<憑依>浦島憑依①~一瞬の出来事~

「一瞬」だったー。

下校中だった少女は、憑依されて、
気付いたら、何十年も経過していた…!

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”コマ送り”

人間は、時にそれを経験することがあるー。

一瞬にして、別の場面に”飛ぶ”のだー。

睡眠とは違うー。
普通に寝るときは、
ちゃんとこれから自分が寝ることを認識しているし、
寝落ちしたとしても、多少の時間の流れを
感じることはできるー。

”コマ送り”は、それらとは違うー

今までバイクで走っていたのに
次の瞬間には、ベッドの上にいたー。

家族でだんらんのひと時を過ごしていたのにー
次の瞬間には、ベッドの上にいたー。

そうー
突然倒れたり、意識を失ったり、生死の淵をさまようと、
人間は、”一瞬にして、飛ぶ”

例えば今、この瞬間にー
「えっ!?」と思ったら、場面が病院のベッドの上に
切り替わるー
そんな、感じだー。

”通常の睡眠時”と
”意識を失っているとき”は、違うー。

意識を失っているときは、
”何も”感じないー。

だからこそ、時間が一瞬にして、飛ぶのだー。

これはー
憑依された少女が、一瞬にして、何十年もの時間を飛んでしまった物語ー

浦島太郎のように、何十年も経過した世界に
いきなり、飛ばされてしまったー
そんな、少女の物語ー。

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女子高生の村井 杏菜(むらい あんな)は、
”その日”もいつものように過ごしていたー

朝、スマホのアラーム音に起こされて
眠い目をこすりながら起き上がり、
仕事に向かう父親を見送りー
母親と何気ない雑談を交わしてー、
あと1週間で発売日を迎える、好きな少女漫画の新刊が出来るのを楽しみにしてー
半月後に迫った好きなアイドルのニューシングルも楽しみにしてー
学校に向かったー。

学校では、親友の浅川 優姫(あさかわ ゆうひ)と
いつものように楽しく雑談ー
ひそかに好きな男子生徒・若林 鉄平(わかばやし てっぺい)と
家庭科の調理実習で一緒の班になったため、
心の中でガッツポーズー

そんな1日を過ごしたー。

そして、下校中ー
親友の優姫といつものように何気ない会話をしながらー
家を目指していたその時だったー

「--ねぇ、そういえば、杏菜、来週なんだけどさ」
優姫の言葉に、杏菜が優姫の方を見つめるー

突然、強い衝撃のようなものを感じて、あぅっ!と、うめき声を出すー

「--!?!?!?」
次の瞬間ーーー

杏菜は”場面”が飛んだー。

突然、自分が砂浜にいたのだー

海が、波打つ音が聞こえるー。

「--------え」
杏菜は戸惑ったー

突然、自分がワープしたような感覚ー

いつも通りの通学路を優姫と一緒に
歩いていた最中にー
突然、自分は海に飛ばされたー

「え…?ちょっと!?なにこれ!?」
杏菜は戸惑いながら声を出すー。

心ナシか、声が少し低く、
急に枯れてしまったような感じがするー

「優姫!いる!?優姫!?」
一緒に歩いていたはずの優姫の名前を呼ぶ杏菜ー。

しかし、優姫から返事はないー。

人の気配のない砂浜ー
海の家のような建物も見えるが、
海には、ほとんど人がいないー

「--さむっ…」
杏菜は思わず身震いするー。

今は6月ー
ちょうど暑くなってきていたこの季節に
こんな気温の海があるなんてー、と
不思議に思いながらも、杏菜は、砂浜から歩き出したー

”何が起きてるの?”

