<憑依>置き去り憑依人②~置き去りにしたもの~(完)

他人の身体を乗っ取り、見知らぬ場所で解放して
その反応を見て楽しむ迷惑な憑依人ー。

彼は、次第に更なる欲望に支配されていく…。

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他人の身体を乗っ取り、見知らぬ地で解放する
”置き去り”憑依人、
柴原健介は、憑依能力を手に入れてから、5年が経過した今でも、
置き去り憑依を楽しんでいた。

だが、その”内容”は次第にエスカレートしていたー。

最初は、ただ単に、遠くに移動して、
解放するだけの日々だったが、
どんな”娯楽”も続けていれば、飽きがやって来るー。

同じゲームを続けていれば新しいゲームが欲しくなってくるしー
いつも同じ洋服を着ていれば、新しい可愛い服が欲しくなるー。

彼も、同じー。
謙介も、次第に”新しい興奮”を求めて、それは
エスカレートしていたー。

「----!えっ!?!?」

飛行機の機内ー。
真面目そうな女子大生が突然意識を取り戻して困惑するー。

”へへへ…”
謙介は笑みを浮かべながら、たった今まで、憑依していた女子大生を見つめると、
ニヤニヤとその様子を観察するー

「ーーーえっ!??!ちょ!?ここ、どこですか!?」
女子大生が慌てて立ち上がるー

機内の乗務員が戸惑った様子で「どうかされましたか?」と
尋ねているー。

女子大生はパニックになった様子で乗務員に話しかけながら、
戸惑っているー。

”へへへ その狼狽えっぷり、最高だなぁ”

謙介は、5年前とは違い
”ただ単に置き去りにする”のではなく、
”解放する場所やシチュエーション”にもこだわるようになったー。

より、戸惑う反応が見たいー
そんな思いからだったー。

今回、憑依していた女子大生は、
中東行きの飛行機の中で解放したー。

しかも、帰国するためのお金は持たず、飛行機に乗ったー

パニックになって叫ぶ女子大生を見つめながら
謙介はニヤニヤとその様子を見つめ続けるー。

飛行機の機内で泣き出して、やがて過呼吸を起こしてしまう女子大生ー

”あ~~あ~~あ~~あ~~、他の利用者に迷惑がかかってんぞ~!”
謙介は笑いながらそう呟くと、
まるで映画を見るかのように”解放されて戸惑う女子大生”の様子を
見つめ続けたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

