睡眠不足に悩まされている彼女ー
その彼女から相談を受けて、
彼氏は、彼女の家で一晩、彼女を見守ることにした。
しかし…?
--------------------—
「お、、、お前は、、誰だ!?」
叫ぶ明人ー。
数分前まで眠っていた史香は、
イヤらしい笑みを浮かべて、目の前に立っているー
明人のことを”お前”と呼びー
自分のことを”この女”と呼んでいるー
明らかに、様子がおかしいー。
「--俺か?」
史香が笑みを浮かべるー。
「---ふふふ、やだなぁ~わたしは史香に決まってるじゃ~ん!」
史香が女っぽい口調で言うー。
しかし、左手は自分の胸を揉み続けているー
「ふ、、ふざけるな!お前は、、誰だ!」
明人が今一度叫ぶー。
さっきまで読んでいた小説の内容など、
頭から吹っ飛んでしまうぐらいの驚きー。
”これって…二重人格ってやつなのか…?”
明人は、自分の今までの人生経験から
そういう答えにたどり着いていたー。
「---へへへっ…誰だっていいじゃねぇか」
史香は近くのイスに座ると、足を組んで
見下すように明人を見つめたー
「--ふ、、史香の中の……べ、、別人格なのか?
お、、お前は…史香の…」
明人が戸惑いながらそう口にすると
”二重人格”と思われたことにおかしくなったのか、
史香が狂ったように笑いだしたー
「あはっ!あはははははははははははっ!!
ま、、そう思うのも、無理はねぇよな!」
普段穏やかな口調の史香の声で、
そんな言葉遣いをされると、戸惑ってしまうー
明人は表情を歪めながら史香を見つめるー。
「--お前は何なんだ!?史香から出て行けよ!」
明人が言うと、史香は「スマホを貸せ」と、低い声で呟いたー
「--あ?」
明人が困惑しながら机の上に置いてある自分の
スマホを見つめるー
「--いいから、早く貸せよ」
史香が普段浮かべない、怒ったような顔で、明人に言うー
明人は「何をするつもりだ?」と言いながら、
スマホを史香に手渡すと、
「俺が誰だか、教えてやるよ」
と、スマホを乱暴に操作し始めたー
「--へへ ほらよ!」
史香が明人にスマホを投げ付けるー
そこにはー
”帰宅ラッシュの時間帯に人身事故ー
会社員男性が死亡”
と書かれていたー。
「-----ど、どういうーーー」
明人が、史香の方を見ながら言うと
史香は笑ったー
「それが、俺だよー」
とー。
「---な…?…え?」
明人は、表情を曇らせるー
何を言っているのか、まるで理解できないー
「--俺は、自殺したんだよー
会社に追い詰められて、何もかもがイヤになったー。
でもさー
死んだら、俺は空に浮かんでたんだー。」
史香が思い出すような顔を浮かべながら言うー。
「--気づいたら、幽霊になってたー。
へへっ
俺はさぁ、死んだら終わりだと思ってたけど、
そうじゃなかったんだなぁ」
史香の言葉に
明人は「--お、、お前、、まさか、、幽霊…?
幽霊が史香に憑りついて…?」
と、震えながら言うとー
史香は「まぁ~そういうことだよ。この女に憑依してるのさ」と
笑みを浮かべたー
「--ふ、、ふざっ…史香から出ていけ!」
明人が叫ぶと、
史香は「いやだね」と答えたー。
幽霊の男はー
サービス残業が当たり前のブラック企業にいて、
しかも、そこの女上司から徹底的なパワハラを受けていたー
最終的に、体調を崩して、それを伝えたところ、
クビを宣告されたー。
クビにされたら生活できないー
彼は必死に”それはおかしい”と反論したー。
しかしー
女上司は言ったのだー
”消耗品は、壊れたら捨てて、買い替えるでしょ?”
とー。
絶望した彼はー
クビを宣告されたその日の帰りにー
自殺した。
そして、気づいたときには幽霊になっていたー。
幽霊になった男はー
女に憑依して、好き放題を繰り返してきたー。
自分が生きている間には味わえなかった快感を味わうためー
自分を苦しめた”女”という存在に復讐するためー。
「--まぁ、身体の持ち主が寝ているときしか俺は表に出てこれないからなぁ
こうして夜にお楽しみをしてるってわけさ」
史香が言うと、明人は「--ふ、、ふざけ…!」と、叫ぶー。
史香本人の意識が起きている最中はー
男の意識は奥底に幽閉されて、
意識もない状態とのことだったー。
それ故に、
史香が睡眠不足に苦しんでいることもー
史香と明人が、史香の異変を調べ始めたことにも、気づいていなかったー。
「--お前…!お前のせいで、史香は寝不足に苦しんでるんだ!
