娘をいじめていたいじめっ子たちへの反撃ー。
娘の身体になった父親は、
そのリーダー格を撃退したものの…?
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「-ーーー堀口さんにーーー
乗り移ってるあなたは、誰?」
いじめグループのひとり・オカルト好き女子の貞江が
笑みを浮かべながら、瑠梨(勝)を見つめたー
「--え…え、、わ、、わたしは、、る、瑠梨に決まってるでしょ?」
瑠梨(勝)が言うと、
貞江は、瑠梨(勝)をじろじろと見つめたー
オカルト好きだからか、少し無気味なオーラが
漂ってはいるものの、顔はとても美人的な感じで、
その貞江が、至近距離に顔を近づけてきている現状に
ドキドキしてしまう瑠梨(勝)-
勝にとって、私生活で、女子高生にこんな近づかれることはないー。
瑠梨の心臓が高鳴るー
瑠梨の心臓がどきどきしているという事実に瑠梨(勝)は
戸惑いながらも、貞江の方を見つめ返したー
「そ、そ、そんなに見ないでよ」
瑠梨(勝)が言うと、貞江はクスッと笑って瑠梨から離れたー。
「---幽霊さんが憑りついてるの?
それとも、堀口さんの別人格か何か?」
貞江は、瑠梨(勝)のいつもとは明らかに違う振る舞いに疑問を抱きー
そして、興味を抱いていたー
「---だ、、だ、、だから、わたしは瑠梨だってば~!」
無理に女子高生っぽいポーズをしたことで、余計に不自然な感じになってしまうー
「---------」
「---------」
貞江は、少しの間、瑠梨(勝)をじーっと見つめたあとに、
呟いたー
「--仕草が、”男”なんだよね、さっきから」
貞江の言葉に、瑠梨(勝)は「ギクゥ」と、変な声を出してしまうー。
必死に女子っぽく振舞っていたつもりだったのだが、
どこかに”違和感”でもあったのだろうかー。
「--ーーー」
瑠梨(勝)は”この子はオカルト好きだったはずだな”と、頭の中で考えるー。
学校に来る前に、事前に勝になった瑠梨から、
いじめっ子たちの特徴を聞いたからだー。
「--誰にも言わない?」
瑠梨(勝)が言うと、オカルト好きの貞江は目を輝かせて頷いたー。
”特定の分野のマニアは、その分野の話題で釣れば信頼できる”
勝はそう思いー
貞江に、「--そうだ。俺は幽霊で、この子に憑りついてる」と、語ったー。
貞江が「わぁ…!やっぱり!」と、目をキラキラさせて嬉しそうに言うー。
「--各地でいじめられている子に憑りついて、
こうしていじめから救ってるんだ」
瑠梨(勝)は”入れ替わり”のことは言わず、
”自分は幽霊で、各地でいじめられている子に憑りついて助けて回っている”と
説明したー。
その方が、オカルト好きの貞江には響く、そう考えたからだー。
「---この子への、いじめは、もう二度としないでほしい。
君たちの中心人物にも、言っておいてもらえるか?」
瑠梨(勝)が言うと、
貞江は「--あ、、、えっとね、幽霊さん」と、
笑いながら言ったー。
「--わたしが、真紗美に言っても、いじめは解決しないよー」
とー。
「-どうして?」
瑠梨(勝)が貞江に少し強い視線を向けると、
貞江は少し戸惑った様子を見せてから、口を開いたー。
「--だってーーー」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---お母さん…」
勝になった瑠梨が、自宅で母親の奏子に声を掛けたー
「---」
母・奏子が勝(瑠梨)の方を見つめるとー
「-わたし、お父さんに…大事なこと言ってなかったのー」
勝(瑠梨)の言葉に、
”--勝の姿で泣きつかれるとスゴイ違和感…”と
思いながら、弱弱しい勝(瑠梨)の方を見つめたー
「大事なコトー?」
奏子が言うと、
勝(瑠梨)は頷いたー。
昨日の夜と今日の朝に、瑠梨(勝)に対して、
勝(瑠梨)はいじめのことや、いじめっ子たちについて説明したー。
けれどーーーー
”大事なこと”を伝えることができていなかったー。
それはーーー
”本当の元凶”のことー。
どうしても、怖くて言えなかったー。
本当は、”あの子”が元凶なのは、分かっているー
けれどーー
どうしても、怖くてーー
「---お母さん…
わたしを追い詰めようとしてるのはーー
この子なのー」
勝(瑠梨)が、涙を流しながら
クラスの集合写真のとある生徒を指さしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---だってー
真紗美はいじめの中心人物じゃないからー」
同時刻ー
貞江からそう聞かされた瑠梨(勝)は、「どういうことだ?」と
首を傾げたー
いじめの主犯はー
プライドが高く、瑠梨に嫉妬したクラスメイト・真紗美で、