憑依して、乗っ取った身体で、遠くに移動して、
そして、身体を解放するー。

そんな彼の”遊び”は、
5年間の時を経て、”過激化”していたー。

「--えっへへへへ」
ニヤニヤしながら歩く女子高生ー。

謙介に憑依されてしまった女子高生は
下校中に電車に乗り、有り金を全て使い、
出来る限り遠くに移動しー、

そしてー
駅のホームから、線路の上に降りて、
そこで、大の字のようなポーズを取って、仰向けに寝転がったー

騒然とする周囲ー

「へへへへ 可愛い女子高生が突然線路で、仰向けなんてなぁ」
ニヤニヤしながら女子高生は「ぅ…」と、そのまま意識を失うー

女子高生から抜け出した謙介はー
”さぁ目覚めろ!見知らぬ地で目覚めた時の反応を俺に見せてくれ!”と
笑みを浮かべるー。

霊体になっている謙介が、ニヤニヤしながら
女子高生が意識を取り戻すのを待っていると、
ある音が聞こえて来たー

♪~~
♪~~~

”あん?”
そう思いながら、音のする方を見つめると、
その音は、踏切の音だったー

”あ…やべ!”
謙介は、さっきまで憑依していた女子高生の方を見つめるー

女子高生は白目をむいて、涎を垂らしたまま
意識を取り戻す様子がないー。

憑依から抜けたあとに、意識を取り戻すまでには
”個人差”があるー。

騒然とする駅の乗客たちー

「早く!あの子を!」
「いや、でも、もう、電車が来るー!」

謙介は、戸惑いながらその様子を霊体のまま見つめるー

そしてー
ようやく憑依されていた女子高生が意識を取り戻したー

「---え…」
仰向けに線路で眠っていた女子高生が戸惑うー。

「---あれ…わたし、、、家に帰ったんだったっけ?」
そんな風に思いながらー

”----”
謙介はいつものように、ニヤニヤしながらその女子高生の様子を見つめるー

まずは迫りくる電車から避けてー
そのあとに、”見知らぬ駅の線路の上で目を覚ました女子高生”が
どんな反応を見せてくれるか、とても楽しみだー。

しかしー

「あれ……」
乗っ取られていた女子高生は”寝起き”が悪い子だったー。

憑依から解放されたあとも、それは”発揮”されたー

”おい、こいつ、、寝起き悪すぎだろ”
謙介は、電車との距離を見ながら、戸惑うー

周囲が「早く上がるんだ!」と叫ぶ中、
女子高生は周囲をキョロキョロ見回して、
目をこすったー

「--あれ、、わたし、、寝落ちしちゃったのかなー
 おはようございまーー」

彼女に気づいた電車の急ブレーキ音にー
少女の声はかき消されたー。

”----!”
謙介は目を逸らして
”結果”を見ることなく、飛び去ったー。

謙介は今まで”人の命”を奪ったことはなかったー

いやー
恐らくは”置き去り”にした身体の中には
そのあとに死んだ子も、いるだろうー。

だがー
少なくとも、謙介が見ている場所で死んだ人間はいなかったし、
死ぬような場所で解放することはなかったー。

仮に、今まで”憑依してきた人間”が、
家に帰ることが出来ずに死んでいたとしても
それは、謙介にとって知ったことではないー

しかしー
今回の女子高生のように、解放した直後に”事故”で
目の前で死んでしまったのは、初めてだったー

「---……」
自宅で、実体化した謙介は呟くー。

「--あの子…死んじゃったか…」
謙介の計算では、
”線路に寝そべっていることに気づいて戸惑うあの子”を
見るつもりだったー

だが、電車が少し遅れていて、時刻表と違う時間に到着したことー
そして、乗っ取っていた女子高生が想像以上に寝起きが悪く、
そのまま電車に轢かれてしまったことー

これは、謙介にとっても”大きな誤算”と言えたー。

「-----」
謙介は、無表情で何かを考えたあとにーー

突然、ニヤニヤしながら立ち上がるー
そして、その場でズボンを下ろすとー
”見知らぬ地の線路で解放されて寝ぼけたまま電車にはねられた少女”を
思い出しながら、興奮した様子で、
アソコから体液を放出したー

「いいーーー!!!」
「イイ!!!!!!イイ!!!!!!!!!!!」

”置き去り”にした身体をその場で死なせてしまったー。

謙介は、そのことを反省するどころかー
そのことに快感を感じてー
この日を境に、さらにエスカレートしたーー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ーーさ~て、どうなるかなぁ~♡」
OLを乗っ取っていた謙介は、
車のガソリンが許す限り、遠くに移動したー

そして
車のハンドルを握ったままOLから抜け出すー。

「ぁ…」
意識を失うOL-

車が暴走を始めるー

”さぁ、早く目を覚ませ!ほら、早く!
 見知らぬ地で、車を運転している状態ー
 俺に、ドキドキする瞬間を見せてくれ!”

このOLがどんな反応をするのかー
そんな快楽と”OLが事故に遭う前に目を覚ますのか”という
極限のスリルを楽しむ謙介ー

謙介の”置き去り憑依”は、
憑依された人間の”命”にもかかわる危険なステージに
突入していたー。

謙介の見つめる先で激しい音が聞こえたー

”あぁぁ~~~~残念!”
謙介が笑うー

OLが意識を取り戻す前に、OLの車は交差点でトラックに追悼したー。

額から血を流しながら目を覚ましたOLは
完全にパニックを起こしていたー

”--うへへへ これはニュースになるぞ~!”