毎日毎日体調が悪くて、ホントに悩んでるんだ!」
明人が叫ぶと、史香は「--ふ~ん、そっかそっか、確かにそうだな」と頷くー。
「--だから、史香から出て行ってくれ!」
明人の言葉に、史香は「出ていくよ」、と笑みを浮かべたー
「この女が”壊れたら”なー」
史香の言葉に、明人は「テメェ!」と叫んで、史香の胸倉を掴むー
「--あれぇ?明人ってば、彼女を殴っちゃうの?
ひっど~~~い!」
史香のフリをされて、明人は思わず手を放してしまうー。
「--バーカ!」
史香が明人の急所を膝で蹴りつけるー。
「ぐあああっ!」
苦しむ明人を見ながら、史香は笑うー
「--”消耗品”は壊れたら捨てるんだよ。へへへっ!
この女がぶっ壊れたら、俺はこの身体を捨てて
次の女を探すー
この女が睡眠不足??
知るかよそんなこと!」
史香が笑いながら叫ぶー。
明人は「--お前…!」と、史香を睨みつけるー
かつて、会社の女上司から言われた”消耗品論”を
自らも口にするようになってしまった幽霊の男ー
明人は「頼むから、史香を返してくれ!」と、
土下座をしたー。
史香はそんな明人を見ながら、笑みを浮かべるー。
「---じゃあさ、今、ここで、俺とヤろうぜ?」
史香の言葉に、明人は「ふざけるな!」と怒りの形相で史香を睨むー
「--へへ、お前も彼女とヤりてぇだろ?
今なら、どんな変態シチュにだってつきあってやるぜ?
へへ、この女の意識はないから、安心しろよ」
史香が笑いながら、
「-それ、しゃぶってやろうか?この女の口で」
と、明人のズボンを指さしたー
「ふざけるな!!!!」
明人が怒りの形相で叫ぶー
だが、史香は近づいてくると、
ズボンの上から明人のアレを手で掴むー。
「--ほらっ…大きくなっちゃって…
わたしに興奮してるんでしょ?」
史香が甘い声を出すー
「やめろ…ふざけるな…!
誰が、、誰がお前なんかに興奮するか…!!」
明人がそう叫ぶー。
「--この女、エッチなこと、苦手なんだろ?」
史香が笑うー。
明人は険しい表情をしたままー
答えない。
史香は、高校時代に痴漢に襲われたことがあり、
エッチなことが苦手で、男性に対しても恐怖心を抱いているー。
明人が、史香の家で、寝ている史香の様子を見張ることになった時、
何度も「俺は何もしないから」と言っていたのは、
史香のその過去を、明人は知っているからだー。
「--何でそれを?」
明人が表情を歪めるー
「---はは、最初にこの女に憑依した日の夜、
お前とそんな感じの話をしていたから、知っただけさ」
笑う史香ー
明人と史香が”睡眠不足”について悩んでいることを
知らない様子だったしー
史香が正気の時は、この男が逆に意識を失っている状態なのだろうー。
史香の記憶を読み取れる様子もないー。
「--でもよぉ」
史香は笑いながら、服を脱ぎ捨てたー
「--!!」
明人が「やめろ!」と叫ぶー
「--今のわたしは、、エッチなことしたくてしたくてたまらないの♡」
下着姿で甘い声を出す史香ー
「貴様ぁ!」
明人が拳を握りしめるー
「--ほら、大好きな彼女がお前を誘惑してるんだぜ?来いよ!」
史香が叫ぶー
「--ふ、、ふざけるな!」
明人が叫び返すー。
「--今なら、この女の意識は眠ってるー
俺とお前でやりたい放題だー
大丈夫だってー
どうだ?お前を俺のセフレにしてやるよ
ほら、この女の夜の記憶はないー
適当にお前が説明しておいてやればー
お前は俺と、、いいえ、わたしとヤリたい放題よ♡」
史香の言葉に、明人は顔を赤らめながらもー
断言したー
”断る”
とー。
「---はぁ???つまんねぇ野郎だな!?
心配するんじゃねぇよ
この女に記憶はねぇ
一緒に滅茶苦茶にしてやろうぜ!」
史香の言葉に、
明人は「史香は、史香は寝不足で悩んでいるんだぞ!お前のせいで!」
と、叫ぶー
「--へへ、そいつは悪かったな」
史香は下着姿のまま、ニヤニヤと笑うー。
「---史香、本当に調子悪そうなんだ!
