑張るからー」

貞江は、そんな風に思いながら
窓の外を見つめたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからはー
真紗美や愛たちと時々”共通の趣味”で話をする機会が増え、
真紗美と愛は、瑠梨をいじめなくなったー。

親友の萌々に関しても、
貞江が手回しをしたことによって、
いじめを誘発させるようなことはしなくなったー。

そうして、時は流れー
2学期が”終わるころ”がやってきたー

父親の勝は「実はー」と、妻の奏子に事情を説明するー。

あのあと、妻の奏子が”入れ替わり薬”を使って
入れ替わりを起こしたことを、夫の勝にだけ、こっそりと打ち明けていたー

その話を覚えていた勝は、
貞江との約束を、奏子に話したー

瑠梨を守るために貞江と取引したことをー。

奏子は、あの時使った分の入れ替わり薬の残りを
まだ手元に持っているー。

それを使って、貞江との約束を、勝は果たそうとしていたー。

「--瑠梨には悪いけど…
 もう一度だけ入れ替わって、あのオカルト好きの子に
 会いに行かないと、せっかくいじめがなくなったのに、
 またぶり返す可能性もあるからー」

勝が言うと、奏子は頷いたー。
そして、二人で寝静まった瑠梨の部屋に向かおうとするー

しかしー
そこに、瑠梨が現れたー

「---え」
勝はギクッとするー

話を聞かれていたのだろうかー。

瑠梨は、勝と奏子の方を見ると、
明るい笑顔で、言い放ったー

「お父さん、お母さん、わたし、もう大丈夫ー。
 色々心配かけてごめんね。

 貞江が、お父さんと何か約束してて
 わたしがいじめられないように、色々してくれたの、
 わかってたー。

 でも、もう大丈夫ー。

 入れ替わる必要は、もうないよ」

瑠梨の言葉に、
勝は「え?」と首を傾げたー。

「--わたしが貞江に会いに行くー」

いじめがなくなった瑠梨は、強くなったー。

いじめがなくなるだけで、人は変われるー
逆に言えば、いじめの対象にされるだけで、人は変わってしまうー。

「そうかー。
 強くなったな、瑠梨ー」

勝は嬉しそうに瑠梨の頭を撫でると
「余計なお世話だったかもしれないけど、ごめんな」と呟いたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---ちゃんと、瑠梨を守ってくれて、ありがとな」

瑠梨は、”幽霊”に乗っ取られているフリをしてー
”父親と入れ替わっていた状態の自分”を演じて、
オカルト好きの貞江と会ったー。

「---うん 幽霊さんー。
 約束は守ったよ」

貞江が微笑むー。

いじめを受けて、不登校になっていたころの瑠梨は、もういないー。

今の瑠梨は、強くなったー。
完全に立ち直って、そして、いじめも乗り越えたー

そのきっかけを与えてくれたのが”入れ替わり”だー。

でも、もう、今は大丈夫ー
これからは、自分の力でー。

「---」
貞江は、瑠梨の方をじーっと見つめるー。

「----」
クスッと笑うと、貞江は”幽霊さんは、もう来てくれなかったんだね”と、
心の中で笑いながらもー

”でも、まぁーーー
 いいよ。
 瑠梨ちゃんは、わたしが守ってあげるー”

貞江は、今の瑠梨は”演技”だと気づきながらも、
その”演技”に付き合い、
「幽霊さん、ちゃんとわたしの活躍、見ててくれた~?」と、
瑠梨に向かって笑顔を振りまいたー

おわり

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コメント

「娘をいじめるやつは許さない」の
後日談でした~!

本編を描いた際に、終盤は尺が足りなくなって
少し駆け足になってしまったので、
補足的なお話ですネ~!

後日談でもいじめが再発することはなく、
平穏な終わり方でした☆!

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