謙介は笑みを浮かべながらー
見知らぬ地で、しかも交通事故を起こした状態で目を覚ましたOLの反応を
存分に楽しみながら、ニヤニヤとその様子を見つめ続けたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

たまらないスリルと快楽ー。

謙介はその後も”極限状態の置き去り”を楽しんだー

気の弱そうな眼鏡女子の身体を乗っ取り、
遠く離れた地の、ヤバい団体の事務所に乗り込んで喧嘩を売った直後に解放したりー

泳げない女子高生を乗っ取って、電車で海まで移動して、
海の上で解放したりー

主婦を乗っ取って、海外まで移動してー
砂漠の真ん中で解放したりー

そんな過激な行為では、”死者”も出たが
謙介は、既に常軌を逸していたー。

”スリル”と”反応”
この2つを、楽しみたいー

乗っ取った身体が目の前で、死んでも構わないー
いや、むしろ興奮する、

とー。

「----へへへへ…」
謙介は、今日も帰宅すると、
”次のシチュエーション”を考えながら
ニヤニヤと笑みを浮かべていたー。

最初は、ただ”乗っ取った身体”で遠くに行って置き去りに
するだけだった謙介ー。

しかし、何年もそれを続けているうちに、
だんだんと”更なる刺激”を求めるようになり、
解放する場所も、どんどん過激化していったー。

そしてー
あの日、女子高生の身体を線路の上で
解放したことによって、
彼女は死んでしまったー。

もちろん、意図したわけではない。
殺す気などなかったし、
”事故”だー。

だが、それをきっかけに謙介は目覚めた。

”命すら危ういギリギリの場所で解放”
することによって、
乗っ取られていた人間の更なる反応を楽しむことが出来るー

命を懸けたギリギリの展開をー
スリルを楽しむことができるー、

とー。

「---あぅっ…」
謙介は、専門学校に通う女子の身体を乗っ取ったー。

「--円花(まどか)ちゃん か…へへへ」
学生証を確認すると、早速移動を始める円花ー。

円花は、電車に乗りー
バスに乗りー
地方へと向かって行くー。

そしてー
笑みを浮かべながらー
とある山へとやってきたー。

眼前に広がるのは、断崖絶壁ー。
落ちたら、助からないかもしれない場所ー。

謙介はー
”乗っ取っていた身体を、空中で置き去り”に
しようと考えていたー

「へへへ…
 見知らぬ場所の空中で突然目を覚ましたら
 どんな反応をするかなー」

ニヤニヤする円花ー

”空中”でなど解放されたら、その本人が
そのまま死ぬ可能性は高いー

高いー
と、いうよりも、ほぼ確実に、死ぬー。

だが、極限まで過激化していた謙介に、
そんなことはもはやお構いなしだったー

「--俺に最高に反応を見せてくれー。
 空中で意識を取り戻すか、
 それとも、そのまま地面に激突して、死ぬか!」

円花は嬉しそうにそう叫ぶと、
躊躇することなくー
高所恐怖症なら足がすくんでしまうような場所からー
嬉しそうに身を投げたー

「---さァ、俺に見せてくれー
 最高の反応を…!
 へへへへへ ひひひひひひひひひ

 意識を取り戻した瞬間、見知らぬ地で困惑する姿を
 俺はもっとみたーーーーーー

円花の身体で高台から飛び降りてー
落下中だった謙介は、突然、喋らなくなったー

円花の身体から抜け出したのだろうかー

否ー

「-----------」
落下中に、謙介は円花の身体から抜け出す前に
”気絶”してしまったー

高所から落下する勢いで、カックリと気絶してしまったのだー

そしてー

そのままグシャッと言う音が山に響き渡ったー

「---------」

置き去り憑依人・柴原健介はーー
そのまま、生涯を終えたー

円花の身体から抜け出すことができないままー
円花の身体で、死んだー。

エスカレートしすぎた彼はー
最後は、自分自身の命も、置き去りにしてしまったのだったー

おわり

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コメント

迷惑な憑依人のお話でした~!
最後も他人を巻き添えにしていてとても迷惑な感じですが、
少なくとも、これ以上被害者が生まれることはなくなりましたネ…★!

お読み下さり、ありがとうございました~!

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憑依<置き去り憑依人>

コメント

  1. 匿名 より:

    これは本当に質が悪い。危険すぎる憑依人ですね。
    何も関係ないのに道連れになってしまった円花ちゃんは本当に気の毒ですが、危険な憑依人が死んだのは世の中のためには良かったに違いないです。

    • 無名 より:

      ありがとうございます~!☆

      悪質な憑依人ですネ…!笑
      放置しておけば、きっともっと被害者が増えたはずデス…