ゾンビと入れ替わってしまった彼女ー
そんな彼女をなんとか助けようとする彼氏ー
ふたりの、運命は…?
--------------------—
「あっ…あぁぁぁ…うぁ…」
ゾンビ(優莉)がうめき声をあげながらその場に
涎を垂らして、倒れ込んでしまうー。
「優莉!」
優莉(ゾンビ)の手を引っ張りながら
目前に迫った生活拠点としている施設を目指していた
彼氏の順平は叫んだー
「ご、、ごめん… こ、、、こ、、の身体…うまく、、動かない…」
ゾンビ(優莉)が必死に口を開くー
「-大丈夫だ!もうすぐ俺たちの家だ!」
今ー
彼らに家はないー
生活拠点にしている施設こそが”家”だー
順平は優莉以外にも、何人かの若者が共同で生活しているー。
「---うぁ…ぁ…うん、、、あ、、りがと……
ゾンビ、、って、、つら、、いね」
ゾンビ(優莉)はそう言うと、肥満体の身体を動かしながら
立ち上がるー
ゾンビ特有の腐臭がして、順平は思わず顔を歪めるー
「----」
ゾンビ(優莉)は、そんな順平の顔を見逃さなかったー。
好きだからこそー
彼氏の変化を見逃さなかったー。
「--さぁ、もう少しだ!」
順平は、優しいー
ゾンビと入れ替わってしまった優莉に対してもー
けれどー。
「--あぅあぁああああああっ」
優莉(ゾンビ)が、順平にしがみついて、順平に噛みつくー
「いてててて!くっそぉぉ」
順平が優莉(ゾンビ)をなんとか引きはがすー
優莉になったゾンビに噛まれてもー
身体は優莉のもので、”人間”であるために
順平が”感染”することはないー
ゾンビと違って歯もあくまで人間のものであるためにー
どんなに噛まれても致命傷にはならないー
せいぜい、歯型がつくぐらいだー。
だがー
身体は優莉のものである以上、
撃ってしまうわけにはいかないし、
この場に放置すれば、簡単に他のゾンビに
”人間”だと認識されて喰われてしまうだろうー。
だから、優莉になったゾンビも、生活拠点に連れ帰らなくてはならないー
「ついた!」
順平が叫ぶー
優莉(ゾンビ)の腕を引っ張りながら、
髪をボロボロに乱しながら「うあーーーー」と叫ぶ優莉(ゾンビ)の方を見るー。
「--ちょっと待ってて」
順平は、施設の入口で、ゾンビ(優莉)に対して声を掛けるー。
ここは、元々は図書館だった場所なのだが、
既に社会はゾンビにより崩壊しており、
現在は、順平らが生活拠点にしているー。
各地で、そういう光景は、どこにでも広がっており、
時々”生活拠点を奪おうとする人間”もやってくるのが現状ー。
順平は、自分たちの生活拠点である図書館の入口で「俺だ!」と叫ぶー。
「--おう!順平!戻ったか!」
順平の同級生で、施設のリーダー的存在・毅(たけし)が、窓から顔を出して返事をするー。
「--隠れてて」
順平が、ゾンビ(優莉)にそう呟くー
ゾンビの姿を見れば仲間が有無を言わさず発砲する可能性があるー。
だからー
先に施設に入って、優莉(ゾンビ)の現状を見せつつ、
みんなに事情を理解してもらう必要があるー。
「---戻ったか」
毅が言うー
他に、4人ー
この図書館をアジトにして生活しているー。
「--うあああああ」
優莉(ゾンビ)がうめき声をあげるー。
「--!!」
毅が優莉(ゾンビ)に向かって銃を構えるー。
身体は優莉だが
”ゾンビ化した”と勘違いされたのだー
「待て!」
順平が叫ぶと、
起きた出来事を全て手短に説明すると、
毅は銃を下ろしたー
「つまり、優莉ちゃんとゾンビが入れ替わってー
今、そこにいるのは、中身がゾンビな優莉ちゃんってことか」
毅の言葉に、
「あぁ」と、順平は答えたー
「身体は優莉だから、噛まれても感染の心配はない」
そう言うと、毅は「わかった」と頷いたー。