その取り巻きであるギャルの愛と、今ここにいるオカルト好きの貞江だと聞いているー。
しかしー
「---いじめの主犯はーー
萌々ちゃんだよ」
貞江は、そう呟いたー。
「でもほんと~によかった!瑠梨ちゃん、
もう、学校に来ないんじゃないかって心配したんだよ~!」
学校に到着してー
真っ先に話しかけてきたツインテールの子・橋爪 萌々ー。
「---…そんな話、信じると思うか?」
瑠梨(勝)が言うー。
貞江に敵意を向けながらー。
貞江は笑ったー
「ほんとだよ。
真紗美と愛は気づいてないけど、
わたしは勘がするどいから、分かるの。」
貞江の言葉の意味がますます分からないー
”真紗美が気づいていないけど、いじめの主犯が、あのツインテールの子”
全く、意味が分からないー。
それに、萌々という子は、フレンドリーに話しかけて来たし
仲の良さそうな雰囲気だったー。
それなのにー
「--堀口さんと、萌々ちゃんは、確かに親友だけどー
そう思ってるのは、堀口さんだけで、
萌々ちゃんの方は、堀口さんのことを、壊したいと思ってるー」
貞江はそう言うと、
真相を告げたー
ツインテールの少女・橋爪 萌々は、
確かに瑠梨の親友であったとー。
しかし、同時に萌々は、瑠梨に対して激しい劣等感を抱いていて、
いつしか、瑠梨を壊したいと、勝手に恨むようになったー。
そして、萌々は”あることないこと”を真紗美に吹き込み、
いじめを誘発させたー。
真紗美が瑠梨をイジメ始めたそもそもの原因は、
大きくわけて、2つー
成績に対する嫉妬ー。
萌々は、”1位になった瑠梨が、2位である真紗美を馬鹿にしていた”という嘘を
真紗美に吹き込み続けたー。
そして”真紗美が好きな男子が”瑠梨が好き”と、真紗美を振ったこと”-
だがー
これは萌々の罠だったー。
真紗美を振った生徒会の男子・栗本 良太は
”ごめん 他に好きな人がいるー”と、真紗美の告白を断ったー
そして、真紗美は、後にその”好きな人”が瑠梨だと知り、
激しく嫉妬ー
いじめに繋がったー。
だがー、それは、萌々による”嘘”
生徒会の良太が好きな女子は、瑠梨ではなく、
他の子のことで、瑠梨のことではなかったー。
萌々があれこれ嘘をついて、真紗美に”良太は瑠梨が好き”と
思い込ませたのだったー。
真紗美が、瑠梨を攻撃するように、仕向けたー。
真紗美が陰険なことを知っている萌々が、
真紗美らによるいじめを、仕組んだのだー。
「--だからね、萌々ちゃんをどうにかしないと、
真紗美のいじめを終わらせても、
また”別”のいじめっ子が現れるだけだよ。
萌々ちゃん、執念深いから」
オカルト好きの貞江の言葉に、
「--…」グッ、と拳を握りしめる瑠梨(勝)-
イジメの元凶はー
瑠梨の親友だったのだー
一番近くにいるところに、悪魔はいたのだー。
「----」
萌々のところに向かおうとする瑠梨(勝)
教室から出ていく瑠梨(勝)に対して
オカルト好きの貞江は、嬉しそうに
「-幽霊さん!またお話ししようね!」
と、手を振りながら笑顔を浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後の高校から飛び出して、
下校中だった萌々を見つけた瑠梨(勝)は叫んだー
「萌々ちゃん!」
とー。
午前中のことを思い出すー
「--心配してくれてるのは、橋爪さんだけだよ」
雑談しながら、瑠梨(勝)がそう言うと、
「----」
萌々は不満そうな表情を浮かべたー
「--!」
瑠梨(勝)は、すぐに「萌々」と言い換えたー
すると、萌々は、普通の表情に戻って、
雑談を続けたー
あの時、萌々が不満そうな表情を浮かべたのはー
恐らく、呼び方ではなくーー
瑠梨の存在自体が、不快だったからー。
「---わたしのこと、そんなに嫌い?」
瑠梨(勝)が言うと、萌々は、表情を歪めたー。
「------」
萌々は、自分がいじめを仕組んだことに気付かれたことを悟るー。
「---うん。嫌いだよ。大っ嫌い。」
にこっと笑う萌々ー。
「ー瑠梨ちゃんなんて、いなければよかった」
萌々は、そう呟いたー。
萌々は、瑠梨に対する嫉妬を口にしたー。
自分よりもいつも優秀な瑠梨に勝手に嫉妬して、
真紗美らをそそのかして、いじめを仕組んだのだと。
「--でも、わたしは、直接は何もしてないから、
誰に言っても無駄だよー。
証拠がないもん。
先生に言ったって、瑠梨ちゃんの親に言ったってー
無駄ー。
わたしは、瑠梨ちゃんの親友だもんー
みんな、”親友”だと思ってるー
先生に相談したって、わたしは誤魔化すし
瑠梨ちゃんの親に相談したってー
親も、不登校の娘の言うことなんて
信じてくれるわけなーーーー
バン!!!