よく見ると、自分の服装も違うー。
なんだか、少しキラキラした感じの派手なスカートを履いているー

そして、自分の手を見つめるー
爪には派手なネイルー

「---!?」
そこで、違和感に気付くー

声も、身体も、自分のものであることには違いないのだが、
何だか、とてつもない違和感を感じたー。

”急に海のような場所に飛ばされた”
その事実ばかりに気を取られていて、
自分の異変に気付くのが遅れたー。

「--ど、どういうこと…?」
声も、なんだかおかしいー。

杏菜は焦って、砂浜ら立ち去り、
道路の方に向かうー

「---!!」
杏菜は思わずドキッとするー。

右からやってきた車が”無音”で
エンジン音が聞こえなかったからだー。

危うく轢かれてしまうところだったー、と
ため息をつきながら、
杏菜が近くの商業施設に入るー。

大型のデパートのような施設だがー
その設備は、とても最新鋭で、
杏菜は困惑するー

「--というか、ここ、どこ…?」
下校中の自分が突然”別の場所にワープ”した。
杏菜はそんな風に思いながら、
ここがどこなのかを確認しようとしたー。

”下校中にいきなり別の場所に飛ばされた”

”夢”かな?とも思ったが
妙に現実味があるし、とても夢とは思えないー

変な異世界に迷い込んでしまったのかなー?
みたいなことまで考えるー。

「-----え…熱海」
杏菜は首を傾げたー

杏菜がいる場所は熱海という場所だったー
行ったことはなかったが、熱海のことは知っていたー

「--え…なんでわたし、熱海にいるの?」
杏菜は首を傾げるー

と、いうのも、杏菜は北海道在住だったからだー。

いきなり下校中に、熱海にワープしたというのかー。

しかしー
杏菜は続けてー

”自分がワープしたわけではない”ことを知るー。

デパートの食べ物の賞味期限がふと目に入ったのだー

そこにはー
”2052年12月”と書かれていたー

「--ずいぶん長持ち…」
そう思いながら、納豆のパッケージを見つめる杏菜ー。

いやー
納豆が30年ももつはずがないー

杏菜はパニックを起こしかけて、
そのまま走り出したー。

そういえば、さっきから身体が変だー。
そう思った杏菜はトイレに駆け込んで、悲鳴を上げたー

杏菜はーー
女子高生だったはずの杏菜はー
中年の女性になっていたーー

しわが出来てー
手も、足も年齢を感じるー
顔も、確かに杏菜の顔だが、老けていて、
髪も傷んでいるー

「--え…え…え…???」
杏菜は、もう、何が何だか分からなくなっていたー

サービスカウンターに駆け込むと、
杏菜は「すみません!今日は何月何日ですか!?」と叫ぶー。

サービスカウンターの店員は、当然不思議そうに首を傾げたー。

しかし”仕事だから”と、営業スマイルで
「今日は12月11日ですね」と答えたー

「---!?
 え、、、ろ、6月じゃないの!?」
杏菜は叫ぶー。

「--え、、えぇ…今日は12月になりますね」
愛想笑いを浮かべるサービスカウンターの女性ー。

「--え…え、、そ、、そんなはず…
 今日は2021年6月23日ですよね!?!?」
杏菜が叫ぶー。

「---2021年!?!?」
サービスカウンターの女性が戸惑うー。

「--お客様ー
 本日は2052年12月11日でございます」
と、横にいた年配のサービスカウンターの女性が
言葉を付け足したー

「--え…え…」
どよめく周囲の利用客ー

「ーーえ…わたし…タイムスリップ…したの?」
杏菜はそう呟きながら膝を折ったー。

”違う”