理解を得られたタイミングで
ゾンビ(優莉)を呼ぶと、ゾンビ(優莉)が、外から入って来るー
毅や、他の4人が警戒を露わにしたもののー
ゾンビ(優莉)が「わ、、た、、し…」と、事情を説明すると
毅たちは銃を下ろしたー
「--わかったー。
とりあえず優莉ちゃんの身体はどうする?」
毅の言葉に、順平は、「外に行かれちゃうと、他のゾンビに食われるかもしれない。」
と、毅に対して言うと、ゾンビ(優莉)の方を見て、申し訳なさそうに、
「-優莉の身体は一回、拘束するけど…ごめんな」と呟いたー
勝手に人間の身体のまま、外に行かれては困るからだー。
毅と、元サラリーマンの雄太(ゆうた)が、
協力して、元々読み聞かせ行事のために使われていた部屋に
優莉(ゾンビ)を拘束したー。
「--ちょっと臭くない?」
女子高生の凛子(りんこ)が、ゾンビ(優莉)の方を見てそう呟くー
ゾンビ(優莉)は「ご、、ごめ…」と、呟きながらー
図書準備室の方に移動していくー
順平は、そんなゾンビ(優莉)に「元に戻れる方法、すぐ探すから」と、
心配そうに声を掛けたー。
リーダー格の毅と、サラリーマンの雄太は、入れ替わりのことを理解してくれたがー
女子高生の凛子と、元主婦の育枝(いくえ)、そして、フリーターの茂伸(しげのぶ)は、
ゾンビと入れ替わった優莉を迷惑そうな目で見ていたー
そんな空気を順平は悟り、早めに元に戻る方法を探そうとするー。
「--もう一度、階段から落ちるってのは?」
毅が言うー。
「--それも試してみる必要もあるかもな」
順平が返事をするー。
だが、外はゾンビが徘徊しているし、
優莉(ゾンビ)とゾンビ(優莉)をあの時のように
もう一度階段から落とすのは難しいー。
それに、元に戻れる確証もないー
「-----」
その時だったー
何やら、変な声が聞こえるー。
「--なんだ?」
毅がそう呟くと、順平もその声に気づき、
立ち上がったー
そしてー
声のする方に歩いていくとー
読み聞かせに使われていた部屋から、
喘ぎ声が聞こえたー
最初は、凛子か育枝のどちかが、
誰かとエッチをしているのかと思い、
そのまま放っておこうとしたがー
すぐにー
喘ぎ声が優莉のものであると気づいた順平は
慌てて部屋に駆け込んだー
すると、フリーターの茂伸が、優莉(ゾンビ)と
無理矢理エッチなことをしていたー
「あっ♡ あっっ♡♡」
中身がゾンビの優莉は、無抵抗で、茂伸に好き放題されていたー
「-な、なにしてるんだ!?!?」
順平が叫ぶと、茂伸は笑うー
「--へへ、だってさぁ、中身ゾンビなら、やりたい放題じゃねぇか。
俺だってずっと我慢で溜まってんだ 少しぐらいいいだろ?」
茂伸が、お構いなしに優莉(ゾンビ)の胸を触り、服を触るー
「おいやめろ!!!」
順平が叫ぶー
しかしー
茂伸は「お前の彼女は、あっちのくっせぇデブゾンビだろ あっちいけ!」と
声を荒げたー
「--!!」
後から駆け付けた毅も表情を歪めるー
順平が茂伸に殴りかかるのを、毅は咄嗟に止めて、
「ふたりとも、落ち着け!」と、順平と茂伸をなだめたー。
毅は「この部屋の管理は俺が徹底する。だから安心しろ」と
順平に言い放ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
「---!」
深夜に目が覚めた順平はー
見てしまったー
フリーターだった茂伸ー
サラリーマンだった雄太ー
そして、毅までもがー
優莉(ゾンビ)を好き放題しているのをーー
「俺もたまには発散しなくちゃな!他のやつらには内緒だぞ!」
毅が言うと、
雄太と茂伸が頷いたー。
中身がゾンビになったのをいいことに、優莉の身体がおもちゃにされているー
”テメェら!!!”