「--!?」
瑠梨(勝)が、萌々を壁ドンして、睨みつけたー
「---たとえ直接は何もしていないのだとしても、
いじめを仕組んだなら、それはお前がいじめたのと同じだー」
瑠梨(勝)の瑠梨とは思えないような口調に、萌々は
心底驚いた表情で、瑠梨(勝)を見つめるー
「---…二度と、俺の娘に手を出すなー」
恐ろしく、強い口調ー
「----え…」
萌々は、瑠梨(勝)から、ただならぬ気配を感じ取って、
恐怖してその場に座り込んだー
「--次、手を出したら、タダじゃおかないー」
それだけ言い放つと、瑠梨(勝)は立ち去って行ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから1週間が経過したー。
瑠梨(勝)は、瑠梨として振舞うことにも慣れてきてー
学校に普通に通っていたー。
いじめはなくなったー。
真紗美たちも、萌々も、何も手出しはしてこないー。
オカルト好きの貞江が、真紗美と愛を抑えてくれたようだったし、
萌々も、瑠梨(勝)から強い言葉を掛けられたことで、
手出しをしてこなくなったー。
「----いじめは、落ち着いた?」
帰宅すると、妻の奏子がそう呟いたー。
「--あぁ あとは元に戻るだけだけどー
方法が、分からないな…
なんとかしないと」
瑠梨(勝)の言葉に、
奏子は「そうね…」と、静かに頷いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー。
瑠梨(勝)と勝(瑠梨)は、
それぞれの部屋で眠っていたー。
そこにー
人影がやって来るー。
それぞれに”謎の注射”を打ち込む人影ー。
2人に注射を終えるとー
母・奏子は、静かに安堵のため息をついたー。
”入れ替わり薬”
娘の瑠梨と夫の勝を入れ替えたのは、奏子だったー。
入れ替わった日ー
奏子が、寝ているふたりに、入れ替わり薬を注射したのだー。
”いじめで不登校になった娘を救うため”にー。
夫である勝が娘の身体になれば、必ず、
夫は、娘のいじめを解決させてくれる、と、そう信じてー。
結果ー
全て、うまくいったー。
「---よかったね、瑠梨ー。
お父さんが、助けてくれたよー」
奏子は、瑠梨が寝ている部屋の方を見つめて、
静かにそう呟いたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
”いじめの闇は深い”-
から、始まる含ませエンドも考えていたのですが
迷った結果、すっきりエンドにしました~!
お読み下さりありがとうございました!!
コメント
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いやぁ、綺麗なグッドエンドで良かったです
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コメントありがとうございます~!★
あとは、瑠梨ちゃん本人が
学校に行ける勇気を取り戻せるかどうか、ですネ★!
終盤が尺の都合(?)で駆け足になったので
後日談もそのうちあるかもしれません~!
(いじめが再発したりはしないと思います~笑)
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話に無理がありますね。注射の針は痛いから目をさまします。前に画びょうが布団に入り込んでしまい寝てる間に腕にささり目がさめました。注射はそれほどでないかもしせませんが看護師でもなく医師ではない素人が打つから痛いですよ。
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コメントありがとうございます~!
確かに、現実の注射だと目を覚ましてしまいますネ…!
作中では入れ替わりの薬の注射だったので、
非現実的な部分ということでお許しください!