このまま寝不足が続いたら、史香はー」
「知るかよ。死んだら死んだで知らねぇよ」
史香が真顔で言うー
「--な、、、」
明人は身体を震わせたー。
「--女に憑依しまくってるのは、復讐も兼ねてるんだよ。
こいつが死のうが関係ねぇよ」
史香はそう言うと、
明人の方を見つめたー
「ほ~ら、明人、わたしとヤろ♡」
史香の誘惑するような声ー
明人は、史香の手を振り払ったー
「------…」
史香の顔から笑顔が消えたー。
「--最後のチャンスだ。 わたしとヤ・れ」
史香が引きつった顔で、明人を見つめるー
「---断る!絶対にお前の言いなりになんてならない」
明人がそう宣言するとー
史香は、「あっそ」と呟いたー。
「--じゃあーーーー」
史香が、突然近くの金属片のようなものを掴みー
「--!?」
明人が、史香!?と叫ぶと同時にー
史香は、明人を思いきり殴りつけたー。
明人の意識が飛んだー
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---えっ!?!?」
明人が突然、目を覚ますとー
史香が、目の前で悲鳴を上げながら泣いていたー
「--いや、、、っ…もう来ないで…!出て行って!」
史香が泣きながら叫んでいるー
「--!?」
明人が、状況を理解できずに困惑するー
頭がまだずきずきするー。
「--え…ふみ…か?」
「--出て行って!!!!!」
史香が泣きながら、明人に物を投げ付けたー
慌てて「ご、、ごめん!」と言いながら、家から飛び出る明人ー。
明人は困惑しながらも自分の家に帰宅して、
すぐに史香に”何があったのか?”と連絡を入れたー。
そして、憑依のことも話そうとしたー
が、すぐに全ての連絡先を”遮断”されてしまったー
翌日ー
大学でも完全に無視されーー
明人は、どうすることも出来ない状態に陥ったー。
”何があったー?”
明人は困惑するー
史香に早く”憑依”のことを伝えないとー。
とー。
そして、
夜ー
スマホに、突然史香からの連絡が入ったー
それに出る明人ー。
”よぉーーーー
”俺”だよー
この女が寝たから、また身体を乗っ取らせてもらったぜ”
その言葉に、明人は「またお前か!史香の身体から出ていけ!」と叫ぶー。
”へへへ…
お前、昨日、何が起きたか理解してないようだな?”
史香の声で、邪悪な言葉を口走る男ー
「---なに…?」
明人が言うと、史香は笑ったー
”昨日、この女の身体でお前を殴りつけてお前を失神させたあとー
俺はお前に憑依したんだー
俺は相手が意識を失ってないと、自由にできないからなー
そしてーーー
お前の身体で、正気を取り戻したお前の彼女を襲ったー
お前のフリをしてー
「俺、ずっと、史香とエッチしたかったんだ」って言いながらなぁ”
史香を乗っ取った男の言葉に、
明人は凍り付いたー
「なんだって…?」
明人は、昨日の史香ー
そして、連絡先を一切遮断されてしまった状態を思い出すー
”はははは!お前はもう嫌われたぜ!この女に!
俺と一緒にヤらないからこうなるんだ!
楽しかったなぁ、信じてた彼氏に
「身体目的だった」って言われて、
泣きわめくお前の彼女の姿を見るのはー”
「--な、、なんてことを!」
明人が悲痛な叫びをあげるー
”--そういうわけで、お前はもうこの女には近づけないぜ
昨日、お前の身体で、この女を何度もぶん殴ってやったからー
もうこの女はお前に心を開くことはないだろうさー
あとは、この女が壊れるまで、た~っぷり、夜を楽しませてもらうさ”
「--おい!ふざけるな!待て!」
プッー
電話が切れたー。
明人はスマホを床に叩きつけたー。
なんとかー
なんとかしないとー
連絡先は遮断されているー。
とにかく、大学で事情を話してーーー
しかしー
2日後ー
史香は大学で、倒れてしまったー
睡眠不足が限界を超えたのだー
救急搬送された史香ー
しかし、史香本人が意識を失ったことで、
あの男に病院で乗っ取られて、史香は病院を抜け出したー
「---史香ーー」
自宅で史香の写真を見つめながら、
涙を流すことしか、今の明人にはできなかったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
彼女が弄ばれるダークなお話でした~!
記憶にない睡眠不足にはご用心、ですネ~!
今日もありがとうございました~!
コメント
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なんか幽霊の男より、情け容赦のない女上司の方がそもそものすべての元凶ですね。こんな幽霊を生み出した女上司は実に罪深い。幽霊の男は女上司には復讐したんですかね?
したんでしょうね。しない理由はありませんし。
その辺りの話も見てみたかった。
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コメントありがとうございます~!
既に上司は”消耗品”として、幽霊になった男に
憑依されて悲惨な結末を迎えてますネ~!
そのあたりのお話は機会があれば~!