そう叫ぼうとしたその時だったー
屋上から周囲を見張っていた元主婦の育枝から
”緊急連絡”が入ったー
”ゾンビが集まってきてるー”
とー。
順平も、
優莉の身体で遊んでいた毅たち3人も、それに気づき、
屋上に駆け上がるー
交代で見張りをしていた育枝が、図書館の周囲に集まって来た
ゾンビに指を差すー。
「---どうしてー
ここには、今まで来なかったのにー」
舌打ちする毅ー
そんな毅を横目でにらみながら順平が、
図書館の入口のドアを叩きはじめたゾンビたちを見つめたー
その時だったー
「たぶん… わ たしの、、せい」
ゾンビ(優莉)が背後から姿を現すー。
ゾンビ(優莉)は言うー
”ゾンビになった自分がここにいるから、
ゾンビが、ここに集まってきている”
とー。
ゾンビが、ゾンビを呼び寄せたのだとー。
「--はぁ!?マジ最低!じゃあ、あんたのせいじゃん!」
女子高生の凛子が叫ぶー。
複雑な表情を浮かべる順平ー
「--ゾンビになった彼女なんて連れ込むんじゃねーよ!」
フリーターの茂伸が叫ぶー
「みん、、な、、ごめ、、」
ゾンビ(優莉)が悲しそうに呟くー。
「---もごもご喋りやがって!聞こえねーんだよ!」
ゾンビになった優莉を蹴り飛ばす茂伸ー
「--おい!」
順平が叫ぶも、茂伸は順平のことも睨んだーー
「こんな汚らしいゾンビ連れ込みやがって!
俺たちまで感染したらどうするつもりだ!?」
茂伸の言葉に、順平も茂伸を睨み返すー
「-なんだその目は?やるのか?」
2人が対立しているその時だったー。
ゾンビがさらに増えて、図書館の入口を叩きだすー。
屋上からその様子を見ていたサラリーマンの雄太が
「おい!!!ゾンビに入口が破られるぞ!」と叫んだー。
この数を相手にするのは、
正直、厳しいー
「--くそっ!」
リーダー格の毅も叫ぶー。
その時だったー
「じゅう…かして…」
ゾンビ(優莉)が言うー。
「え?」
順平が首を傾げる。
「--じゅう、、、かして…!」
ゾンビ(優莉)が必死に叫ぶー。
順平は優莉が自殺するつもりなのだと思い、
「だめだ!」と叫ぶー
だがー
ゾンビ(優莉)を良く思わない、他のメンバーが
ゾンビ(優莉)に銃を渡してしまうー
「--早く!ほら!あんたのせいでゾンビが!!
早く!!早く!その銃で死ねよ!」
女子高生の凛子はパニックからか、過激な言葉を投げかけているー
順平はそんな凛子の姿を見て、悲しくなるー
最初にここで出会ったときはーー
凛子は穏やかで優しい子だったのを知っているからだー
長く続く過酷な生活で、みんな、変わってきているー。
「----わたし、、しな、、ない」
ゾンビ(優莉)がよろよろと歩き出しーー
非常階段の方から外に向かって行くー
「おい!!優莉!!?」
順平が叫ぶー
その後の光景はー
順平も、他のメンバーも予想していないものだったー。
ゾンビ(優莉)が、ゾンビの群れの方に向かっていくー
ゾンビは、ゾンビ(優莉)を、同じゾンビだと思ったのか
全く興味を示さないー。
ゾンビになった優莉は”ゾンビに襲われることなく”
1匹1匹、ゾンビを射殺していくー
撃たれてもー
ゾンビは、相手がゾンビだからか、ウロウロするだけで反撃せずにー
ゾンビ(優莉)に射殺されていくー
銃の弾が尽きるー。
ゾンビ(優莉)はまるで泣いているような雄たけびを上げながらー
”他のゾンビ”を食い殺したー
「すげぇ…!」
リーダー格の毅が叫ぶー。
図書館に集まってきていたゾンビは、
ゾンビ(優莉)によって、全滅したー。
ゾンビ(優莉)が戻って来るー
順平は、悲しそうにゾンビ(優莉)の方を見つめたー
「--すげぇ…!すげぇな、優莉ちゃん!