だが、杏菜は、自分の身に何が起きているのか、
いや、”いたのか”
まだ、理解できていないー

タイムスリップはしてないし、ワープもしていない。
杏菜は”空白の30年間”をちゃんと生きていたー

だが、杏菜にとっては”一瞬”だったー。
完全に意識を失い”無”の状態だったからー
夢も見ずー
一気にコマが飛ぶかのように、30年吹っ飛んだー。

杏菜はーー
”30年前”下校中に憑依されてー
それから30年後の今日ー
憑依から解放されたのだー。

「-----」
何が起きているのか、全く分からないー。

杏菜は困惑しながらもー
”熱海に居ても仕方がない”と考え始めるー。

「--は、早く、家に帰らなくちゃ」
そんな風に思う杏菜ー

杏菜は、そう思いながら砂浜の方に戻るー

”そういえば、わたしのスマホとか荷物は!?”
とー。

慌てて砂浜の方に戻った杏菜はー
自分が目を覚ました場所のすぐそばに、
鞄が落ちているのを見つけたー

「----…」
杏菜は、”わたしの…なのかな?”と思いながら
中身を確認するー

その中には、見たこともないようなデザインのスマホが
入っていたー。

そして、身分証もー

”村井 杏菜”
確かに、自分の身分証ー

しかし、既に年齢は、40代後半になっていて、
その顔は、年相応になっていたー。

「--わたし…なんで免許持ってるの…?」
杏菜は戸惑うー。
”タイムスリップ”したのであれば、
自分が運転免許証を持っているのはおかしいし、
よく考えたら、自分の身体は高校生のままであるはずだー。

「--優姫…お父さん…お母さん」
慌てて家の電話番号に電話を掛けるー

スマホの暗証番号はー
幸い”昔”と同じだったー

だがー
父親も母親も電話に出ることはなくー
当時、利用していたLINEを利用しようとしたが、
LINEは既に中心として使われているアプリでは
無くなっていて、杏菜のスマホには入っていなかったし、
インストールすることもできなかったー。

「---」
ネット関係の時代の流れは速いー
30年も経過すればー
主流はまた別のアプリになっていても、おかしくないー

杏菜はそんな風に思いながら、
スマホを必死にいじるー。

”優姫”

「そうだ…優姫は!?」
杏菜が戸惑いながら周囲を見渡すー

もしも、自分がタイムスリップしたり、
別の時代に飛ばされたのであれば
”一緒に下校していた優姫”も、この時代に飛ばされている可能性が高いー

まさかー
”自分が30年間も憑依され続けて好き放題されていた”などと
夢にも思っていない杏菜は、
そんな風に考えてー

とにかく、とー
スマホで優姫の連絡先に連絡を入れたー

両親のように電話に出ないだろうかー

それともー?

”もしもし?”

知らない女のーー
いやー30年後の優姫の声が聞こえたー

「も、、もしもし?優姫!わたし!!杏菜!
 いったい、何が起きてるの!?」
杏菜は叫ぶー。

だがー

”あんた?杏菜?
 よくも、、よくも今更連絡なんかできたわね!?

 あんたのせいでわたしは…!
 
 今更連絡してくるなんて…!
 またわたしを騙そうとしてるの?”

「--え…ゆ、優姫?…落ち着いて!
 優姫、、お願い聞いて!

 わたし、優姫と下校してたら
 急に、砂浜にいて、
 それにー2021年から、2052年にー」

”絶対許さない!呪ってやる!”

ブチッー

電話が切れたー

杏菜は「ちょっと!?優姫!ねぇ!?優姫!」と
何度も叫んだが、もう電話がつながることはなかったー

「--いったい、何が起きてるの…?」
杏菜は困惑しながら、浜辺から海の方を見つめたー。

いつの間にか、30年の時が経過していたー。
”自分の全く知らない時代”にひとり、自分だけが
取り残されたー

そんな感覚を味わうー。

「---…!」
杏菜は、ふと自分の鞄らしきものの中に、
「玉手箱」のようなものが入っているのを見つけたー。

「---…これは?」
杏菜は困惑しながら、その玉手箱のようなものを見つめるー。

「--この箱開けたら、おばあちゃんになっちゃったりして」
涙目でそう呟く杏菜ー

「--って、もう、十分おばあちゃんに近づいてる、、ね」
自虐的にそう呟いて、玉手箱のようなものを
開けようとした杏菜ー。

箱は、すんなりと開きー
その中の入っていたものを見てー
杏菜は目を見開いて、身体を震わせたー

②へ続く

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コメント

30年憑依されて、
その間、完全に意識を支配されていたため、
夢を見ることもなく、本当に一瞬のうちに
30年飛んでしまった少女(?)の
物語デス~!

憑依されている最中の出来事も描写も
②以降に出てきますよ~!

今日もありがとうございました~!

憑依<浦島憑依>
憑依空間NEO

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