これからはどんなゾンビがやってきても、優莉ちゃんがいれば
安心だ!」
リーダー格の毅は、嬉しそうに叫んだー
「--最強の生物兵器、誕生ね」
主婦の育枝が笑うー。
雄太、茂伸、凛子も嬉しそうだー
「-----------」
順平は表情を曇らせたー。
その夜ー。
「あっ♡ あっ♡ あぁあ~~~♡」
優莉(ゾンビ)の身体が、
毅、茂伸、雄太にたらい回しにされながら
弄ばれているー
中身がゾンビだからか、何も抵抗することなく
快感に身を委ねて、何度もイカされている優莉(ゾンビ)-。
そこにー
順平とゾンビ(優莉)がやってきたー
「--!なんだよ!」
フリーターの茂伸が叫ぶー。
「--俺たちは最高の大人のおもちゃと、最強の優莉ちゃんを
手に入れたんだ。
これからは、ちっとはマシな生活をー」
リーダー格の毅の言葉に、
順平は言い放ったー
「--俺たち、ここから出ていくことにした。
世話になったな」
とー。
”もう、ここにはいられない”
順平は、ゾンビ(優莉)と相談して、そう思ったー
優莉の身体をおもちゃにしてー
ゾンビになった優莉を生物兵器として扱うなんてー
もう、耐えられなかったー
「---はぁ?待てよ!この身体は置いていってもらうぜ!」
フリーターの茂伸が優莉(ゾンビ)を指さすー
「滅茶苦茶ヤリまくってやるんだ!」
茂伸の言葉にーー
ゾンビ(優莉)が茂伸に近づいて、
腕を掴んだー
ゾンビの歯でーー
茂伸を噛もうとするーーーー
仕草だけしたゾンビ(優莉)は、
茂伸を睨みつけるー
「ひっ………」
ゾンビの身体になった優莉に噛まれれば、
感染するー
茂伸は恐怖して、その場に尻餅をついたー
毅と雄太は、もう何も言わなかったー
「いこう」
順平は、ゾンビ(優莉)に声を掛けると、
「うあ~~」と叫ぶ、優莉(ゾンビ)の手を引っ張りー
図書館から外に出たー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--これか、、、ら、、 どぅ、、、する…の?」
ゾンビ(優莉)が不安そうにー
いやー
表情も分からないー
とにかく、そう呟いたー
「----わからない」
順平は銃を握りながら呟くー
安全な場所なんてどこにもないー
しかも、優莉(ゾンビ)を連れた状況で、行動しなければならないー
もしかしたらー
1時間後には、自分たちも屍になっているかもしれない極限状態ー
けれどー
「--俺は絶対に、優莉を守って見せるからー」
順平は、ゾンビ(優莉)に向かってそう言い放つとー
ゾンビ(優莉)に顔を近づけてーーー
キス、、、をする仕草だけしたー
”感染”してしまったら、優莉を守れないー
だから、今はキスはできないー
優莉(ゾンビ)の方も見つめながら、
順平は「絶対に、元に戻して見せるから」と、
優しくほほ笑んだー
絶対に彼女を元に戻してー
彼女と共に生き延びて見せるー
もしもー
もしもーー
1時間後に屍になっているとしてもーー
その時はー
最後の1秒まで、優莉を守るために、戦うー。
そう決意して、順平は、ゾンビ(優莉)と
優莉(ゾンビ)と共に、地獄のような街を歩き始めたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ゾンビと人間の入れ替わりでした~☆
私は初めて書く組み合わせでしたネ~!
お読み下さり、ありがとうございました☆!
コメント
SECRET: 0
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スライム、ゾンビと続き過ぎです。ここはホラー小説ではないですし全く興奮しませんし、萎えてしまう残念な話です。
SECRET: 0
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コメントありがとうございます~!
スライムやゾンビに限らず、特定のジャンルが少し続いてしまうこともありますが、
お許し下さい~!
全員が満足できるスケジュールを組み立てることができれば
一番良いのですが、
ご覧下さっている皆様の趣味趣向も一人一人異なりますので、
それはできないことなので…!
また気になるお話が出て来た時には、ぜひお楽しみください!!